戦艦大和、大海賊時代でも推して参ります!! 作:貧困鎮守府無法地帯
巨大な戦艦を有する海賊団があった。まさにその戦艦は要塞その物。海軍の軍艦を何隻も沈める怪物だった。
しかし、その海賊団が忽然と姿を消す事件がおきた。原因は不明。だが奇妙な事に、その海賊団が消えたとされる場所には、一人の女性が立っていた。海上に“立っていた”のである。
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「………ここはどこでしょうか…?大和は…一体何を…?」
周りを確認しますが、何もありません。綺麗な海が広がっています。あ、カモメが鳴いています。
「…………とりあえず、色々と思い出しましょう…えっと…」
大和は必死に記憶を辿ります。確か、深海棲艦との戦いが終わり、鎮守府は解体されて…大和達、艦娘も解体されて、それぞれの道を歩んで…?あれ?
「……大和、普通にお仕事して、家でぐっすりと眠った筈ですよね!?もしかして、夢?って明らかに現実ですよね…」
そもそも、何故大和は艤装を着けているんでしょうか?解体された時点で、艤装を着けるのは不可能な筈ですし。
「混乱してきました…艤装が有ると言うことは、妖精さんは居るのでしょうか?妖精さん~!!」
試しに妖精さんを呼んでみました。
「なんでしょうかな、やまとさん?」
「あ、居たんですね」
普通に出てきました。しかもやっぱり大和は大和でした。鏡が無いので確認出来なかったんですが、やっぱり大和でした。
「妖精さん…この状況の説明は可能ですか?」
恐る恐る尋ねます。
「かいぞくおうに、やまとさんはなるのでしょうかな?」
「えっ?」
いきなり意味不明な事を言われてしまいました。相変わらずの様で安心しましたが、今ばかりは困ります。
状況の把握は常に必要です。艤装を着けている以上は、大和は艦娘です。戦う可能性があるならば、最善を尽くさなければなりません。
「妖精さん…詳しくお話を聞いても…ッ!?電探に反応!?何かが近付いてる!!もしかして、敵!?」
敵の可能性があるならば、此方はかなり不利になります。敵の種類も分からず、地の利も無い。体感ではかなり久々の戦闘。
「最悪の場合は、逃げの一手ですね…無事に逃げ切れる保証はありませんが、何も出来ずに沈むのは絶対に嫌ですからね!!」
どうやら燃料は満タンの様ですし、どうにか逃げ切れるかと考えた瞬間…海が“凍り”ました。
「何…これ?」
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「巨大戦艦を持ってる海賊団の討伐に駆り出された訳だが…巨大戦艦なんぞ見当たんないじゃないの…居るって報告を受けた場所にも船らしい影すらねェし」
俺は凍らせた海の上を自転車で移動しながらボヤく。センゴクさんに『その近くに海賊団が居るとの情報が入ったから、ついでに潰して来い!』なんて言われたんだが、こうも影も形もないと気分が沈む。
「この辺りに居なかったら、帰るとしますか…出来れば居ないで欲しいねェ…」
周囲を見渡すと、海の上に変な影を見付けた。
「ありゃま…何か見付けちまったよ。あれは…人か?海の上に人が立ってんのか?……とりあえず、動きを止めておくか」
周囲の海を凍らせて、人らしい物に近付いた。
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大和の足下の海が凍ってます。いえ、足下だけではありません…海が一瞬で凍ったみたいですね、急な寒波でもこうはなりませんよね?気付けば電探の反応が無くなっていました。久々に使ったので誤作動をしたのでしょうか。それにしても…
「自然現象じゃなければ、どうやったのでしょう?」
大和が考えていると、不意に後ろから声がしました。
「そりゃあ、俺が凍らせたんだよ」
「ッ!?誰ですか!?」
大和が後ろを振り向くと…モジャモジャした頭の人が居ました。
「……足下の氷を砕いて振り向いたな…別嬪さんの見た目に似合わず、スゲー力だな」
大和が足下の氷を砕いた事に驚いた様子でしたが、大和は大和で、目の前に居る人のモジャモジャが気になって、仕方がありません。髪の毛の手入れはしていないんでしょうか?大和達の提督は金髪のオールバックだったので、モジャモジャした男性は新鮮です。
「髪の毛…爆発したんですか?」
「……いや」
「あっ…思わず口に出てしまいました」
大和の落ち度です。不知火さんに怒られてしまいます。
「お嬢ちゃん…何者だ?物騒な物をしこたま着けてるみてェだしな」
モジャモジャさんに質問されました。なんだか悪い人では無さそうなので、自己紹介はするべきですよね?
「戦艦大和です。推して参ります!!」
「え?何?戦うの?」
「あっ…違います!!自己紹介なんです!!うぅ…いつもの癖で…」
またも大和の落ち度です。恥ずかしいです。
「よく分からんお嬢ちゃんだな。しかし…戦艦か…無関係じゃあ無いよな?」
じーっとモジャモジャさんが大和を見ています。あ、そう言えば、ここがどこだか聞かないと!!
「あの…ここはどこでしょうか?」
「…………とりあえず、海軍本部に行こうか。ゴチャゴチャ考えるのは苦手だしな。センゴクさんにどうにかしてもらうとしますか」
「海軍本部ですか!?」
驚きました…海軍本部…つまり、大本営に行くんですよね?お、怒られてしまうんでしょうか!?状況も分からず怒られる大和…不幸です。
「や、大和は怒られてしまうんでしょうか!?大和は悪くありません!!気が付いたらここに居ただけです!!」
「本当に訳が分からんお嬢ちゃんだな…大丈夫。多分怒られねェから」
「多分じゃ困ります!!て、提督みたいに言うなら、『俺は悪くねぇ!!』って状況の筈です!!きっとそうです!!」
大和は必死に弁解します。大和が怒られたら、提督に迷惑がかかります!!それだけは避けなければなりません。
(本当にどうするかな…滅茶苦茶変なお嬢ちゃんを見付けちまったよ…言ってる事は訳が分からねェし。海賊と無関係とは思えねェ…無理矢理にでも連れて行きますか…)
「お嬢ちゃんの言いたい事は分かった…怒られない様に全力でフォローするから、な?とりあえず、行こうぜ?」
「うぅ…本当ですか?大和は怒られないんですね?」
「ああ、俺が上手くやってやるから」
モジャモジャさんが上手くやってくれるそうです…
「わ、分かりました…大和、モジャモジャさんに全てを託します!!」
「モジャモジャ…まァ、構わねェか」
また、うっかり口に出てしまいました。ですが仕方がありません。大和はモジャモジャさんの名前を知りません。不可抗力ですよね?
「お名前をお伺いしても宜しいでしょうか…?」
「クザンだ。ホラ、急いで行くぞ…こりゃあセンゴクさんに俺がどやされるな…」
モジャモジャさん…もとい、クザンさんはボヤきながら氷の上を移動して行きます。大和は氷を砕きながら移動します。この程度なら普通に進めるので問題ありません。
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氷が無くなり、普通の海になりました。やっぱり動きやすいです。
「その足に着けてんの…どうなってんの?海面を滑るなんて、見たことも聞いたことも無いんだけど」
「え?見たこと…ないですか?聞いたことも?」
おかしい…皆解体されたとしても、艦娘の存在を知らない…?そんな事は有り得るのでしょうか?
「クザンさん…艦娘ってご存知ですか?」
「何だそりゃ?」
(確定ですね…海を凍らせる方法をさっきから考えていましたが、クザンさんが凍らせている姿を見て、不思議でした。まるで体から凍らせているみたいだと思いましたが、その通りでした…大和の知る限り、そんな人間は居ません、大和が知らないだけの可能性もありますが)
「どうした?」
「……いえ、海軍本部へ急ぎましょう」
「お、おう…急にその気になったな?」
大和の予想が正しく無いことを祈るばかりです…
「ここが…大和達の居た世界とは…違う世界なんて予想は… 」
大和は不安を覚えながらも、海軍本部へ向かいました。
精神的にヘッポコな大和さん。感想、ご指摘お待ちしています!!