ううむ、わし、下手くそだからなぁ・・・。とか
ま、いいか自分が楽しめれば!の中で揺れうごいとります(^^;;;。
そんなこんなで、2年前?に投稿して放置しているお話もどうにかせねばと重い腰を上げています。
あと、大好きな宇宙戦艦ヤマトで短編書こうかな(^^;;;と。
「とりあえず、柾木家に帰還する。梅皇は月の裏側で待機。イツキ、分離後、不可視フィールド張って降下してくれ。」
本当にやっかい事引き込む人だね~。そうじゃのぉ。のんきな2人の樹の会話がイラッとする。ええ、ええ。どうせそうですよ~だ、とか心の中で思うと、さざめく笑いが2つ心に広がる。それに、ほんと、退屈しないわね、と呆れたように突っ込みを入れる梅皇。心に流れ込んでくる暖かな意思を感じていると、樹と話せて本当に幸せだなと思った。
「わたしも、あなた方のような関係を築くことができるのかな・・・。」
おずおずと言う感じで、そっとささやくように手元の皇家の樹の種が意思を伝えてきた。
「さあ、僕にはわかりません・・・。でも、あなたの長い命の間には、それこそたくさんの出会いがあるでしょう。僕の梅皇さんと、柚樹さんはマスターの死を経験されています。・・・また経験させるところだったのですがね。そして、あなたがマスターと言われる人を選ぶのですが、マスターができたなら目が回るほど忙しく、全力で宇宙を飛び回れるでしょう。今は、これから行く樹雷の皇家の樹の間でその日を夢見て大きくなっていただけるとうれしいです。」
と、心の中で思ったつもりが、口に出して言っていたらしい。籐吾さんや謙吾さん、水穂さんに阿知花さんが、僕を見てやれやれと言わんばかりの顔をしている。
「一瞬、また第1世代の皇家の樹のマスター確定かと思いましたが・・・。そんなことはないっすよね~。」
やっぱり、微妙に棒読みな謙吾さんである。
「いま保管してある、第2世代皇家の樹の種2個と、この第1世代の皇家の樹の種は、間違いなく皇家の樹の間に植えるつもりですだよ。まかり間違っても、謙吾さんに10kmの梅皇でもちょっと厳しかった敵もいたから、今度は全長100kmを超える大型戦闘艦なんて、オーダーはしないから。」
ぶんっと音がするように振り向いて、一瞬ギラリと目を光らせた謙吾さんだった。すぐにふっと力を抜き前に向き直る。
「ほとんど、銀河を渡る移民船ですね~。」
あっはっはっは、と乾いた笑いがイツキのブリッジ内に響き渡る。とりあえず、宴会の続きだ続き。さすがにやっかい事は御免被りたいのだ。梅皇は月の裏側に移動し、そっと着底したようだった。イツキは、大気圏内を静かに下降し、柾木家上空で停止。僕らを柾木家のウッドデッキに転送して、自分も小さくなって僕の肩に乗った。一年前に、美星さんとか言う人がずぶ濡れで、泣きながら張り付いていたサッシを開けて、ただいまぁ~と言ってみた。いちおう無事柾木家に帰り着いたことになる。柾木家にいるほとんどすべての人が、思い切り引いた表情だった。
「え~、いろいろありましたが、お騒がせしました。津名魅様のおかげで、この通り第1世代皇家の樹の種となりました。」
ほほぉ~~、とみんなが僕の手のひらをのぞき込んでいる。このクルミより一回り大きな種が超空間航行を可能にし、控えめに言って、天の川銀河の半分くらいを消し飛ばせるエネルギーを発することのできる、超高性能なコンピュータ兼エネルギージェネレーターだなんて、まあ、見てくれだけだと信じる人はいないだろう。
「・・・というわけで、第2世代の皇家の樹の種を僕らは持って帰るので、瀬戸様にこっちは持って帰って戴けると安全かなぁ、とか思うんですけど。」
そう言って瀬戸様に、籐吾さんが用意してくれた豪華な箱に入れた、皇家の樹の種をおずおずと差し出してみた。
「あら、第1世代の皇家の樹を樹雷皇にお渡しする栄誉をただでくれるって言うの?わたしは、あなたの手柄を取り上げた上司、みたいな役柄はごめんだわ。」
ここいら辺は、この人正々堂々としていたりする。腹黒く、深謀遠慮に長けた方だけどさすが、と思えたりもする。
「こちらとしては、瀬戸様にこの種たち全部引き渡して、地球の山田商店でお買い物したいのですが・・・。」
ぷっくくく、と謙吾さんたちから押し殺した笑いが出ている。
「樹雷の民全員を敵に回したいのならそうしなさいな。」
さらりっと事も無げに言い放つ瀬戸様である。
「それじゃあ、立木言申様の机に、こっそり種を置いて休暇突入ってのは・・・?」
「・・・父上の心臓が止まりますのでお止めください。」
即答したのは、竜木籐吾さん。竜木家に養子縁組して入っている。目が笑っていた。竜木言申様は、非常に繊細な考え方が出来る方である。しかし、その、ちょっと気質が細やかすぎる方でもある。
「結局、いろいろあったけど、いつもどおりってことですね。」
天地君がうまい具合にまとめてくれる。また、あっちこっちで杯を合わす音がしてみんなが飲み始めていた。ホッとしてパック膳開けて、もこもこと口に入れている。このエビフライ、結構太いなぁ。天ぷらのシシトウが美味しい、とか思いながら。もう一個は、イツキに時間凍結保存してもらった。今度は、適当に座ったので僕の右側には謙吾さんがいる。籐吾さんはその横。瀬戸様とは、意識的に離れて座った。熱くてでかい手が僕の膝に置かれる。それを感じて、隣を見ると真っ赤な顔をした謙吾さんがうつむいていたりする。僕の膝に載せている手の上から、手のひらをかぶせてみた。さらにまた赤くなるのが可愛い。
「くっ、そこの3人、なんか悔しいわ!」
瀬戸様が遠くで吠えている。まあまあ、一杯と平田兼光さんがお酒を注いでいた。僕も周りが結構呑んでいるので、聞こえないフリをしても良いだろう的な思いもある。そういえば、蒼穏の出来事があってから、4人に何もして(夜の営みって奴です、はい)いない・・・。
「とりあえず、これ終わったら梅皇に帰ろうか。」
つぶやくように言ってみる。
「・・・見境無く押し倒したいっす。」
謙吾さんも聞こえるか聞こえないような声でつぶやいた。
「茉莉さんいるじゃん・・・。」
「それはそれ、これはこれ、で・・・。」
こっち向いて、ニカッと笑う顔がたまらない。おっさん身体が持たないじょ、なんて思ってみる。ま、体力はあるけれど。テーブルの下でごっつい手同士でいちゃついていると、水穂さんが反対側に無理矢理入って座ってきた。コップをどん!と置いて、一升瓶からお酒をついでいる。こぼれんばかりに一杯になったら、そそっと僕の目の前に置いてくれた。
「わたしにだって、・・・分けてほしいですわ。」
「ぼかぁ、幸せだなぁ。」
「すぐ、そうやってはぐらかす・・・。」
そんなこんなで、いつもどおりどんちゃんやって、遅すぎない時間に、柾木家と田本家の2点間転送ルート使って、一度僕の自宅に行った。もちろん、いちおう、父母に顔見せして、ばたばたとオーディオ機器一式や道具やパーツなどをイツキの自室に持ち込んだ。
「今度ゆっくりと帰ってくるから!。」
この子は急に思いつきで行動するからねぇ・・・と母に呆れられ、近いうちに帰ってくるよと約束して、その夜はイツキから梅皇へ帰っていった。とりあえず、瀬戸様水鏡軟禁コースは回避した。
月の裏で梅皇とランデブーして、水鏡を待って、水鏡を抱えるようにリンクして、長距離超空間ジャンプに移行した。第1世代皇家の船である、梅皇なら新上位超空間航行を使わずとも樹雷まで16,7時間というところだろう。例によって、お風呂に入って、皆様のお相手して(このお相手には、雨木の開拓団の皆さんと今後のことを話し合うのも含まれている。おっさんは大変なのだ)、お腹すいたので、立木菊乃さんにおにぎり作ってもらったりしながら(水穂さん達はお酒のせいで寝ている)、樹雷到着3時間前が来た。
なんとなく、手持ち無沙汰になり、梅皇のコアユニットに行った。柚樹さんは、なんとなく恐れ多いそうで(第2世代皇家の樹ということか)珍しく、僕の部屋のベッドで丸くなっているそうだ。
「梅皇さん、今回もいろいろとご迷惑を・・・。」
キラキラキラと神経光がコアユニット内に反射しながら僕に届く。優しい樹の光だ。眉間を撫でるように光が動く。
「本当に、やっかい事ホイホイね。でも、わたしは楽しい。津名魅様にお目にかかれたし、しばらく話せなかった船穂とも話が出来たし、蒼穏やあなたが持っている種の新しい仲間も出来たわ。」
梅皇のブリッジ中心部に厳重に空間固定されている、あの種。第2世代が2つに、まさかの第1世代。確かに、今のところひとりぼっちにはさせていない。結果的に。
「皇家の樹の間に居た時よりもせわしないでしょう?」
「そうね、でも他の樹達が話している星の海にもう一度出られたことが嬉しいわ。」
ふわりと、イメージを伝えてくる梅皇。皇家の樹の間で世代が下の樹達が話しているのが羨ましかったらしい。樹として静かな生も嫌いでは無いが、広大な宇宙に人と共に飛び出すのもまた至上の喜びだそうだ。梅皇の名前の由来である、梅の花は良い香りを放ちまだたくさん咲いている。しかし、そろそろ花の時期は終わりだろう。実がなれば梅干しが出来る、のかなぁ。
「ほほほ、梅の実はたくさんはできないけれど、あなた方の口に入るくらいは大丈夫よ。」
「まさか、その梅の実をとっておいて種まきすれば、皇家の樹?」
とは、どうもならないらしい。花が咲き実がなるが、樹にまで成長することはまれだそうだ。発芽することもほとんど無く、ましてやいままで幼木にまでなったことは無いらしい。ころころころと笑う梅皇だった。ちょっと蓮っ葉な、ツンデレ風の性格と受け取っていたがよく話してみるとそうでもないようだ。
「樹雷皇阿主沙様が、皇家の樹をトップシークレットにしておくのもなんとなく良く分かります。」
「私たちの力は、あまりにも強いわ。その力を持って誤った使い方をすれば、恒星の1つや2つあっという間に消し去ることができる・・・。だから私たちはあなた方とまず契約した。そして、私たちが共にいたい存在を選ぶことにしたの。」
「混沌たる人の世、でも、まだマシということでしょうかね?」
そういうこと。梅皇はそう言うと小声で歌い始めた。イツキや水鏡、阿羅々樹も一緒に歌い始める。目をつぶると梅皇が見ている世界を見せてくれた。
「・・・ここにいらっしゃったのね。」
水穂さんと、阿知花さんが声をかけてくれた。歌を聴いていて眠ってしまったらしい。
「お昼は、いつかみたいにここでいただきますか?」
ああ、いいですね、それ。と返事した。ということはそろそろ樹雷到着かな。
「そうじゃなくても、ここに来るんだけどね。」
いつもの扇子を持った、瀬戸様が水穂さんたちの背後に立っていた。あまり気配が感じられない。
「あのぉ、樹雷では何が待っているのでしょう?」
はぐらかそうかと思ったが、正直に、率直に聞いてみた。
「いまだかつて、皇家の樹の種を樹雷に持ち帰ってきた者はいないわ・・・。樹雷で樹を賜ることそのものが儀式になっていることは知っているわよね。」
西南君の筆頭奥様(?)いや第1婦人(?)の霧恋さんから、樹選びの儀式があったと聞いている。
「ええい、もうぶっちゃけちゃうけど、皇家の樹の種がそうほいほい手に入るモノではないし、過去にそういうことがあったといえるのは、せいぜい西南殿が行方不明になっていた第3世代の皇家の樹の種を海賊に渡さないように樹雷へ運んでくれたことくらい・・・。完全に今回はイレギュラーなの。」
瀬戸様が本当に珍しく、こめかみを押さえて言葉を紡いでいた。
「阿主沙ちゃんと話をしたんだけど、発表することそのものもきわどいことかと・・・。」 「じゃ、やっぱり、こっそり皇家の樹の間に植えて・・・。地球での休暇ゲット!というわけで・・・。」
「闇から闇へ葬り去るのね。いかにも元からあったように皇家の樹の間に植えると。知っているのはわたしと、樹雷皇阿主沙ちゃんだけって・・・訳にはいかないでしょうね~。柾木家で派手に暴れてるし。」
そう言えば、蒼穏の話も・・・?って聞いたら、それも含めて、あなたが死にかけたことや、銀河代表者会議をした話は、樹雷で大変な話題になってるわ、ですと。
「それじゃ、こうしましょう。津名魅様に時間を戻してもらって・・・。」
「第1世代の樹と第2世代の樹を失うことはちょっともったいないわよね。」
口が耳まで裂けた爬虫類な目をして瀬戸様はのたまう。なるべく静かにそっと樹雷に帰り、残務整理をして(雨木開拓団とか、この種たちとか)、わーいわーい休暇だやっほーい、と言うわけにはどうにも行かないらしい。
「そう言うことで、まあ、あなたが逃げないように水穂ちゃん達に来てもらったのよ。」
おほほほほ、と引きつった笑いの瀬戸様。
「樹雷皇阿主沙様に、これ、蒼穏から預かった第2世代の樹の種と、津名魅様から託された第1世代の樹の種です!ハイどうぞ。って渡すだけじゃ・・・。」
返答は無く、水穂さんと阿知花さんは手のひらをパタパタ振って、瀬戸様は扇子で口元を隠してダメダメと表現している。
「まあ、とにかく、公表できる物だけ公表することになると思いますわ。なんらかの式典はあると思いますけどね。」
水穂さんが、瀬戸様の表情を伺いながらそう言った。よっと、梅皇の根元に座っていたところから立ち上がる。まあ、ね。こういうのが結局、皇族というモノだろう。それなりのお給金もいただいておりますし。働きましょう、と自分の中で結論づけた。
「それでは、樹雷到着までもう幾ばくもありませんね。瀬戸様、梅皇のブリッジに行きましょう。」
天木日亜モードから、天木辣按モードに変わって、瀬戸様の左手を取り膝をついて左手の甲に軽く口づけした。
「気合いが入って本気になったのはわかるけど・・・。あからさまね。うれしいのは否定しないわ。」
かすかに、笑顔を作ってからきびすを返し、歩く。瀬戸様たちが歩いてくる気配を感じつつ、転送フィールドに入り、各自ブリッジに転送されていく。
「樹雷の航宙管制と連絡を取れ。」
水鏡が梅皇からゆっくりと離れていった。元々先に帰る予定だったので先行してもらう。水穂さんが連絡を取り、ブリッジ正面に樹雷の管制官が現れる。整った顔立ちの人物である。もしかすると、AIの作る画像かも知れないし、専門のバイオロイドかも知れない。通り一辺倒のやりとりのあと、長旅お疲れ様でした。ポイント1070地点でジャンプアウトしてください、との指示が出る。樹雷からのビーコンも支障なくキャッチできているようだった。
「ジャンプアウト地点は樹雷星系外縁1070地点、恒星間航行速度から重力制動87。同時に、慣性制御システム協調制御。ジャンプアウト付近の超空間および通常空間異常なし。間もなくジャンプアウトします。」
籐吾さんの操縦で、優雅とも言える所作で船が動く。この大型艦をそのように動かせるのは、謙吾さんの制作技術と、籐吾さんの操艦技術の賜物だろう。一瞬わずかにディスプレイがフラッシュアウトし、通常空間に復帰した。樹雷星系の主星を遠くに見る位置である。ここから何もなければ、惑星間航行速度で2時間程度というところである。