天地無用!~いつまでも少年の物語~。第2部   作:かずき屋

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寒いですねぇ。寒波ですね~。

皆様もお身体にお気を付けて。

やっぱりうがい手洗いは基本やね~(^^;;;。


樹雷から銀河へ14

 「自分自身を大事にか・・・。そうだろうけども。みんなに迷惑かけたくないし・・・。」

 「私たちは、そのためにここに居るのです。」

そこに居た全員がそう言った。言い切ってくれた。あれ?でも人数多くないか?妙に声に迫力があったし。そう思ってきょろきょろと見ると、そうか、負傷していない雨木開拓団と天木救助艦隊の残存艦対の皆さんがいた。みんなでご飯食べていたんだっけ。さっきは子どもたちをみんなで追っかけてお風呂に入れたし。

 「雨木開拓団の皆様に天木の艦隊の皆様は、あの・・・、帰って報告やら、何やらあるのでは?。」

もちろんそうなのですが、と雨木香澄さんが包帯だらけの姿で、微笑みながら言う。

 「我らは、天木に連なる眷属ですが、もともとあまり天木家に近い訳ではなく・・・。今回も天木皇家の、一連の事業の一つとして派遣されています。ご存じのように、経過はどうあれ、大幅な失敗になりますゆえ・・・。」

と説明してくれた。ここからは、水穂さんが耳打ちしてくれたのだが、天木眷属としても身分が高くない、と言うより底辺に近い方々となるようで、たぶん追放というか、まあそう言う処分が下るらしい。

 「天木日亜さんの記憶は受け継いだとは言え、それって厳しくない?ほとんど不可抗力だろうし。」

その辺は、どうも皇家四家どれも似たようなものだそうで、何かのプロジェクトがあれば眷属を募り、体裁を整えて派遣等々するようである。プロジェクトが成功すれば何らかの恩賞があるが、そうでなければ、拘束時間等の賃金計算後、解散と言うことらしい。解散になれば、次のプロジェクトの雇用を待つか、他の皇家のプロジェクトや、戦いに参加するか、と言うことのようである。

 「まあ、そのぉ・・・、艦隊の連中とも話し合ったのですが、あっちは旗艦がやられて、結局一番偉いのはお前だろうと、わたしが押しつけられて御説明申し上げている次第です。」

水穂さんや阿知花さん、謙吾さんや籐吾さんを見渡すとみんな小さく頷いてくれる。

 「え~、まあ公式には検討します、としか言えませんけど、ご存じのように、瀬戸様が背後にドドンと居たりしますけど、いいんですか?」

瀬戸様、のところでひくくっと雨木香澄さんの頬が引きつるのを見てしまったが、まあ、背に腹は代えられない、ということか。

 「なあに、一樹殿、わたしがどうしたってぇ?」

電子音ワンコールで背後に、でかいディスプレイが出現する。鬼姫登場である。

 「ええっと、ですね。雨木開拓団やらなにやらですが・・・。」

どこで聞いていたのやらと思いながら、しどろもどろにやっぱりなって、子どもが言い訳するような口調になってしまう。

 「・・・まあ、いいわ。シャンクの海賊に襲われたそうね。GPを手配したから途中で引き渡すと良いわ。元海賊の子どもたちも、受け入れ施設の準備が出来たそうよ。とにかく早く帰ってらっしゃいね!。」

ふふん、といつもの瀬戸様のように鼻で笑って事務連絡をしてくれた。そして、んちゅっと投げキッスをして通信が切れる。したたる紅粘液、って感じで振り返るとみんな笑顔を固まらせて、立っていた。すぐにホッとした様子で自席に座る。

 「それでは、瀬戸様もお待ちかねなので、帰るとしましょう。蒼穏、帰るぞ。ついて来いよ。」

いつものように虚空を見ながら、樹に話しかけた。ざわざわ、と後ろの方から声が上がる。噂には聞いていたけど、とか、樹とのリンク凄いんですね~とか。面白いので、足下の柚樹を抱き上げて、肩のイツキに姿を現すように言う。

 「危なっかしい奴じゃが、まあ、みんなかまってやってくれ。」

期待通りに、柚樹さんがしゃべる。右手でひげから顔を洗いながら。イツキもぱたぱたと飛んでまた肩にとまった。おお~とかどよめいている。

 「さあさ、帰りますよ。」

二人のイケメンに首根っこ持たれて、引きずられるように食堂をあとにした。じゃあ、またあとでね~と、ひらひら手を振ると、そこでまたみんな固まっていた。皇族らしくないってことだろうな、たぶん。ブリッジの席に就きいつものように号令をかける。

 「梅皇、樹雷へ向け発進してください。」

何かの機械類がうなりを上げるとか、そう言うノイズ的なものを感じさせず、わずかな加速Gを感じさせ発進する。これも、わざと感じさせているということだそうだ。皇家の樹がエネルギージェネレーター兼メインコンピューターユニットである皇家の船の場合、望めば完全無音で、切った張ったの戦闘中でも、内部は静かな惑星の上で居るがごとく、優雅な舞踏会なんかも開けてしまう。慣性制御などは完璧にやってのける皇家の樹である。阿知花さんが今後の航路を説明してくれる。

 「一樹様、GPへの捕縛人員および子ども達引き渡しのため、途中、そうですね4時間後に一度通常空間に実体化します。その後、約8時間後に樹雷到着、先に樹雷作業艇と供に蒼穏を梅皇亜空間に格納する予定です。」

 そう言って、自分のタブレットを腕輪に変換して席に座る阿知花さん。綺麗だなぁ・・・。おおっとぉ、仕事仕事と。

 捕縛している時間凍結フィールド倉庫の見回りやら(航空隊が交代で  見回りと、歩哨で警戒してくれている)中破している右翼部分やらの検分、修理計画などをみんなとチェックして、とやってると4時間くらいすぐ経ってしまう。

 「一樹様、あと5分ほどで超空間ジャンプアウトします。ブリッジにお戻りください。」

ブリッジで様々なワッチやら情報処理やらを任せていた茉莉さんから、連絡が入った。すぐブリッジに転送してもらった。

 「ありがとう。瀬戸様が言ってたGPとの邂逅点だね。」

はい、そうです。まもなくギャラクシーポリスもジャンプアウトしてきますわ、とさらさらと流れる小川のように茉莉さんが言う。割と口数の少ない茉莉さんだが、声がかわいらしいのだ。ちょっと謙吾さんがうらやましくなる。

 「・・・うわ、どうしたんですか、ボロボロじゃないですか!。」

開口一番でかいディスプレイに血相変えた、西南君が映った。

 「負傷者は?、必要なモノはありませんか?霧恋さん、重度医療設備室の準備を最優先で。守蛇怪の工場設備へのエネルギー供給開始!福、瑞樹ちゃん、大規模ナノシステムプラントを構築してください。全艦、宇宙空間航行モードから緊急救助モードへ移行、ブリッジ各員の皆さんは・・・。」

福ちゃんがキッとまなじりを上げ、守蛇怪ブリッジ中央部に飛び乗る。みゃおお~~~んとひときわ鋭く鳴き声を上げる。守蛇怪のエネルギーレベルが、それこそ、超新星爆発かと思えるほど、どんどん上がっていく。霧恋さんはじめ四人のお嫁さんと、あと四人のあまり見たことのない、地球で言う、エジプトとかの西南アジア風の美人さんが4人ほど居て、きびきびした動きで守蛇怪各部署へ転送されて行っていた。各部署から西南様、準備完了しました。いつでも受け入れできます!としゃっきりした声が返ってくる。

 「あの、ね、西南君・・・、大丈夫なんだけど・・・。」

 「何を言ってるんですかっ!第1世代皇家の船がそこまで破壊されてるんですよっっ、って、元気そうですね・・・。」

ディスプレイの向こうには、五分刈りで左のおでこに絆創膏がある、昨年より精悍で迫力さえ感じる西南君がいた。

 「・・・うん、さすがに皇家の樹に攻撃されたら、光應翼も役に立たなかった・・・。さっきも、ここのみんなにお説教食らったとこです、・・・はい。詳しくは、あとででも記録映像を見てね。とにかく、瀬戸様から聞いていると思うけど、海賊と、その、退行させられた海賊・・・、ああ、説明がめんどい。とりあえず、引き渡すから!。」

 「え?、皇家の樹?攻撃?」

かなり怪訝な表情のギャラクシーポリス随一のやり手、山田西南君だった。とりあえず、GP式の敬礼をして外向きの挨拶をする。

 「樹雷第1世代皇家の船、梅皇艦長、柾木・一樹・樹雷です。このたびは・・・。」

勢いで押し切って、挨拶をして、事務連絡およびデータのやりとりをした。そのまま何も言わずに、仕事モードのまま時間凍結倉庫の捕縛している海賊達の転送を始めた。

 「うー、そりゃ山田西南殿も、たぶん怒るよな・・・。」

 「あれだけ無茶しちゃってたし・・・。」

 「私たちが言ったって聞かないし・・・。」

謙吾さんたちがひそひそ話している。そうっと水穂さんを見ると、僕の右背後に立ってるし、阿知花さんは左背後である。表情は二人とも読み取れない。ものすごく居たたまれなかったりする。

 「シャンクギルドの海賊と、皇家の樹に退行させられた海賊、子ども海賊団の引き渡し完了しました。樹雷皇族にあの程度の装備で立ち向かうなど考えが甘すぎますね。私どもで、間違いなくギャラクシーポリスに連行いたします。」

 携帯端末をタブレット化したものにリストを表示させながら通り一辺倒の返答をした西南君だった。そして、GP式の敬礼をする。こちらも敬礼を返した。

 「・・・一樹様への私信ですが、一度地球に帰って鷲羽様の検診を受けてください。天地先輩と同じなら・・・、あなたとあなたの周りの皆さんが・・・、何かしらの影響を受けているかもしれません。」

複雑というか、悲しい?そんな表情の西南君だった。何かを思い出すように、珍しく言葉を句切りながらそう言った。

 「西南君は、どう?今回の仕事終わったら地球に帰る?」

心配になって、もしかして一緒に帰ってくれるかなぁ、と淡い期待を込めて言ってみる。そう、おかしな表情をするなぁ、と正直思ってしまった。僕は何かあるのかもしれないけど、僕以外に何か起こるのだろうか。

 「・・・う~ん、しばらく帰れそうにもないですね。簾座連合の海賊というか、そこの戦いの決し方のしきたりというか。ものすごく面倒臭いんですよ。」

頭を掻きかき、済まなさそうに答える西南君だった。

 「それと・・・、なんとなく僕と同じニオイがしますよ柾木・一樹・樹雷様。というか、田本さん。自分を大事にしてくださいね。」

ニヤリと笑って、視線を謙吾さんや籐吾さんにやって、僕の後ろの二人を見る。前の二人はディスプレイに向かって大きく頷いていたりする。ディスプレイの中では、やれやれと言った表情の雨音さんが頬杖ついているのが一瞬見えた。

 「でけえ釘、刺された気がします・・・。申し訳ない、よくわかりました。」

こっちも頭を掻きかき。上目遣いで西南君を見た。 「樹雷皇阿主沙様と瀬戸様が、とにかく急いで行って情報収集をしてくれって・・・。新上位超空間航行も事後申請で良いからって、お陰様で、簾座に一緒に行っていたGPの艦隊は、置いてけぼりにしちゃったし。」

 「う・・・、さっき早速連絡がありました。影響の大きさが凄すぎて、僕もどうしたら良いのやら・・・。」

ふわっと柔らかな表情になる西南君だった。この辺何人も居る女性陣にはたまらないんだろうな。

 「まあ、樹雷に帰ったら、皆さんに絞られてください。」

じゃ、と、左手で福ちゃんを抱いて、右手をひらひら振る西南君だった。福ちゃんが微妙に涙目なのは、見なかったことにしよう・・・。

 「・・・怒られた方がまだマシだやね・・・。」

独り言を言ってみる。周りの反応がないのが、またつらい・・・。

 「とにかく、樹雷へ向け帰投する。」

了解!とブリッジのみんなが応えた。なんとか、通常営業(?)に戻りたいところである。

 「一樹様、通常空間から超空間航行へ移行します。蒼穏の星の準備は良いですか?」

いいよ!、と結構元気よく答えが返ってきた。とにかく早く帰って、樹雷で梅皇の亜空間へ収納したい。

 「籐吾、よろしく頼む。」

了解の声と供に、籐吾さんの右人差し指と中指がコンソールを横に滑り、静かに、暗いが星々の光が見える空間から濃い緑色の空間へ突入した。

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