12
スリースの街に入り、俺たちはとりあえず、宿を探した。もうそろそろ夜になるし、先程の戦闘もあり、とても疲れていたからだ。
「だいぶ暗くなってきたし、疲れたし、今日はもう部屋で休むかな。」
部屋の前で、俺はそう言う。
「そうね。今日はもう寝よう」
里奈も頷く。
「ねぇ、優君。一緒に寝ない?」
里奈が突然そう言う。
「え⁉︎一緒に⁉︎え、えーと……その、ほら!修学旅行とかでも、男女って別々の部屋で寝るもんだろ?だから、こういう場でも……」
俺はなぜかは分からないが、言葉が震えている。女性に『一緒に寝ない?』なんて言われた事はなかったからか?俺が慌てふためいていると、里奈は、
「フフッ、冗談よ!冗談!」
と、少しいたずらっぽい表情で言う。冗談かよー‼︎俺はホッとしたのと同時に、なぜか少し後悔していた。
「なら、おやすみ。」
俺はそう言い、部屋に入ろうとする。すると、里奈が俺の腕を掴む。
「ん?里奈さん、どうかした?」
俺は後ろを振り向く。里奈の表情は先程と違い、とても真剣だった。
「……私、あの時、本当に死んじゃうかと思った。もう、『あの子』を救えないかと思った。だから、優君が助けに来てくれて、とても嬉しかった。さっきは照れくさくて言えなかったけど、本当にありがとう」
その目には、涙が浮かんでいる。
「里奈さん……気にすんなよ!」
俺はそう言った。すると里奈は、今の会話の中で俺が疑問に思った事を、自分から話し始めた。
「私、蓮太っていう弟がいるの。今十歳で、私とは八つも離れてるけどね。でも、蓮太は今、重い病気にかかってて、余命宣告まで受けたの。」
「え……それって、あとどのくらいなの?」
俺は里奈に問う。里奈は続ける。
「私がこの世界に来た時に、あと五ヶ月だった。だから、もうあと二ヶ月もないの。」
里奈の声は、とても辛そうだ。
「ごめんね。いきなりこんな話して。」
里奈は涙を拭う。すると、なぜか俺も口を開けていた。
「里奈さんが話してくれたんだ。俺も、話さなきゃな。」
俺は、この世界に来た理由を里奈に話す。そう。足が動かなくなった姉、明里の足を取り戻すために、俺はこの世界に来たんだ。そして、ゴールの城は、もうすぐそこだ。
「そう、お姉さんの……優君って、優しいのね。」
里奈は俺に微笑みかける。どちらも、『家族を救うため』という共通点がある。俺達は、心が通じ合えた気がした。
「さてと、寝るかな。なら、お休み。」
俺はそう言い、部屋に入る。里奈も部屋に入っていく。とても疲れていたせいか、俺はすぐに寝込んでしまった。
ーー何時間経ったのだろう。とても暗い。部屋の中にある時計を見る。深夜の二時十六分。俺が眠りについて、六時間以上が経過していた。
俺は立ち上がり、軽く背伸びをする。そして再びベッドに横たわり、目を閉じる。眠りにつこうとしたその時。突然ドアの方から物凄い音がした。まるで何か鋭い物が突き刺さった様な音。突き刺さった⁉︎まさか……!
俺は急いで電気をつける。見ると、ドアから剣が突き出ている。
「な、何だ⁉︎」
俺は思わず叫ぶ。次第にドアには穴が開いていき、一人の男が入ってくる。体がデカイ大男。所持している剣は二本。この姿には見覚えがある。噂で耳にした、女性を殺し、剣を奪った挙句、その恋人まで殺したという殺人鬼。そして俺が見かけた二刀流の大男。その男にそっくりだ。
「グフフ……やっと見つけたぜ、クソガキ‼︎ズタズタに切り裂いて殺してやる‼︎」
男はそう言い、二本の剣を構える。そして、俺の方に向かって来る。俺はすかさず剣を抜く。この男はあの殺人鬼なのか?それとも別人?男は叫ぶ。
「とっとと死にやがれ!クソガキ‼︎」
読んでくださり、ありがとうございます!