あの後、俺は皆から離れ、トライドロンを呼び、乗り込んだ。
目的地まではベルトさんが運転し、俺はただ黙って運転席に座っていた。
「なぁ、ベルトさん。一体、どこに俺を連れていくんだ?」
『着いたら話す。それまでは待っていてくれ』
「……分かったよ」
そこから俺は一言も話さず、外を眺め続けていた。
トライドロンは途中で山道に入り、そのままぐんぐんと山を登って行った。
『着いた。ここだ』
傘を差し、外に出るとそこには何もなかった。
「ここは?」
『かつて、私の家が有った場所だ。そして、私が死んだ場所でもある』
「ここが……」
辺りを見渡しよく見ると、石造りの階段があったり、門と思しき石柱があった。
『君と陽斗を見ていて、つい蛮野のことを思い出してね』
「そう言えば、蛮野博士とは友人だったんだけ」
『ああ、同じ師を持ち、ライバルとして切磋琢磨し合い、親友として共に助け合った。よく私の家でワインを飲みながら夢を語り合ったものだ』
ベルトさんは懐かしむようにそう言う。
『思えば、コア・ドライビアもロイミュードも、夢として語ってる時がよかった。どのような感じにし、どのような力があり、どのように使うか。語ってるだけでも十分よかった。だが、私と蛮野は、夢を現実にしようとした。その結果が……私のこの姿だ』
ベルトさんは自嘲する様に言う。
『君と陽斗の二人を見ていたら懐かしくなってしまってね。個人的な理由で付き合わせてすまない。戻ろうか』
「………なぁ、ベルトさん。折角だ。もっとベルトさんの話聞かせてくれよ」
『え?』
「思えば、ベルトさんって自分の事といい、ネクストシステムの事といい、隠し事が多過ぎる。全部とは言わないけどさ、せめてもう少し話してくれてもいいんじゃないか?」
ベルトさんと出会ってまだ二ヶ月ぐらいしか経っていないが、俺はベルトさんの事を知らなさ過ぎる。
正直、ここに連れてこられて蛮野のことを話してくれたのは嬉しかった。
まるでやっと俺のことを認めてくれたような感じがした。
『…………そうだな。たまには昔を語るのもいいだろ』
「ベルトさん、独身だったのか」
『ああ。若い頃は何度か付き合ったことはあるんだがね。だが、私は仕事一筋のような人間でね。気が付けば、別れていたよ。お陰で、独り身だった』
こうして腹を割って話してみると、意外とベルトさんも普通の人だった。
科学者とかって、常人が思ってもないようなことばっか考えてるような奴ばっかと思ってたからちょっと驚きだ。
『ちょっと話し過ぎたかな。佑一、そろそろ帰ろう』
「そうだな。ありがとな、ベルトさん。話してくれて」
『どうってことないさ。No Problem!さぁ、帰ろう』
ベルトさんを手に立ち上がった瞬間、水たまりが跳ねる音がした。
そちらを振り向くと、赤いコートを着た一人の男がいた。
雨が降っているのに傘も差さずに立っていた。
「誰だ?」
『お、お前は!?』
ベルトさんはそいつを知っているのか、声を上げる。
男は笑い、口を開いた。
「久しぶりだな、クリム。実に半年ぶりだ」
「半年ぶり?それってグローバルフリーズの………」
「ソイツが今の仮面ライダーか?随分とひ弱なやつを選んだな」
俺が仮面ライダーってことを知ってる!?
「ベルトさん!此奴は誰なんだ!?それに今の仮面ライダーって………」
『………此奴はハート。私を殺したロイミュードの一人で…………君の前のドライブを倒した奴だ』
此奴がベルトさんを!?それに、前のドライブって………いや、今はそんなこと気にしてる場合じゃない!
「やるぞ!ベルトさん!」
『だ、ダメだ!ハートと戦ってはならない!』
「え?」
いつになく取り乱したように言うベルトさんに俺は驚く。
『ソイツは今まで戦ってきたロイミュードとは格が違う!今戦っては君が死んでしまう!ここは逃げるんだ!』
「…………なら、聞くけど………此奴は逃げ切れるような相手か?」
『それは………』
「戦ってなくてもわかる。此奴は強い。………でも、だからって逃げるのか?どうせいつかは、此奴とも戦うんだ。遅いか早いかの違いだけだ」
『だが………』
「………大丈夫だって。俺は……死なない」
『…………わかった。やるぞ、佑一!』
「ああ!」
ベルトさんを装着し、シフトブレスを腕に付ける。
「変身!」
『START・YOUR・ENGINE!!DRIVE!!TYPE!!SPEED!!』
ハンドル剣を手に俺はハートへと走り出す。
「やれやれ、俺の友達を倒してきた奴の顔を見に来ただけのつもりだったんだが、いいだろう。戦ってやる」
そして、ハートも心臓を髣髴させるような形の赤いロイミュードの姿へと変える。
「来い、仮面ライダー!」
「行くぞ、ハート!」
次回、ドライブVSハート