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「二人共、退くんだ‼︎」
俺はそう叫ぶ。だが、すでに数体のグラー・ロッガーに囲まれていて、その中から抜け出せそうにない。
「くっ……待ってろ!今助けるからな!」
俺は剣を巧みに操り、二人を襲っている犬型モンスターから順番に次々と倒していく。
数分程度かかったが、やがて全てを倒し終えた。
「二人共、大丈夫だったか?」
俺は二人の側に駆け寄る。多少のケガはしているが、体全体に問題はなさそうだ。
「うぅ……ありがとう!お兄ちゃん‼︎」
子供二人は、泣きながら俺に抱きついて来た。
俺達は一時間程歩き、アミスという街に辿り着いた。サルマン程大きくはないが、それなりに休息は取れそうな街だった。
街に入ってすぐ、俺達は宿へと向かう。先程まで泣いていた二人も元気になり、ようやく落ち着いてきた。
「私は恵美(えみ)。今八歳よ。こっちは弟の悟(さとる)で、今五歳。よろしくね!」
恵美がそう言うと、弟の悟も頭を下げ、よろしくと言う。
「俺は優。年齢は十六歳だ。よろしくな!」
俺も丁寧に頭を下げる。俺は二人を見る。自分から進んで自己紹介をするなんて、偉い子だな、と俺は思った。その時、ある疑問が心に引っかかった。こんな小さな子供二人が、なぜ二人だけでこの世界に?親とはぐれたのか?自分達だけで来たにしても、親は止めなかったのか?
「なぁ、とても聞きにくいんだけど、一ついい?」
「どうかしたの?聞きたい事があったら何でも聞いて!」
俺は恐る恐る恵美に聞く。
「恵美と悟は、何で二人だけでこの世界に?お父さんやお母さんは一緒じゃないのか?」
俺の言葉を聞き、二人は顔を見合わせる。やはり聞いたらまずい事だったか?だが、その答えは恵美がすぐに話してくれた。
「……実はね、私達、この世界に来たくて来たわけじゃないの。」
「え?どういう事だ?」
俺はさらに問いかける。
「一週間前、現実世界で、知らないおじさんに追いかけられたの。私と悟は、ただ逃げるのに必死で、どこを走ってるかも分からなくなったの。そしたらあの路地の光の門の前にいて、そのおじさんに突き飛ばされて、気づいたらこの世界にいたの。」
俺は息を呑む。来たくもないのにこの世界に来て、こんな命懸けの旅を『させられて』いるのか?俺は拳を握り締める。
「どうしたの?」
悟が口を開く。ふと気づくと俺は、二人を抱き締めていた。
「……お前達は、まだ死んではいけない。俺が絶対に、元の世界に帰してやる!お前達の日常を取り戻してやるからな!」
俺はそう叫んでいた。
「優兄ちゃん……ありがとう!私、優兄ちゃんがいてくれたら、とっても安心だよ!」
二人も嬉しそうだ。この二人だけは絶対に死んではならない存在だ。まだ終わりは見えない。だからこそ、その見えない終わりの中から希望を掴み取る。俺はそう心に誓う。
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