戦艦大和、大海賊時代でも推して参ります!!   作:貧困鎮守府無法地帯

2 / 5
頑張れ大和さん。今回は大和さんが毒を吐きます。ギギネブラ的な意味じゃ無いです。




やっぱり異世界でした

結局不安が拭えなかったので、クザンさんに色々と質問しました。大海賊時代だとか、悪魔の実だとか、信じられない話も沢山ありましたが、万が一…僅かな可能性ですが、大和の知識不足の可能性もありました。ですが、その可能性も潰れました。結論から言いますと…やっぱり異世界でした。

 

「大和はこんな大本営は嫌です…」

 

大和は今、海軍本部…つまり、大本営に到着したのですが、どう見ても大和の知る大本営の姿ではありませんでした。変わったとかの次元じゃありません。

 

「…事情は分からねェけどよ…元気だしなよ…」

 

「はい、大和は大丈夫です」

 

クザンさんが心配してくれました。やっぱりいい人みたいですね。大和は心配させないように、榛名さんの力を借りて乗りきります。

 

提督は『それは大丈夫じゃないだろう』と榛名さんを心配していましたが、多分大丈夫なんです。実際、大和は大丈夫じゃないですが、榛名さんなら大丈夫の筈です。

 

「全然大丈夫に見えないんだけどねェ…」

 

1発でばれました。ここは正直に言うべきですね。

 

「正直に言います。現実逃避してました…大和に帰る場所は無いんですね」

 

(えらくブルーになってんな…こりゃあ本当に変なもんを見付けちまったよ…)

 

クザンさんが大和を哀れむような目で見ています。異世界と分かった以上は、やるべき事は沢山あります。とりあえずは、今を乗りきりましょう。

 

「大和は覚悟を決めました。頑張りますから…大和をどこにでも連れていって下さい!!」

 

「分かった、んじゃとりあえず此方に着いてきなさいな」

 

クザンさんに連れられて到着したのは、海軍本部の最上階でした。それはつまり…

 

「もしかして、ここって…元帥閣下の…」

 

大和の呟きに、クザンさんは黙って頷きました。

 

「確かに覚悟を決めたとは言いましたけど…これは流石に……?」

 

ここで大和にふとした疑問が湧きました。此処までクザンさんに黙ってついてきていましたが、普通に考えて、元帥閣下の部屋に簡単に来れる人間は少ない筈です。この世界で大和達の居た海軍の常識は当てはまらないかも知れませんが、少なくとも、低い階級の人間は会えないですよね。

 

(クザンさんは簡単に此処まで来ましたが…もしかすると?)

 

「あの…もしかして、クザンさんって…とっても偉い方なんでしょうか…?す、少なくとも、将校ですよね?」

 

大和は勇気を振り絞って聞きました。大和も世界は違えど軍属です。階級が上の方に失礼な事があってはなりません。下手をすると、大和は土下座では済まない事になります。

 

「俺の階級?“大将”」

 

「申し訳ございませんでした 」

 

アウトでした。将校の中では一番のアウトの大将閣下でした。大和は打ち首確定ですね。戦術的敗北とか、そんな程度ではありませんでした。全滅の完全敗北ですね。

 

「え?そう言うの気にしちゃうタイプなの?俺ァ気にしないんだけどな…」

 

「いえ、ですけど…その…」

 

「さっさと入って来んか!!扉の前で騒ぐな!!」

 

大和が混乱していると、元帥閣下のお部屋から、声が聞こえてきました。

 

「うぃーっす 」

 

クザン大将閣下はダルそうに返事をして、入って行きます。

 

「一体何だ?見せたい物とは…女の声が聞こえていたが…まさか結婚相手とかか?」

 

「いやぁ…違いますよ。ちょっと俺の理解を越えた現象が…」

 

何やらお話をされていますが、ここからでは何も聞こえません。それに、緊張が何よりも勝っていて、それどころではありませんでした。

 

「……とりあえず、会ってみよう。そこに居るのだろう?入ってこい!!」

 

「ひゃい!!」

 

いきなり呼ばれて、声が裏返りました。そのままぎこちない動きで部屋に入ります。

 

「………相当緊張しているな…構わん、楽にしなさい」

 

「げ、げげっ元帥閣下の目の前で楽になんて…」

 

「……駄目だこりゃ」

 

元帥閣下が楽にしろと仰りましたが、大和には不可能でした。クザン大将閣下もゲンナリしていましたが、無理な物は無理です。

 

「……では、そのまま構わんから、聞いても良いか?」

 

「は、はい…」

 

「……では先ずは…」

 

☆☆☆☆☆☆

 

「フム…つまり、大和君。キミは異世界から来たと?そして、海賊とは無関係だと言うのかね?」

 

「はい。大和の記憶が正しい物であれば」

 

質問攻めにされましたが、なんとか慣れて、まともに受け答え出来るようになりました。あと、元帥閣下がおかきをくださいました。美味しいです。

 

「……どう見る。クザン?」

 

「どうもこうも…判断材料が少なすぎるでしょうよ…」

 

元帥閣下とクザン大将閣下が考え込んでいます。すると、お部屋に人が三人入って来ました。

 

「疑わしいなら、拷問にでもかければ其で終いじゃァ!!」

 

入って来た三人の内、顔の厳つそうな人がいきなり、大和に拷問宣言をしました。その人を見た瞬間、和は直感しました。そして、迷わず思った事を口にしました。

 

「あ、ごめんなさい。貴方は生理的に無理です」

 

「「「え?」」」

 

大和の言葉に、部屋が凍りつきました。あ、クザン大将閣下が凍らせた訳じゃないですよ?比喩ですから。

 

「あ、あの~大和さん?ソイツも一応…大将なんだけど…?」

 

クザン大将閣下が少し狼狽えながら大和に声をかけます。

 

「あ、大将閣下でも、元帥閣下でも、神様でも、何であろうと、この人は生理的に無理です。不可能です。砲撃したいです」

 

何故でしょうね?三人の内、黄色いスーツの方も、とても強そうなご老人にも、不快感は沸かないのですが、この人だけは駄目でした。

 

「馬鹿にしちょるんか!!小娘が!!」

 

「いきなり拷問宣言をする人にいい感情は沸きませんよ?あ、でも…何も言われなくても、絶対に嫌いになってますね。自信があります。ここまでの揺るぎない自信を持ったのは初めてです」

 

「ッ!!貴様ァ!!」

 

大和の言葉を聞いて、胸ぐらを掴んできました。その時でした。強そうなご老人が大笑いしました。

 

「ぶわはははは!!こりゃ面白い!!サカズキにそこまで言う奴は初めてだわい!!」

 

「ガープ貴様ァ!!何が可笑しいんじゃァ!!」

 

笑い声を聞いて、騒ぎだしました。五月蝿いです。

 

「確か、大和じゃったか?ワシはガープ。中将をやっとる」

 

笑っていた方は、ガープ中将と仰るそうです。改めて見ると、やっぱりこの中では一番強そうです…恐らくは元帥閣下と同等でしょうか…?

 

「大和に何かご用でしょうか?大和に関する質問なら…」

 

「ワシの部下にならんか?」

 

「えっ?」

 

いきなりスカウトされました。会って五分未満でスカウトですよ。どうやらガープさんは直感型の方の様ですね。

 

「ガープ…またお前は勝手に!!素性もよく分からん奴をそう好き勝手には…」

 

「ならば、監視の名目で傍に置く!こいつは強くなる!!それはお主も分かっとる筈じゃ!サカズキに会った瞬間から感じる強力な“覇気”!間違いなく鍛えれば化ける!!」

 

ガープ中将が熱弁していますが、大和にはよく分からない話です。どうやら、ガープ中将は大和を鍛えたいみたいです。どうしましょうか?

 

「……何だか面倒そうだねェ~…あっしは何でも良いよォ…」

 

黄色いスーツの方はそう言い放ち、その場から“消え”ました。

 

「……消えました!?えっ!?」

 

一瞬光ったかと思ったら、消えました!!意味が分かりません!!

 

「悪魔の実も知らんのか。となると、確かに異世界から来た可能性も…」

 

元帥閣下が何やら呟かれましたが、成る程。あれが悪魔の実の能力と言うやつなんですね。そう言えば、大和は生理的に無理な人…名前がサカズキと言うらしいですが、その人に掴まれたままでした。

 

「いい加減触るのやめて下さい。不快です」

 

大和がそう言うと、大和を掴んでいる人の顔が真っ赤になっていきました。そして、顔がドロドロに…

 

「えぇ…気持ち悪いです。鈴谷さんの言い方を借りれば、『きっも!!なんかドロドロする!!』でしょうか?」

 

あれはヌメヌメでしたっけ?まぁ良いです。何故か本当にこの人は気に入りません。前に提督に『キミは本当に裏表が無いな』と言われましたが、大和にはとんでもない裏の感情が有った様です。

 

「大和…熱く無いのか?」

 

「えっ?」

 

よく見ると、ドロドロした物は、溶岩だったみたいです。ですが、大和には通じません。

 

「最初に浴びたバーナーの方が熱いですね。しかも、普段から空爆とか受けていたので、熱さには強いんですよ。空爆で辛いのは、寧ろ爆発の衝撃ですしね」

 

今更ながら、あの妖精さんが使っているバーナーは一体…?

 

しかも、あれの直後に平然と提督にご挨拶しなければならないので、結構辛いです。

 

「巫山戯ちょるんか…!!」

 

「至って真面目ですよ?艦娘は如何なる状況下でも戦いますから」

 

更にドロドロしてきましたが、服を多少溶かす程度で、やっぱり熱くはありませんでした。長門さんなら、服すら溶けない気がします。陸奥さんは何故か爆発しそうですが。

 

「サカズキ、そのくらいにしておけ。部屋が火事になる」

 

元帥閣下が止めて下さいました。それを聞いて、顔をしかめながら、漸く大和を放しました。

 

「チッ!!腹が立つ…」

 

そう吐き捨てて、ドロドロは部屋を出ていきました。ドロドロするのも悪魔の実の能力なんでしょうか?

 

「ちょっと大和さん?マジでアイツにケンカ売るのやめてくんない?俺が連れてきたから、ま~た俺が突っかかられんだからさァ…」

 

クザン大将閣下が溜め息混じりに愚痴を溢しました。それは申し訳無い事をしてしまいました。

 

「実は大和も驚いています…あんなに毒を吐いてしまうなんて…」

 

「サカズキの奴は女受けは悪いからな!!」

 

またもガープ中将が笑いながら話します。

 

「で…ワシの誘いには乗ってくれんのか?」

 

忘れていました。大和はスカウトされたんでした。行く宛が無い以上、魅力的なお誘いではありますが、深海棲艦が存在しない世界なら、ゆっくり平和に暮らしたいと思っている自分がいます。元の世界に戻れるなら、戻りたいですしね。

 

ですが、この世界では海賊が猛威を振るっており、平和とも言えません。深海棲艦ではありませんが、人々の平和を脅かすなら、放っては置けません。大和にも“誇り”があります。

 

「元帥閣下のお許しがあれば、謹んでお受けさせていただきます」

 

大和は決めました。戦う事を。深海棲艦との戦いで手にした“誇り”と…あの戦いで沈んでしまった“武蔵”に誓って。




艦娘と深海棲艦は悪魔の実の能力でも、生半可な攻撃は通用しない(偏見)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。