その静寂は,心を折るには十分すぎるものだった。
無人の講堂は,どこか寒くて,もう4月だというのに思わず身震いしてしまう。
彼女たちに与えられた試練。それは試練というにはあまりにも過酷だった。
「高坂さん」
どんな言葉をかけるべきか,何を言うべきか全くわからない。
そもそも今の彼女たちを――励まそうなんて考えることが失礼なのかもしれない。
でも,今何も言わないのは『逃げ』のような気がして。
「やっぱり,そうだよね……」
僕の口が言葉を吐き出すコンマ何秒かの差で高坂さんの口が動いた。
彼女は,笑っていた。
今にも泣き出しそうな瞳で,『笑顔』だなんてとても思えない顔で,
それでも彼女は『笑って』いた。
「世の中そんなに甘くない……!」
ヘシ折られているであろう心で,それでも彼女は今できる精一杯のポジティブシンキングをしている。
あぁ。
心の中であるモノが首をもたげる。
しばらくコイツとは会いたくなかったのに。
「え? オマエ,まさかまだ希望なんて持ってたの?
バーッカじゃねぇの?
あんだけいろんな目にあって,怒って,泣いて,周り全部恨んで,
そんなオマエが『これだけ頑張ったんだ,きっとうまくいくよ!』だなんて……
え,何? ジョーク? マジウケるんですけどぉ!!」
「……うるせぇよ」
「何々,何か言った?
あっ,まさか怒っちゃった? ねぇ,怒っちゃった感じ?
もしかして図星突いちゃったとか?」
ソイツは,どうしようもない,もう一人の自分だった。
「まぁね,気持ちは分かるよ。あの子達頑張ってたもんな?
朝早起きして,夕方は遅くまで残って練習ばっかしてたもんな?
頑張れば,報われる。そう思いたいもんな?」
「お前は,黙ってろ……!」
「本当に辛いのはあの子達。じゃあ何でオレが出てきた?
お前が諦めかけたからなんじゃないのか? 違うか?」
そうだ,僕は……
「オマエにこの仕事は向いちゃいねぇよ,誰かを導くだぁ?
笑わせんな」
僕は……
「いやぁ,すっかり空っぽだねぇ!!」
全力で,大声を張り上げた。
「松本,先生……?」
「結構頑張ってチラシ配りとかしたんだけどねぇ。ご覧の通り誰も来やしないや。
もしかしてだけど,
10人とか20人とか,まとまった人が来てくれるなんて甘いこと考えてたわけないよね?」
「ちょっと,何よその言い方!」
後ろで高坂さんの友達が本気で怒っている声が聞こえる。
――いい友達だね。
そう思うのは心の中だけ。顔は,かなり挑発的なことになってると思う。
「ついこの間アイドル始めたばっかりだってのに,人が集まるわけないじゃん!」
「それは,そうですけど……
でもっ!」
「あんなに声をかけたから何人かは来てくれる。そう思っていたわけだ。
甘い。甘いよ高坂さん」
放たれる言葉に高坂さんはたじろぐ。
(気づけ……!)
「そもそも君たちは何でアイドルを始めた?」
「それは……廃校を阻止したいから――」
「それがこれからも続くようなら,多分お客さんは一生来ない」
彼女のセリフをぶった切って僕は言葉を叩きつける。
憎まれたっていい,恨まれたっていい。
それでも僕は,大事なことを伝えなきゃいけないんだ。
タッタッタッタ……
足音が聞こえる。
「本当にそんな理由でアイドルがしたいの?」
「……違います」
高坂さんの瞳に,火が宿る。
不意にそんな錯覚に陥った。
タッタッタッタ
足音はどんどん近づいてきて……
「聞かせてくれ,君たちがアイドルをしたい理由を!」
「それは……」
バンッ!!
扉が,勢いよく開いた。
「あれ? ライブは……? あれぇ?」
聞き覚えのある声が聞こえた。
さっき声をかけてきた1年生の女の子だった。
「やりたいからです!!」
ついに,その声が聞けた。
――よく言った。
「ならどうする? お客さんはもう来てるぞ?」
「はいっ!」
そして彼女は親友2人に声をかける。
「やろう,全力で!
そのために,ここまで来たんだから!」
さぁ,ステージを始めよう。
完敗から始まる,最高のステージを。
しばらくかかるといったな,あれは嘘だ。
意外とすぐ上げることができて自分でも驚いております。
現在スマホを没収されておりまして,発狂寸前の毎日を送っております。
1番辛いのは……
スクフェスができねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!
よりにもよって希イベでこんなことをするとか悪魔か!
……ハッ,つい素が。
そんなこんなで次は何時になるか分かりませんが,できるだけ早い更新ができるよう努力していくつもりです。(ただしできるとは言っていない)
それでは,ありがとうございました!