天地無用!~いつまでも少年の物語~。第2部   作:かずき屋

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お正月休み終わっちゃいましたねぇ。

いろいろやりたいことあったけど、微妙に体調不良で思ったことが出来ず・・・。

外にも行かず。

まあ、更新できたので良しにしましょう(^^;;;。


樹雷から銀河へ13

 しばらく、ベッドで寝返りを打ったり、携帯端末をいじってるうちに、薬が効いて眠ってしまったらしい。でかい音で響き渡る警報で目が覚めた。慌てて半身を起こすと、電子音と供に、目の前に大きなディスプレイが出現する。

 「お休みのところ申し訳ありません。現在超空間航路からジャンプアウト。航路乗り換えのため、通常空間航行中ですが、正体不明の艦隊に攻撃を受けています。」

水穂さんから報告を受けた。被弾?わずかな振動も感じる。わかった、すぐ行くと伝えてメイドさんを呼び、服を着せてもらう。急ぐので、樹雷では軽装にあたるが、作務衣に似たような衣服である。着替えを終え、携帯端末から転送を命じた。梅皇ブリッジに転送される。グリーンのカーテンの転送フィールドが消えた。ブリッジにはすでに索敵結果がディスプレイに出ている。

 「・・・船影確認。旗艦ダイダロス三世を含む、三個艦隊です。総数、後方の補給艦を含め1500余隻。シャンクギルドのようです。」

全長500mくらいだろうか。どことなく鯨に似た艦影だった。子どもが見ると、強そうと絶対言いそうな角のような突起物がある旗艦を中心に、1500隻あまりの艦隊である。三個艦隊が正三角形を成し、梅皇から見て、斜め上方および下方2時方向、そして前方十二時方向から挟撃してくる。はっきり言って、数以外は特に敵たり得ない艦隊である。

 「10時方向、距離720光秒に、さらにジャンプアウトする艦隊発見。艦影は、同じシャンクギルドです。先ほどの一個艦隊と同規模。高エネルギー反応確認。」

梅皇に光應翼展開と命じる。わずかなショックがあるがエネルギー弾を完全にはじき飛ばしてしまう。宣戦布告もない。まあ、海賊流儀と言うことか。

 「蒼穏の星はついてきているか?」

あやめさんが振り返り、ディスプレイを操作して見せてくれた。

 「私たちの後方に、ついてきています。」

蒼穏に、そこに居るように一応言っておいた。

 「ダイダロス三世には即時撃沈命令が出ています。どうしますか?」

手負いの皇家の船と見て突っかかってきたのか?こちらは皇家の船、しかも第1世代だぞ?

 「一応、いろいろあとで面倒なことになったらいけないので、通常の手順を踏んでください。聞く、聞かないは別として。すでに攻撃もあるので、まあ大丈夫ですけどね。」

わかりました、と水穂さんが、決まり文句の降伏勧告やら、梅皇の出自やらを全通信チャンネルへ流してくれた。恥ずかしいなぁ、とか思いながらあらかじめ録音しておいた僕の声である。天木辣按入っているけど。

 「さて、それでは、重力振放射。相手の足止めをしておいて、右舷大口径ブラスター追尾モードで発射。」

梅皇の前方へ重力振を放射した。空間そのものが振動するので、強固な構造の船でないと簡単に崩壊する。

 「敵旗艦他から高エネルギー反応。梅皇に向け集中砲火。こちらの右舷ブラスター発射します。」

 「柚樹さん、ブラスター発射のあと、いつものお願い。」

こっちは、いつものリフレクター光應翼である。その前に、大口径ブラスターが敵艦隊に突き刺さる、そのまま途切れなく、文字を書くように艦隊配置をなぞる。アニメのように、間欠的に発射しなくても、こちらは第1世代の皇家の船。余裕綽々のエネルギーである。砲身が持つだけ長時間発射できる。ブラスターの発射が終わったあと、リフレクター光應翼が展開。

 「通常兵器のブラスターをシールドで防いだ艦は多かったようですが、その後の反射エネルギーで艦隊はほぼ壊滅しました。」

微々たる数の艦艇が方向転換して逃走しようとしている。

 「追撃しますか?」

水穂さんが静かに聞いてくれる。その意味はないよな。さっきの変な生命体とは違うし。

 「・・・追撃してほしいですねぇ。仲間を助けたいですし。」

がちゃがちゃと重い物を装備した重武装兵、そして白い髪の細面のイケメンが、大ぶりの、見た目そのまんまの海賊刀を舐めながら、ブリッジに乱入してきた。その刀を立ち上がった僕に突きつける。

 「・・・ほほう、さっきの被弾部分から入ってこられてしまったか。」

田本一樹さんは見事に思考停止しているが、日亜さん部分と辣按さん部分が反応する。ブリッジのみんが振り返り僕の方を見る。白い髪のイケメンだが凄惨な表情が気分が悪い。一応、みんな重装備歩兵に囲まれてしまった。

 「こちらの要求としては、あなたに来ていただきたい、というか、その左手がほしいことと、あの星をいただきたい。」

そう言って指さす、蒼い星。

 「どうやって運用するつもりだ?莫大なエネルギーが必要だが。」

にやりと笑って、口の端をあげ、舌で上唇を舐めてゆっくりとしゃべる白髪の海賊。

 「本来、その赤い宝玉は私たちの物でね。あなたがさっき砲撃したダイダロス三世のエネルギージェネレーターとして使ってる物だ。ただ、あなたが持っている物より数段性能が落ちるがね。始祖が作ったその宝玉が欲しいのだよ。」

なんだかよくしゃべる男である。天木日亜の記憶もフラッシュバックした。あのアトランティスで、この男の一族に会ったような気もする。

 「・・・なんだか、昔からよくしゃべる男だなぁ。」

ふっとおかしくなって笑ってしまった。

 「うるさい、笑うなっっ!」

海賊刀を振りかぶって殴りかかってくる白髪の海賊。ガキンッと音がして眼前でその刃は止まった。同時に、周りでガンッ、バキッとか言う打撃音が聞こえてきた。

 「なに・・・、対光應翼用太刀が・・・。」

見事に刃こぼれしている。そして、すぐに光の粒子になって消えてしまった。目の前に四層に渡って光應翼が出来ていた。その一層目すら貫通できていない。

 「一樹様、この者たちどうします?」

謙吾さんの、のんびりとした声が聞こえてくる。

 「やっぱ、素手だとちょっと痛いなぁ。」

籐吾さんが手刀をふうふう吹いている。手先がちょっと赤い。

 「木刀モードで殴ったら折れちゃいました。改良しないと。」

あ~あ、と女性陣に言われている籐吾さんだった。と言う女性陣も棒が折れてしまっていた。

 「今度、メリル重工業試作部にクレーム入れないと、ねえ、謙吾さん。」

そう言いながら、梅皇に捕縛シェルを各侵入者に転送してもらい、そして時間凍結倉庫に送り込むように頼んだ。すぐさま捕縛シェルに固められ侵入者全員ブリッジから消えた。白髪の海賊だけはこちらをにらみながら固められていった。

 「蒼穏から、ごめんなさい、と言ってきてるわよ。」

そう梅皇に言われた。もしかしてと、謙吾さんと蒼穏の星に転送してもらう。案の定、10人程度の重装備歩兵が倒れていた。中身はすでに消えている。どうなったかは明らかだった。

 「まあ、自業自得ですね。やはり早く帰って、梅皇の亜空間に収納しましょう。」

謙吾さんが、無表情にそう言った。また、蒼穏に近づいていって、済まない、怖い思いをさせてしまった、一緒に行こう。そう伝えた。

 「おお・・・。」

蒼い炎が樹を包む。他の樹が自らの葉で自らを包むがごとく。静かに謙吾さんが驚いている。

 「あと少しだ。ついてきてくれな。」

突然、はっし、とズボンと手と言うか指をつかまれた。下を向くと3,4歳くらいの様々な肌の色の子どもたちが、僕らの周りを取り囲んでいた。みんな裸ん坊だった。

 「え~っと、君たちはどこから来たのかなぁ?」

となるべく優しく聞いたつもりだったけど、みんなびっくりしたような顔をして大泣きしてしまう。 「み、水穂さん、阿知花さん、大変大変!」

 「と、とりあえず、重装備兵の数と合いますから、海賊さんたち、退行させられちゃったのかなぁ・・・と。」

おろおろしている僕と謙吾さんだった。とにかくここじゃ寒いだろうと、梅皇の居住区へまとめて転送してもらう。おしっこ漏らしている子や、大きいのを赤い顔して頑張っちゃってる子まで居て、そりゃもう大変だった。上木さんやら平田さんやらの看護師さんと、ブリッジの女性陣、さっき助けた雨木開拓団やら、航空隊の経験者やら女性陣、天木救助艦隊で無事だった人騒動員で子どもたちをお風呂入れて、急遽子ども食べられるご飯作ったりして面倒を見た。今は、これも急遽子供用のベッドを作ったのでそこで寝てもらっている。

 「海賊の襲撃は、大したことなかったですが、正直、チビッコ海賊団にはしてやられましたわね。」

珍しく疲労困憊な水穂さんと、阿知花さんだった。大食堂でお疲れ気味のみんなと定食を食べることにした。天木&雨木家の皆さんもご一緒である。特に豪華な料理なんかよりこっちの方がホッとして楽しい。菊乃さんが、残したら承知しないからね!と食堂の奥で仁王立ちしていた。

 「このチキンの照り焼きに見える料理美味しいねぇ。」

 僕の目にはそう見えるけど、ここは地球からも遠く離れているし・・・。

 「地球ではそう言うんですね。これ実は・・・。」

ソッと耳打ちしてくれる籐吾さんである。なんでも樹雷でも、そうそう手に入らない超高級素材で、近く天地君の近くの正木家から輸入開始されるらしい。

 「船穂様からの特選食材です。西南君も喜んでくれたので、だそうですわ。」

重ね重ね申し訳なく思う。うー、鶏高いのかぁ。

 「それに、このふわっとした焼き具合。菊乃さん凄いなぁ。」

甘みと、醤油の加減。絶品である。

 「うちの母、瀬戸様の奥様料理教室に通っていましたからねぇ・・・。」

なんでも皇家直伝、なんと体力作りから始まるらしい。全コース制覇すると、お局部隊へ入隊資格が最優先で出来るそうだ。さすがにかなり根性のある女性でないと挑戦はしないようだが(これ、アイリ様情報。おばちゃんの話を聞くのは結構僕は得意である。前の仕事柄。)

 「・・・わたくし、途中から入ったんですけど、気がつくと、瀬戸様の隣に立ってました。」

これも伝説らしい。水穂さん、全コース制覇して、並み居る強豪を全て下して、あの地位を手に入れたらしい。

 「そんな、すざまじい女性が僕のそばに居てもというか、僕がそばに居ても良いんでしょうか?」

ものすご~く不安になったのだ。今回も泣かせたし。水穂さんは、こちらを見ず、楚々と口の周りを袂から出した紙で拭いている。

 「ここだけの話だけど。・・・俺、お見合いの話が来たら・・・。怖いから断るか逃げるなぁ・・・。籐吾殿はどぉ?」

俺にその話振りますか!的な視線の籐吾さんだった。

 「僕は、天木日亜様が居ればもういいんです。って言って、許してくれない人?もしかして。」

 「・・・ええ、水鏡で逃げられないように追い詰められますわね、きっと。様々な搦め手(からめ手)使って。社会的にも個人的にも精神的にも。」

うっふっふっふ、と過去の思い出が去来する水穂さんのようだった。そうか、情報戦はお手の物。そして瀬戸様のあの押しの強さと権力を持ってすれば・・・。

 「う~、さぞや立派な方々がお見合いの席に着いたでしょうに。」

思いっきり引いた表情で、そう言ってみた。

 「そうね。でも、今、ここに居る男性の皆様が、怖がられているように、私とのお見合いに選ばれた方は全てをなげうってでも、断ってこられましたのよ。」

さばさばとそう言ってのける水穂さんだった。恐るべし瀬戸様の影響力。あからさまに額に縦線書いている目の前の男二人だった。

 「・・・で、あなたはどうなさりたいのかしら?」

開き直って、美しく透明な目で僕を見て、さくっと聞かれた。

 「僕にとって、瀬戸様は特に・・・、まあ大変な方ですけど・・・、アイリ様も同じですが・・・。あああ、もうっ、一緒に居たいと思っています。」

だって、周りはともかく、素直に一緒に居たいもの。

 「でしたら、あのようなことは、私たちに絶対に見せないと・・・、誓ってくださる?もっともっと自分を大事にしてくださいますか?」

僕の周りに居た、謙吾さん、籐吾さん、神木あやめ、茉莉、阿知花さんが笑った表情からグッと涙をこらえた顔になってしまった。

 「俺・・・、あの蔓に貫かれた一樹様を見て、生きていられない。初めてそう思った。」

 「僕は、その場に居なくて良かったと、あとで記録映像を見て、マジにそう思いました。」

 「私も、その場に居なくて良かった・・・。あなたの考えた、この棒で胸を貫いていた・・・それほど悲しかった。そして、何度も寝室で眠っているあなたの顔を見て、上下している胸を見て、心を落ち着けていましたもの。水穂様はお強い、そうも思いました。でも、化粧室で泣いている声を聞きましたわ。」

あとのあやめさんや茉莉さんは同じように、頷いていた。

 「目が覚めて、記憶が混乱して・・・、まだ気持ちは混乱しているけども・・・。1年前の役場職員だったときの自分から、記憶が蘇ってくるとき、結局、みんなとの暖かい思い出が一番先に蘇ってきたんだ。イツキや柚樹、梅皇もだよ・・・。本当にありがとう、そうとしか言えない。」

 「・・・わたしひとりで居るときに言って欲しかったわ。」

ぷくっとほおを膨らませてそう言う水穂さん。わ、ずるい水穂様。みんなそうですよ。とか周りの、そう僕よりも大きく年上のみんながそう言ってくれる。

 「自分自身を大事にか・・・。そうだろうけども。みんなに迷惑かけたくないし・・・。」

 「私たちは、そのためにここに居るのです。」

そこに居た全員がそう言った。言い切ってくれた。あれ?でも人数多くないか?妙に声に迫力があったし。そう思ってきょろきょろと見ると、そうか、負傷していない雨木開拓団と天木救助艦隊の残存艦対の皆さんがいた。みんなでご飯食べていたんだっけ。

 





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