暗殺教室~アサシン・ドライブ~   作:ほにゃー

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隼人を走らせるのはなんなのか

ドライブピット内を沈黙が支配した。

 

ベルトさんと神崎、烏間先生はことの成り行きを見守っていた。

 

「……隼人、どうしても納得できないのか?」

 

「ああ。ロイミュードは全員ぶっ潰す。もちろん、チェイスの野郎もだ」

 

「だが、アイツはプロトドライブだった!奴らに利用されてるだけだ!」

 

「だから救うって?甘いよ。いくら取り繕ったって所詮は機械、ロイミュードだ。ロイミュードである以上、ぶっ倒す」

 

そう言って隼人は鞄を手に取る。

 

「アイツを救いたけりゃ、勝手にやってくれ。俺は、俺のやり方でやる。…………ロイミュードは、絶対に居ちゃ行けないんだ」

 

そう言い残し、隼人はドライブピットを出ていく。

 

「隼人!…………アイツ、どうしたってんだよ……!」

 

俺は隼人の態度にイラつき。テーブルを叩く。

 

『あそこまでロイミュードを敵視してるとは、ちょっと私も驚きだ』

 

「もしかして、半年前の事件で誰かを失ったんじゃ……」

 

「いや、それはないだろう」

 

俺の考えを烏間さんが否定する。

 

「隼人の母親は数年前に病死している。父親も、隼人がまだ幼い頃に離婚し、それ以来音信不通。祖父母も既に他界していて、母親の死後は叔父が面倒を見ていたらしいが、その叔父は今もアメリカに滞在している」

 

「身内を殺されたことによる敵討ちじゃない、か」

 

「多分………単純なことじゃないと思う」

 

すると、神崎がそんなことを言い出した。

 

「うまく言えないんだけど…………多分、きっと詩島君にとってとても大切で、深い問題なんだと思うな」

 

神崎の言葉に、妙な重みを感じ、俺は何も言えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから隼人と何も話せないまま、時間だけが過ぎた。

 

そして、梅雨が開け、もうすぐ夏本番に入ろうとする時期に、球技大会が行われる

 

「…………クラス対抗球技大会ですか、でも、なんでE組がないんですか?」

 

「E組は一チーム余るって素敵な理由で本戦にはエントリーされないんだ。代わりに、大会のシメのエキシビジョンに参加しないといけないんだよ。簡単に言えば、見せ物だな」

 

「なるほど………いつものやつですか」

 

「心配しないでも大丈夫よ、殺せんせー、いい試合して、全校生徒を盛り下げよう!!」

 

すると、女子がおー!と言って、団結し始めた。

 

「チッ!俺ら晒し者とか無理だわ、お前たちでやってくれ!!」

 

寺坂たちはそういい残し、教室から出て行く。

 

「野球となりゃ頼れんのは杉野だけどなんか勝つ秘策ねーの?」

 

陽斗は杉野に問いかけるが、すぐに応えることはなかった。

 

「…無理だよ。俺とあいつらじゃ経験の差がありすぎて勝負にならねー。…勉強もスポーツも一流とか不公平だよな人間って。…だけど勝ちたいんだ殺せんせー。…E組のこいつらとチーム組んで勝ちたい!!」

 

そう言って殺せんせーを見る杉野だったが、殺せんせーは楽しそうに野球のユニフォームを着ていた。

 

「先生、こういうスポ根ものの監督とかに憧れていたんです。体罰はできないので、代わりにちゃぶ台返しをします」

 

用意がいいな。

 

「最近の君たちは目的意志をはっきりさせるようになりました。そこで、殺監督が君たちに勝てる秘策を授けましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

球技大会当日

 

球技大会は終わりに近づき、最後のエキシビジョンマッチとなった。

 

応援席には多くの生徒が集まり、俺たちが負けるのを見に来ている。

 

まったくいい見せ物だよ。

 

「あ、泊君」

 

「ああ、神崎。そっちも今からか?」

 

「うん」

 

「そっか。頑張れよ。でも、無理だけはしないようにな」

 

「ありがとう。泊君も無茶だけはしないようにね」

 

女子は体育館に向かい女子バスケ部と試合で、男子はグラウンドで野球部と試合。

 

体育館へ向かう神崎を見送りながら、俺も九ラウンドへ向かう。

 

「それでは、E組対野球部選抜のエキシビジョンマッチを行います」

 

最初はE組の先攻。

 

木村がバッターボックスに立つ。

 

野球部の進藤が第一球を投げるが、あまりの速さに木村は打つことができなかった。

 

それを見て殺監督が指示を出す。

 

殺監督は烏間先生に目立つなと言われて、遠近法を使い転がってるボールまぎれている。

 

顔色で指示を出し、木村はその指示に従う。

 

続いての第二球を木村はバントで受け止める。

 

向こうはバンドをするとは思ってなかったのか、慌て出す。

 

その間に足の速い木村が一塁までダッシュし、見事塁に出る。

 

二番の渚も三塁線に強めのバントを放ち、ノーアウト一、二塁となっていた。

 

球技大会の日まで、ずっと殺監督相手に練習してきたんだ。

 

いくら速い球でも殺監督の球を見た後じゃ遅く感じる。

 

三番バッターの磯貝もバントにより出塁し、ノーアウト満塁。

 

そして、四番の杉野がバッターボックスに立つ。

 

もちろんバントの構えで。

 

進藤はボールを投げるが、動揺し、ボールがいつもより遅くなる。

 

杉野はバントの構えからヒッティングに変え、ボールは深々と外野を抜けた。

 

「走者一掃のスリーベース!!な…なんだよコレ予定外だ…E組三点先制ー!」

 

誰もが予想していなかった出来事に野球部顧問も唖然としていた。

 

すると、理事長がグラウンドに入ってきて、野球部顧問に何かを話す。

 

話し終わると、野球部顧問は泡を吹いて倒れた。

 

野球部顧問は試合前から重病で、選手たちもそれが気になって試合に集中できなく。急遽理事長が野球部顧問に代わって指揮を執るとのことだった。

 

嘘だな。

 

だが、そんなのはどうでもいい。

 

理事長が来たからには今までの戦術は効かないと思ったほうがいいな。

 

「泊君」

 

「あ、神崎。そっちはもう終わったのか?」

 

「うん。負けちゃったけどね。そっちはどう?」

 

「今の処は勝ってるよ。でも、次はどうかな………」

 

俺の考えは当たって、内野手も外野手も全員内野に集め、野球部はバントを封じる作戦にきた。

 

フェアゾーンならどこを守ってもいいルールらしいが、これは明らかにバッターの集中を乱す。

 

審判が違反といえばいいのだが、あの審判は理事長側。

 

違反とは言わないだろう。

 

結局、守備のプレッシャーにやられE組は一回表三点獲得で終わった。

 

一回裏で野球部の攻撃。

 

杉野の変化球のおかげでこの回は、なんとか零に抑えることができた。

 

二回表でカルマからの打順。

 

カルマはバッターボックスに立つ前に大声で叫ぶ。

 

「ねーえ、これズルくない理事長センセー?こんだけジャマな位置で守ってんのにさ、みんなおかしいと思わないの?あーお前らバカだから守備位置とか理解してないか」

 

観客を煽るカルマ。

 

それに観客は口々に文句を言う。

 

結局カルマの意見は受け入れてもらえなかったが、殺監督は満足そうだった。

 

何か策でもあるのか?

 

二回表もバント封じにをしにきて、E組は無得点。

 

二回裏、理事長に何かされたのか進藤は先ほどと様子が変わっていた。

 

進藤は杉野の変化球に対応し、特大の一撃を打つ。

 

進藤は二塁へと出て、次のバッターが打ち、そのまま二点取られる。

 

どうやら、杉野の変化球を見極めたぽいな。

 

次のバッターに杉野は、あせりからストレートを投げる。

 

それを見たバッターは一気にバットを振る。

 

結果、それがホームランとなり、さらに一点取られたが、次でアウトを取り、同点で止めることができた。

 

最後の三回表。

 

二人続いて、ストライクを取られ、ここにきて、俺の打順だ。

 

バットを握りしめ、バッターボックスに立つ。

 

まずは第一球。

 

これは見逃し、ストライク。

 

第二球。

 

バットを振るもタイミングが合わず、空振りでストライク。

 

残り一球。

 

もう後がない。

 

第三球はなんとかタイミングは合うも、当たり方が悪く、後方へと飛び、フェンスに当たる。

 

「ファール!」

 

タイミングはばっちりだ。

 

後は、前に飛ばすだけ。

 

だが、そこからが苦戦した。

 

バットにボールは当たるも、ヒットにならずファールのみ。

 

ファールにするだけで精一杯かよ……………

 

そして、十球目。

 

先程と同様タイミングを合わせてバットを振るが、バットは空しく空を切り、俺は空振りしてしまった。

 

ここまでか………

 

「泊君、走って!」

 

その時、神崎がが叫んだ。

 

何事かと思って、見ると、キャッチャーがボールを取り損ねていた。

 

どうやら、僅かにボールが掠ったらしく、それで軌道が変わり、取れなかったみたいだ

 

だが、そう考える前に、俺は走り出し、一塁ベースを踏んでいた。

 

そして、一塁にボールが回るのと同時に、俺は二塁へと走った。

 

一塁の野球部員が慌てて二塁へとボールを回そうsるが、投げる際に指が滑り、ボールは二塁を守ってる部員の頭上を飛ぶ。

 

そのまま二塁も踏み、三塁も回って、ホームベースまで戻る。

 

「うおおおおおおおおおおおおっ!」

 

そして、勢いよく滑り込む。

 

俺がホームベースに入るのと、キャッチャーがボールを受け取ったのはほぼ同時だった。

 

結果は――――――

 

「せ、セーフ!」

 

キャッチャーの手からボールは零れ落ちており、俺はセーフだった。

 

これで、4対3………

 

三回裏。

 

野球部は俺たちが一回表でやったバントでやり返してきた。

 

普通野球部が素人相手にバントなんて大人気ないが、向こうには先に俺たちがやったから、ちゃんとしたバントを見せると言う大義名分がある。

 

ノーアウト満塁。

 

そして、最後に進藤がバッターボックスに立つ。

 

だが、まるでドーピングでもしてるんじゃないかと思うぐらいに変貌してる。

 

杉野は敬遠するしかないと判断するが、カルマが来て磯貝に耳打ちする。

 

磯貝は苦笑いしながら了承する。

 

カルマと磯貝は前進して進藤の前に立つ。

 

「さっき、そっちがやったとき、審判は文句言わなかったよね。なら、俺たちがやっても問題ないよね、理事長せんせー」

 

「………構わない。真の強者はそんなことでは取り乱さない」

 

「それじゃ御遠慮なく」

 

カルマと磯貝はさらに前進し、進藤がバットを振れば当たる距離につく。

 

さすがにこれは、理事長によって集中力を高めた進藤でも呆気を取られた。

 

「くだらない、構わず降りなさい進藤君。例え骨を砕かれても彼らは文句は言えない」

 

進藤は大きく振ってびびらせればいいと思い、バットを振るが、カルマと磯貝はほとんど動かずによける。

 

「…ダメだよそんな遅いスイングじゃ。次は殺すつもりで振ってごらん?」

 

完全に集中が切れ、腰の引けた進藤は次の杉野が投げた球をよろめきながらも打つ。

 

だが、その打球はカルマが取り、キャッチャーである渚の元へ投げる。

 

そして、三塁の木村、一塁の菅谷のもとへ渡った。

 

トリプルプレー

 

E組は見事、野球部との試合に勝利した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チェイス、目を覚ましたか」

 

廃墟の中で、ハートはチェイスへと声をかける。

 

「……ハートか。俺はどうやら、長く寝ていたらしい………すまんかった」

 

「気にするな。お前が無事なら構わない」

 

「寝ていた分の仕事はこなす。………仮面ライダーは俺が倒す。ロイミュードを守る為にな」

 

「そうか。では、これを渡しておこう」

 

そう言うとハートは手にしたケースから三つの銀色のバイラルコアをチェイスへと差し出す。

 

「俺からお前への、細やかな贈り物だ。受け取ってくれ」

 

「………感謝する」

 

それを受け取り、チェイスは廃墟を出ていく。

 

「メディック、チェイスに何をしたんだ?」

 

「記憶を消すのや、改竄は時間が掛かります。それに、何かの弾みでその記憶が戻る可能性もあります。ですから、簡単に書き換えだけをしました」

 

「書き換え?」

 

「はい。チェイスの中にある「人間を守る」という基幹プログラムを「ロイミュードを守る」へ書き換えました。単純でいて、強力な洗脳ですわ」

 

「………そうか。すまなかったな」

 

ハートはそう言うと壊れかけの椅子へと座り込む。

 

(洗脳か……あまりいい響きではないな。だが、仕方ないことか……いずれチェイスも分かってくれるだろう…………)

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