天地無用!~いつまでも少年の物語~。第2部   作:かずき屋

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ここ最近、Youtubeの怖い話系にはまってます(^^;;。

あれは実話なんでしょうか、それとも創作なんでしょうか・・・。

ホント、ゾッとする怖い話から、異世界ものまで・・・。

それに飽きたら、コズミックフロント「銀河の果て」とか、同「光速について」とか見ていたり(^^;;。

とりあえず、マイペースでの更新です(^^)。




樹雷から銀河へ26

「さすが、砂沙美とノイケね。樹雷収納術の極意を実践しているわ。え~と、材料は・・・。あら、美味しそうなナスビにキュウリ、このゴツゴツした野菜は・・・、ゴーヤとか言ってた苦みが強い野菜ね。うん、決まった。それじゃあ蘭ちゃん。」

そう言うと、めまぐるしく2人が動き出した。酔った目では追えない位速い。もともとノイケさんと砂沙美ちゃんが準備していた大皿の料理に加え、ゴーヤのきんぴら、ナスの味噌炒め、焼きなす、キュウリの酢の物(シラス&わかめ入り)がものの数分で並んだ。

 「・・・水穂さんや阿知花さん、菊乃さんに申し訳ないけど、瀬戸様って、超弩級の奥様ですね~。」

うわ、また地雷踏んでる、と言う目でイケメン2人に見られた。瀬戸様は、台拭きで、キッチンシンクの濡れたところをさっと拭き上げ、台拭きを洗い、水分を切ってさっと手近なところに掛けている。それに、割烹着って胸とか腰とか微妙に強調するのが、これまたセクシー。

 「わたくしも頑張ったんですけど。」

天木蘭さんも、そう言いながら空いた皿などの洗い物をさっと片付け、水分を拭きあげて収納している。

 「はい。すごいです。失礼なこと聞きますけど、天木蘭さんって独身?」

うふふ、と微笑し何も答えない天木蘭さんだった。

 「ま、ちょっとした実力行使ね。わたしと蘭ちゃんの。」

さらにいくつかのお皿とおにぎりを持ってきて、どんと僕の隣に座る瀬戸様だった。なぜか蘭さんも反対側に座る。謙吾さんと、籐吾さんが引きつった笑顔で場所を空けている。

 「山田商店のパック膳を大事に抱えている人は、おいといて、正木淑女会もお風呂で二次会やってますから、こちらもここで二次会を始めたいと思います。」

ここでも天地君が仕切って、さっと始める。そうか、おいとかれるのか~。と言うことは、なんか挨拶したりもなさそうな気がする。ああ、ありがたいホッとする・・・。

 「そこで、パック膳抱えて、ものすごくやっかいなことを引き寄せてばかりいる地球出身の樹雷皇族に何か言ってもらっても良いんじゃないかしら。」

若干目玉が爬虫類な瀬戸様がしれっとそんなことをのたまった。

 「それじゃあ、柾木・一樹・樹雷様に乾杯の音頭をお願いします。」

にぱっと明るくこれ以上はないほどの楽しそうな笑顔で、天地君はそう言った。

勝仁様の顔を見てもそっぽむくし、鷲羽ちゃんは我関せずな顔しているし、しょうがないので、よっこいしょ、と立ち上がって、

 「このたびは、様々なことが重なり、急な地球帰還となってしまったことをお詫び申し上げます。神木・瀬戸・樹雷様のおっしゃるとおり、今回は、私自身も大変な状態になり、数日前に近隣銀河の代表の方に申し開きをした次第であります。そのようなことが重なった状態ですので、私自身はこのような宴会の場に呼んでいただき誠にうれしい限りでございます。それでは長くなると料理も冷めますので、杯の準備はよろしいでしょうか?・・・乾杯!」

そう、誰にも何も言わせない乾杯のあいさつを一気に言って、その場に座った。かんぱ~い、とみんなが乾杯する。

 「一樹殿は、全く、どこでもこの調子よね・・・。」

瀬戸様がポツリと言った。なぜか、イケメンの2人から盛大なため息が聞こえる。

 「肝が据わってるのか、何なのかわかんないですけど、さすがに許容量過ぎると、意思の歯止めがきかなくなるようですけど。」

謙吾さんが、やれやれと言わんばかりにそう言う。

 「あの水穂様が、あれほど気持ちをあらわになさるなんて・・・。」

天地君の横に座った、天木蘭さんがぼそっとそう言う。

 「水穂ちゃんは・・・、もともと良い子になろうとしすぎるところがあったから、やっぱり一樹殿で良かったんだと思うわ・・・。私との通信で泣きじゃくるのは初めて見たしね。」

うわ~、なんかごめんなさい、ごめんなさい。と心の中で猛烈に謝る。勝仁様は黙ってお酒を飲んでいた。

 「霧恋ちゃんも大変そうだけどねえ・・・。」

鷲羽ちゃんがビールをクイッと空けながらそう言う。これ幸いと話題替えを・・・。

 「ええと、鷲羽ちゃん、あのチョウチンアンコウのような、というかチョコクロワッサンな敵も追いかけてくるでしょうし。傾向と対策をですね・・・。」

焦って身振り手振りまで入れて、場面転換を図ってみた。

 「まあ、酔ってしまわないうちに、燦葉香草の種の件を片付けておこうか。」

パチンッと指を鳴らす鷲羽ちゃん。キッチンと対面しているリビングだが、キッチンからすぐ物を出せるように大きく壁が抜けている。そこに、半透明の大型ディスプレイが出現する。

 「まず、GPの脱出ポッドに入っていたのは、夷隈教授で、私の恩師なのさ。」

お風呂で会った男性は、少し小柄でどっしりした感じ。GPアカデミーの正装だろうか襟元がきちっとしている服を着込んでいる。スッと立ち上がって一礼してくれた。

 「脱出ポッドに乗り込むまでの詳細は、さきほど私と神木・瀬戸・樹雷殿、平田兼光殿は聞いたのだが、その様子を再生しよう。」

鷲羽ちゃんが、もう一度指を鳴らすと大型ディスプレイで鷲羽ちゃんの研究室の一室で行った聞き取りの記録が再生された。鷲羽ちゃんが珍しく、お久しぶりですなんて言っていた。

 「お久しぶりです。夷隈教授。白眉鷲羽です。覚えておいでですか?」

もちろんじゃ!と大きく頷く夷隈教授だった。

 「こちらは、樹雷皇家、神木・瀬戸・樹雷殿。そして、神木家第七聖衛艦隊司令官の平田兼光殿です。」

宙に浮いた簡単なテーブルを前に、丸くみんな座っていた。夷隈教授は、鷲羽ちゃんから順に顔を見て、瀬戸様のところで怪訝そうな顔で、しばらく凝視していた。瀬戸様はスッと顔を伏せる。こりゃ失礼しました、知人に似ていたもので。と謝る夷隈教授。

 「それでは、説明します。その前に鷲羽君、すまないがポッドの中でわしが抱えておったと思うが、その品物を・・・。」

はい、分かりました。と鷲羽ちゃんは、小型モバイルコンピューターを思い出させるような、半透明の端末を出現させ操作する。すぐに、真ん中のテーブルに正六面体の角が取れた、ちょっと丸みを帯びたルービックキューブのようなものが転送されてきた。複雑な文様が刻まれていてその文様に沿って、うっすらと青白く光が走ったり、オレンジ色の光や赤い光、緑の光とランダムに色が変わりながら光が走っている。ぱっと見、何かの芸術作品のようにも見えた。

 「わしの調査船が破壊されてしもうたから、正確な位置は今では不明だ。あの日、わしは、天の川銀河のかなり辺境、りゅうこつ腕の外れに位置する星系の一つをライフワークの、シードを行った文明の遺跡調査対象に選び出かけたのだ。」

 「その星系は、割とポピュラーな成り立ちの星系だった。岩石惑星が内惑星として4個ほど恒星の周りを公転し、大きなガス惑星が3個内惑星系から離れたところを公転し、あとは氷を主成分とする小さめな惑星が公転しておった。星系内を探査したところ、ガス惑星の衛星と第3,第4惑星に遺跡らしき物があることが発見できた。確か、そのうちの第3惑星、第4惑星はその星系由来の生物の文明の痕跡だったようだった。というのも、シードを行った文明の特徴は無かったし、年代的に新しいものだったからな。しかも、第3,第4惑星は大戦争か何かでことごとく破壊されており、惑星は自転も止まり、大気はごく薄いものがあるだけだった。もちろん、知的生物は上空から見る限り確認できなんだ。とりあえず、その文明の探査は後回しにして、ガス惑星の衛星に向かった。その衛星上で発見したのは、我々と全く異質な文明と思える遺跡だった。そのガス惑星を公転する衛星は、大きさは周囲6000kmほど、内部はがらんどうで、外殻はカルシウムを主成分とする多層網目構造・・・。その外殻は凍り付いていたが、我々と良く似たタンパク質の干からびた物が貼り付いていた。さらに衛星としては非常に大きい。採取したそのタンパク質の残骸を様々な方法で探査したがDNAをはじめ、現存ずる生命との接点は全くなかった。これが何を意味するか分かるかね、鷲羽君。」

 「まさか・・・、あれは、あの話は異端の学説では?確証は無かったはずです!混沌とした生命体の力を束ねて恒星間を初めて跳んだというファースト文明・・・。」

鷲羽ちゃんが珍しく絶句していた。夷隈教授は教え子の的確な回答に微笑み、そのまま言葉を続ける。

 「ビッグ・バンの起源はともかく、それから十数億年後、第2世代の恒星、第3世代と恒星が世代を重ね、超新星爆発をいくつも重ねる内に、この宇宙には、より重い原子がばらまかれていった。そのなかで、我らが誕生する遙か前に、恒星間を跳んでいた種族、いや生命体か・・・。命の力そのものを恒星間を跳ぶエネルギーにする生命体だった。言い換えるなら、その生命体が構築する集合的無意識からエネルギーを汲み上げ、恒星間を跳ぶエネルギーなどに使っていたようだった。」

 そこまで言うと、夷隈教授は目を閉じ、ぺしぺしと禿げた頭を右手でたたいている。頭の中を整理しているようにみえる。

 「そうだ、あの衛星にしては大きな星は、その生命体の宇宙船と言うべきもの。それも最後のな。」

鷲羽ちゃんは、自分の端末をたたき自分の周りにウインドウを開いていく。端から見れば色とりどりの折っていない折り紙が開いて空中で浮遊しているようだった。

 「夷隈先生、人の深層心理や集団的無意識に関する研究は我々もかなり進んでいます。しかし、船を飛ばすようなエネルギーは・・・。」

 「いちおう、わしの推測じゃが、数十億個体レベルの知的生命体が存在し、何らかの方法で個体を融合・・・、その方法は、電脳空間へ意識を移し替え、世界をシミュレートするなどが一例じゃな、まあ、そんな方法で個体を長い時間掛け、さらに全体へと融合、アクセスしやすくなった集合的無意識とその生命体のアストラルの海からエネルギーを汲み上げたようじゃった。その作業は、この立方体の内部のアストラルを持ったAIとでも言うべきものが行っていたようだ。まあ、キーパーツなんじゃろな。ワシらが把握しているのがすべてでは無い、と言うことなんだろうのぉ。」

 「それでも、夷隈先生、いえ、夷隈教授。数十億年前の文明の遺産としても、劣化がほとんど無いように見えますが・・・。」

瀬戸様が口を挟んだ。そして、言い換えていた。これも珍しい。この人、餅は餅屋で、人にしゃべらせてその結果を包括的に判断する人だと思っていたけれど。瀬戸様の後ろで両手を後ろにして立っていた平田兼光さんが眉を動かした。わずかに口の端を上げる。

 「はて、神木・瀬戸・樹雷様とおっしゃいましたかな。以前にお目にかかったことがあったのでしょうか?先ほどから私の知っている者に、とてもよく似ていると気になっておりますが・・・。」

 「いえ、・・・口を挟んで申し訳なかったわ。」

 「いえいえ、こちらこそ。そう言えば鷲羽君、朱螺凪耶君は・・・?」

初めて聞く名前だった。夷隈教授は、あから・なじやと発音した。ぴくりと瀬戸様の眉がわずかに動いた。鷲羽ちゃんは、ちら、と瀬戸様と平田兼光さんを見て、すぐに視線を戻した。

 「・・・朱螺凪耶は、5000年ほど前に、ある遺跡発掘調査中に事故により行方不明となって、そのままと聞いておりますわ・・・。」

 「そうか・・・。凪耶君は、行方不明か・・・。時間というのは容赦がないな。鷲羽君と組んでいろいろやっていた後始末は大変だった・・・。わしの用意したアカデミーでの宿舎が合わないと丘の上に引っ越して牛馬の世話がてらアカデミーに通うわ、単身セキュリティを突破して世二我に乗り込むわ・・・。」

ちらりと、上目遣いで瀬戸様を見、そしてニカッと歯を見せて笑顔になる夷隈教授。瀬戸様は扇子でそっと口元を隠しわずかにうつむいた。

 「・・・わたし・・・わたしは、ひとつ・・・の部品ではありません。」

突然、テーブル上に置いていたルービックキューブのLED照明付きみたいなものから声がした。平田兼光さんが瞬時に腰の剣を抜き、キューブを撥ね除けようとする。その刀身の腹をスッと手のひらの甲で押さえる瀬戸様。平田兼光さんは、一礼して剣を収める。

 「あなた方の言語を・・・理解するのに時間がかかりました。わたしは、この第三次元宇宙に発生した最初の生命体の意思を受け継ぐAI、フェンリル。すべては個、個はすべて・・・。」

声は、どちらかというと男性の声に近い低さである。

 「しゃべることができるのかい?」

鷲羽ちゃんが驚いて聞いていた。夷隈教授を見ると両手の平を上にして、首をかしげている。どうも、話ができること自体を知らなかったらしい。

 「ええ、ようやく、あなた方の言語を理解し、言語発声器官を空気中のナノマシンを分けてもらって構築できました。」

 「フェンリルというのは、お前さんの名前かな。」

光の明滅が数秒あり返答があった。

 「ええそうです。この個体であるわたしではなく、役目を持ったもの全体をそう呼びます。」

なるほど、と腕組みをした夷隈教授が頷く。

 「朽ち果ててしまっていたあの星から、これを持ち出す際、2つの単語が読み取れた。このキューブ上の物体が安置されていた台座に文章らしき刻印があり、それを持ち帰ってかろうじて解読したのがフェンリルで、わずかに残ったエネルギーか何かで、壁が明滅していたのだが、その文字列がヨルムンガンドと読める単語だった・・・。フェンリルはおまえさんの名前だとして、ヨルムンガンドとは?」

数瞬の間、間が空いた。LED似た光の明滅が少し速くなる。

 「・・・わたしたちを食べるもの。という意味になります。」

 「あの、正体不明の船と、おまえさんたちは捕食・被捕食者の関係にあったのか・・・。」

夷隈教授が腕組みして考え込んでいる。鷲羽ちゃんは、半透明の端末を忙しく操作し、記録を取っているのか、解析か何かに忙しそうだった。しばらくしてフェンリルから補足説明があったが、あの円錐形というかチョココロネ型宇宙船は、自分たち生命体の天敵とも言うべき生命体で、安住の地を求めて飛び立ったフェンリルたちが外宇宙で出会ったようだった。

 意識体そのものを捕食し吸収、一度吸収すれば数千公転年(地球時間で1,2万年程度か)にわたって宇宙空間を航行できる存在らしい。もちろん、宇宙の尺度で数千公転年などほんの一瞬と言って良い時間である。生命体としての限界に来ていたフェンリルたちは母星からいくつかの個体に別れて飛び立ったが、ほとんどあの捕食者に食べられてしまい、ほとんど残っていないらしい。あまりにも異質で、話し合いなどができる存在ではなく、以降、逃げ回っていたようだった。

 「あのガス惑星の衛星軌道にとどまったのは、すでにほとんどの意識体部分を食べられて力を失って、衛星軌道に乗るのが精一杯だったのです。それに、わたし自身がアクティブな状態だと、アストラルの海のさざめきから感知されるので仮死状態に近いレベルまで意識を凍結していました。」

 「・・・ふふふ、こりゃ面白い・・・。話は長くなりそうだね・・・。夷隈先生、瀬戸殿、お腹すかないかい?ノイケ殿と、砂沙美ちゃんが料理を用意してくれているのと、ちょうど一樹殿も上の会議が終わった頃だろう、リビングに帰ろう。」

ニヤリと不敵な笑いを口元に浮かべる鷲羽ちゃん。若干夷隈教授が引き気味なのは、本能的な恐怖を感じ取ったせいかもしれない。瀬戸様は、テーブルに手をついたりせず、するりと立ち上がった。ここで、記録映像は終わった。

 

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