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朝になり、俺達は洞窟を出た。
しばらく歩くと、奴らがいた。昨日俺を襲ってきた奴らが。グラー・ロッガーと言う名の犬の大群は、朝の散歩をしているのだろうか。とてもゆっくりと歩いている。
「優、いいか?まず、俺が手本を見せるから、よ〜く見とけよ!」
敦はそう言い、犬の大群に向かってまっすぐに向かって行く。それに気付いたのか、犬の大群は敦に向かって物凄い剣幕で襲いかかる。その姿からは、先ほどのほのぼのとした散歩の姿は想像もできない。
敦は剣を振り上げ、一体のグラー・ロッガーを切り裂く。その一体は、力なく倒れ、透明になり消えていく。これなら昨日、俺にもできたぞ?俺はそう思った。
だが、敦はそのまま攻撃を続ける。俺なら一体を倒した後、大群から少し離れるが、敦は離れるどころか大群の中に入って行く。敦は余程死にたいのだろうか?だが違う。敦は、グラー・ロッガーの動きを完全に読んでいたのだ。どこを狙って来るか。どういう動きをするのか。その全てを。
やがて、大群の一塊を全て倒してしまった。
「あ、敦スゲーな‼︎」
俺はまた、敦を尊敬の眼差しで見る。
「いや〜、つい調子に乗って、全部倒しちまったよ!」
そうだ。肝心な俺の獲物を、敦が倒してしまった。
「ま、心配すんなよ!グラー・ロッガーはまだまだたくさんいるからな!この辺は、奴らの溜まり場みたいな所だからな。」
敦はそう言い、次の場所へと移動する。
グラー・ロッガーの群れを、もう一塊見つけた。
「さ、次は優の番だぜ!やってみな!」
俺は戸惑う。確かに敦の戦いは見ていたが、まだ分からない事が多い。なぜ敦は、一回も攻撃を受けずに倒す事ができたのか。俺は敦に聞く。
「あぁ、悪りぃな!それを言ってなかったぜ!」
……それが一番重要だろ。俺は心の中でそう呟く。
「あいつらは皆、同じ『グラー・ロッガー』だ。だからそれぞれの考え方も同じなんだよ。つまり、一体の行動パターンを読めれば、他の奴らの行動パターンも分かるってわけさ!大丈夫!ピンチになったら、俺が助けてやるから!」
敦の言葉に多少の不安を抱きつつ、俺はグラー・ロッガーの群れへと突っ走って行く。文字通り、奴らは物凄い剣幕でこちらに向かって来る。
俺は剣を抜く。敦がやっていた様に、剣を高く振り上げ、大群の中の一体を切りつける。一体を倒すと、更にもう一体、もう一体と襲いかかって来る。
まだ初心者である俺は、多少攻撃を受ける。だが、敦の言う通り戦闘の中で次第に奴らの行動パターンを読めてくる。次はこう来ると思えば、本当にそう来るのだ。俺は犬の大群を、スパスパ倒していく。気持ち良い。こんな快感、今まで味わった事があっただろうか。昨日こいつらに殺されかけていた事が、まるで嘘の様だ。
「とりゃっ‼︎」
やがて、俺も大群の一塊を一人で倒してしまった。
「……やった。やったぞ!倒した‼︎」
「やったな優!何だか俺も嬉しいぜ‼︎」
俺達はお互いに喜び合う。高校二年になり、俺はクラスに馴染めていない。それどころか、俺を下に見る奴の方が多かった。そんな中で敦に出会い、久々に親友言うものを感じた。
その後も、俺は戦闘を続けながら、敦から様々な事を教わった。もっと効率の良い戦い方や、あまり体力を減らさずに済む攻撃のやり方など。
「敦、本当ありがとな。こんな俺に付き合ってくれて。助かったよ。」
俺は敦に礼を言う。
「おいおい、やめてくれよ!俺達はもう親友だ!助け合うのは当たり前だろ?」
敦は優しい表情で、俺にそう言った。
「なぁ、優。今日もここで野宿するつもりなのか?」
「そうだなぁ……まだ分からないけど、今の所はそうなりそうだな。」
俺は空を見上げて言う。今日も野宿かぁ。この世界では、朝、昼、夜などの時間配分はあるが、季節などはなく、気温は常に二十五度前後に保たれているので、決して寒くはなかったが、やはり野宿が続くと何かと辛い。
「俺は今から、サルマンって街に行って、そこで寝泊まりしようと思うんだ。どうだ?優も一緒に来ないか?距離もそれほど遠くはないしさ!」
今の俺にとって、この言葉はとても嬉しかった。敦に助けられてばかりだが、ここはお言葉に甘えよう。俺は喜んで、敦と共にサルマンに行く事にした。
第三話を読んでくださり、ありがとうございます!