17
朝七時半。俺達は今、城の門の前に立っている。いよいよ、俺達の最後の戦いが迫っている。
「いよいよだな……よっしゃ!張り切って行こうぜ‼︎」
直樹が気合を入れる。大平と一郎も拳を挙げる。
城に入る。中は壁と床、それだけではない。天井や階段までもが大理石でできている。まるで、古代遺跡にでも来ている様な気分だ。
「うわ〜!キレイ‼︎」
里奈が目を輝かせる。その時。俺はある異変に気付く。
「里奈さん!危ない‼︎」
俺は思い切り里奈を突き飛ばす。
「ど、どうしたの⁉︎優君‼︎」
前に倒れた里奈は、後ろを向く。それを見た瞬間、里奈の表情が変わる。一同も息を飲んだ。
何と、飾り物だと思っていた騎士が、突然動き出し、里奈に攻撃しようとしたのだ。それも一体だけではない。少なくとも十体はいる。
「なる程。歓迎パーティーってか?」
一郎はそう言い剣を抜く。俺達も剣を抜き、戦闘態勢に入る。すると、騎士達は一斉に襲いかかってきた。
「行くぞ‼︎」
大平が叫ぶ。他の人も一斉に騎士達に向かっていく。剣を体に突き刺そうとするが、鎧が頑丈で貫けない。
「くそっ!鎧が硬くて倒せんぞ‼︎」
大平が喚く。一体どうやって倒せばいいんだ?誰もが悩み始めたその時。
「とりゃっ!おりゃっ!」
ノアが一気に、二体の騎士を倒した。
「騎士の鎧をよく見て!わずかだけど隙間がある!そこを突けば、簡単に倒せるよ‼︎」
俺も目を凝らして騎士の鎧を見る。つばぜり合いになりながらも、必死に。そしてーー。
「あ、あった!」
ようやく見つける事ができた。
「喰らえー‼︎」
剣は見事に鎧の隙間を貫通し、騎士は鎧もろとも消え去っていく。俺はガッツポーズをする。
「優!危ねぇ‼︎」
一郎の声だ。俺は振り向く。二体の騎士が俺に襲いかかって来ていた。俺は剣を構える。たが、動きが間に合わない。
「せやっ!」
「おりゃっ!」
里奈と敦がその二体を倒してくれた。
「いつも悪いな、二人共!」
俺が礼を言う。しかし二人は、
「気にすんな!助け合うのは当たり前だろ‼︎」
「全力で支え合いましょう!」
そう言ってくれた。
やはり最後のフィールドのためか、敵はとても強い。だが、俺達が強くなっているのも確かだ。この騎士モンスターとやり合える程までに強くなっている。
「これで、終わりだー‼︎」
敦の最後の一撃が決まり、騎士モンスターは全滅した。一同は喜びの声を上げる。しかし、ここはまだ城の入り口だ。これから先、どんなモンスターが待ち構えているかは分からない。
「あそこに階段がある!クリアするにはきっと、この城の最上階に辿り着く必要があるだろ。ここからがいよいよ本番だ!気を引き締めて行こう!」
ノアの言葉に、俺達は頷く。そうだ。最上階にあるはずだ。願いを叶えてくれる場所が。明里が待っている、現実世界への道が。
階段を上がり、俺達は二階に到達した。二階は長い廊下が広がっており、部屋も何もない。
「なる程。これなら、モンスターに襲われても絶対に逃げる事ができない。戦うしかないって事か!」
確かにそうだ。 廊下は横幅の広さもあるが、モンスターが大群で攻めて来るとしたら、とてもじゃないが逃げられそうにない。
そんな事を考えながら、俺達は先に進む。と、その時だった。
「う……うわぁー‼︎‼︎」
叫び声が聞こえる。俺達は一斉に後ろを振り返る。何と、一郎が何かに背中を切り裂かれている。死んではいないが、重症だ。
「い、一郎‼︎どうした⁉︎何があった⁉︎」
「わ……分からねぇ!突然何かが、後ろから切りかかってきて……ブハァ‼︎」
大平の問いに、何かを言おうとするが血を吐き出してしまう。
「もういい!何も喋るな!」
俺達は辺りを見回す。しかし、何もない。まさかトラップか⁉︎いや、そんな物は何も見当たらない。一郎が切り裂かれた所にも何もない。まるで、サスペンスドラマの完全犯罪みたいだ。
「あ、敦!後ろ‼︎」
直樹の声に、敦は後ろを振り向く。その姿に、俺達は絶句した。まるで亡霊の様な巨大な騎士。とても丈夫そうな甲冑を身に纏っている。その亡霊騎士が、敦に切りかかる。
「こんにゃろっ‼︎」
敦は素早く剣を抜き、亡霊騎士と戦う。すると、その騎士は消えていった。
「な⁉︎消えたぞ⁉︎」
大平が叫ぶ。敦が倒したのか?いや違う!それがあの騎士の能力だ。奴は体を消す事ができるんだ。どうやって倒せばいい?いくら考えても思いつかない。今、最強のモンスターとの戦いが始まる。
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