天地無用!~いつまでも少年の物語~。第2部   作:かずき屋

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しばらく間が空いてしまいました。
どうもすみません。

会議で、ドンパチもなく・・・。

職場の異動関連も一息つきました。

おっさん頑張ります(自爆)。


樹雷から銀河へ18

「・・・ただいまより、第一回銀河間代表者会議を始めます。」

 口調を変え、厳かな中にも力のある声で、エクシト・レ・セプシーは宣言した。次いで、当事者である樹雷皇、神木・内海・樹雷ご夫婦、そして私たちという順番で、この場で包み隠さず虚構なしに、申し述べることを宣言した。

 次いで、水穂さんが今回の作戦というか視察の目的について、かいつまんで説明をした。前提として、我ら樹雷の民の力の根源である皇家の樹との契約、そして、その世代を重ねた者の異常な枯死。我々が第1275星系と呼ぶ宙域での行動はそう言った裏付けがあった。さらに我らが第1275星系に到着してから後の状況も記録映像として提出している。

 エクシト・レ・セプシーの周辺には三命の頂神の投影体(あの可愛い3頭身状態の鷲羽ちゃんたち)がふよふよと浮かんでいた。くるりくるりと時々場所を変えている。

そんな話の前提を話し終え、議長のエクシト・レ・セプシーが、今まででご質問は?と静かな口調で問うた。

 「・・・あなた方の事情は分かった。だが、あの、差し渡し30万光年を超えようかという光の影はいったいどういうことなのだ?」

僕らの席の斜め前方の席から声が上がる。もちろん瞬間同時通訳システムを介している。これで言語については問題ないようだ。発言しているのは、僕から斜め前方に着席している、ヒューマノイドに見える生命体だった。発言は、僕の番だろう。すっと息を吸い込んでしゃべり始めようとすると、先に先方から言葉が出た。

 「あ、いや済まぬ。あなた方の情報ばかり聞いてしまったな。こちらの情報を開示しないのは礼を失すること。あらためて我らは、この渦巻き銀河、天の川銀河とあなた方は名付けておると聞いたが、その隣と言っても良いだろう、約15万光年ほど離れた大マゼラン星雲からの代表だ。」

名前は、先ほどのレセプシーのパンフレットが示してくれる。たぶん銀河標準語に翻訳された読みだろう。それを視界の隅で見ると、すぐに、そのとなりの席から声が上がった。同様にヒューマノイドに見える。少し声が甲高い。女性?の声のようだ。

 「同じく、大マゼラン星雲の近傍に位置する小マゼラン星雲の代表である。我らの方は、大マゼラン星雲と同様、あなた方とわずかだが商取引もあるようだ。」

その銀河の一礼であろう、そんな仕草をしてその代表は着席した。ほぼ同時に、大マゼラン星雲の代表も着席する。今度こそ僕の番だ。

 「天の川銀河局部銀河群の代表の皆様、この度は、皆様方に、私事(わたくしごと)で脅威を感じさせてしまったこと、またご心配をおかけしてしまったことを先にお詫び申し上げます。そして、天の川銀河を中心に据えた表現になりますことをお断りいたします。私は、ここにおわします、樹雷皇阿主沙様より艦隊司令・・・を拝命しております、柾木・一樹・樹雷と申します。」

そういえば、それ以外の役職を聞いてなかったなぁ、辞令もちゃんと読んでなかったし・・・、と呑気に思って、先ほどのレセプシーパンフに目をやると、なにやら長ったらしい役職名が、ぞろりと表示されていた。

 「私たちは、先ほどの事前映像でも紹介しましたとおり、皇家の樹と呼ばれる、生命体と契約する者。そして、その皇家の樹ですが、意思を持つため、私たちは樹によって選ばれ、その力を行使する権利を得ます。」

一拍おき、瀬戸様の方を見ると、振り向かずとも、かすかに頷いていた。とりあえず、第1世代と第2世代のみだが、その辺は嘘ではないので曖昧にしておこう。ざわざわとかすかに会場がざわめき、それが少し収まったのを見計らって、また話し始める。

 「私の場合は、この肩に駐まっています、イツキに選ばれたことから様々な事象が起こりました。申し遅れましたが、このイツキは、皇家の樹であり船であります。亜空間固定技術を駆使し、このような大きさになっている次第です。実際の大きさは、全長350mほどの船です。さらに私の場合どうしたことか、通常樹に選ばれるのは1人に対し1樹ですが、この柚樹も僕を選んでくれました。さらに樹とのリンクも強く樹達と話が出来る特技も併せ持っています。」

足下の柚樹が、マイク近くにぴょんと飛び乗る。

 「われは、柚樹と名付けられた皇家の樹。この姿はある哲学士に授けられた。そして、この者と供に在らんと欲したためこの場所にいる。どうか、各銀河の代表者の方々、各々遠い場所で命をはぐくみ、この場に集結したのも縁であろう。どうか善き関係を築こうではないか。」

めずらしく、銀ネコが結構長い言葉を言った。小声でありがとうと言うと、例の、ネコなのに人のように見える不気味な笑顔で返してくれた。そのままちょっと横にずれて、腰を落としてテーブルに座った。さらに会場がざわめく。比較的近隣同士の銀河だと、ある程度膨大な星間距離を飛び越える航行技術を持っていて、行き来はあるようだ。

 「この柚樹さんが、このような姿なのは、また後ほどの機会にと言うことで、まず私が、一度目にあのような姿に変貌した経緯を簡単ですが、説明申し上げます。」

10数名ほどだが、結構みんな代表者と言うことで何らかの発言はすべく、待ち構えている雰囲気がひしひしと押し寄せてきている。その辺答えていると時間がいくらあっても足りない気がするので、さっさと話し始めてしまった。

 「一度目は、私の部下であります竜木藤吾が・・・、深手を負い、樹雷の救急医療も間に合わない事態が発生、一刻の猶予もない状態になりました。」

そこまで言うと、すっと横で竜木藤吾が立ち上がり、一礼し、再び着席した。

 「見る間に竜木藤吾の命の火が消えようとしているのに耐えられなかった私は、竜木藤吾の皇家の樹の他、幾本かの皇家の樹に助力を頼み、それに答えた皇家の樹の力が私に集中、無事竜木藤吾の傷口を余りあるエネルギーでふさぎ、助けることが出来ました。しかし、人の身で制御できるエネルギーではなく、結果暴走し、あのような姿を見せることになってしまいました。」

 期待通り、その資料映像が大きめのディスプレイに映し出された。水鏡の中でエネルギー体になる自分が記録されている。実体ではなくなっているのだろう、水鏡を破壊するようなこともなく、数万光年を一瞬にして飛び越え、銀河のオリオン腕を飲み込まん勢いで巨大化した。

 「次は、本当に先ほどのお話です。私たちにとって皇家の樹は親兄弟同然。それの世代を重ねた樹が枯死してしまう事態が起こりました。先ほど、妻の水穂が説明したとおりです。その原因究明のために、第1275星系と私たちが名付けた星系に派遣されていました。」

妻の、と言ったあたりでちょっと恥ずかしいというか、一瞬真っ白になってしまった。もう一度大きく息を吸って続けた。

 「ここで、私たちは、突然の強力な思念波攻撃を受けます。私のほかは、もうひとりを除き、意識を失うほどの・・・。第1275星系での戦いは熾烈を極めました。資料映像があると思いますのでまずはご覧ください。」

あの強力な思念波攻撃は、アストラル・アタックだったのだろう。未完成のアストラルシールドがある程度は役立ったし。しばらく、僕らがジャンプアウトした映像から始まる記録映像が映し出されていた。我ながら、勢いでいろいろやったけど、良く生きていたなと反省してしまう。恒星を背にした戦いが終わった頃にもう一度話し始めた。

 「結果的には、我ら人類の都合で、太古の昔に我らから遠ざけられてしまっていた皇家の樹に出会うことになりました。私たちへの憎悪のみを糧にして生きてきたような樹でした。出会った皇家の樹は、母樹はナナシ、その子ども、第二世代になるようです。名前はありません。ナナシは、強い力を持つ代わりに、他の皇家の樹のように異次元からエネルギーをくみ出すことが出来ず、他の樹からエネルギーチャージを受けないと生きていけない樹でございました。そのため、我らには皇家の樹の力を超えるような手段を持っておらず、初代樹雷王は、彼の地に幽閉同然で植えたのがことの顛末のようです。数万年の時間は、エネルギーチャージ用に自ら志願した、つがいの吠舞羅と言う樹の命を奪い、ナナシは子どもを得ていたようです。」

どことなく、今まで地球で出会っていた役場の福祉課の仕事とよく似てるなと思いながらしゃべった。様々な理由があろうとも、虐げられたと言わざるを得ない親子の話であった。

 「私自身、まさか皇家の樹が敵になろうとは、つゆほども思えず、攻撃を受けているにもかかわらず分かり合えるとの思いがあり、油断し、あのような結果になった、そういう顛末でございます。」

中央の大きなディスプレイは、ちょうど僕が樹のツタのようなもので胸と首を貫かれるシーンだった。数人の、息を詰めるような短い音がした。私語のようなざわめきが止まる。

 「この直後、怒りと、それを引き金とした死へ向かおうとする自らの身体への抵抗だろうと思います。自分自身もうまく説明はできませんが、あのような姿で顕現してしまいました。」

数秒後、全体を見渡して、また、話し始めた。

 「結果的には、未だ私はその時に至っていないとの、三命の頂神の判断で一度目も二度目もこの身体に戻ってこれたということらしいです。」

癖で、右手で頭をかいてしまう。くるりくるりと舞いながら、議長である、レ・セプシーの周りにいた三命の頂神のひとり(一柱?)の津名魅様が前に出た。

 「わたしたちは、あなたがたが頂神と呼んでいる存在。心静かにお聞きなさい・・・。」

ありがたいことに、神様の発言援護射撃である。ある意味最強ではあるな。などと安心していると、

 「樹雷の皇族で、重責を担っている人物であることは理解した。だが、一人物にそのような途方もない力が集中して良いのか、我らとしては判断がつきかねるのだ。」

手元の電子パンフレットがアンドロメダ星雲からの代表者の一人であることを示していた。天の川銀河でも僕ら3代表、アンドロメダ銀河も3代表を出してきている。言葉を遮られた津名魅様は、下を向いてイジイジと床を突いていた。いや、そこでいじけてどうする神様!一番可愛いんだけど、イマイチ押しが弱かったりする津名魅様だった。やっぱり見た目が災いしているのだろうか。鷲羽ちゃんも、訪希深様も、くすくすと笑ってるし。

 「・・・自己紹介が遅れ申し訳ない。我らは、アンドロメダ銀河からの使者である。ここに3名いると言うことはあなた方とよく似た理由かも知れぬが、広大な銀河、現在3文明が覇を競っていると言うことと思って欲しい。まあ、連れだって、こんな遠くまで来て雁首並べる程度には仲が良いと思っていただきたい。」

 アンドロメダ銀河の使者を名乗る席はシールドされ、陰しか見えない。環境が我々と違うのだろう。影を見る限りヒューマノイドタイプに見える。

 「我々は、あなた方と大きく違う環境下で進化した。姿を見せることが出来ない非礼は、詫びねばならない。そして、その・・・、礼も言わねばなるまい・・・。」

シールドされている席から、もうひとり声の違う人影が先の人物と変わって話し始めた。

お礼?なんの?といぶかしげな表情をしていると、なんとナナシの星へエネルギーのオーバーフローをねらって放射した左手の赤い宝玉+第1世代の樹のエネルギー、あの第2惑星に吸収されたと思っていたが、角度的にちょうどアンドロメダ銀河へ10数時間後に到達。そのエネルギー流の直撃を受けたアンドロメダ銀河の星々、年老いた星は若返り、戦争で荒廃した惑星は、それ以前の植物生い茂る状態に戻り、農業惑星、畜産惑星、漁業惑星それぞれの生産量は飛躍的に高まり、と、言う状態らしい。一部赤色巨星化した恒星系は、それ以前の状態まで回復した例もあったらしい。その領域は、アンドロメダ銀河の65%に達し、何事かと原因を探った結果、天の川銀河の僕の姿と、何らかの関係があると言う結論に達し、樹雷に問い合わせたそうだ。凄まじいエネルギーの総量に防御する方法もなく最初は消し飛ばされると思ったそうだ。そして、さっきの発言に戻る、と。

 「あのぉ・・・、なんか、微妙に、申し訳ご・・・・・・。」

 「会議に遅れ、申し訳ない・・・。我は、シードを行った文明の末裔、惑星アルゼルのアマナックと申す者。そして、紹介する。我が・・・家族だ。」

真っ白になりながらなんか言わねば、と思った矢先、アマナック委員長が遅れて登場した。なぜか、家族というか3世代で登場である。あのリルルとメルルもいっしょだった。2人がこっち向いて笑顔を見せてくれる。2人のお父さんとお母さんもいっしょだった。父母だろうふたりもこちらに向いて一礼してくれた。ああ、大きくなったなぁ・・・と見ていると、涙がこぼれてきた。

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