神崎が協力者になって数日。
俺は今日、あるところに向かっていた。
椚ヶ丘総合病院。
そこの五階にある病室。
見舞いの品である花を手に、俺はそこに向かった。
部屋の前に立ち、深呼吸をし、扉をノックする。
『どうぞ!』
許可を貰い中に入る。
「明先輩、お久しぶりです」
「佑一、来てくれたんだな」
この病室に居る患者は、早瀬明先輩だ。
あの日以来、明先輩はリハビリと手術の為ずっと入院している。
俺は、あの日の罪悪感から今日の今まで明先輩に会うのを避けていた。
「………足の方はどうですか?」
「ああ、長時間走るのは無理だが結構良くなってる。先生も驚いてたよ。こんな回復力驚きだってさ」
明先輩はいつも通りけらけらと笑っていた。
「……サッカーの方は?」
「……走るだけならともかく、スポーツをやるには俺の足はもう無理だ」
………俺の所為だ。
俺があの時、あんな喧嘩しなければ明先輩がこんな目に会うことは無かったはずだ。
全部俺の所為だ。
「すみません、俺があの時あんなことしなければ」
「全く持ってその通りだな」
後ろからの声に振り返ると、そこには前原が居た。
「よぉ、泊。どの面下げて早瀬先輩に会いに来たんだよ?」
前原は俺を通り過ぎると、明先輩に挨拶をした。
「どうもです、早瀬先輩」
「あ、ああ」
明先輩はどうすればいいのか分からず困惑している。
「早瀬先輩に怪我負わせて、今の今まで見舞いにも来ないでよく心が痛まないな。俺だったら心が張り裂けるぜ」
前原は嫌味たらしく行ってくる。
「おい、前原!止せ!」
明先輩が前原にそう言うが、前原は明先輩の言葉を無視する。
「はっきり言わせてもらうけどな。お前の所為で早瀬先輩はこうなったんだぞ。それに対して詫びの一つもないのかよ!それとも自分はE組に落ちて、サッカー部止めたから、それで償いになったと思ってんのかよ!」
「前原!俺は別に、佑一の事を責めるつもりはないし、これは俺の自業自得だ!」
「早瀬先輩がどう思って用が関係ないんですよ!」
そう言って、前原は俺に指を突きつける。
「俺は絶対お前の事許さねぇよ!」
「……………明先輩、今日はもう失礼します。また来ます」
そう言い残し、病室を出て行こうとする。
「もう来なくていいぞ」
「前原!」
その言葉を最後に、俺は病室を出た。
結局そのまま変えることも出来ず、俺は病院の屋上に上り空を眺めていた。
『佑一、大丈夫か?』
「ベルトさん………ああ、大丈夫だ」
前原か……………
「アイツ、明先輩の事、滅茶苦茶慕ってたもんな。やっぱ俺の所為だよな
「それは違いますよ、泊君」
「うおっ!」
いつの間にか、近くに殺せんせーが居て、何故かマカダミアナッツチョコをボリボリと食っていた。
殺せんせーに見つからないようにベルトさんをこっそりと鞄に隠す。
「泊君、よろしければあの日何があったのか教えてもらってもいいですか?」
殺せんせーにそう言われ、俺はなんとなく話した。
あの日、何が起きたのか…………