魔法少女と志筑仁美(別人格)が織り成す物語   作:細波伊織

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は、初の小説投稿なので至らない点等あると思いますが、温かく見守っていただけると嬉しい……です。
なお、本作はギャグとシリアスの間を迷走しながら突っ走る話です。
また、設定がかなりややこしくなっています。


第1章ー物語の始まりー
プロローグ


 ここはどこだろう?

 疑問に思った。

 幾ら辺りを見渡しても白い雲のような何かが地平線のように続いているだけ。

 何かとしか言いようがなかった。

 本当に雲なのかもしれない。

 しかし別の何かである可能性もある。

 表現の使用が無かったのだ。

 私が纏っているのも白い無地のワンピースだけで、靴も履いていなかった。

 

 「誰か居ますか?!」

 

 私の叫びは虚しくこだまするだけだった。

 もしかするとここには私以外の誰もいないのでは無いだろうか。

 ふと、そんな事が頭を過った。

 そうだとすれば、私は一体どうすれば良いのだろうか。

 右、左所か上下が正しいのかすらも分からないような真っ白な空間。

 そんな空間に一人で居ることに耐えられるのだろうか?

 耐えられるはずがないよね。

 という事で宛はないが歩く事にした。

 数分歩いたところ、何処だかは分からないが、優しい光に包まれた空間に出た。

 髪の毛の一部を白いリボンで結い、一部を下ろしたピンク色の長い髪に、優しげな黄金の瞳。

 透けた翼。

 胸元に宝石が付いた白いドレス。

 白い手袋に足首の辺りに白い翼が付いた薄ピンク色のブーツ。

 歳は10代後半に達するかどうかと言ったところだろう。

 少女は綺麗に微笑むと、手招きをした。

 部屋に入れと言っているのだろう。

 素直に少女の元へ歩く。

 数メートル離れたところで止まると、少女がゆっくりと立ち上がり、私に歩み寄り、距離を縮める。

 

 「あなたは誰? どこから来たの?」

 

 小さな子供に語りかけるように私に問いかける少女。

 子供扱いされていても不思議と嫌な気がしない。

 少なからず、少女が纏う慈愛に満ちた雰囲気も影響しているのだろう。

 

 「分からない。気付いたらここに居た」

 

 私が素直に答えると、少女は困ったように眉を寄せる。

 その動作すらも絵になるのには恐れ入る。

 

 「そうなの……名前は?」

 

 質問を変え、先程と同じように私に問いかける少女。

 

 「分からない……」

 

 私が答えると、少女は突然慌て出した。

 

 「え、な、名前も分からないの? ど、どうしよう……」

 

 そう言ってキョロキョロする少女。

 落ち着き、慈愛に満ちていた少女は見る影もなく、年相応の幼さに溢れた少女に見えた。

 その動作に、自然と顔が綻ぶ。

 

 「ひ、酷いよ! 私本当に困ってるのに!」

 

 頬を膨らませる少女は、やはり普通の少女にしか見えない。

 なのに人とは違う何かを感じる。

 

 「でもここに居るんだから魔法少女……何だよね?」

 

 少女が問いかける……というよりはすがるような目で私を見る。

 魔法少女と言う言葉に違和感は無かった。

 しかし、覚えもなかった……詰まるところ、分からない状態だった。

 

 「分からない」

 

 少女は私に背を向けて俯いた。

 然り気無く少女の足元を見ると、床にポタポタと涙が零れているのが見えた。

 私は悪くないはずなのに罪悪感で胸が一杯になる。

 何だか分からないけどごめんなさい。

 

 「今まで、こんな事無かったのに……」

 

 少女の声が少しずつ涙声になっているのも私の罪悪感を大きくする。

 何だか本当に本気でごめんなさい。

 そんな時、慌ただしい足音が聞こえた。

 少しずつ近付いている気がするのは私だけではないはずだ。

 バタン! と物凄い勢いで扉が開いた。

 

 「まどか! 大変だよ! 円環の理が……円環の理のシステムが一時的に停止した!」

 

 少女の瞳からポロポロと涙が零れる。

 

 「今までば……ごんな事ながっだのに……何でいぎなり、ごんな……」

 

 胸が締め付けられる。

 私は悪くないはずなのに……物凄く胸が痛い!

 

 「1ヶ月の間に5000人分の絶望を浄化するのは幾ら円環の理でも不可能だって! しかも何か一人一人の過去とか絶望とか重いし!」

 

 円環の理。

 何処かで聞いた事がある気がするが思い出せない。

 

 「でも……最初の方は大丈夫だったよね?」

 「だ・か・ら! 浄化しきってない今までの絶望も貯まって、システムが一時的に止まったの! どうする? 今までの子は何とかなったけど、そこの子の記憶が戻るには1ヶ月はかかるだろうって話!」

 

 話についていけない。

 どうしよう。

 何だかヤバそうな会話が繰り広げられている中、私の頭に浮かんだのはそんなどうでもいい疑問だった。

 

 「ずっとこのままにするわけにもいかないよね……しょうがない、よね……」

 

 決意したように涙を拭う少女。

 何となく嫌な予感がするが、この予感が外れてくれる事を祈ろう。

 

 「一つだけ願い事を叶えてあげるから今は我慢してください!」

 

 えー。

 取り合えず私はまどかと呼ばれている少女に頭を下げられ、一つだけ願い事を叶えてもらえることになったのだ。

 

 「記憶を取り戻したいって言うのは?」

 

 瞳一杯に涙を貯め、頭を下げた少女。

 

 「それ以外で……お願いじまず! ごめんなざい! ごめんなざい!」

 

 もう言わないから泣かないで下さいお願いします!

 私の方こそごめんなさい!

 思いきり叫びたくなったが、お互い延々と謝罪を繰り返すだけになるだけな気がしたので、(心の中で)その言葉はビリビリに破り捨て、紙片をかき集め思い切り踏みまくった後、(また)紙片をかき集め丸め、水浸しにし、(またまた)紙片をかき集め丸め、これでもかと言うほど圧縮してかかとで踏んづけ捲りまた濡らし、砂まみれにした後川に流した。

 すまんな文字達。

 恨みはないが少女の笑顔のため今は流されてくれ。

 ふと思った、少女は感情があり、年相応の笑顔を見せる普通の少女にしか見えない。

 なのに、なのに……矛盾しているがいつも、年相応に輝いているはずの笑顔なのに、どこか悲しげな少女の笑顔。

 私はどうして、輝いているのに悲しげな笑顔を見せているのだろう?

 その疑問は胸に留めずに口に出した。

 

 「貴方はどうしてそんなに輝いているはずなのに悲しげな笑顔を見せるの?」

 

 私の問いに、水色の髪の毛の少女までもが目を見張る。

 少女は涙を溢さなかった。

 その代わり……物凄く、悲しげな顔で語ってくれた。

 鹿目まどかという平凡な少女が、全ての希望となる円環の理と呼ばれる概念になるまでを……。

 

 「だから私は、魔法少女を助けられて嬉しい。でもほむらちゃん一人に私を覚えていて欲しいっていう重荷を背負わせてしまったんじゃないかって悲しいの……」

 

 ……だから少女は、こんなに輝いているのに、あまりにも悲しい笑顔を浮かべるんだ。

 大切な友達に重荷を背負わせてしまったんじゃないかと……概念となった今では相手に干渉することができない。

 いや、それ以前の事ではないか?

 何故少女が概念という存在にならなければ魔法少女を救えなかった?

 少女が大切な仲間と笑い会いながら魔法少女を救える道は無かったのだろうか?

 何故ごく平凡な少女一人が魔法少女を救済するという重荷を背負うことになってしまったのだろうか?

 少女が優しかった?

 少女が魂をかけて願わなければ救えなかった?

 少女が仲間と笑い会いながらも魔法少女を救済する、これを両立することは不可能なの?

 全て違う。

 優しいだけじゃない、絶望を受け止めることが出来るくらいに少女が強かった。

 普通なら泣き叫んでしまうだろう。

 そんな優しく強い少女の魂をかければ、別の願い事でも救えるでしょ?

 そうすれば両立できるでしょ?

 ここに居る魔法少女だけで円環の理を構築する事だって出来るんじゃないの?

 私の願いは決まった。

 

 「私をさ、その仁美って言う子の意識に飛ばして欲しい。根本から覆してあげるよ、あなたの優しさと強さも含めて。そんな物語私は許さないからね」

 

 少女が驚き、目を見張る。

 しかし、すぐに悲しげな顔で笑った。

 

 「でもね……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 私はそれを鼻で笑い、少女に歩み寄った。

 

 「それも分かってるよ。だから私の魂を志筑仁美の体に入れてくれって頼んでるんじゃん。あ、貴方の因果とかそう言うのも私に頂戴ね」

 「ま、まさか貴方は……」

 

 続きを言わせないように私の言葉で遮る。

 

 「お願いね」

 

 少女は渋々頷いた。

 水色の髪の少女が止めに入ってきたが、あえて無視して話を進めた。

 

 「注意しておくけど、あなたが満足するまでここに帰ってくることは出来ないよ?」

 

 つまり、少しでも間違えたら私は永遠に魂だけの存在として志筑仁美の中で過ごすことになる。

 

 「仁美ちゃんの意識を押さえていられるのは1日の内半日と数時間程度だからね? 完全に押さえていると仁美ちゃん自身の意識が曖昧になってきちゃうから、やらないとは思うけど願いを使ってねじ曲げたりはしないでね?」

 

 やるつもりは無かった上に考えてすらいなかったので、これは特に問題無い。

 

 「あなたが契約しても仁美ちゃんの魂がソウルジェムに変化したわけじゃないから仁美ちゃんは間違っても魔法少女にはならないからね。仁美ちゃんがキュゥべえと契約したら魔法少女になると思うけど……今までは無かったから大丈夫だと思う」

 

 つまりは志筑仁美の意識と変わっているその間に私のソウルジェムを持っても反応はなしないと言うことだろう。

 私の意識が志筑仁美の中にあるのだから魂が実体化しても大丈夫だろう。

 

 「私の因果とかそう言うのもあなたに譲っちゃうけど……本当にいいの?」

 

 何も言わずに大きく頷いた。

 

 「分かった。出来るだけ私も支援はするけど……気を付けてね?」

 「分かった。じゃあ、幸せになれるまで待っててね?」

 

 飛びきりの笑顔で頷いたあの少女の為にも頑張らなくては。

 そして私の意識は暗転し、エレベーターに乗っているような微妙な気分へと陥ったのだった。




やはりシリアスとコメディの間を突っ走っている気がしますが、これからよろしくお願いします。
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