魔術師見習いの暮らし方   作:ゲンダカ

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十二話です。
活動報告で書いたんですが、「魔術師見習いの暮らし方」は今回を以って一旦閉幕とさせていただきます。
完結というわけではなく、まあ、休載って感じです。功乃を狙う英国魔術師とか、功介と功乃のアレやコレとか、いろいろとネタはまだ温存しております。
詳しいことは活動報告を御覧ください。
では、ミス・ブルーのご乱心、とくとご覧くださいませ。


十二話 see you again, miss blue!

 青子さんと並び、実家への道を歩きます。

 実家は山の中。自然とそこへの道も山の中で、夕暮れの日差しを受けて木の葉が煌めいています。

 前には弟。いつもの通り、少し猫背気味で自信のなさ気な歩き方をしています。

 ふと、毎年行われているという蒼崎家デスマッチIN宮本家のことを思い出しました。

「そういえば、今年は青子さんが残られたんですね」

「え? ああ、そうそう。今年は私が勝ちました。いやー、ハンディで体術と刻印ナシで戦ってんだけど、それでも勝っちゃうのよねえ」

「こ、刻印って、魔術刻印ですか……?」

「うん」

 さらりと答えるミス・ブルー。

 でも、魔術刻印を使わずしてあのトーコさんに勝つなんて、一体全体どうやれば可能なのでしょう。

「それ、どうやって勝ったんです」

 先を行く功介が私の疑問を代弁しました。

「むふふ、そりゃー企業秘密よ。聞いたら最後、時空の果てまで吹っ飛んじゃうんだから」

「…………」

「…………」

 トーコさんといい青子さんといい、冗談が冗談だと思えないので怖いです。

「……橙子さん、実家に来る前に平屋のほうにいらしたんですけど、アレ結構前じゃなかったですか? 確か、二週間くらい前だったような」

「そうそう。三日くらいで私帰っちゃったんだけど、帰り際に奈津江さんから『功乃の誕生日が近いんです』って聞いちゃって。で、今日また来ちゃった」

 てへ、なんて顔をして額に手をやる青子さん。四十すぎとは思えない愛らしさです。

「わざわざありがとうございます、青子さん」

 青子さんは何かと忙しいお方です。そんな人がわざわざ私の誕生日のために来てくれたなんて、我が人生に悔いが残らなくなるレベルで嬉しいです。

「いーっていーって。誕生日ってさ、普通の記念日と違って、その人が生まれてから死ぬまで同じ日なのに、人間一人一人日付が違うっていう特殊なものでしょ? 大事な日だと思うの、私」

 なんだか今日の青子さんはやけにムツカシイお話をされております。

 

「着きましたよ、青子さん」

 と、気づくと宮本家の門前でございました。

「よーし、入っちゃおー」

 門を抜け、がらがらと玄関を開ける青子さん。

「只今戻りましたあ」

「帰ったよう」

「ただいまー」

 三者三様の挨拶。それを母が出迎えてくれました。

「三人とも、おかえりなさい。あら、功介、それは?」

 功介の持つ泥だらけのビニール袋を見て、母が怪訝な顔をしています。

「三人で潮干狩りをやったんだよ。大したもの獲れなかったけど、一応持って帰ってきた。はい」

 受け取ったビニール袋の中身を見て、母が笑みをこぼしました。

「功介がお父さんと潮干狩りに行ったときも、これくらいしか獲れてなかったわね」

「そうだったっけ」

「ええ。それじゃあ、晩御飯のおかずの足しにでもしましょうかしらね。ほら、三人とも手を洗って、居間に行ってらっしゃい」

「うん」

「はーい」

「お邪魔しまーす」

 

 

 

「只今戻りました、平介さん」

 居間のふすまを開け、中にいる父に挨拶する青子さん。

「おかえりなさい、青子さん。功介と功乃も、おかえり」

 平屋とは比べ物にならないサイズの居間の真ん中には、これまた平屋とは比べ物にならないサイズの木の長机がでん、と置かれています。父はその一番奥に座っていました。

「ただいま、父さん」

「ただいまあ」

 青子さんがテーブルの右側に、功介がそれに向かい合うように座り、私もその隣に正座します。

「功乃、誕生日おめでとう。これ、橙子さんから預かりものだ」

 斜め前に座る父が、畳からひょいと何かを拾い上げ、机に置きました。

「トーコさんから?」

 白い包装紙に包まれた、手のひら大の長細い立方体。それに綺麗なオレンジのリボンが巻かれています。

「うん。なんでも、参考にしてくれ、だそうだ」

「……?」

 よくわからず、とりあえず開けて見ることにしました。青子さんと功介も、関心の目を向けてきています。

 ぴりぴりと包装紙を解いてみると、今度は黒い箱が出てきました。

 ぱかり、と開けてみると。

「お?」

「えっ」

「ほう」

 ちょこん、と、楕円形のレンズをした眼鏡が在りました。

「こ、これって……」

 まさかと思い、その眼鏡を掛けてみますと、

「ひゃっ」

 ずきり、とこめかみに軽い痛みが走りました。

 間違いありません。

「これ、トーコさんの、魔眼殺しだ……」

 眼鏡を外し、しげしげと観察してみます。

「凄いもの貰っちゃったね、姉ちゃん」

「う、うん。でも、これ、貰っていいのかな……」

 見た目は普通の眼鏡です。レンズの材質が特殊なのでしょう。

「いーんじゃない? 私も姉貴からパチったことあるし」

「ぶっ……」

 さらりと爆弾発言をかます青子さん。そして、それに噴き出す功介。

「青子さん、なんでそんな自殺行為を」

「ひーみーつっ」

 功介の問いに、青子さんは唇に人差し指を立ててウインクを返しています。青子さんレベルの女性でなければ出来ない仕草です。

「で、どうだ。参考にはなりそうか」

 父は私がトーコさんの眼鏡を再現しようとしたことを知っています。その上での質問でしょう。

「どーだろ……。これ、あたしにはちょっとキツイんだよね」

 あたしの浄眼はとっても低ランクのもの。なので、さっきは魔眼殺しの力に負けて、逆に眼球が悲鳴を上げてしまいました。

「だろうな。まあ、気長にやってみなさい」

「うん」

 これはこれで、たからものです。

「そうそう、私からも、これ」

 青子さんも、大きな鞄から引っ張りだした何かを手渡してくれました。

「わあ」

 それは、綺麗な貝殻のネックレスでした。

「こーいうの自分で買わないからなー、どう?」

「はい、たいへん気に入りました。ありがとうございますっ」

 早速わしゃわしゃと首につけてみました。

「お、似合うわねえ」

 青子さんはそう言ってくれますが、この部屋には鏡が無いので確認のしようがありません。

「むむ、あとで確認します」

「うん。気に入ってくれて良かったわ」

 

 

 

 夕食は母の手による洋食フルコースでした。功介といい、私の好みは完全に把握されています。

 ちなみに、潮干狩りの獲物はグラタンに混ぜてあった、らしいです。

「ふう、ご馳走様でした、奈津江さん」

「お粗末さまでした、青子さん」

 てきぱきと食器を片付けていく母。この手際の良さは、まだ私も功介も真似できません。

「そうだ、功介」

「ん?」

 何かを思い出したように、父が功介に話しかけました。

「ルーンの出来はどうだ」

「ああ」

 そういえば、功介が私に「ルーンを教えて」なんて言ってきたこともありましたか。あれは確か梅雨の前、六月の頭ごろでした。結局あれから一度も功介は私にルーンのことを訊いてきませんでした。

「そーよ、分かんないことあったら聞けって言ったのに、コイツなーんにも聞いてこなかったのよ」

 左手で功介の頭をぐりぐりやってみると、功介がふくれっ面を浮かべました。

「むう、一応基礎は出来たよう。加護(トゥール)とか防御(エオロー)のルーンなら完璧だし」

「ほう、言うわね功介。私の魔弾に耐えられるかな?」

 むふふ、なんて笑みを浮かべる青子さんに、功介はけろりとした顔で返事をしました。

「うーん、一工程(シングルアクション)なら十発くらいまで耐えられると思いますよ」

「げ」

 なんということを言うのでしょう、この愚弟(グッティー)は。

「よっしゃ、じゃあ食後の運動ってことで、ひとつやってみますか」

 青子さんはノリノリです。

「それでは、地下室へ行きましょう。あそこであれば問題はないでしょう。涼しいですし」

「あらあら、面白そうね。わたしも見学させていただきます」

 それに乗っかる父と母。

 三人はふふふ、わはは、おほほ、なんて笑い合っています。これだから魔術師というのは怖いのです。

「コースケ、ホントに大丈夫?」

 ちょっと心配になってしまったので、こっそり耳打ちしてみました。

「多分」

「多分って、あんた……」

 青子さんの魔弾をまともに喰らったら冗談抜きで命に関わります。

「…………まあ、コースケがそう言うんなら大丈夫か」

「うん」

 それでも、功介は「守護」の宮本家、次代の当主です。その功介が大丈夫だと言うのですから、大丈夫なのでしょう。

「では、行きましょうか」

 よいせ、なんて掛け声で立ち上がる父。それに続き、居間の人間がぞろぞろと地下室へ移動を始めました。

 

 

 

 私は知らなかったのですが、最初の青子さんとトーコさんの喧嘩以来、この地下室を開放しているのだそうです。

 父の先代の当主、つまり私のお爺ちゃんの世代で既に使われなくなったという、コンクリートで固められた地下室は、それはそれは強固な結界が施されております。物理的にも魔術的にも、地下室というのはまさに結界の中の結界。それを「守護」を特性に持つ宮本家が扱うのですから、その頑強さは折り紙つきです。

 ただ、それだけ頑強な結界を維持するのはこれまたタイヘン、ということでお爺ちゃんは地下室の管理を放棄したのだとか。実際、地下室はただの実験場であり、我が家の正式な工房は離れにありますから、維持する必要がなかったのも確かです。

 その地下室の存在を思い出した父は、壊れた結界を功介とともに全面的にリファインし現代風にアレンジ、ついでに功介の霧散の術を簡易的に展開し、地下室の四隅に魔力が集まりやすいようにしてあるんだそうです。

「知らなかったあ」

「おまえはなかなかこっちに帰ってこなかったからな、仕方ない」

 父にそう言われるとなんだか申し訳なくなってしまいます。

「で、ここならトーコさんと青子さんは全力で戦っちゃえるんですか」

 かつかつと地下室の階段を降りながら、先を行く青子さんに訪ねてみました。

「んー、さすがに私が全力出したらヤバイと思うけど、まあ全力の私に耐えられる結界なんてそうそう無いわよ」

「そうでしょうな、は、ははは」

 父が乾いた笑いをあげています。

「まあ私も姉貴も本気で殺しあうつもりはないけど、それでもここは頑丈ね。あの離れのときも思ったんだけど、流石は守護の家ってとこかしら。キックくらいじゃびくともしないわ」

 コンコン、と階段をタップする青子さん。青子さんは魔弾だけでなく、体術もそれこそ魔法級だと聞いたことがあります。まあ実際魔法使いなのですから、魔法級もなにも無い気がしますが、それに耐えるというのは凄いことなのでしょう。

 

 

 

「よし、準備はいいわね、功介」

「ええ、いつでも」

 薄暗い地下室の真ん中に、功介と青子さんが三メートルほどの距離を挟んで対峙しています。

 万が一に備えて、両親と私は功介の後ろ、部屋の隅に陣取り、地下室の結界に魔力を注いでいます。

「ほほう」

 功介の霧散の術というのは、確かに効いているようです。なんだか、魔力の巡り具合がいつもより良いです。

 うずくまり、両手を陣に添えて結界を維持します。相当大規模な結界のようで、ただ維持するだけでもモリモリ魔力が消費されていきます。

「じゃ、行くわよ。構えなさい功介」

「…………」

 右腕をかざす青子さん。

 左手をかざす功介。

―――なんとなく。

 青子さんとトーコさんの姉妹喧嘩も、こんな光景なんだろうな、なんて考えが、頭をよぎりました。

 青子さんの右腕が、うっすらと蒼い光を帯びてきました。

 それを見た功介が、先んじてルーンを刻みます。

退去(エイワズ)防御(エオロー)相乗(イングズ)……」

 するすると慣れた手つきでルーンを中空に刻む功介。

 イングズのルーンを刻んだ瞬間に、ぱきん、と音を立てて、功介をすっぽり覆うほど大きく分厚い、紺碧の盾が現れました。

「綺麗……」

 楕円形の、レンズのような大きな壁。功介の眼前に現れたそれは、私から見ればロケットランチャーにも耐えそうなほどの立派な盾です。

「えー、功介、シングルアクションじゃなきゃ駄目ー?」

 右腕を光らせたまま、唇をとがらせる青子さん。

「だ、だめですっ。殺す気ですかっ」

 左手をふるふると震えさせたまま答える功介。さすがに、長時間維持するのはきついようです。

「しゃーない、じゃ、行っくわよーっ」

 青子さんの右腕がひときわ激しく輝き、掲げた手のひらの先に魔法陣が展開され、青い閃光が紺碧の盾へ放たれました。

「きゃっ」

 ばがん、という、破裂とも炸裂とも取れない音が地下室を震わせます。その余波でこちらの体がびりびりするほどの威力。

「こ、コースケ……っ」

 怖がって目を閉じている場合ではありません。こんなバカみたいな威力、あの弟が耐えられるわけがないのです。

「ん?」

 なんか呼んだ? なんて顔でちらりとこちらを見る弟。よく見れば、ルーンの盾には一つの傷もなく、功介の顔にも一滴の汗すらありません。

「むう、流石に堅いわねえ。ええい、魔弾、展開っ」

 右腕を振るう青子さん、その軌跡を示すように先ほどの魔法陣が中空に展開されます。

 さっきと違うのは、横並びに幾つもの陣が並んでいるということ。

「まずっ……」

 これはこっちの身まで危ないです。慌てて急ごしらえの加護の盾(トゥール)を、自分の目の前に展開しました。

 それと同時に、青子さんの周囲から一斉に放たれる青の魔弾。

 ずがががが、と、戦争映画の効果音のような音が立ち、その衝撃波は私のトゥールの盾を粉々にしてしまいました。

「う、わー……」

 それでも功介の盾は無傷です。

「えー、何よその盾。どーなってんの」

 むー、と口をとがらせる青子さん。

「ふふふ、企業秘密ですよ、青子さん」

 してやったり、なんて顔をする功介。

 なんて馬鹿な弟。青子さんにあんな顔をしたら―――

「よーしお姉ちゃん二工程(ドロウ)撃っちゃうぞー」

 笑顔でそんなことを言う魔法使い。目の錯覚か、額に青筋が立っているように見えます。

 青子さんの右腕が、更に強い青色を放ち始めました。がきん、と、右腕を中心に大きな魔法陣が展開されています。

「あ、青子さん、それはヤバイですってっ」

 私の制止の声は届きません。

「さっきまでのはお遊びよ、功介。マジックガンナーの異名、その身に刻みなさいっ」

 これはもう、こっちも覚悟を決めるしかないようです。部屋の結界は父と母が維持してくれているので、結界への魔力をほとんどカットし、トゥールのルーンを刻み直します。

「うっ」

 一瞬の閃光の後、爆音が体中を振動させました。 

 先程までの魔弾とは比べ物にならない一撃。まるで大砲のような魔弾。地下室が軋みをあげ、結界は悲鳴をあげ、私の渾身のトゥールはやっぱり粉々になりました。

 もはや何物にも例えられぬ轟音のあと。からから、と、天井のコンクリート片が落ちる音が続きます。

「へーえ……」

 青子さんは、ナニヤラ満足気な顔を浮かべています。

 魔弾が掠めたのか、青子さんと功介との間の床が大きく抉られていました。

 が、功介のルーンの盾は健在です。大きなヒビがひとつ、真ん中から外側に向かって走っていますが、肝心の術者である功介にはかすり傷ひとつついていないようです。

「うん、上出来上出来。スナップはともかく、ドロウまで防ぐんなら大したもんだわ。専門外のくせに、よくもまあここまで使いこなすわね」

 右手を下ろし、これ以上はやりません、なんて顔をする青子さん。

「あ、ありがとう、ございます……」

 はあ、と大きな溜息をつく功介。見れば、だらだらと大量の汗をかいています。

 功介が左手を下げると、紺碧の盾はまるで霧のように散っていきました。

「いやあ、よくやった功介。ここまでやるとは思わなんだ」

 父がヨロヨロと立ち上がり、功介の背中を叩いています。

「それは青子さんに言ってほしいな。刻印使うなんてひどいですよ」

「えへへ」

 褒めてもないのに照れ笑いをする青子さん。

「まあまあ、青子さんも全力ではなかったのだから。それにしても、結界は張り直さないといけませんね」

 母は壁をぺたぺたと触っています。

 床が抉れたということは、そこの結界が破られたということです。

「あちゃあ、あたし、魔力切っちゃったからなあ」

「ああ、構わないよ功乃。父さんたちも身を守るので精一杯だったんだから」

 わはは、と笑う父。見れば、父と母の居た場所にも魔力の残滓がありました。各々、自分用の防御の結界を張っていたようです。

「そうね、魔術やってないって聞いてたから、功乃がルーン使ったのにはびっくりしたわ。案外やるじゃない」

「ど、どうも」

 褒められるのは嬉しいですが、私が防ぐことが出来たのは青子さんの魔弾の余波だけです。それも、功介の「霧散の術」とやらで、魔力のバックアップを受けた状態で。

「ごめん姉ちゃん、青子さんがここまでやるんなら、もうちょっと大きい盾作ればよかったね」

「ばか、そんなの出しても維持できないでしょ」

「あはは、そうかも」

 功介が私にルーンの使い方を訊いてこなかったのは、研鑽をやめていたのではなく、わからないことが無かったからなのだと、今更理解しました。

「よし、じゃあ私はそろそろお(いとま)しようかな」

 ぱんぱん、とジーンズをはたきながら青子さんが言いました。

「いやあ青子さん、お忙しいところをわざわざありがとうございました」

「いえいえ、お気になさらず。功介の成長も見れたし、私も満足ですよ、平介さん」

 と、青子さんが私の方に歩いてきました。

「じゃあね、功乃。魔術はともかく、人生これからなんだから、頑張んなさいよ」

 そう言って、わしゃわしゃと私の頭を撫でてくれました。

「は、はいっ」

 ひとしきり私の頭を撫で回したあと。

「それじゃあ皆さん、お元気で」

 鞄を手に、右手をぶんぶん振りながら、暴れん坊の青子さんは帰って行きました。

 

 





 彼らの日常は終わらない。
 続いていく日々に終わりなどなく、切れ目すらありえないだろう。
 日々は連続しており、絶えずそのカタチを変えていく。
 突然生まれる昨日がないように、突然消える明日はない。
 昨日と同じ今日がないように、今日と同じ明日もない。
 けれど、物語には幕がある。
 始まりがあり、終わりがある。
 一度開いた幕は、必ず閉じられなければならない。

 彼らの物語は、ここで一旦その幕を閉じる。
 けれど、彼らの日々は続いていく。
 彼と彼女の物語、その幕は、いずれまた開かれるのだろう。
 それがいつかはわからないけれど。
 そのときにはまた、彼と彼女を見守ってやりましょう―――

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