「ゴメン。もう限界。」
「にこちゃんの理想の高さは凄いと思うよ? でも、私たちがしたいのはそんなんじゃないの」
手元にある2枚の退部届。それは私と彼女たちとの溝を表しているみたいだった。
「そう。分かったわ」
私と2人とでは何かが違かった。私の目指す場所は、彼女たちにとっては高すぎる山の頂だったのかもしれない。
「それじゃあ、頑張ってね」
「応援してるから」
私が2人を引っ張り、共に高みへと昇っていく。そんな私の願いは、ただの独りよがりだったのかもしれない。
ーー違う。
「一人がなんだって言うのよ。ソロで活動してるアイドルなんてザラだわ」
私はアイドル。
お客さんを、笑顔にさせる存在。
「人数なんて、関係ない……!」
*****
「それでは! μ'sの練習を始めたいと思います! 1!
「2!」「3」「4」「5」「6」
「いやぁ〜、6人だよ! 6人!」
「高坂先輩まだそんなこと言ってるにゃぁ〜」
「どんだけ嬉しかったんだ……」
1年生の三人が入部してから数日。高坂さんはまだはしゃいでいた。
「ていうか、その絆創膏どうしたの?」
「何か、変な人がいて……」
「変な人?」
突然、不穏な単語が飛び出してきた。
「まさか、そいつにやられたとか?」
「んー、余り悪い人って感じはしなかったけどな」
「いやいや、危害加えられた時点でアウトだから。
それで、どんな奴だったの?」
「女の人だったよ。サングラス掛けてて、マスクつけてて、コート着てた!」
完全な不審者じゃねーか!!
「な、何か言ってたりはした?」
「えっとね、『あんた達、とっとと解散しなさい!』って言ってた」
「南さん、今日朝練行けなくてごめん。明日からちゃんと参加するから」
薄々思ってはいたけど、高坂さんって結構アレだ。アホの子だ。
「それでね、その人に……」
「その人に?」
「デコピンされたの!」
……は?
「デコピンで絆創膏って、大げさすぎないか……?」
「そんなことないもん! 赤くなっちゃったし、すっごく痛かったんだよ!」
「あ、うん。分かった。分かったから、そろそろ練習しよっか」
「先生、今穂乃果の事バカにしてない?」
「いや、そんなことないぞー。この子アホなんじゃないかなとか、欠片も思ってないからな」
「そう? ならいいけど」
うん。やっぱりアホだ。
*****
「雨だ……」
「やっぱり降ってたか」
「これでは練習は無理そうですね」
外はあいにくの天気。無理して風邪でもひいたら行けないから今日は屋内練習に……
「お、雨少し弱くなってきたよ!」
「テンション上がるにゃぁ〜!」
言うが早いか高坂さんと星空さんが飛び出してしまう。
濡れた地面であれだけ激しい動きができるなんてすごいな……
星空さんが決めポーズを決めた途端、そろそろ止むかな? といった感じの雨脚が土砂降りになった。なんだこれ。
「私帰る」
「真姫ちゃん……」
「えぇー! 帰っちゃうのー!」
「それじゃ凛達がバカみたいだにゃぁー!」
「バカなんです」
アホらしいといった感じで帰ろうとする西木野さんに、ズブ濡れの二人が抗議する。
もっとも、園田さんに一蹴されていたが。
というより園田さん。よく言ってくれた。
いかがでしたか?
気づけばUAがもう直ぐ10000! ビックリです。こんなに多くの人に読んでいただけるとは……!
これからも頑張ります。感想&評価、お待ちしてます!