少年、彼の地にて斯く暮らしたり   作:長財布

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久々の投稿で申し訳ないです・・・


自衛隊特地駐屯地

「なんだこれは・・・」

 

上空を通過した鉄の塊を見てリュウが驚嘆の声を上げる。無理も無いだろう。

 

帆斗も高機動車の側面に設けられた布のような窓から一瞬見ることが出来た。

 

「アパッチ・ロングボウ・・・」

 

陸上自衛隊が所有している攻撃ヘリ、AH-64Dアパッチ・ロングボウだ。ヘリまで持って来ているとは・・・

 

帆斗は体を起こして窓に近付く。

 

「コラ、起きちゃダメですよ」

 

日向一曹の制止を無視して窓から外を覗いた。轟音を上げて大地を這う鉄の土竜、さらに風車で空を飛ぶ方舟。

 

「74式戦車にチヌーク、コブラまで・・・」

 

「よくご存知ですね」

 

ハンドルを握る松島二曹がバックミラーを見ながら呟いた。

 

「家の近くに駐屯地があってよく行ってたんです」

 

松島は「あぁ、なるほどね」と言って前を向く。見えてきた陸上自衛隊アルヌス駐屯地を見て帆斗とリュウは驚愕した。

 

「私は少し前にこのあたりを通ったがその時はなにも無かったぞ・・・」

 

アルヌス駐屯地は周囲から襲ってくる敵に対処するために六芒星の形をしている。

 

中はプレハブ製と思われる建物が幾つもある。この中で装備やら何やらを管理しているのだろう。

 

ヤベェな、俺自衛隊の秘密に迫ってる気がするぞ・・・

 

帆斗は内心ドキドキであった。

 

程なくして高機動車は停止する。目の前には赤十字が描かれた建物、これが自衛隊の病院施設なのだろう。

 

「意識もはっきりしてきましたので治療をした後はすぐ仮設住宅に移ってもらっても大丈夫だと思います」

 

日向の言葉に隊長である坂出が頷く。

 

「後は病院の人に任せよう、俺は報告書を書かないといけないし」

 

やっぱ自衛隊って大変だよな・・・

 

帆斗は彼らのやり取りを見て思った。

 

 

 

 

 

自衛隊病院で傷口の縫合を終えた後、帆斗とリュウは仮設住宅へと向かった。

 

「私達以外にも住人がいるぞ」

 

仮設住宅の周りには老若男女様々なこちら側の世界の人が居た。聞いた所によると避難の際に炎竜に襲われ難民となった人達だという。

 

帆斗とリュウは別の部屋を割り振られた。まぁ仕方ないか。

 

中はシンプルだが生活できる最低限の設備はある。なによりコンセントがあるのはとても嬉しい。

 

隊員からiPhoneの充電器を借りて自分のiPhoneを充電する。

 

この辺りは電波も入るらしくインターネットに繋ぐことが出来た。

 

「半年ぶりのネットだな・・・」

 

ニュースサイトを見るとこれといってなにかが起こったわけではないようだ。国会議員の不祥事やマスコミの偏向報道など帆斗が特地に行く前と殆ど変わってない。

 

久々のネットに耽っているとドアを叩く音がした。

 

「何でしょう?」

 

外には迷彩柄の作業着を来た隊員が立っていた。

 

「あの、陸将がお呼びなのですがお時間はありますか?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「こちらに」と促され隊員について行く。

 

陸将も来てるなんて、特地って重要な所なんだな・・・

 

この駐屯地の中ではそこそこ豪華な部屋であろう応接室のような場所に案内された。

 

「初めまして、特地方面派遣部隊指揮官の狭間浩一郎です。よろしく」

 

「どうも、橋立帆斗です」

 

帆斗は差し出されたてを握り返す。

 

自衛隊のかなりエライ人と聞いて強面のゴツイ男と思っていたが実際会ってみるとそこら辺にいそうなおっさんだった。

 

「来て早々で悪いんだがキミに協力を仰ぎたいんだ」

 

「協力ですか?」

 

それを聞いて帆斗は内心ホッとしていた。自作のライフルについて咎められるのではないかと内心ヒヤヒヤであったのをなんとか隠していたのだ。

 

ちなみにあのライフルは4偵の隊長である坂出が預かっている。この駐屯地内は日本領であるため持たせるわけにはいかないとのことだ。

 

「実は君たち以外にも現地住民を保護していてね」

 

「あぁ、仮設住宅に居た人達ですね」

 

「そう、炎竜に襲われて親をなくしたり生活必需品を投棄せざるを得なくなった難民を保護したんだ」

 

「なるほど・・・」

 

「そこでキミには特地の現地住民の通訳をして欲しい」

 

「はぁ、通訳ですか」

 

「キミ以外に特地の言語に長けている日本人が居なくてね・・・」

 

確かにそうだ。俺はリュウから危なっかしい魔法でこっちの言葉をインプット(・ ・ ・ ・ ・)されたが隊員達はそうではない。

 

すこし見せてもらったが彼らは文庫本サイズの簡易翻訳本を持っておりそれを使ってなんとか意思疎通を図っていたのだ。

 

「分かりました」

 

「協力、感謝します。早速ですまないが彼の指示に従ってほしい」

 

そう言って狭間陸将が紹介された男性は周りと雰囲気が全く違っていた。

 

なんというか自衛隊の隊員っぽくない、なんというか・・・オタク?

 

「あ、どうも・・・第3偵察隊隊長の伊丹です。よろしく~」

 

なんとも気の抜けた自己紹介に帆斗は拍子抜けしてしまった。

 

 

 

 

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