少年、彼の地にて斯く暮らしたり   作:長財布

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とてもお久しぶりです・・・
間が空きまくってすみません


イタリカへ逆戻り

俺、橋立帆斗はイタリカでの戦闘を終え、本来の目的であった翼竜の鱗の売却を行っていた。

 

「こんな時にすみませんねぇ・・・」

 

「いえいえ、こんな時だからこそ大口の依頼が来て助かりましたよ」

 

イタリカで激しい戦闘の後、事後処理やら何やらで忙しいなか尋ねたことを詫びると商人、リュドーは笑って引き受けてくれた。

 

「それでは早速、こちらなんですがね・・・」

 

俺達は爪や鱗がぎっしりと詰まった袋をテーブルの上に置いた。

 

「翼竜の爪に鱗ですか、こんなに沢山どうやって?」

 

「近くに沢山翼竜の死骸が転がっている。地主に許可を貰ってそこから剥ぎ取ってきた」

 

レレイの説明にリュドーは納得したらしく袋から鱗を1枚1枚取り出す。

 

「なるほど、鑑定いたしますので暫くお待ち下さいね」

 

リュドーは鱗や爪を1枚1枚確認する。どれも手で丁寧に剥ぎ取ったものだ状態は決して悪くないと思うが。

 

やがてリュドーは椅子から立ち上がり、部屋の奥へと消えていった。しばらくするとジャラジャラと音を立てながら戻ってきた。袋の中は言うまでもなく現金だろう。

 

「お待たせしました。こちらがシンク金貨200枚、ナデリ銀貨4000枚については1000枚は現金で・・・」

 

ある程度は予想していたがいざこうやって並べられるとすげぇな。

 

日本で売ったら幾らになるんだろうか・・・

 

「最近はこんな情勢で貨幣が不足しておりまして、残り3000の内2000は為替で」

 

この世界にも為替ってあるのか、初めて知った。というか為替なんて向こうで生きてたら殆ど関わることなんて無かっただろうな。

 

「わかったリュドーさん、では1000枚分割り引く代わりに仕事を依頼したい」

 

「どのような?」

 

レレイの要求は情報の収集であった。1000枚の銀貨で情報を購入するというわけである。

 

さすがだなぁ・・・

 

俺が感心している内に交渉はトントンと進んでいき、重たい現金の袋を自衛隊の人達に手伝ってもらい高機動車に詰め込んでイタリカを後にした。

 

「これ、全部金ですか・・・」

 

黒川2等陸曹は金貨銀貨が詰められた袋を見て驚きの声を上げた。

 

「すっごい重いんですよねぇ、紙幣とかあればいいのに・・・」

 

「まぁ、紙幣って国の信頼の証みたいなものですから。こういった場所ではやはり金本位制の方が危険が無いんですよ」

 

黒川の説明に俺は納得した。

 

「たしかに・・・そうですよねぇ」

 

突然、俺が乗っていた高機動車がゆっくりと停車した。前を見ると先行する73式小型トラックの横に馬が群がっている。そして掲げられていた旗章は―――

 

「例の騎士団って奴ですな、馬の割にはかなり早く来ましたね・・・」

 

騎士団の一人と73式の運転手が一言二言話した後、騎士団はこちらにランスを向けた。

 

マズイ、協定がある今戦闘に発展させる訳にはいかない。

 

「意思疎通が上手く行かなかったんでしょう、通訳してきます!」

 

「あっ、待て!」

 

伊丹の制止を無視して俺は後ろの扉から高機動車を降りて車列の前へ向かった。

 

「あの~、何か誤解してるんじゃないでしょうか?」

 

「貴様も異世界の軍隊の仲間か!?」

 

金髪縦ロールの騎士が俺の方を向く、今にも剣を抜かんとする剣幕で俺の尋ねた。

 

だが俺は大丈夫だと確信していた。武器は年齢・・・

 

「自分は17です。軍役につける年齢ではありません」

 

この騎士団は皇帝直属ではなく皇太女の騎士団、民間人に手出しすると皇太女の立場が危うくなってしまう、迂闊に手が出せない筈だ。

 

「確かに・・・」

 

何とか納得してくれたようだ。だが状況は相変わらず悪いままだ。

 

俺の口からきちんと説明すれば、協定のこともあるし分かってくれるだろう。

 

「あのですねぇ、私たちは――――」

 

「あの~部下が何か失礼でも?」

 

伊丹がやって来た。 すると騎士の一人が伊丹に剣を向けた。

 

最悪だ、ここで伊丹に手を出すとすべてが終わりだ。背中に背負っている銃で威嚇したいが協定がある以上何も出来ない。

 

「あの、話せば分かりますから」

 

「聞く耳は持たぬ!」

 

団長と思しき縦ロールの彼女は騎士との押し問答に嫌気が差したのか伊丹に歩み寄り、そして・・・

 

バシッ!

 

伊丹にビンタしたのだ。

 

「伊丹さん!」

 

伊丹に駆け寄ろうとした時、俺の首筋にランスの先端が当たった。

 

「貴様、たしかに兵隊では無いようだがこれ以上の行動は敵対行為とみなすぞ!」

 

「クソッ!」

 

俺は女騎士を睨む。

 

終わったな、色々と・・・

 

軽装甲機動車のルーフに据えられた12.7ミリ重機関銃M2が騎士団の方へ向ける。それを必至に桑原が止める。

 

「逃げろ!」

 

伊丹が叫んだ。

 

「今は逃げるんだ!行け!!」

 

一斉に車列が動く街道を外れて3台は遠ざかっていく。

 

スキール音とエンジン音に驚いた馬が興奮している。騎士団はそれを必至に宥めていた。

 

さて、その矛先は・・・

 

勿論伊丹に向いた。

 

はい・・・俺達、イタリカに逆戻りです。

 

騎士達は伊丹を縄で縛って拘束する。

 

「貴様も同行してもらう、イタリカでこってり絞ってやるからな!」

 

俺にも縄が掛けられる。手足を縛られて乱暴に馬へと乗せられた。

 

「いってぇな!お前ら、こんな事をして皇太女が許すと思うなよ!」

 

負け惜しみとも取れる俺の言葉に女騎士は鼻で笑った。

 

「フン、ピニャ様にぃ?褒められることはあれどどうして罰せられるのだ」

 

その言葉・・・覚えとけよ。

 

宮殿に到着すると出てきたメイド達はとても驚いていた。無理もないだろう、先程までの英雄が変わり果てた姿で戻ってきたのだから、特に伊丹・・・

 

ピニャの元へ通されると俺達を見た彼女の顔ときたら、怒りとか焦りやらでもう、ね・・・

 

「き、貴様らは・・・」

 

震える手で盃を手に取り―――

 

「なんてことをしてくれたんだ!」

 

騎士団団長、ボーゼスに盃を投げた。盃は彼女の額にクリーンヒットし、額から一筋の血が流れる。

 

それ以上にダメージを負ったのは彼女の心だろう。

 

敵司令官を捕まえたと言って意気揚々とピニャに見せたらすごい剣幕で盃を投げられたのだからな。

 

「あの、すみません。これ解いてくれますか?」

 

「はっ、はい!今すぐに!!」

 

メイドの一人が縄をナイフで切ってくれた。そのまま俺は床に仰向けになった。あぁ、体の自由が利くって素晴らしいな・・・

 

その行為が重症であると思われたのか、ピニャは意識があるのか無いのか微妙な伊丹と俺を交互に見て両手で顔を覆った。

 

「メイド長・・・」

 

「かしこまりました」

 

伊丹にメイドが駆け寄り体を支えながら立ち上がらせる、俺は別になんともないので駆け寄るメイド達に断って自力で立ち上がった。

 

「こちらへ」と促され俺達は部屋を後にする。去り際に例の女騎士の方を見る。

 

なんともバツの悪そうな表情をしていた。ただの戯言だとバカにしていたらその通りになったんだからな。

 

ベッドに寝るように言われ、言われたとおり横になる。

 

「お怪我はございませんか?」

 

「大丈夫ですんで・・・ホントに」

 

大丈夫じゃないのは伊丹の方だろうな。

 

メイドの中には人間以外にもウサギやらネコの耳が生えたメイドも居る。さすが異世界だ。

 

「御用の際はなんなりと申し付けください」

 

数人(匹?)のメイドが一斉に俺に頭を下げた。すげぇ・・・

 

「あの・・・」

 

「何でしょうか?」

 

「腹減ったんですが、ご飯あります?」

 

「かしこまりました。すぐに作らせますので暫くお待ち下さい」

 

メイドが数人出ていった。そして残ったネコ耳のメイドに・・・

 

「あの・・・」

 

「何でしょうかニャ?」

 

「その耳は本物ですか?」

 

「本物ですニャ、触ってみますかニャ?」

 

マジで・・・

 

ネコ耳(本物)メイドのテラさんは俺の横に座って頭をこちらに持ってくる。

 

そして恐る恐る人差し指で―――

 

ツン・・・

 

「マジでネコの耳だ」

 

小さいときに家で飼っていたネコと同じ耳の感触だった。

 

摘んだり軽く引っ張ってみたり・・・間違いなく本物だコレ。

 

ってことは

 

ウチのネコは耳の付け根あたりをカリカリしてあげるととても喜んでいた。ってことはテラさんも?

 

カリカリカリカリ・・・

 

「ニャぁん・・・くすぐったいですニャぁ。それになんだかとても気持ちいいニャ・・・」

 

目がトロンとしてきた。やっぱり普通の猫と同じなのか。

 

首筋やらアゴやらを撫でると喉を鳴らしながら気持ちよさそうにしていた。

 

戯れはご飯を持ってきたメイドに注意されるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

何やってんだ俺・・・

 

 

 

 

 

 

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