戦艦大和、大海賊時代でも推して参ります!! 作:貧困鎮守府無法地帯
「その勝負…待て!」
その大きな声で、大和とコビーさんは止まりました。声の聞こえた方向を見てみると、紫色の髪をしたご老人がいらっしゃいました。右腕はとても大きな機械になっています。なにあれカッコいいです。
「ゼファー!!何しに来よった!!大和ならやらんぞ!?」
ガープ中将が大きな声を出します。成る程、あの人が元帥閣下の仰っていた、ゼファーさんの様ですね。
「おいガープ、ケチ臭い事を言うな。俺の“海賊遊撃隊も人手は必要だ。そこの伍長は見所はある。そんな奴が既にお前の所に居るんだ、これ以上お前の所にばかり、優秀な奴を渡すわけにはいかないだろう?」
「フン!!ならば自分で見付けて育てればええじゃろ!!お前は教導官の経験もあるしな!!」
何やら大和を巡ってケンカをしている見たいですが『大和の為に争わないで!!』見たいな感じではありませんね。
「あのぅ…大和さん?」
コビーさんが小声で話し掛けて来ました。
「なんでしょうか?」
大和も小声で応じます。
「僕達の戦いってどうなるんでしょうか…?」
「あー…多分お流れでしょうね。寧ろあのお二人が戦いそうな空気ですし…」
今にもガープ中将とゼファーさんが戦いそうな空気になってきました。既にお互いに間合いを取ってます。
「どどど、どうしましょう!?大和さん!!」
コビーさんが物凄く慌てています。大和よりも先輩なんですが…
「そうですね、ここで暴れると元帥閣下にもご迷惑がかかってしまうでしょうし、止めましょうか」
「止める!?どうやってですか!?ガープ中将とゼファーさんの戦いを止めるなんて無理ですよ!!」
コビーさんが更に騒ぎます。良いリアクションしますね。
「大丈夫です。大和に任せて下さい」
そう言って、大和はお二人に近づきます。しかし、お二人は大和に気付かずに言い争いをしています。
「黒腕のゼファーともあろう奴が、他人の見付けた原石を掻っ攫おうとは…堕ちたな!」
「何だとガープ!お前こそ問題ばかり起こしていながら!!」
(似た者同士…ですね。鎮守府でもこう言うケンカは多かったなぁ…)
結構近くに来たのに、まだ言い争いを続けています。この位置なら、流石に声が聞こえると思います。
「あの…ちょっと良いですか?」
「何じゃ!!」「何だ!!」
お二人が同時に大和を見ます。やっぱり似た者同士です。
「ここで暴れると元帥閣下にご迷惑がかかってしまうので、提案があります」
「提案じゃと?」
「………」
ガープ中将は若干不服そうですが、ゼファーさんは黙って聞いて下さっています。
「はい。ガープ中将も、ゼファーさんも、とてもお強いのは見て分かります。」
「そうじゃろ!!」「……何が言いたいんだ?」
大和の言葉にガープさんは気を良くし、ゼファーさんも、言葉に若干の棘がありますが、笑っているのが分かります。これなら行けそうです。
「我儘を言う様で申し訳無いのですが、大和は思ってしまいました。『お一方にだけ教導して頂くのは勿体無い』と」
「………」
「…中々図太いじゃないか。益々気に入った!!つまり、俺とガープ、両方の指導を受けてから、どちらに所属するか決めるて訳か!!」
ガープ中将は考え込んでいる様ですが、ゼファーさんは大和の意図を肯定して下さるみたいです。
「その通りです。どちらが先というのはまだ決めてはいませんが…」
言い淀んだその時、ガープ中将が意外な言葉を仰いました。
「ならば先にゼファーの所で学べ」
意外にもガープ中将がゼファーさんに先を譲ったのです。
「こんな事を言うのも何だが…良いのか?ガープ」
「構わん。ワシも“丁度いい”と思っただけじゃ」
何が丁度いいかは分かりませんが、ゼファーさんはその言葉を聞いて、大和を先に教導することを決めた様です。
「お前が構わないなら別に良い。なら、ありがたく先に海兵の何たるかを叩き込むとしよう!」
「ああ、存分にやるが良い」
どうやら話は決まったみたいです。
「それなら早速俺の船に行くとしようか。こっちだ、来い」
「はい!それでは、ガープ中将…行って参ります!!」
ガープ中将に敬礼をして、大和はその場を後にしました。この時、大和はガープ中将が何故先にゼファーさんの所に行かせたのかを、深くは考えていませんでした。
☆☆☆☆☆☆
「大和…ゼファーを頼んだぞ…」
大和さんの後ろ姿を見送りながら、ガープ中将が呟いた言葉を、僕は聞き逃しませんでした。
「ガープ中将…それはどう言う意味ですか?」
僕の質問に、ガープ中将は哀しそうに答えてくれました。
「奴は…ゼファーは未だに復讐に囚われておる。じゃから、あの大和の純粋さを見て、少しでも奴の心の闇を晴らせるなら…しかし、もしもそれでも駄目だったならば…!!」
その時のガープ中将は、決意に満ちた表情をしていました。
ルフィに初めて会ったときに、ゼファーはルフィの顔を知らないみたいだったけど、流石にそれはアカンよね…