君ならどうする?
自分たちが好きで始めた事を快く思っておらず、その上に自分のご飯を食い逃げした人にどうしても話をつけなければいけない。
挙句、心の準備ができる前に鉢合わせしてしまった。
そんな時、君ならどうする?
「気まずい」の代表格のようなこの状況。
先に動いたのは矢澤さんの方だった。
「うにゃぁぁぁ!」
キレたアイ◯ーの様な声で連続猫パンチ、高坂さんが怯んだ隙にすぐさま部室に飛び込むと、内側から鍵を掛けてしまった。
「あ! 部長さん!」
内側からは何か重いものを積み上げる様な音がする。即席のバリケードを作っているのか。
(この子……慣れてる!)
普段からどの様に籠城するか決めていないとこういったことはなかなか出来ない。何故そんな事が言えるのかって?
……そりゃぁ、ほら、ね?
男子なら誰しも一度は考えた事があるのではないだろうか?
もしある日突然、学校にテロリストが現れたら。ゾンビの群れが押し寄せてきたら。どの様に対処しよう。
一言で言ってしまえばただの厨二病。そんな時期が僕にもありました……
僕が過去の思い出(黒歴史、とも言う)に浸っている間に、星空さんの姿が見えなくなっていた。まさか外に回り込んだのか?
ドアで時間を稼いでいる間に窓から逃亡。基本的な戦術ではあるが、それだけに効果もある。星空さんには通用しなかっただけで。
どうやら彼女はドアが使えないと見るや、ためらう事なく外に駆け出し、窓から逃亡を図った矢澤さんを抑えに行った様だ。
もはや野生の勘。本能と言えば良いだろうか。
そして僕たちが外に出た頃には……
「捕まえた!」
矢澤さんはあえなく御用となっていたのだった。
何故か藁まみれで。
*****
さして広くはない部室に、6人分の驚嘆の声が上がる。
無理もない。
「これ、よく持ち込めたな……」
壁という壁にはA-RISEを始め様々なアイドルのポスターが貼られ、部屋とほぼ同じ長さの棚にはこれでもかとばかりにグッズ、DVD、CDなどが陳列している。順番が混ざっていたり、埃が被っている物は何一つとしてない。
「校内にこんな場所があったなんて……」
「勝手に見ないでくれる?」
抗議の声を上げる矢澤さん。高坂さんを始め5人はそれで目を離したが、1人、小泉さんだけは違う反応を見せていた。
「こ、これはッ!
伝説のアイドル伝説! DVD全巻BOX! 持ってる人に初めて会いました!」
「そ、そう?」
おぉ、あの矢澤さんが押されている。と言うか引いてるのか?
「ふぇー、そんなに凄いんだー」
高坂さんのこの一言は、感動に震えるファン(小泉さん)の前で言うにはあまりにも無防備すぎた。
「知らないんですか!?
伝説のアイドル伝説とは、各プロダクションや事務所、学校などが限定生産を条件に歩み寄り、古今東西の素晴らしいと思われるアイドルを集めたDVDBOXで、その希少性から伝説の伝説の伝説。略して伝伝伝と呼ばれる、アイドル好きなら誰でも知ってるDVDBOXです!」
「花陽ちゃん、キャラ変わってない……?」
やや引き気味の高坂さんに構わず、小泉さんは話を続ける。
「通販、店頭共に瞬殺だったそれを2セットも持っているなんて……尊・敬!」
「家にもう1セットあるけどね」
褒められて嬉しいのか、どこか誇らしげに語る矢澤さん。その一言が小泉さんにかなりのダメージを与えている。
「本当ですか⁉︎」
「じゃあ、みんなで見ようよ」
「ダメよ。
それは保存用」
保存するなら何で学校に持ってきてるんだと思わないでもないが、口にしたら何を言われるか分かったものではないので言わない。
小泉さんと言えば……
「くぁぁぁぁぁ!
で、伝伝伝……!」
勝負に敗れた決闘者のようなありさまになっていた。この子本当に小泉さんなんだろうな?
「あぁ、気づいた?
アキバのカリスマメイド、ミナリンスキーさんのサインよ」
棚の最上段に飾られた色紙に南さんの視線が釘付けになっている。彼女もファンなのだろうか。
「まぁ、ネットで手に入れたものだから、本人の姿は見た事ないけどね」
「と、とにかく。この人凄い!」
何故かホッとした様子の南さんだったが、これ以上本題から逸れてもまずいから黙っておくことにする。
「それで? 何しに来たの?」
矢澤さんの声は、問いかけよりも確認に近かった。大方、僕らが来た理由は察しているのだろう。好意的、否定的。どちらの返事がもらえるかは別だが……
いやぁ〜早めに投稿できて良かったなぁ(棒読み)
皆さんイベントは如何でしょうか。自分は5万以内に入れるか際どいですw
べ、別にイベントやりたいから短めにした訳じゃないんだからね!
それでは、またお会いする日まで。