前回の終わりといい、今回のサブタイトルといい意味深なことになってますが、松本はどうなってしまうんでしょうねー。
では、どうぞ!
「明日をもってあなたが受け持っている全ての仕事を解きます」
「……え?」
何言ってるんだこの人?
まずそんなことが頭に浮かんだ。
そして、
「えぇぇええぇぇ!?」
状況を把握した僕の脳は、絶叫を選択した。
後になって聞いた話だが、この時僕があげた悲鳴は運動場でも聞こえたらしい。
「ど、どういうことですか⁉︎
もしかして、く、クビなんですかっ⁉︎」
慌てて詰め寄る僕に、理事長は微笑みながら種明かしをしてくれた。
……できれば最初に言って欲しかったが
「ことりから聞きました。あの子達、スクールアイドルを始めたのでしょう?」
「あ、はい」
「あなたには、彼女たちのバックアップをして欲しいの」
「バックアップ、ですか……?」
「そう、あの子達やる気は充分あるみたいだけど、何事もやる気だけじゃ足りません。
簡単に言うと、マネージャーです」
「えっと、仕事は……?」
「それなら大丈夫です。すでに県の方とも協議済みですから」
「……」
あれ? いつの間にか退路塞がれてない?
いや、やりたくない訳ではないが……
「……わかりました。できる限りのことをさせていただきます」
こうして、僕はμ'sのマネージャーになったのだった。
*****
「スクールアイドルねぇ……」
ここは秋葉原。サブカルチャーのメッカであり、ありとあらゆる情報が集まる場所。
アイドルのことを調べるのに、ここ程いい場所は無いだろう。
「凄いな、スクールアイドルの専門店まであるのか……」
自分もアニメやゲームはかなり好きだし、世の中いろんな人がいることも分かってる。
でも、
「……おぅ」
目の色を変えてグッズを探すお客さん達を見ていると、ドン引きとまではいかないが微妙な気分になってくる。
「お、A-RISEだ」
スクールアイドルの頂点に立っている彼女達のコーナーはかなり大きく、その人気ぶりがよくわかる。
「あの子達、あんなんで大丈夫かな……」
曲も無い。衣装も無い。名前はあるけどそれを考えたのは顔も知らない誰か。
確かにやる気はすごい。
でも、理事長の言う通りそれだけじゃダメなんだ。
「ん、そろそろ練習時間だな」
秋葉原から神田明神までゆっくり行っても10分。
時間的にはまだまだ余裕だったが、マネージャーが遅れる訳にもいかないので早めに動くことにした。
「「「キャァァァ!!!」」」
女の子の黄色い歓声が耳を駆け抜ける。
「なんだ?」
騒ぎはUTX学院の方で起きているようだ。時間に余裕もあるし、なんとなく気になる。
(見に行くか)
この時の僕はまだ知らない。
自分のこの行動が、後に僕の人生そのものを大きく変えていくことに。
『こんにちは!
UTX学院にようこそ!』
UTX学院前では多くの人が巨大なモニターの向こうにいるA-RISEに歓声を送っていた。
でも正直に言うと、
誰が誰だかわからない。
なんか、すごいアウェー感である。
周りの人はみんなファンっぽいし、のこのこと「あの子達誰がなんていう名前なの?」と聞こうものならなんだかボコボコにされそうな気がする。それくらいの熱気だった。
「あっ」
周りを見るとちょうどいい具合に音ノ木坂の制服を着た2人組がいた。リボンの色からして1年生だろう。
女の子に話しかけることにはまだ少し抵抗があるけど、高坂さん達のバックアップをしていくなら慣れないといけない事なのだと自分を励ます。
「君たち、ちょっといいかな?」
「は、はいっ!」
「あれ、あなたは確か……」
リアクションを見る限り、1人は僕の事を知っているみたいだ。なら話は早い。
「そうそう、4月から音ノ木坂で働く事になった松本だよ。
君たちはA-RISEを見に来たの?」
僕はまだまだ知らなかった……
地雷というのは分からないように隠されているから効果があるのだと……
結果から言おう。
僕は地雷を踏み抜いた。
「はいっ! 毎月A-RISEの方々はUTX前でゲリラライブを行うんです! 日にちも時間も全くの不明! 彼女達がまだマイナーだった頃は自分たちを知ってもらおうとここてライブをしていたのですがメジャーになった今でもこうしてUTX学院の前でパフォーマンスをしているのです! まさに初心忘れるべからず! 勝って兜の緒を締めよ!
あぁ、なんてすごい人たちなのでしょう……!!」
「……へ、ヘェ〜」
ここで無難なリアクションを返す事が出来た僕は褒められてもいいと思う。
「かよちんアイドルの事になると性格が変わっちゃうんです。あはは……」
隣にいる友達らしき女の子も苦笑いだ。
「あの、できればちょーっとだけ教えてほしいんだけど、A-RISEのメンバーの名前を教えてほしいんだー」
「はぁーッ!? 先生そんな事も知らないんですか!?」
答えは後ろから聞こえてきた。
振り向くと、
「うおっ!?」
慌てて口を押さえるがもう遅い。
でも仕方ないと思うんだ。
振り向いたらもうそろそろ暖かくなってきたっていうのに分厚いコートを着て、マスクを着用し、挙句にサングラスまで掛けた子がいたんだもの。
「え、えっと……君は?」
「そんな事より!
あなた本当に知らないの?」
「は、はい」
年下であろう女の子に敬語を使っている僕に、呆れたようにその子は語り始めた。
「しょーがないわね。一度しか言わないからよく聞きなさい。
右にいる泣きぼくろが特徴の子が統堂英玲奈。作詞担当よ。
左のウェーブのかかった髪の子が優木あんじゅ。衣装を作っているわ。
そして中央のショートカットの子が綺羅ツバサ。リーダーであり、作曲もしてる」
「3人で全部やってるのか!?」
「そうよ、学校の勉強もしながらアイドルとしての活動も全力で取り組む。
それが、スクールアイドルなのよ」
想像以上だった。
彼女達はこの事を知っていて、それでもアイドルをしようというのだろうか?
もしそうだとしたら、
「僕も、頑張らないとな」
ひとり呟きながら、神田明神へと歩き始めた。
いかがでしたか?
いやー、クビにならなくて良かった良かった笑
そして、凛と花陽とにこを出すことができました!
凛ちゃんの出番が少ないのはひとえに文才がないからです……
推しの方申し訳ない……
次回もよろしくお願いします!