願いの世界   作:坂田 信長

10 / 24
10話目です。ぜひ読んでください!


様々な死

10

    今現在、この『願いの世界』には百人を超える人がいるという。

    あの後、俺は何とか絶望から抜け出し、旅を続ける事にした。

    しかし、俺が経験したこの様な出来事の他に、これよりも更に酷い方法で死を遂げた人もいる。聞いた話では、ある男女が宿で軽い言い争いになり、次第にエスカレートしていき、その口喧嘩は殺し合いに発展してしまった。結果、その男女は二人共亡くなったという。モンスターではなく、自らの手で死んでしまったのだ。

    また、これも聞いた話なのだが、剣を狙った殺人も起きたという。剣の数が多い程クリアが楽になると勘付いた大男が、一人の女性に斬りかかり、その女性から剣を無理矢理奪った。女性は命を落とし、その恋人が大男に怒りの矛先を向けたが、二本の剣を持つ大男にズタズタにされ亡くなったという。その話を聞いた後で、俺は二本の剣を所持している大男をみかけた。何もしなかったが、俺は大男を鋭い目で睨んでやった。

    それだけではない。これは俺が実際にその場に居合わせた時の事だ。宿で眠っていると、下から突然物凄い炎が見えた。驚いて下に行ってみると、ロビーで火災が起きていた。

    俺は何とか脱出できたが、この火災により少なくとも五人の人が命を落とした。火災原因は調理ではない。大学生位の男子三人が、火遊びをしていたのだ。その火が布に燃え移り、あっと言う間に大規模な火災へと発展していった。死者の中には男子大学生三人もいたが、その他に関係のない人物が二、三人も含まれていた。

    この様な死亡例は他にもたくさんあるが、もちろんモンスターとの戦闘で命を落とした者の方が桁違いに多い。最後の城まで辿り着いた人々がいるとも聞いたが、その人達は、城の中で蠢くモンスターにやられてしまった。結果的に全滅してしまったという。

    この世界では、グループでゴールまで辿り着けば、その全員の願いが叶えられる。それ故に、大勢で挑む者も多いのだ。

    もちろん、グラー・ロッガーの様なモンスターにやられる人も少なくない。最近では、あのジャイアント・キング・ベアーに殺された人がいるという情報も耳にした。この様に、モンスターとの戦闘は、毎回が命懸けなのだ。

    以上の話から分かる様に、この世界で生き残る事は、本当に容易ではないのだ。いつ死んでもおかしくない。そういった恐怖が、常にまとわり付いている。

    あれから三ヶ月。俺は今、城のある前の町、スリースにいる。

 




読んでくださり、ありがとうございます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。