やはりナイトは格が違った!!-第5次聖杯戦争- 作:まじでやばい
大丈夫かな?
幻想郷には世界中のありとあらゆる書籍を集積し、保管している大図書館がある。
ジャンルを問わず節操なく集めたらしく、その総量はとんでもない。
それらすべてを本棚に並べて管理してあるのだから、この図書館はとてつもないでかさを誇る。
だからこそ「大図書館」とよばれているのだろう。
集めた本を保管するためにスペースを増設したのか、それともはじめからすべて抱え込むつもりで巨大に建てたのか、遠くの方に見える本棚がかすんで見えるほど、この図書館は広かった。
本棚が規律を持つようにして整列して並び、同じ光景が続いている。
延々と、このまま世界の果てまで同じ光景が続くのではないかと錯覚さえ起こす。
人を迷わす樹海のようなこの本の海を、縫うようにして動く二つの人影があった。
大きなリボンで黒髪をまとめ、巫女服の袖を揺らしながらずんずんと歩くのは幻想郷の巫女、博麗霊夢だ。
迷宮と化した図書館を歩く霊夢の足にはまったく迷いは見られない。
この図書館の構造を知っているのか、それともただの思いつきで歩いているのか、一定のリズムで図書館の奥のほうへと進んでいく。
そんな霊夢のすこし後ろを無愛想な顔で付いて歩くのは、天人の姿になってしまった謙虚なナイトブロントさんだ。
腰の辺りまである銀髪を膨らませるようにして揺らし、カカッ、っとありえない音を立てながら歩いている(草鞋話)
ぶかぶかの作務衣を無理やり身に着けているので、居心地が悪そうに時折もぞもぞと佇まいを直していた。
ブロントさんたちは、ある目的があってここに来た。
現状を一気に打開してくれることを信じて。
「たっく、誰かさんが飛ばないせいでここまでくるのに時間かかっちゃったじゃない」
「俺がレビテト使えないの知ってるでしょう?いい加減天人扱いするのやめてくれませんかね?ストレスたまるんで^^;」
「・・・・・・」
霊夢はここに来る道中、この銀髪少女の正体を見極めようとした。
「神社を壊したこと怒ってないよ^^」とか「やはりおやつはちくわでござるな^^」とか、どちらかしか知り得ない情報で銀髪少女の誤爆を狙うが、期待していた反応は得られない。
それどころか、ブロントさんと霊夢しか知らないようなことを知っていたり、潔いナイトの心が見えるような対応をして、逆に霊夢のほうが動揺してしまう。
この大図書館に行く事に決めたときも、霊夢はさりげなく空を飛んで汚い天人のミスを誘ったが、天人は飛ばずにとんずらを使って霊夢の後を追いかけて来た。
とんずらはヴァナの職業「シーフ」のスキルだ。
一定時間移動速度を上げ、ものすごい勢いで走ることができる逃走スキル。
そんなヴァナの冒険者スキルを使った銀髪少女に霊夢は普通に驚き、自分の勘違いに気がついた。
霊夢はブロントさんと一緒にレベリングをするときは白魔道士としての役割を請け負い、サポートに徹する。
それは霊夢が白魔道士のスキルを習得しているからではなく、巫女として持つ力が白魔道士の役割をこなすのに適しているだけで、白魔道士のスキルを使えるわけではない。
それは霊夢が疑う天人も同じだろう。
汚い天人の尻尾をつかもうと策を練った霊夢だが「この銀髪少女はブロントさんだ」という確信を強め、盛大に自爆した結果におわった。
「(落ち着きなさい。私は自分の勘を頼りに多くの妖怪を殺してきた一級廃人巫女でしょ?きっとこの状況も打開できるはず・・・)」
「なんだ急にサイレスしてきた>>巫女。いきなり黙られると気がヒュンヒュンいくんですわ?お?」
冷や汗をかいて黙り込む霊夢にブロントさんは気遣いをみせる。
ブロントさんの謙虚で紳士な対応に霊夢は、やはりナイトは格が違ったな・・・と後悔に似た感情に襲われる。
よくよく考えればこの銀髪少女は自分にやさしくしてくれた。
それはいつもブロントさんが自分にしてくれるように。
天人姿があまりにもむかついたので気がつかなかった、気がつきにくかった(要石話)
霊夢は、今までブロントさんにした行いを一つ一つ思い出していた。
朝ごはんを取り上げた。
首もってぶん回した。
天人弱体化スレを建てて粘着活動をした。
その他、etc・・・
「こんにちはブロントさん」
「なにかようかな?」
霊夢は頭の中で現状から状況を判断して、最良と思える行動をとった。
博麗の巫女としての血が、異変解決のプロとしての経験が。
妖怪を前にしたときに感じる高揚が、お賽銭が入っていたときの歓喜が。
すべての要素が脳内から電流を生み出し信号となって全身を駆け巡り、体を羽の用に軽くし、霊夢はすべてのものから浮き無敵となる。
そこから繰り出される霊夢の一撃。
名だたる妖怪を切り伏せ、博麗の巫女としての地位を確固たるものにした、最強の矛。
それが目の前の無抵抗な銀髪少女に向けられ、容赦なく放たれた。
「疑ってすいあせんでした;;プリケツ土下座」
「・・・許すます!!」
美しい曲線を描いたプリケツは、まさに謝罪の塊をあらわすシンボルとして、ここに顕現した。
ブロントさんはただ一言「すばらしい謝罪だすばらしい」とつぶやくと一筋の涙をこぼす。
ただの一撃で、ブロントさんはすべてを許したのだ。
能力を使いありとあらゆるものから浮き無敵となった霊夢の謝罪は、一撃でブロントさんの心の防壁を突破し、破壊し、潔い慈悲の心を呼び覚ましたのだ。
まさに夢想天生。
向かうところ敵なしの、無敵の巫女の雷だった。
そんなあほとしか思えないやり取りを、この図書館の住人である魔女「パチュリー・ノーレッジ」は唖然としながら見つめていた。
紫の長髪にパジャマっぽい服とナイトキャップを身につけた彼女は、理解不能状態すぎて、勝手に口から声が出る。
「やだ、なにこれ・・・」
パチュリーの心からでたつぶやきは、静かに大図書館に溶けていった。
ブロントさんと霊夢の名誉のためにいっておくが、本人達は真剣である。