願いの世界   作:坂田 信長

7 / 24
続きです。ぜひ読んでください!


明里の想い

7

    俺がこの世界に来て今日で二日。ジャイアント・キング・ベアーを倒し、俺達は別々の道を行く事にした。

    俺はサルマンの街を出て、次の街へと向かう予定だ。その頃、現実世界ではーー。

「明里!大丈夫⁉︎」

「明里!大丈夫か⁉︎」

    明里の病室に入るなり、二人は同時に叫ぶ。

「あ!亜美(あみ)、太一(たいち)!来てくれたんだ!」

    明里は笑顔で二人を見た。

    亜美と太一は明里の幼馴染で、同じ大学に通っている。

「交通事故にあったって、今日聞いたから急いで来たのよ!でも、何があったの⁉︎」

    明里は事故の事を全て話した。

「……そんな事があったのか。でもさ、それって優は悪くなくないか?」

    太一が言う。

「そうだよ!優君はただ、信号の変わりかけで走っただけでしょ?私だったらそうするし、信号無視をしてきた方が絶対に悪いよ!」

    亜美も言う。

「でしょ?二人もそう思うでしょ?」

    明里はそう言い、下を向く。そして一言、

「……足は、動かなくなっちゃったけどね。」

    そう言い言った。

「え⁉︎それって、退院した頃には治るんじゃないの⁉︎」

    亜美は驚いた表情で叫ぶ。

「ううん。もう二度と、足は動かないんだって。お医者さんに言われたの。」

「そんな……」

    太一はそう呟く。明里は下を向いたまま、自分の足をさする。もう、動かない足。いや、まだわからないか。なぜなら、優が……。

「それでいいの?二度と足が動かないのよ?もう、歩く事ができないのよ⁉︎それでいいの⁉︎」

    亜美は必死に言う。

「そんな事分かってる!でも……仕方ないでしょ?治療方法もないみたいだし。どうしようもないの!」

    明里もまた必死だ。

「でも、優君はそんな事、許さないと思うよ。まだ可能性があるなら……」

    亜美が言いかける。だが、そこで明里が口を開く。

「許してくれなかったわ!だからあの子……『願いの世界』に行ったの。二日前に。私の足を、取り戻すために。」

    明里は不安な表情で下を向く。

「え⁉︎嘘だろ⁉︎それって確か、千人が挑戦して、十人も帰って来なかったって所だろ?」

    太一が叫ぶ。

「そんな……それじゃあ、優君が帰って来る確率は、かなり低いって事?」

「そうなるな……」

    太一と亜美が言う。

    三人はしばらく黙り込んでいた。すると、明里が顔を上げ、二人の方を見る。

「優……無事に帰って来るよね?」

    そう呟く。その目からは、涙が流れ出ていた。愛する家族である優の事が不安なのだ。

    亜美は明里の肩を掴む。

「明里!何不安になってるのよ!信じるの!あんたが優君を信じなくて、誰が信じるのよ!優君は絶対に帰って来る!だって、優君が死ぬ姿なんて、私想像できないもん!太一は想像できる?」

「……できないな。」

    亜美の問いかけに、太一はそう答える。明里は涙を拭う。

「二人共……ありがとう!そうよね!優は絶対に帰って来るよね!」

    そう言って笑った。

    その頃俺は、サルマンを出てすぐの所にある森の中にいた。

    すでに森は終わりの方で、その間に数体のグラー・ロッガーに襲われたが、ジャイアント・キング・ベアーとの戦闘もあったせいか、楽々と倒す事ができる様になった。

「フゥ〜、やっと出口が見えてきたな。でも、街や村らしい物は見えないな。どうやら、まだまだ先に進むしかないみたいだな。」

    俺はそう呟き、森を出る。辺りを見回す。するとーー。

「うぅ……やめてよ!こないでよ‼︎」

    という様な叫び声が聞こえた。俺はすぐに声のする方へと駆け寄る。見ると、幼い子供二人がグラー・ロッガーの群れに襲われていた。

「ま……まずい‼︎」

    俺は剣を抜く。この二人を助けなければ!俺はそう思った。




読んでくださり、ありがとうございます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。