自分だったらこうするんじゃないかなんて思って書いてみました。
一応原作は最後まで読んでいます。
因みに自分が書く呪文とか特地の言語はデタラメです。
特地第4偵察隊は特地の情報収集でワカ村という集落を訪れていた。
ワカ村は近くに川が流れており、漁や灌漑農業を行うなど他の村より少し技術が優れているようだ。こうした水資源のお陰で食糧や衛生状態が保たれ、飢餓や病気が少ないのだという。
隊員たちは村人と何やら話したり家や畑などをカメラで写真に収めたりしている隊員も居た。
「ねぇねぇ、何やってんの?」
一人の子供が隊員に駆け寄ってきた。
「この村の風景を写真に収めているんだよ」
片言ではあるが隊員の言ってる事は子供に伝わったらしい。
「それ知ってるよ、"すまほ"っていうんでしょ?」
「え!?」
隊員は心底驚いた表情をした。
「コレを知ってるのかい?」
隊員は手にしていたiPhoneを見せる。
「うん、カイトお兄ちゃんが持ってたんだ」
「カイト、お兄ちゃん?」
「そうだよ。あ、カイトお兄ちゃんだ!」
そう言ってある少年の元に走っていく子供。
隊員が見たのはこの世界ではある筈の無いワイシャツにネクタイという格好をした一人の少年の姿だった。
「クソ・・・何処だよここ」
「――――、――――!」
「――――――――!?」
「――――?」
変な服を着た人たちが俺の周りを囲んでいる。何か言っているがさっぱりわからない。
「あ、あの・・・ここは何処ですか?」
誰か日本語が理解できる人が居ないだろうか、帆斗はそんな希望を抱いていた。
「――――?」
「――――――――。」
しかし回りにいる人たちは首を振るばかり。彼の微かな希望は潰えてしまったようだ。
すると人混みを割って入るようにして一人の女性がやって来た。
「――――。」
女性は帆斗の頭に手を置いた。
「え?ちょっと、何!?」
そして女性の指示で周りの男達が手足を押さえた。力を入れてなんとか逃れようとするも体格が良い男が2人がかりで手足を押さえているのでびくともしない。
「Modessei sarumenia kono setigugadelios・・・」
女性がなにやら呪文のようなものを唱えだしたかと思うと激しい頭痛が帆斗の頭を襲った。
頭のなかを電気が流れているような感覚、頭を抑えようと手足を動かそうにも押さえられているため動かせない。
俺はコイツらに人体改造をされてしまうのか・・・帆斗はそう思った。
しばらくすると頭痛が収まり始める。
「――――のか?」
「――り苦しんでたぞ・・・」
「今はだいぶ落ち着いてきたみたいね」
意識がはっきりして来ると何故か彼らの話していることが解り始めたのだ。
「あれ・・・どうして?」
さっきまで全く分からない言語だったはずがそれが母国語であったかのように理解できる。しかもネイティブに発音している自覚があるのだ。
「苦しい思いをさせてしまって申し訳ない、ただ現段階ではこうする外なかったんだ」
そう言って女性が頭を下げた。年は20代だろうか、真っ赤な長髪に磁器のような真っ白な肌、メガネを掛けた彼女は知的な印象だ。
「どうして急にあなた達の言葉がわかるようになったんです?もしかしてさっきの頭痛と関係が?」
「あぁ、恐らくそうだろう、キミの頭のなかを弄らせて貰ったんだ」
サラッと恐ろしい事を言うもんだから帆斗はしばらく自分のされた事の重大さを理解するのに時間がかかった。
「はいぃ!?」
「簡単に言えばキミの脳の言語野を中心に魔法を掛けたんだ。成功してよかったよ」
人体改造と言うのはあながち間違っていなかったようだ。現に脳みそを弄られたのだから。
「魔法だって?」
魔法なんてまるでファンタジー小説のようだ。なんて思ったがそれ以外に今の現象を説明できなかった。
「そうだ。私の名前はリュウ・ローレ・サイード、職業は魔道師だ。キミの名前は?」
「橋立帆斗、高校生です」
「コウコウセイ・・・それは職業か何かか?」
「えぇ、まぁそう言われればそうですね・・・」
コウコウセイ?聞いたことあるか?とか。いや、初耳だ。とか聞こえてくる。どうやらこの土地の人間は高等学校というものを知らないようだ。
「カイト君、と言ったね?」
「あ、はい」
初老の男性に声を掛けられた。
「私はこのワカ村で村長をしておるラーダじゃ」
「あぁ、よろしくお願いします」
差し出された手を握り返す帆斗、どうやらこの土地にも握手という概念はあるようだ。
「ところでカイト君、キミは何処からやって来たのかい?」
「え?」
帆斗は返答に戸惑った。ここが何処だか分からない上に魔法が存在しているということはここは地球ではないかもしれない。
もし自分が魔法の召喚的な儀式でこの世界に連れてこられたのだとしたら・・・
小説でこんな目にあった主人公を帆斗は見たことがあった。まさかそれが自分になってしまうとは・・・
「日本という所からなんですが・・・」
「ニホン、知らない国だな」
やっぱりそうか。帆斗はなんとなく予想していた。小説でもそうだったからだ。
「帰る方法もわからないわけか」
「はい・・・」
帰ることが出来るなら一刻でも早く帰りたい、しかしどうして、どうやってここに連れて来られた分からない以上帰る方法も分からないのだ。
「私の家に泊まるといい、空き部屋もあるし豪華ではないが食事だって出せる」
周りの人が皆驚いた表情を見せた。
「いやでもリュウさん、彼はまだ10代ですよ・・・」
「構わないさ、それに彼がどうやってここに来たのか調べる必要がある。他に誰か匿ってやれるのか?」
皆が一斉に黙ってしまった。口ではそう言うものの自分達が帆斗を匿うのは遠慮したかったのだ。
「そういうことだ、少し汚いが気にしないでくれ」
「ありがとうございます、リュウさん」
こうして橋立帆斗の特地での暮らしが始まった。