願いの世界   作:坂田 信長

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続きです。ぜひ読んでください!


キメラ

14

    スリースの街を出て、俺達は最後の街、ユレナを目指す。あの大男との戦いで俺が負った傷は、まだ完治していない。だが、里奈の弟、蓮太の余命まであと二ヶ月もない。休んでいる暇はなかった。

「おい、お前達!ワイルド・ガルの群れがこっちに向かって来るぞ‼︎」

    突然敦が叫ぶ。見ると、前方からライオン型モンスターのワイルド・ガルが五匹、こちらに向かって来ている。逃げようとするが、後ろからはオオカミ型モンスターのスロウ・ウルフの群れが突進して来ている。

「どうやら、戦うしかないみたいだな!」

    俺は剣を抜く。俺に続いて里奈と敦も剣を抜く。

「よし、行くか‼︎」

    敦の掛け声で、俺達はモンスターに斬りかかる。ワイルド・ガルはとても素早い。しかし俺達は、それにも増す素早さで攻撃を繰り出す。

「敦!後ろ!」

    俺の声を聞き、敦は振り向く。見ると、スロウ・ウルフが二匹、敦に飛びかかっている。

「これでも喰らえ‼︎」

    俺は高く飛び上がり、スロウ・ウルフに剣を叩きつける。そのまま着地し、もう一匹は横に切り裂く。二匹とも倒せたが、傷を負っている体にはダメージが大きい。俺は腹部を抑えながら座り込む。そんな俺を狙い、ワイルド・ガルが突進してくる。

「とりゃっ‼︎」

    そのモンスターは、里奈が倒してくれた。

「優君、無理しないで!今は体を治す事を優先させて!」

    里奈はそう言い、再び戦闘に戻る。だが、まだモンスターの数は多く、とてもじゃないが、二人で倒すのには時間がかかる。俺は立ち上がり、剣を構える。

「里奈さん、ごめん!やっぱ俺も戦うよ!こんな傷で休んでる様じゃ、城の中で待ち受けてる大ボスには勝てないだろうしね!」

    里奈は苦笑いをし、無理しないでよ!と言った。

    数分が経ち、モンスターの数もだいぶ減ってきた。そろそろ決めるぞ!と敦が叫ぶ。すると、生き残ったワイルド・ガルとスロウ・ウルフが一箇所に集まり出した。俺達はそれを呆然と眺めている。なんと驚く事に、集まったモンスター達は融合を始めたのだ。

「な、なにぃー⁉︎」

    俺達は同時に叫ぶ。目の前には、ライオンとオオカミが合わさった様な巨大なモンスターが立っている。

「な、何だよこいつ!合体したぞ⁉︎」

    俺は冷や汗を拭いながら叫ぶ。

「……キメラだ!」

    敦は乾いた唾を飲み込み、そう呟く。

「二体以上のモンスターが合わさって誕生したモンスターの総称だ!キメラは通常のモンスターよりも強い!しかもあいつは、キメラでありながらあのデカさだ!」

「簡単には倒せないって事ね!」

    敦の言葉に続き、里奈が言う。キメラ……。漫画などでよく見聞きする語句だが、まさかこの『願いの世界』で戦う事になるとは。だが、ここで引き下がるわけにはいかない。

「勝とう!今の俺達なら絶対に倒せる!」

    俺の言葉に、二人も頷く。俺はキメラに剣を向け、懐に突っ込んで行く。だが、キメラの体長は十メートルはある。ジャンプしてもようやく腰の位置に届く程度だ。それに加え、俺は腹部をケガしている。今の俺では、腰の位置に届くかどうかさえ危うい。

    しかし、そんな事を言い訳にしていては、こいつには勝てない。多少の無理をしてでも、こいつを倒さなければ。

「ぐっ……この!頼む!届いてくれ‼︎」

    傷口を気にしながらも、俺は思い切りジャンプする。いった!俺の剣は、キメラの懐に命中した。だが、懐に剣を突き刺すだけでは、キメラには何のダメージも与えられない。俺はキメラに叩き落とされてしまった。

「優君!」

    里奈が俺の所に駆け寄る。傷口は無事だが、背中を強く強打してしまった。

「里奈さん!俺の事はいいから、早く奴を倒すんだ!」

    里奈は心配そうな目で俺を見るが、すぐに戦闘に戻る。敦と協力しながら攻撃を繰り出すが、キメラには全く敵わない。二人も地面に叩きつけられてしまった。

「つ、強い!強すぎる‼︎」

    敦は腕を抑えながら喚く。里奈も悔しそうな目でキメラを睨む。キメラは俺達を踏み潰そうと思い切り足を上げる。死ぬのか?俺達全員、こんな所で?そうなれば、明里との約束は?

「く……くっそー‼︎‼︎」

    俺は拳を地面に叩きつける。潰されるーー。

    ……目を開く。俺は、死んでない?里奈と敦も生きている。俺は前を見る。何と、キメラが倒れている。しかも、その巨体は次第に透明になっていく。

「……な⁉︎」

    俺はあんぐりと口を開く。その直後、キメラは消え去った。キメラのいた所には砂煙が発生しており、その砂煙の中から一人の少年が現れる。

「あんたら、大丈夫か⁉︎」

    その少年は、俺達の所に駆け寄り、そう声をかけてくる。俺達は呆然と、その少年を見つめる。この少年、一体何者だ?

 




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