天地無用!~いつまでも少年の物語~。第2部   作:かずき屋

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やっぱりね、忙しいさなかでも、ゆっくり時間とって天地無用の世界に入り込むと、それだけで、ストレス解消ですね(^^)。

たぶん、ここを読んでくれている皆様以上に自分が読み返して楽しんでいます(爆)。


樹雷から銀河へ2

 まるで示し合わせたように、全員同時に転送ポートに集まった。そして転送されたのは、天樹最奥部にある樹雷皇阿主沙様のエリアである。転送ポート出口には、左右5人ずつ分かれて近衛兵士が立っていた。タンタンタンと手に持った棒を床に打ちつけ、くるりと回して頭上で合わせて屋根の形を作る。僕らはその下をくぐり、僕を先頭に歩いて行く。ここから執務室までそれなりに長い距離があり、3,4分かかる。しばらく歩くと、女官が左方にひとり立っていた。こちらでございます、と手のひらを上にして指し示されたところに、樹の扉が出現した。いままで、そのような扉は無かったが、樹雷特有のセキュリティである。認められた者しか樹雷皇には会えないのだ。認められぬ者、もしくは敵認定されれば、永遠に天樹からランダム転送され、いずことも知れぬ惑星をさまようことになる。

 もの凄く凝った木彫りで、しかも大きな扉が左右に開く。あの身長190cmはあろうかという樹雷皇阿主沙様でも、相対的に小さく見える机が鎮座している。もちろんその真ん中に樹雷皇阿主沙様は座っていた。阿主沙様の左右に船穂様と美沙樹様が立っていらっしゃる。さらに執務机の前には内海様と瀬戸様が立っていた。すでになにか、かなり物々しい雰囲気があった。ひとまず樹雷皇の前なので、跪いて、一礼する。他のみんなも同じように一礼した。阿主沙様の返礼、そして楽にしてくれ、と言葉を戴き、再び立ち上がると、さっそく瀬戸様が口火を切った。

 「・・・急に呼び出してごめんなさいね。まずは、これを見てちょうだい。」

右奥に数人の樹雷女官の格好をしたオペレーターが机に座っている。ほぼ銀河中の情報が集まってきているのだろう。皇家の樹や、それに類するバイオ・ニューロ・コンピューターを駆使してもさらに数人のヒトの力が必要なのだ。瀬戸様の言葉と同時に無音で、目の前に大きなディスプレイが開く。もちろん、それぞれの立ち位置を変えずともきっちり見える三次元ディスプレイである。

 「瀬戸様・・・。これは・・・。」

 そこには、暴走してコアユニットごと破壊、もしくは枯れてしまっている皇家の樹の映像があった。コアユニット内で無残にも茶色く変色し、完全に枯れ木になってしまっている。なにかの通信を傍受したと同時にそこに映っている皇家の樹は暴走、そして瞬時に茶色く変色し葉を散らせながら枯れている。まるで強力な除草剤を散布されたように、青々としていた葉は散り、幹が痩せ、樹によっては割れたりしてその命を終えている。

 「いまのところ、第3世代より後の世代の樹、つまり第4世代、第5世代の樹でこの事は起こっているのだ。」

内海様が重々しく口を開く。僕にとっては、ほとんど我が事のように痛みに感じた。

 「一体、何が起こっているのです。この宇宙最強を誇る皇家の樹に・・・。」

 「わからぬ・・・。第4世代とて恒星程度のエネルギーを発することが出来るはずだ。それを一瞬にして枯らせてしまっておる。」

樹雷皇阿主沙様が腕組みして考え込んでいる。

 「一樹様、発言してよろしいでしょうか・・・。たとえば、ある特定の場所とか、そういう共通点は無いのでしょうか?」

僕が頷くと、籐吾さんが、皆が思いついただろうことを聞いてくれた。

 「そうね、このことは、今のところ、この樹雷での出来事ではないわ、でも樹雷領宙内の辺境で起こってるの。」

そう言って瀬戸様が、ディスプレイ上に指し示したのは、天の川銀河の中心部に近いところにある樹雷、それからかなり離れ、天の川銀河の外れと言って良い場所だった。模式図上で樹雷から5~6万光年ほど離れている。そこの1星系らしい。

 「最近、樹雷皇家の開拓団が入った星域なの・・・。開拓団の雨木家宇宙船のエネルギージェネレーターとして第4世代、開拓用システムのエネルギージェネレーターとして第5世代の皇家の樹をいくつか投入していたのよ。もちろん通常のエネルギージェネレーターも持って行ってるわ。」

通常の、とは、縮退炉系のエネルギージェネレーターだろう。天の川銀河では比較的ポピュラーなエネルギージェネレーターのようだ。しかし、エネルギーの規模と大きさ、そのコンパクトさでは皇家の樹とは比較できない。しかもかなりの広さの空間を亜空間に固定でき、根からほとんど無尽蔵に異次元のエネルギーを汲み上げるため、補給もほぼ必要ない。もともと地球人の僕からすると夢のクリーンエネルギーである。もちろんコアユニットそのもので超空間航行が可能なため各種シールド等万全の備えもあるのだろう。そう言えば、第3世代皇家の樹は単独では光應翼は張れなかったと聞いている。

 「瀬戸様、亜光應翼やそれに近いシールドもあったでしょうに、なすすべ無くこのような状態になっているように見えますわ。」

水穂さんが、右手を人差し指を唇にあてて、ゆっくりとそう言った。何かを一生懸命考えている時の仕草だな。

 「残念ながらその通りよ。コアユニットは皇家の樹とそのマスターを守る為、考え得る限りの防御策を施しているわ。GPにも情報開示はしていないのは知っているわよね。」

僕を含めて、みんなが頷いている。僕もあれから一年である。さすがにいろいろ教わっている。

 「その、雨木家開拓団は、結局どうしたのですか?」

皇家の樹があのていたらくなら、帰ってくることもできずに・・・。

 「まさか、皇家の樹が一瞬にして枯れる、なんてことを想定してないでしょ?、第4世代皇家の船があの状態だし、開拓しようとしている星系に閉じ込められちゃってるわ。あなた方には、その開拓団の救出と、皇家の樹枯死の謎の解明をお願いしたいと思ってね・・・。」

ご想像のとおりよ、ってな表情の瀬戸様だった。

 「ええと、僕らでなくても、第3世代皇家の樹以上をもつ有能な皇族はたくさんいらっしゃるでしょうに。」

天地君の真似をして、右手でポリポリともみあげのところを掻きながら、いちおう、そう言ってみた。

 「第3世代以上の皇家の船を持つ皇族は確かにたくさん居るわ。でもね、あなたほど皇家の樹を何本も持っている皇族は居ないわよ。今までもいろいろ想定外なことも解決してきたじゃない?」

あら、何を今さら、と言う口調の瀬戸様だった。

 「ぶっちゃけ、他の皇族が尻込みしてしまっている、ってのもあるのだ。自分の皇家の樹があのような状態になるのは、我らにとって死よりも怖いことでもあるのだから。」

樹雷皇阿主沙様が、苦虫を噛みつぶしたような顔をしてそう言った。そりゃそうだろうな、僕もイツキが攻撃されたときは、足下が崩れるような喪失感を味わった。

 「しかも、マスターになっている皇家の樹以外にも話せてしまう、一樹殿なら皇家の樹が何かの影響を受ける前に、何らかの手が打てるだろうからな。」

内海様が、うんうん、と頷いてそう言う。確かにそうだろうな。籐吾さんや謙吾さんも皇家の樹を持つ皇族である。さらに、あやめ、茉莉、阿知花もいる。かてて加えて、イツキに柚樹に梅皇とくれば、適任以外の何者でもあるまい。

 「・・・わかりました。その任引き受けましょう。」

ホッとした表情の阿主沙様や瀬戸様だった。しかし、阿主沙様は、すぐにこちらを鋭い目で見て絞り出すように言った。僕や水穂さんはじめ、こちらの意思は固まっている。

 「ただし、無理はしないで欲しい。一樹殿でも手に負えない場合は、早急に撤退するように。そして、くれぐれも連絡は密にお願いしたい。樹雷を上げての対応策を考えねばならん。」

 「了解しました。微力を尽くします。」

樹雷式の敬礼をして、さらに深々と一礼する。樹雷皇阿主沙様からの直々の拝命である。その任は非常に重い。瀬戸様が、今まで分かっていることやデータは、皇家の樹のネットワークで共有済みであること、さらに、個人端末とサブコンピュータなどにもデータは提供済みだという。またこの件に関しては、僕と水穂さんに、樹雷巨大データベースやGPデータベースへのアドミニストレーター権限でのアクセスを許してくれるそうである。また艦隊が必要なら必要なだけ出してくれるそうである。まさに破格・・・。

 「水穂さん、この作戦でうちのチーム以外に人員が必要だとは・・・。」

 「そうですわね・・・・・・。まずは、私たちだけで行ってみましょうか。」

水穂さんにも相談してみた。原因が何か、どのような者か、敵か?、何も分かっていない。大艦隊を引き連れていく必要は無いと思う。開拓団のひとつやふたつ程度なら、最悪でも、梅皇に収納できるし、梅皇一隻で、惑星規模艦やそこらなら問題なく粉砕可能である。

 「そうですか、艦隊派遣要請があれば、4日程度で派遣できるはずです。いつでも言ってくださいね。」

船穂様が心配そうな表情でそう言ってくれた。

 「瀬戸様、私たちだけの出動ですので、銀河連盟への表向きの理由は・・・。」

 「ええ、開拓団が行った辺境星域を視察に行く、と言うことになってるわ。明朝0800に樹雷を離れる許可はすでに取ってあるわよ。」

はあ、すでに、ですか。水穂さんが言いかけたことは、見事に二の句が付けないくらい完璧な回答が帰ってくる。 樹雷の鬼姫だねぇ、的な目で水穂さんを見ると、タイミング良くこっちを見て同じような表情をしている。

 「何よ、その顔は。」

 「いえ、今日も瀬戸様はお美し~な~、と。」

ふふっと笑って瀬戸様は何も言わなかった。ニッと顔をほころばせる樹雷皇阿主沙様と、内海様だった。表情の硬かった船穂様と水穂様も表情が少しだけ和らぐ。

 「よいか、必ず無事に帰ってきてくれ。」

ありがたいことにまたお言葉を戴いた。はっ。と全員で短く敬礼、回れ右して、執務室を退室した。

 元来た道を戻って、転送ポート前の10人の闘士に見送られ、転送ポートから梅皇に戻った。しっかし、おっさんも朱に交われば・・・。だな、と感慨深く思った。

 「また、そんな顔をして・・・。」

くりくりっとした目をして謙吾さんが、僕の前に立つ。この人達は嬉しいのだろうなぁ、樹雷皇阿主沙様直々の命令で動くのだから。

 「いやぁ、おっさんも朱に交わったら、真っ赤っかだなぁと。」

あ~あ、と脱力している僕以外だった。ラノちゃんだけきょとんとしている。

 「好きですけどね、こういうリアクションも。」

籐吾さんが、顔を赤らめながらそう言ってくれる。

 「みんな、ありがとう・・・。そうだな、いただいたデータの検討と作戦会議、必要な物の洗い出しは必要だろうな。お茶でも飲みながら話し合おう。忌憚ない意見が欲しい。」

すぐに、いつも使っている会議室のひとつに転送された。といっても、うちのチームが入ってまだまだ余裕がある部屋である。役場なら、30人クラスの会議が開ける部屋だろう。これ以上狭い部屋が無かったりもする。あれから、この変幻自在の個人端末も改良が何度かした。広大とも言えるストレージ空間と、高速な中央演算装置、他の端末との連携機能、脳波コントロールの精密度アップ、そして武器変形時の硬度や剛性も向上している。さらに武器の変形パターンもいくつか選べるようになった。なぜか、鷲羽ちゃん経由や下手したら直接、で僕のところには最新素材等々が届くようになってしまったのだ。まあ、その届いたカタログやら試作試料を見て喜んでいろいろやったのは、僕と謙吾さんだけど。うわ~うわ~、すげーなこれ、みたいな怪しげな会話があるたびに柚樹さんと、イツキは引いている。籐吾さん達は、その実験に付き合わされていたりする。やり過ぎて、水穂さんに怒られるのはいつものことだったりもする。おかげさまで、いくつかパテントも取れてしまった。鷲羽ちゃんにはアカデミーに行きなよ、推薦するからさ、と何度も誘われている今があった。

 部屋に入って、輪になるように着席すると、イスが会議用に小さな机状に変形する。中央に汎用ディスプレイが展開する。どの角度からも、まっすぐ見える不思議なディスプレイだ。まずは、水穂さんが端末操作すると、先ほどの皇家の樹枯死が起こっている星系が模式的に現れた。夕方少し遅くなったくらいに一連のチェックは終わった。いくつかの食品と、機材の買い出しが必要だった。機材は今から発注かければ、樹雷の工場や倉庫からすぐに届くし、これは公費内だ。後は・・・。

 「買い出しにも出るし、それと夕食兼ねて、久しぶりに樹の間に行こうか?」

お~~、とみんな喜んでくれた。すぐに謙吾さんが連絡取ってくれると、いつもの部屋が取れたそうである。水穂さんと、籐吾さん、そして3人娘が食品買い出し、僕と謙吾さんは機材発注に行くことにして(実物を見なければ良いモノは買えない!)、19時頃に樹の間の前で落ち合った。食材そのものは皇家の船の中で生産できるが、まあ、ちょっとした嗜好品やら、調味料やらは買った方が早い。僕がこっちに来て、西南君もGPにいることからか、割と日本で買えた食品も手に入ったりする。某社のチョコレートやら、スナック菓子類は高価だが(ちなみに、地球価格の20倍程度は軽くする)、手に入るようになった。鶏肉もそのうちのひとつである。謙吾さんと籐吾さんは、かっぱ○びせんと様々な味のポテチにはまっているし、水穂さん達は、飴やらチョコポッキーやらを後生大事に抱えて、ちょっとずつ食べている事を知っている。

 樹の間の奥に陣取る。ここは和室である。いろいろ料理を頼み、お酒も注文する。ビール程度しか酔わないが、樹雷特産のほとんどエタノールだろうと言うレベルのお酒も頼んだ。もちろん僕のためだ。これ、謙吾さんと籐吾さんは、一杯だけ挑戦して、見事に数分で自沈している。

 「さて、また大変なことに巻き込まれたような気がするけど、みんなで立ち向かおう、それでは乾杯。いつものことだけど、無礼講だよ。」

と宴会を始めた。わいわいと料理に手を付け始めるみんなだった。僕はあの強い酒を少し戴く。のどごしはあまり刺激感は無いけど、胃の中でぶわっと熱くなる。しばらくして、水穂さんにお酒を注ぎながら聞いてみる。

 「ねえ、水穂さん、いろいろ調べてるんでしょ?」

そう、この人、樹雷の盾と言われた実力は、いまだ鈍っていない。立場が変わったが、さらに先鋭化している。僕も樹のネットワークで起きていることを聞いていた。柚樹もイツキもこの場にいる。キンッと樹の間の部屋の空気が変化した。さすが闘士達だ。

 「ふふふ、そう、瀬戸様のおっしゃったこと以外の事実は無いようね・・・。皇家の樹枯死現象は実際に起きているようだわ。」

うん、と僕も頷く。右隣に座ったラノちゃんが、僕を見上げていた。

 「樹達も、何か得体の知れない力を感じると言っている。その力に、意思がない世代の樹は対抗は出来ないだろうと。」

柚樹が、両手をテーブルにかけて、ひょいと銀ネコの姿を現した。

 「樹の仲間とも・・・、言えるような、不思議な悪意を感じるな。」

言葉をゆっくり句切りながら、柚樹さんはそう言った。

 「第1世代の樹、梅皇だと、その辺が逆にわかりにくいらしい。謙吾さん、樹沙羅儀は何か言ってる?」

お酒をくいっと飲んで、僕の目を見て謙吾さんは話し始める。

 「樹沙羅儀は、何か冷たいイメージを伝えてきます。今回の旅はあまり行きたくない、そうも言っています。でも他のみんなも居るから大丈夫、とも言っています。」

 「イツキはどう?」

 「・・・うん、僕も気味が悪いな・・・。出来れば近づきたくない、そんな感じだよ。」

籐吾さんに視線を飛ばすと、

 「阿羅々樹も同じように言ってます。樹雷に対して、と言うか人の存在に悪意があるような・・・。気持ちの良い物ではない、そう言う感触だそうです。」

かすかに頷いて、言葉を選ぶように、そう言ってくれた。こんな場所でなぜ、こんなにぶっちゃけ話が出来るかというと、ここ樹の間は、瀬戸被害者の会総本山。対瀬戸様フィールドもしっかりあったりするらしい。詳しくは聞いていないけど。

 「・・・こんばんは、お呼びいただき誠にありがとうございます。」

奥の間の障子を開け、正座し、一礼して入ってきたのは、立木林檎様である。さきほど、ご夕食でも、と呼んでおいたのだ。すぐに阿知花さんが、林檎様、何を飲まれます?とか聞いてくれている。姉ちゃん、ここ座りなよ、と謙吾さんが座布団を自分の隣に用意する。水穂さんは、その林檎様を目で追っていた。籐吾さんは、刺身を一口、口に運んでいる。

 「・・・水穂様、天木家の一部で不穏な動きがあります。天木家の私設艦隊が先ほど雨木開拓団のいる星系へ向け出発しました。」

水穂さんが、スッと酒を注いで、目配せすると、美しい口元はそう奏で始めた。

 「・・・皇族は?」

 「ご推察のとおり・・・。皇家の樹の艦隊ではありません。ただ、聖衛艦隊レベルの艦隊ですね。動く予算規模からして。」

ふううん、まあ皇家の樹が使えないなら・・・、ということだろうな。それにしてもそこまで規模の大きな艦隊を派遣すると言うことは・・・。

 「雨木家の開拓団ですよね、天木家は何かつかんでいると考えた方がいいんでしょうね。」

水穂さんと林檎様が頷いている。2人の前に茉莉さんが、スッと端末を差し出した。

 「メリア重工業の最新鋭艦が艦隊旗艦ですね。表向きは、GP軍に納入する前のテスト航海ですけど。」

 「エネルギージェネレーターは不明です。形状、大きさと武装から考えても、運動性は高そうに思えます。艦載機系のペイロードもかなり積めるようですよ。本気で機動した梅皇には勝てないでしょうけど。」

籐吾さんもどこかから情報を仕入れてくれている。

 「雨木家の開拓団とは名ばかりで、ほとんど武装集団だったようです。結果的には、何らかの力か何かで無力化されたようですが・・・。」

あやめさんが開拓団の名簿を端末に転送してくれる。なるほど、海賊上がりだが、今は雨木家に属している人がほとんど開拓団に名を連ねていた。ほほう、傭兵まで募っている。そう言う意味で第4世代皇家の樹だったんだな。第3世代より後の世代の皇家の樹は明確な意思を持たない。通常のエネルギージェネレーター兼コンピューターユニットとして運用も可能だろう。手持ちの樹か、天木家から貸与されたか・・・。開拓団の名簿を見た阿知花さんも、ひとつのデータを提示してくれた。

 「その名簿の人の家族の多くは、夜逃げ同然で雨木家管理星系から姿を消しています。何かを恐れるように、潮が引くように今日の朝から居なくなっていますわね。」

そうなのだ、水穂さんの勧めもあって、謙吾さん、籐吾さん、あやめ、茉莉、阿知花さんには情報収集を名目に、僕のポケットマネーから特別手当というか、情報収集資金を出している。情報はある意味お金でもある。かなり多めの金額だが、僕はポッと出の皇族である。情報戦に長けていて悪いことはない。まあ、某新超空間航路のパテントやら、そのほかの物やら、で莫大なお金はある。でも、いちおう、あなた方をお金で買うようだがと、みんなに断りは入れた。最初は、非常に怒ったみんなだったが、僕の立場や、性格から受け入れてくれている。もちろん、諜報員ではないのだから無理はしないように、厳命してある。

 しかし、本当にありがたい。水穂さんも同じように、動いてもらう都合上、お金は渡している。ときどき、バチが当たると思うけど、そのお金で火遊びするとかしないのかなとか思うけど、さすが、柾木家の才女、真面目でまっとうな女性である。ちなみに、林檎様も実は同じように、お願いしていたりする。さすがに経理の鬼姫、ある意味瀬戸様以上だったりもしている。予算が動けば、林檎様の耳に入らないことはない。まあ、この程度のことは、皇族のたしなみよ、と水穂さんにはしっかり言われていた。

 「何か・・・、あるんでしょうね。その星域。雨木家以外、また樹雷以外の情報網にはひっかかってきませんか?」

水穂さんが首を振る。この人なら、GP系も手中にあるし・・・。

 「一樹様、今のところ、通常の通商産業ルートでは何も起こっていないようです。貿易商や、情報屋が何かつかんだ形跡はありません。」

黙っていたラノちゃんが口を開く、この子はシード文明の船のメインコンピューターだった子だ。鷲羽ちゃんから譲り受けているツールも多く、やる気なら天の川銀河の情報を一手に掴むことも出来るかも知れない。・・・さて、何があるのか楽しみだなって・・・。そう言う思考をしてしまう自分が怖い。

 

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