天地無用!~いつまでも少年の物語~。第2部   作:かずき屋

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たまにゃぁ、ドンパチも書いてみたいお馬鹿さんです。

でも第三期の、あのリングワールドみたいな表現と、戦闘の描写・・・。あれ、ため息が出るほど美しいし悲しい・・・。

第4期発売直前ですねぇ。こっちはこっちでぶっ飛んでいきます(爆)。


樹雷から銀河へ8

 「・・・ほんとうに。伝説の哲学士、銀河随一の科学者の通り名は伊達じゃないですわね。」

口に手を当てて目を見開いている水穂さんだった。へええ、この人もびっくりすることもあるんだなぁ、とか思ってしまうのと同時に、可愛いらしく思える。

 「私たちにとっては、鷲羽様が柾木家で、当たり前のように生活されていらっしゃる姿こそ驚天動地以外の何者でもありませんけどね・・・。」

菊乃さんが、幹凪さんとディスプレイをのぞき込んで、二人して頷きあいながらそう言った。さすが伝説の哲学士・・・。またの名は銀河一の天才科学者・・・。銀河ではとてつもない有名人なんだろうな。樹雷皇家なら、柾木家のこともある程度知っていて当然だろうな。

 その夜は、そのまま何もなく更けていった。鷲羽ちゃんは、こっちには顔を出さずに帰ったのだろう。その三日後に梅皇は、第1275開拓星系の外苑部に到着した。もともとの視察の予定よりもわずかに早い。今回の表向きの目的は、皇族である柾木・一樹・樹雷の新開拓星系視察であるので、別段星系内に超光速ドライブから直接ジャンプアウトしても問題はない。実際、視察の予定航路は、内惑星系にジャンプアウト後、到着したことを通信し、雨木開拓団へ受け入れ体制を問い合わせ、第2惑星のラグランジュポイントへ移動する手はずだった。

 その直前に戦闘態勢をとって、なるべく静かにジャンプアウトしたのである。さらに、ジャンプアウト時のわずかな重力波や空間振動波もキャンセルしている。

 天木家には、もちろん出航前日に連絡済みである。公式には、雨木開拓団の救助要請と航海の安全を祈るとの形式的な返答だった。まあ、想定内ではあるな。開拓団に何か有事の出来事が起こっているのは確かなんだがな。

 「水穂さん、阿知花さん、周囲索敵及び情報収集お願いします。」

ブリッジの各所の席にみんな着席していて、ラノ・ヴォイス3という名前の宇宙船だったラノちゃんは僕の隣で専用席に腰掛けている。銀毛の柚樹ネコは、今はラノちゃんの膝の上である。

 「あなた、ステルス機能があるプローブを打つのはいかがかしら。」

そういえば、そのようなものも搭載されていた。確か短距離超空間ジャンプ機能付きだったと思う。

 「なるほど。・・・そうですね、今回の目的地の惑星は第2惑星ですから、あの巨大なガス惑星の近くにジャンプアウトさせて、内惑星系を探査しましょう。どうせ先方には分かってるだろうし。何か仕掛けてくるかもしれません。」

 「航空隊に偵察させましょうか?」

籐吾さんが、こちらに振り返って提案してくれる。短距離の超空間ジャンプ可能な戦闘機だからそれも可能だろうが・・・。

 「うん、ありがとう。・・・敵は、皇家の樹でも正体が分からない、何か得体の知れないものだ。まずは、プローブで様子を見よう。」

了解、といつもの口調で答えてくれる。

 1分もたたないうちに、阿知花さんの操作で探査プローブが十数機打ち出され、すぐに超空間に突入していく。

 「ナンバー1から18まで全機射出完了。予定通り、第1275開拓星系外苑部から超空間ジャンプしました。」

茉莉さんが淡々と告げる。そうしながらも両手はキーボードの上を滑るように動いている。

数分後、3/4光年ほどを超空間ジャンプした探査プローブは、第3巨大ガス惑星軌道上に予定通り実体化した。半分亜空間に隠れるようにして通常空間を移動するプローブである。実体化後、各々に搭載されたAIが自己判断し、各種情報をできる限り収集を開始する。今回は、映像情報や、生命反応などに重点を置く探査プローブである。

 「第3惑星軌道上近傍に、各探査プローブはジャンプアウトしたようです。」

阿知花さんからの報告である。事務的な声音だが、どことなく柔らかに聞こえるのは、阿知花さんのキャラである。探査プローブは、目標の第2惑星近傍を10本程度が目指し、それ以外は、第3惑星、第4惑星などを目指し探査を始めた。

 この1275開拓星系は、僕の出身星系の太陽系に比べて惑星の数が少ない。内惑星系はハビタブルゾーン内に、今回の目標の第2惑星だけ。第1惑星は太陽系の水星よりは大きいとはいえ、第2惑星よりも小さな星で、大気はなく、恒星に照らされる部分と、そうでない部分の温度差はかなり大きいようだ。第2惑星からだいぶ離れて、第3惑星がある。その軌道の間には、かなり大量の小惑星群やら、岩石のデブリやらがあるようだ。太陽系のそれよりもかなり多い。外からの観測ではそこまで分かっていた。

 第4惑星も大きなガス惑星である。岩石でできた惑星は、第1、第2惑星だけだった。恒星は太陽と同じG型で、表面温度は6000度程度。小型の恒星に分類される。

 「・・・う~ん、第2惑星と第3惑星間の距離が大きな点と、多すぎる小惑星群に違和感をかんじますね~。」

謙吾さんが、顔の下方から、梅皇機関系のエネルギーバランスを示すグラフィックの反射光を受けながらそう言った。

 「そうだなぁ・・・。まあ、星系の成り立ちも様々なものがあるんだろうし。それにしても、妙にデブリや小惑星が多いなぁ。」

そう、星系探査をしていた天木日亜の記憶もそう言っていた。かなり大きな小惑星も含まれているようで、太陽系の月クラスの大きさのものもあるようだった。さらに一部は、第3惑星の周囲に不透明な輪になって取り巻いていた。

 しばらく、そういった感じで静かな時間が過ぎていった。特に恒星が連星になっているわけでもなく、ブラックホールや中性子星などの超重力星のようなものが近くにあるとかでもなく、至極まっとうな、静かな星系だった。いままで、ほかの恒星間国家などが手をつけなかったのが不思議なくらいである。

 「一樹様、ただ今、第2プローブ信号ロストしました。・・・続いて、第4、第3、第1プローブも信号ロスト!」

茉莉さんが鋭くそう報告した。俄然梅皇メイン・ブリッジの雰囲気が引き締まる。

 「すべて、第2惑星衛星軌道近傍に到達してすぐです・・・。信号ロストまでの映像解析出ます。」

僕から見て、ブリッジ左にサブディスプレイが起動され、その様子が第1~第4までのプローブ映像および各種センサー類の表示に分割され、映し出された。

 「一樹様、プローブからの信号ですが、おかしいです。プローブがジャミングを受けたようでハッキリとした映像になっていません。今回射出したモノは、かなり高性能のプローブで、対電波、対重力波性能は優れています。樹雷でも装備している艦船は梅皇ほか数隻ですが・・・。」

謙吾さんが、頭をひねっている。

 「動振関知!何者かがジャンプアウトしてきます!」

水穂さんが鋭く言った。同時に僕はゾッとした予感めいたモノを感じた。即座にさらに星系外1光年ほどへ瞬間転移をかけた。製図はもちろん把握済み。視界の隅で左手の赤い宝玉がゆらりと揺らめくのが見えた。

 「現在位置把握してくれ。星系外1光年ほどに転移し・・・。」

その言葉が終わらないうちに、重くのしかかるような思念波が届く。殴られたような頭痛がする。さらに大質量を転移させた疲労感もひどい。

 「・・・ほほお・・・、小癪な。押しつぶしてやろうかと思ったのになぁ。」

同時に、緑炎・赤炎・白炎、樹沙羅儀の悲鳴が聞こえる。第三世代の皇家の樹だ。僕のイツキ(一樹)と柚樹、阿羅々樹は何かに耐えているようだった。話しかけても途切れ途切れに答えている。

 「梅皇、考え得る限りのシールド展開。最悪、緑炎・赤炎・白炎と樹沙羅儀に時間凍結フィールドを!」

いくつかのシールドが梅皇を包んだ気配がする。緑炎ほか第三世代の樹の悲鳴は弱まった。

 「ぐ・・・、なに、者かの干渉が、あります。気をつけて」

かろうじて籐吾さんが言葉を絞り出している。あとのみんなは一時気を失っているようだった。

 「・・・ほお、わしの思念波を受けて、まだ意識を保っているとはな。」

 「一樹、さっき私たちが居た座標に・・・。」

梅皇が珍しく緊張感をみなぎらせた声音で言葉を紡ごうとする。

 「・・・わかっている。あれは・・・、この星系の第2惑星だな?」

1光年強離れた位置に、ぼんやりと青い惑星があった。近くに恒星がないのに、なぜか発光しているように見える。

 「そう・・・、ね。第2惑星そのものが超空間ジャンプしてきたわ。第三世代の樹たちが、すんでの所で枯死するところだった。一挙にエネルギーを吸い取られたようね。今は時間凍結フィールドで包んでいるわ。敵は・・・、あ、再び超空間ジャンプイン。」

 「籐吾、小刻みにランダムジャンプしながら、最終、この船が耐えられる限界まで恒星の近くへジャンプアウトしてくれ。」

籐吾さんは、左手で頭をかきむしるようにつかんでいる。重い思念波はまだ続いている。

 「り、了解、超空間プログラムロード、ランダムジャンプ・・・。」

今度は、梅皇が超空間ジャンプする。小刻みに通常空間へ実体化しながら、この第1275星系の恒星、第1惑星よりも内側の軌道へ実体化した。G型恒星といっても、外は数千度である。

 「梅皇、光應翼展開。180度回頭。」

思念波はまだ続いているが、少し弱まっている。恒星を背にして、あの第2惑星を待つ。何者か分からないが、生物ならあまり近くには寄りたがらないだろう。第1世代艦である梅皇なら、樹雷特製の木材加工技術と梅皇からのエネルギー供給により、恒星上にだって降りられる。

 「梅皇、みんなを起こしてくれ、・・・そうだ、エネルギーを吸い取るのなら・・・、梅皇、この宝玉のリミッターを外してくれ。」

 「・・・何をなさるのです。」

籐吾さんが、こちらを向いて悲しそうな顔をする。ブリッジのみんなが、頭を振ったり、こめかみを押さえたりしながら目覚めていた。ラノちゃんと柚樹も目を覚ましたようだった。

 「第三世代の樹のエネルギーを吸い取るのなら、さらにでかいエネルギーを一瞬に受け取れば・・・?。」

 「・・・き、危険です。何が起こるか。」

謙吾さんも、こちらを向く。笑顔が印象深い人だけど、引き締まった顔は、怖いくらい美しい。

 「大丈夫だ。私にはみんなもいるし、樹もついる。籐吾、梅皇は任せた。謙吾、銀河間航行用メインリアクターへのエネルギー供給路を変更して外部へ放出できるかい?。」

ふと、表情が柔らかくなる謙吾さんだった。さすがにおっさんもあれだけみんなに詰め寄られれば独りで外に出ようとは思わないのだ。

 「例の銀河間航行用縮退リングの極性を反対にして、収束率を上げれば、この惑星系ごと、いえ、銀河の盾腕ごと消せますが・・・。」

意図を理解したようで、にやりと嫌な笑顔の謙吾さんである。ブリッジのみんなの表情もいつも通りに戻りつつあった。

 「・・・いやいや、収束率は上げなくていい。あの第2惑星全域に当たればそれでいいよ。」

そう言っている間に、左手が熱くなってくる。今回の梅皇のブリッジは、それこそ銀河間航行用メインリアクターへのエネルギー供給のため、僕の席の肘掛けはエネルギー充填回路と接続されている。

 「メインリアクターへのエネルギーライン開放。システムロック解除します。メインリアクターへエネルギー充填開始。一樹様お願いします。」

謙吾さんが、システムロックの解除などの手続きを始めた。

 「超長距離リープシステム起動。梅皇、柚樹、イツキもエネルギーを分けてくれ。」

そうゆっくりと言うと、一瞬、左腕を中心に青白い文様が浮かびあがり、もう一度腕に吸い込まれるように消えた。左手の甲に埋まってる赤い宝玉は輝きを増してきている。左に座っていたラノちゃんが、青白く発光し始める。

 「超長距離リープシステム継承者の意思を確認しました。システムロック・コードをダウンロードします。」

ラノちゃんは、静かにそう言うと目の色が変わり、ふわりと、立った状態でその場に浮遊した。

 柚樹は、トンッと、ラノちゃんの膝から降りて、僕の足下に歩いてきた。

 「一樹よ、先ほどの攻撃は、どことなく我ら皇家の樹の通信に似ておったぞ。ひょっとすると・・・。」

柚樹が、独り言のように言いかけたそのとき、

 「・・・なるほど、光應翼か。ふむ、我が恒星を背にしたようだが、事態は変わらんぞ?」

また、あの重い思念波に、頭をぶん殴られた。ブリッジのあちこちから苦悶の声が聞こえてくる。

 「・・・そうだ・・・、未完成だが、アストラル・シールド展開・・・。」

思い出した。鷲羽ちゃんの助けを借りて、謙吾さんと僕とで作っておいたアレ。

 「り、了解。起動します。」

謙吾さんが、失いかける意識を拾い上げるように、自前の腕輪をタブレットに変え、直接操作する。何度か、点滅している起動表示をタップし損ないながら、どうにかタップした。

 「・・・!」

みんなが驚いた顔をしている。そう、かなり楽になったのだ。即効性の頭痛薬が効いたそんな感じ。

 「よし、現在の第2惑星の位置は?そして、エネルギー充填状況は?」

いつまで持つか分からないのだ。あり合わせのパーツと、検証不足の理論で作ったモノである。

 一挙に、ブリッジの状況は好転し、所定の操作をそれぞれが倍速でこなす。第2惑星は、元の軌道に戻っていた。さすがに恒星の近くは苦手のようだ。

 「エネルギー充填は90%。超長距離リープシステム用縮退リングを形成します。」

一樹、準備はできたわ。いつでもいいわよ、と梅皇が応え、柚樹とイツキもOKの意志を伝えてきた。ちょうどそのとき、システム異常を伝える警報が鳴った。

 「小癪な。我が力に逆らえる者はない・・・。」

重い思念波が、嘲笑している様子で再びのしかかってくる。

 「一樹様、アストラルシールド装置が限界です。梅皇のシステムから切り離します。」

謙吾さんがそう怒鳴る。アストラルシールドを設置していた場所で小爆発を起こしていた。

 「わかった!。このまま強行する。縮退リングからエネルギー放射。対ショック防御態勢をとれ。」

ブリッジ内のみんなが手近なところにしがみつく。もちろん着座している席は変形して、身体を固定している。

 空間が波打ち、ねじ曲がるようなエネルギーが眼前の第2惑星に向かう。収束したビームのような物ではないので惑星を破壊はしないはず、だが、今までの、宝玉の暴走時の放射データから推測して、惑星の奥深くコアに到達し、反射して全表面に湧出するように働くはず。しかも今回は、皇家の樹のエネルギーまでプラスしている。このエネルギー量で破壊方向の武器に使えば、天の川銀河は、瞬時に消し飛ぶだろう。この方向だと、たぶんアンドロメダ銀河も無事ではない。

 「がっっ・・・!」

あの重い思念波が、苦しげな声を発して、一瞬にして途絶えた。

 「・・・アストラルシールド装置修復開始。超長距離リープシステムへのエネルギー供給停止。メインリアクター・・・、停止しません!」

 





パソコン、起動するとネットとか見て時間が終わったりするので、ポメラDM200導入(^^;;;。

パソコンのATOK単語登録とかともリンクするし(^^)。すぐ起動するし。小さいし。

結構使えてます。
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