霧に消えゆく超大戦艦   作:霧のまほろば

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3週間ぶりです。

年末年始に向けての作業が忙しくて、編集時間が短くなってしまい、気付いたら3週間たってました。申し訳ありません。

それでは、どうぞ、ご覧くださいませ。


第9話 海魔は喘ぎ、旋風は止む

 

 

武蔵『な…なんだ、これは……。こんなものが実際に起こっていいものなのか…?』

 

茫然と呟く武蔵の目の前には、非現実的な激しい砲撃戦が行われていた。

マホロバと超兵器という分野に属する戦艦と潜水艦による砲撃、レーザー、ミサイルなどがお互いの質をすり潰そうと砲火を交えながら移動している。

空を覆い隠す程大量のミサイル、音速を超える速さで飛び交う砲弾、眩い光を放ちながら飛んでいくレーザーなどの光化学兵器。

そのどれもがお互いを食い荒らそうと牙を突き立てる―――訳でもなく一方的な蹂躙だった。

 

 

武蔵のみならず、大和も含めて全ての艦艇が少なからず損傷しており、武蔵と日向、伊勢に至っては、奇襲で扇状に放たれた魚雷群40発の内の数発が左舷に集中して命中し、大量の浸水が発生しており、左側に傾斜していた。ただ、応急修復は現在進行形で進んでおり、わずかながらも、傾斜も戻りつつある。

 

何故大和たちがこうまで損傷しているのか。小笠原諸島では、金剛や、比叡が手傷を負ったが、艦隊として見れば、ほぼ無傷で奪還出来た。

尤も、深海棲艦側も小笠原諸島の防衛は既に放棄しており、最低限の艦隊のみを残して、グアムまで撤退していたという要因があったが。

 

 

時は遡ること数時間前。

既に小笠原諸島を奪還した呉鎮守府と、アメリカの合同艦隊は再び陣容を整えて南下を開始して、グアムを目指した。だが、その道中、アメリカ太平洋艦隊が超兵器の急襲によって、壊滅したと知らせが入った。無念だったがすぐさま作戦中止を言い渡し、撤退しようと艦隊を反転させた時だった。

反転がすみ、陣形を整えた瞬間、いきなり艦隊の左側から魚雷が扇状に放たれ、運悪く日向、武蔵、伊勢に命中し、艦隊機動を鈍らせた。マホロバから忠告があったが、超兵器機関から発せられるノイズがあったせいで、潜水艦の存在を掴めなかったため、まともに食らってしまった。

思い掛けない奇襲で混乱する艦隊にさらなる追撃を加えようと海中から浮上して来る潜水艦のバラストタンクに海水が注入される独特の音を聞き取った駆逐艦が浮上する海面の周辺を駆け回りながら爆雷を投下する態勢を整える。

 

数秒経っただろうか。海面一帯が大きく泡だち、巨大な影が浮かんでくる。

 

不知火『(爆雷投下開始っ!!)』

陽炎『(行くわよ!!)』

電『(なのですっ!!)』

 

ドラム缶のような形状をしたものが駆逐艦の艦尾から次々と投下され、巨大な影が浮かんでいる辺り一帯泡立つように爆発した。だが、爆音に違和感があった。その違和感に最初に気付いたのは暁と天津風だった。

 

暁『(嘘!?)』

天津風『(効いてない!?)』

 

潜水艦の装甲を破壊した破砕音が聞こえて来ず、相も変わらず浮上し続けていたのだ。

そして、泡だつ海面を突き破って飛び出したものは、今まで見たこともない程巨大な潜水艦“ドレッドノート”だった。

全長290mはあるだろうかと思えるほど巨大な船体に、大和型戦艦が備えているような46㎝砲の2連装砲を2基持った規格外の潜水艦だった。

暫し言葉を失っていたが、それは浮上した“ドレッドノート”の砲撃によって中断せざるを得なかった。

 

金剛『初弾命中デース!? 大丈夫デスカ!? 大和!』

大和「くぅっ!かなり効きますね…」

 

“ドレッドノート”の主砲は、大和と同格の46㎝。だが、大和は45口径だったのに対し、“ドレッドノート”は55口径。砲身が長ければ、長いほど砲弾の貫通力は高い。だからこそ、大和の対46㎝装甲も効果が薄く、着弾の角度によっては装甲を破られて、砲弾の侵入を許してしまうこともあった。

 

初弾は幸い、パイタルパートと呼ばれる最重要装甲区画、すなわち、機関や、タービンがある区画を守る分厚い装甲に弾かれたが、それでも46㎝の威力は凄まじく、装甲に凹みを作ってしまった。

だが、超兵器はそこで攻撃の手を緩めるほど生易しい相手ではない。強烈な一撃を受けて硬直した大和の一瞬のスキを突いて、大量の酸素魚雷を放ってきた。“ドレッドノート”が持っている魚雷発射管は61cm6連装酸素魚雷発射管2基、58cm5連装誘導酸素魚雷発射管2基であり、一回の発射で撃てる魚雷は実に22本である。だが、今回放ったのは、前部にある魚雷発射管がそれぞれ一基ずつであり、11本のみだった。だが、そのすべてが酸素魚雷であり、通常の各国が使っている魚雷よりも長射程、高威力であるため、数は少なかったものの、一発の威力が高い為、大和でさえ油断しては、武蔵の二の舞になるという事は目に見えていた。

だからこそ、大和は必死に海面に目を凝らして、酸素魚雷の姿を探していた。しかし、酸素魚雷の特徴としては航跡をほぼ残さないため、目視は困難を極めていた。

 

危機一髪で舷側を掠めて2本の魚雷が通過していったため、ほっと一息を吐いたのもつかの間、通過した魚雷が突然反転して大和の船尾を追い始めた。

 

大和「なっ!?誘導魚雷!?」

東山「機銃で迎撃!」

 

“ドレッドノート”が放った誘導魚雷は自律誘導式であり、母艦が設定した標的の位置情報が入力され、それに従ってプログラミングされたように進むという方式であり、特徴としては音響ドラムのような欺瞞が通じにくいという事が挙げられ、高い命中率を誇る。だが、その反面、ジャミングやハッキングには弱く、一度魚雷の制御システムを乗っ取られると相手の武器として利用されてしまい、自身に戻ってきてしまう可能性もあった。

だが、此処では、魚雷の制御システムに即座にハッキング出来るような超高性能のコンピューターを積んだ艦船は居ない。そのため、防ぐ手はずは無いかと思われたが、突如としてレーダーが真っ黒に潰されてしまった。

 

ミズーリ『(こちらミズーリ。現在ジャミングフィールド展開中)』

 

ミズーリから発光信号が発せられ、それを読み取った結果、敵の放った誘導魚雷が苦手とするジャミング波を半円球状に張ってフィールドを展開したという。此れで敵は誘導式のミサイルや魚雷も撃てなくなってしまった。

 

このジャミング波の妨害を受け、大和を追っていた魚雷はあらぬ方向へ曲がって行ってしまった。更にミズーリが空母の護衛から離れて大和たち戦艦の援護に駆けつけてきた。

これを見た“ドレッドノート”は再び潜行して魚雷やミサイルを中心にした攻撃方法へ切り替えようと行動を始めた。

瞬く間に“ドレッドノート”のバラストタンクに大量の海水が入り、船体が大きく前に傾き、艦首が海中に没して潜航を始める。

その間にも大和、金剛や比叡、ミズーリが砲撃を加えてくるが、ミズーリが張ったジャミングフィールドが仇となって電探連動式が使えないため、なかなか命中弾が出ない。いや、仮に命中弾が出たとしても、“ドレッドノート”の装甲は自身の砲撃の直撃弾にも耐えられるように設計されていたため、大した損傷は出ないだろう。つまり、“ドレッドノート”の装甲は潜水艦にあるまじき対56cm装甲を施しているのだ。金剛型戦艦は36cm連装砲、大和とミズーリですら46cm砲しか持っていないのだ。そして、武蔵や日向、伊勢は損傷が深い為、砲撃戦には参加できずにいたため、必然的に除かれることになった。そのため、この場には56cm装甲を破れる砲は存在しないと言ってしまってもよかった。

 

―――マホロバを除いて。

マホロバの到着まであと1分―――

 

マホロバ『大和!ミズーリや金剛、比叡に砲撃戦から離脱するように促せ!このままでは私の戦闘に巻き込まれるぞ!それと、ミズーリにこのジャミングフィールドを解除するように伝えてくれ!』

 

不意にマホロバからの警告が入ってきた。だからこそ、慌てて発光信号を使ってミズーリ、金剛、比叡に離脱するように指示する。不満げな雰囲気が感じられたものの、直ぐに後退してくれた。やはり、ミズーリ達ももうすぐマホロバが到着するという事は分かっていたのだろう。だからこそ、ミズーリは無誘導のミサイルをロケット弾のように打ち出して“ドレッドノート”の牽制を取りつつ金剛や比叡の後退を援護した。そして、同時にジャミングフィールドを解除する。

 

マホロバ『後10秒で到着する!衝撃に耐えろ!!』

ミズーリ『(警告!この海域に音速を優に超えて接近する未確認飛行物体を補足!推定マッハ7!)』

東山「何ッ!?」

 

〈ズッッドォオォオオ!!!〉

 

隕石でも墜落したのかと思うほど巨大な水柱が上がり、高さ20mほどの巨大な津波が発生し、大和たちの船体を大きく揺らした。大和やミズーリの船体は7万トンある巨大な戦艦。並大抵の嵐やスコールでも陸地に近いほどの安定感がある戦艦である。そんな巨体が立つほども出来ないほど大きく揺れたのだ。どれほど大きな津波だったか分かるだろう。

 

東山「む……!遂に来たか?マホロバ…!」

 

400mを軽く超えていそうな巨大な水柱が崩れ落ちると、崩れ落ちた莫大な海水を船体に浴びても微動だにしない、漆黒の巨艦が凄まじい存在感を放っていた。船体に浮かぶ黄金色に光り輝く霧の艦隊の各艦が一つ持つ紋様が神々しい雰囲気を纏い、血を思わせる鮮烈な赤いラインが漆黒の船体を走るその様は禍々しいものを感じさせる。

その戦艦こそ第2次世界大戦を生き抜き、異世界へと渡り、霧の艦隊総旗艦へとなった超大戦艦―――マホロバ。

超大戦艦が70年という長い年月を経て再び人類の前へ姿を現す。

 

 

全長758m全幅63m全高70m、満載排水量30万5千トンという空前絶後の巨艦は見る者を圧倒する。

56cm3連装砲が9基立ち並び36cm2連装超電磁砲が10基配置され、更に127mm4連装高角砲が34基並び、針鼠を思わせる容貌は絶句せざるを得ない。

 

東山「………凄まじいな…」

大和「ええ……、まさか、此処まで大きいとは思いませんでした…」

ミズーリ『こ、これがマホロバ……』

 

此処で「ん?」と思う事があった。いつの間にか超兵器から発せられるノイズが消えており、普通に通信モニターが開けるようになっていたのだ。何故?と思うもマホロバからその答えが返ってきた。

 

マホロバ『超兵器機関から発せられるノイズの周波を解析し、中和できる波数の電波を発しているから電探も回復しているはずだ。此れより戦闘を始めるから巻き込まれないように退避していろ』

 

警告とも忠告とも受け取れるメッセージが送られ、マホロバとつながっている通信モニターが切れ、真っ黒の画面になる。

そして、到着してから沈黙していたマホロバに動きが起こった。喫水線下に青白い光が灯ると、急速に加速して“ドレッドノート”がいる海域へ急行する。

 

東山「矢矧、北上、暁、響は武蔵へ接舷して応急処置の手助けをしつつ現在出せる速度で空母群が退避している海域まで後退、日向には不知火、陽炎と吹雪。伊勢に球磨、初風、天津風だ。その他の駆逐艦は周辺の警戒をしつつもマホロバの交戦海域には立ち入るな。赤城達は偵察機を発艦して周辺に敵性の艦隊の有無を捜索しつつ雷装した攻撃機の用意を進めろ。ミズーリはレーダーで“ヴィルベルヴィント”の現在位置を知らせ」

『『『『『了解ッ!!』』』』』

 

ミズーリ『司令!“超高速巡洋戦艦ヴィルベルヴィント”マホロバの交戦海域へ到着まで10分!大和さんの電探でも確認できる距離です!』

大和「“ヴィルベルヴィント”補足!針路7のままで直進しています」

東山「む……確かに超高速巡洋戦艦の名に相応しい速度だな…」

 

呻くようにつぶやいた東山の視線の先には堂々と波を蹴立てて80ノットという従来の艦船とは大きく一線を画した速度で直進している“ヴィルベルヴィント”。

速度こそ脅威だが、その他には目立った兵装が無い為、ミズーリ単艦でも相手にできる。さらに空母から艦載機による爆雷撃とも共同して行えば仕留められない相手ではないと判断して指示を下そうとした。

 

東山「ミズーリ、赤城、蒼龍、飛龍、大鳳、信濃。共同で“超高速巡洋戦艦ヴィルベルヴィント”を撃沈―――」

マホロバ『駄目だ』

赤城『な、なんで!?』

東山「…どういうことだ?」

 

指示を下そうとしたが、現在も交戦中のマホロバから否認の言葉が入り、それに驚愕し、慌てて理由を問おうとする赤城。東山はマホロバが何故止めたのか理由が思い浮かばず、理由を聞こうと思い、問いかける。

 

マホロバ『お前たちはあの“ヴィルベルヴィント”が速度をに目を瞑れば従来の艦船と大して変わりないだろうと判断しているだろう?それこそが過ちだ。お前たちは超兵器の恐ろしさを根本から理解しきれていない。言葉で説明しても理解できないだろうから試しにミズーリ、50発のミサイルを放ってみろ』

ミズーリ『え?あ、はい、ハープーン発射!』〈ボボボッ!!〉

 

マホロバの言葉に疑問を持つが、とりあえず、先ほどの深海棲艦の機動艦隊に放ったのと同じように高機動型のハープーンを放つ。ミズーリの広い甲板の各地に設置されている多目的ミサイルVLSのハッチが開き、50発のミサイルが白煙を残して“ヴィルベルヴィント”に向かって行く。

 

そこで艦娘たちは驚愕を目の当たりにする。

 

“ヴィルベルヴィント”はミサイル接近を感知したと思えば、一時的にだったが、更に速度を増して90ノットへ上がり、その速度のまま、駆逐艦並の旋回軌道を描くが、余りにも速い速度で急速に舵を切ったものだから、慣性に逆らえず、船体が横滑りしながら舷側を見せつけ、鈍く光る多数の対空火器を旋回させて更に迎撃には向かない筈の主砲塔まで旋回させる。そして、V字型の煙突の付け根辺りにある球体にエネルギーが溜められていることを示すかのように赤く光り、赤いプラズマが漏れ出す。

 

―――まさか―――

 

誰かが洩らした声も次の瞬間掻き消されていた。

モニターの向こうで激しい砲弾の嵐を繰り出し、時折赤い光線が数本のミサイルを寸分違わず貫き、爆散させる。超怪力線照射装置によるレーザー攻撃を免れたミサイルも“ヴィルベルヴィント”が搭載する高性能のレーダーと連動して迎撃してくる砲弾の嵐から逃れることが出来ず、喰われて爆散していき、空中を爆炎で埋め尽くしていく。かくして、ミズーリが放ったハープーン50基は一瞬で全滅した。

そして、何より驚くべきなのは、ミサイルが爆散したのは“ヴィルベルヴィント”から800mの地点で一斉に爆散したことだ。これは“ヴィルベルヴィント”が迎撃のタイミングとミサイルの距離、迎撃に使った兵装の弾速を計算し、織り込んだ上での結果なのだ。

 

マホロバ『これで分かっただろう?徒に艦載機を赴けてもミサイルよりも遅いレシプロ機しかない編成では容易く撃墜される羽目になる。……ああ、だからと言って、戦艦で突っ込んでも完全に速度の次元が違う。砲塔の旋回が間に合わないだろうな。……ミズーリ、お前も同じだ。ミサイル迎撃で赤い光線が飛んできたのを見ただろう?あれは“超怪力線照射装置”と言って、いわゆるレーザー光線の一種を発する光化学兵装だ。その熱量は鋼鉄すら容易く解かせるほどだ。碌な防御兵装を持たないお前たちではまともに対抗できん。いくら対100cm装甲であったとしても砲塔や艦橋に集中して狙われれば致命的なダメージを受けかねないからな』

 

反論したかったが、反論できる材料が全く無かった。此れがマホロバじゃなかったら、そちらこそまともに抵抗できないじゃないですかと言えるだろうが、あいにく、マホロバは霧の艦艇だ。霧の艦艇は強制波動装甲、通称クラインフィールドという強力な防御力を持つ障壁を張って光化学、質量弾関係なく逸らしたり、無効化することが出来る。かつての世界の人類が霧の艦隊と交戦した時、全く霧に損傷を与えることが出来ずに壊滅した要因の一つがこれなのだ。

最も、クラインフィールドにも弱点があり、累積できるダメージエネルギーが一定量を超えれば、クラインフィールドを構成することが出来なくなり、その状態はエネルギーを放出するまで続くという弱点がある。だが、その一定量はクラスがあり、重巡クラス、大戦艦クラス、超戦艦クラス、超大戦艦クラスと分類され、重巡クラスであれば、侵蝕弾頭の攻撃を4発、大戦艦(コンゴウ)16発(ナガト)22発、超戦艦クラスは60発前後。超大戦艦クラス――マホロバならば、300発以上も余裕で耐えられるほど差がある。

マホロバは向こうの世界で模擬戦と称して自身のクラインフィールドの耐久性を見極めるためにマホロバVS霧全艦艇(マホロバ一切行動無)で行った結果、マホロバが受けた侵蝕弾頭は318発で累積エネルギーは僅か19%のみにしか達しなかった。この命中数はヤマトやムサシでも確実に沈没は免れない数であるが、マホロバはこれを一切表情を動かすことなく処理しきったのだから超大戦艦クラスの搭載するコア――Ωコアの演算素子の数が超戦艦クラスとは比較にもならないほど膨大なものだという事が分かるだろう。

 

閑話休題。

 

 

ミズーリ達を“ヴィルベルヴィント”から引き離すまでも無く、最初から狙いはマホロバのようで、ミサイルの迎撃で針路がずれたものの、直ぐに立て直しまっすぐに向かってくる。

 

マホロバ「ふむ……このままでは目の前に“ドレッドノート”、背後に“ヴィルベルヴィント”か。……まあ、問題ないな。押し切れば良いだけの話だ。―――穿て!」〈ドギィイイン…!!〉

 

マホロバのいう事は理不尽なようで理に適っている。そして、何より、超兵器を相手取るのは霧の艦隊総旗艦である超大戦艦マホロバなのだ。一般の艦艇と比べるのが烏滸がましいほど性能に差がある。超兵器が一般兵器を質ですり潰すのならば、マホロバは更に高みにある質で圧倒するだけの事。

 

霧の持つソナーで“ドレッドノート”の位置を詳細に掴んだマホロバは、超電磁砲を起動し、俯角を取り、『海中へ』砲撃を始めた。

“ドレッドノート”は深海400mまで潜ったため、そこまで撃てる兵器は無い。だが、自身はVLSでミサイルを撃ちっぱなしにできると油断していた。

 

〈ガァン!!ガガァン!!〉

 

完全に油断していたため、マホロバの超電磁砲による砲撃を受けることになるとは全く予想していなかった―――否、想像できようか。海中に向けて砲身を向けて砲弾を撃つことなど誰が予想できようか。爆雷や対潜ミサイルならば理解できる。だが、砲撃戦に使うような砲塔を海中へ向けて撃つなど想像できた者がいるだろうか。

 

マホロバが狙ったのは“ドレッドノート”の艦首にある潜航、浮上に重要な役割を果たすメインバラストタンク。

 

果たして、マホロバが放った鋭利な砲弾は水中抵抗を意図も容易く、紙を貫くかのように突き破って瞬く間に深海400mを潜航していた“ドレッドノート”のバラストタンクを防護する装甲壁に突き刺さるが、着弾角度が悪く弾かれてしまう。それでも超電磁砲の威力は凄まじく、装甲壁を飴細工のように凹ませている。マホロバが搭載している超電磁砲は36cmであり、金剛型が装備していた主砲塔と同格の大きさであるが、超電磁によって音速の4倍以上にまで加速された砲弾の貫通力は80cm砲にも匹敵する。無論、貫通力だけであり、炸裂力は36cm砲のままであるが。

 

〈バギィイン!!〉

 

80㎝砲にも匹敵しようかという貫通力を持つ砲弾が命中し弾かれた辺りが、木板を巨大な彫刻刀で彫ったかのように抉れており、僅か一撃で“ドレッドノート”の対56cm装甲を機能不全にまで追い込んだ。それだけではなく、潜水艦にとって重要な対水圧性能を欠如させるまでに至った。更に初弾が命中した箇所に2撃めの砲弾が命中し、歪んだ装甲壁を容易くぶち破られ、メインバラストタンクを貫通した。

そして、最悪なことに“ドレッドノート”が現在いる場所は深海400mの深い海だ。人間など凄まじい水圧でぺちゃんこになるような深海である。そんなところで対水圧性能を喪失してしまっては文字通り船体がぺちゃんこに圧し潰されてしまうだろう。これに慌てた“ドレッドノート”は急速浮上をかけた。

 

―――予期しない先制攻撃を仕掛けた、海上に待ち構える鬼神に挑みかかる海魔―――

 

 

自身の持つ兵装――46cm55口径2連装2基、61cm6連装酸素魚雷発射管2基、58cm誘導酸素魚雷発射管2基、多弾頭ミサイルVLS20基を起動し、浮上と同時に放てるように調整する。そして、メインバラストタンクは超電磁砲の砲弾が貫通し機能を奪ったため使えなかった。だが、“ドレッドノート”は比類すべきものが無いほど巨大な潜水艦である。だから、バラストタンクは艦首にあるものだけではなく、船体の至る所に配置されており、故障などでメインバラストが使用不可能になってもサブバラストタンクを使うことで潜航、浮上を可能にしていた。

サブバラストタンクに溜められていた海水を排水し、空気が入ることで290mの船体が浮力を得て緩やかにだが、海面を目指して浮上し始めた。

 

その影をマホロバが見逃す筈が無く、ソナーに加え、レーダーでも“ドレッドノート”の姿を補足していた。

灰色の巨大な船体が浮上してきた瞬間に合わせて一斉射撃を行えるように取り舵を切って右舷を“ドレッドノート”に向け、56cm3連装砲9基に、36cm2連装超電磁砲6基、127mm4連装高角砲17基、50mmガトリング砲12基を旋回させて辺り一帯を覆えるほどの破壊の雨を降らすことが出来るようにする。

 

マホロバ「む?“ヴィルベルヴィント”が到着したか。ふむ…、過剰火力になるが、亜音速魚雷20本の相手をしてもらおうか」

 

だが、マホロバのレーダーが“ヴィルベルヴィント”が交戦海域内に進入したことを捉え、その対処に亜音速魚雷を20発放つことにした。勿論弾頭には侵蝕弾頭付きである。

左舷船底にある魚雷発射管のハッチが開き、20本の亜音速魚雷が気泡すら残さずに“ヴィルベルヴィント”に向かって200ノットで突き進んでいく。

 

 

“ヴィルベルヴィント”側から見ても航跡が無く、200ノットで動く魚雷による攻撃は全くの想定外だった。だが、それに関わらず、不吉な予感がして、本能に従って舵を切り、右に曲がった。次の瞬間、舵を切らなかったら直撃していただろう場所を20本の魚雷が左右から交差してその内の数本が侵蝕反応を起こして数本を巻き込んで消滅した。

 

何故“ヴィルベルヴィント”が魚雷の接近に感づいたのかというと、勘だった。僅かに感知したソナーの揺らぎで何かが来るという事は感じていた。気のせいだと決めつけることも出来たはずだった。しかし、“ヴィルベルヴィント”はかつて、超兵器が世界の頂点として君臨していた世界で激戦を生き抜いてきた経験が魚雷だと本能が告げており、迷わず舵を右に切った。

 

そして、その判断は正しかったのは数本の魚雷が誘爆し、侵蝕反応を起こして辺り一帯の海水ごと空間を抉り取った異常な風景から証明された。もしもあの黒い爆発に巻き込まれていたら船体ごと抉り取られて轟沈していたことだろう。

 

だが、“ヴィルベルヴィント”は『恐怖』を感じなかった。唯々、迫りくる魚雷を避けつつ“ドレッドノート”と交戦しているマホロバへ突き進んでいく。自身の船体と比べて優に2倍以上もある巨大な漆黒の戦艦へ吶喊していく。

此れは超兵器すべてに言えることであったが、超兵器は戦争の中で生き、兵器の頂点にあるべきものとして建造されたもの。そんな兵器が戦闘で恐怖を感じる事は無かった。唯々、目の前にいる敵の喉笛を食い破るためにその砲火を振りかざしていく。

“ヴィルベルヴィント”の射程範囲内にマホロバの船体を捉え、いざ、食い破らんと照準を定める。

 

 

―――だが、マホロバの方が上手だった。

 

〈ガガン!!!〉

 

突如として金属が強い力でぶつかり合うような音がしてV字型の煙突に突き刺さったモノ。強烈な衝撃に“ヴィルベルヴィント”の船体が揺られ、照準が乱れてしまう。何事かと思って煙突を見やれば、先ほど躱した魚雷だった。―――“侵蝕弾頭付き”のである。

 

これが何を意味するのか。それが分からぬ“旋風”では無かった。瞬く間に魚雷が起爆し、黒い光を伴って煙突を丸ごと基部から抉り取り、序でにと、超怪力線照射装置2基を食い千切っていく。

 

 

 

マホロバの放った亜音速魚雷は“ヴィルベルヴィント”に直撃するかのような機動を取っているかのように見せかけて、実は道を開けており、そこを通るように誘導されていた。そして、“ヴィルベルヴィント”はまんまとその罠に引っかかり、後方で引き返してきた魚雷が海中から飛び出して煙突に突き刺さったのだ。

 

侵蝕魚雷の起爆に巻き込まれた“ヴィルベルヴィント”は黒い爆光に飲まれて姿が見えなくなるが、直ぐにその光から飛び出してきた。だが、その姿は見るも無残なものとなっており、煙突を基部から丸ごと円球状に抉り取られ、超怪力線照射装置も2基消滅しており、暴発したエネルギーの爆発によって右舷の煙突基部に配置されていた多数の高角砲やバルカン砲などの対空火器を巻き込んで消失してしまっていた。

そして、煙突を失ったことで効率的な排煙が出来ず、速度がガタ落ちとなり、かつて80ノットを誇っていたのが嘘のように40ノットまでにしか上がらなくなってしまった。

 

自身の長所である速度が無くなったことで“ヴィルベルヴィント”はちょっと早いだけのただの巡洋戦艦と成り果ててしまった、と思うだろうが、此れでも超兵器の名を冠する“超高速巡洋戦艦ヴィルベルヴィント”である、ただで終わる事は無かった。

40ノットに下がった速度でも28cm75口径3連装砲を再びマホロバに照準を合わせ、両舷にある魚雷発射管も起動させて、生き残った左舷の超怪力線照射装置2基にも限界までエネルギーを溜めて反撃に移ろうとする。それに合わせるかのように“ドレッドノート”海面に姿を現して、46cm2連装砲を旋回させて鈍く光る砲口をマホロバへ向け、放てる限りの魚雷を放つ。

 

 

マホロバ「右舷から“ドレッドノート”、こちらに飛来中のものは46㎝砲4発、誘導、無誘導含めて魚雷88本、多弾頭ミサイル12本。左舷から“ヴィルベルヴィント”、28cm砲12発、魚雷90発、その他にもレーザー光線2本か」

 

正に超兵器と言える圧倒的な物量で私【マホロバ】を圧し潰して来ようとしてくるが、如何せんまだまだ足りない。私が持つ鉄壁の防御と言う言葉すら生温い強制波動装甲を崩壊させるには最低でもヤマトの超重力砲20発分の火力を持ってこなくては話にならんな。

“ヴィルベルヴィント”、“ドレッドノート”から放たれた牙を瞬時に割り出して、着弾地点を計測するが、やはり、流石は超兵器なだけあって、その放たれた牙の殆どが命中確実と出た。

―――まあ、当然の事である。なぜならば、私も速度を落として僅か50ノットのみしか出していないのだ。そんな速度では、亀を狙い撃つかのように容易い事なのだろう。

 

―――だが、それが如何した。私は霧の艦隊総旗艦だ。霧の艦隊最強がこの程度の攻撃で屈するわけがないだろう?態々速度を増して回避するまでも無い。

縁が赤く彩られた黒いクラインフィールドを展開する。

 

次の瞬間超兵器2隻から放たれた砲弾があらぬ方向へ弾き返され、様々な角度から突入してきた魚雷もミサイルもクラインフィールドに阻まれ、全てが爆散して消え去る。

―――エネルギー蓄積率0.03%。

 

マホロバ「ふむ、こんなものか。―――さて……ここからは戦闘ではない。一方的な蹂躙だ」

 

その言葉を引き金に、超兵器2隻に向けられている無数の砲口から数多の光線が煌めき、爆炎が轟く。

9基ある主砲からは56cmサイズの巨大な二式徹甲弾が。

10基の副砲は80cmに匹敵する圧倒的な貫通力を持つ超音速で打ち出される細長い砲弾が。

34基の4連装高角砲からは1基に付き4本の超高熱度の対艦レーザーが

100基800セルのVLSからは様々な弾頭を積んだ破壊のミサイルが

300門ある魚雷発射管からは亜音速で侵蝕弾頭付きの魚雷が。

4基のターボレーザー砲から翡翠色の太いレーザー光線が。

 

正に単艦で世界を滅ぼせるほどの超火力が無慈悲に振るわれようとしていた。

主砲の発砲の衝撃は凄まじいもので、大和のものとは比較にすらならないほど深く、大きく海面が抉れる。そして、その衝撃波は戦場から離脱中の大和たちの艦橋の防弾ガラスにまで伝播してビリビリと鳴動させる。更にマホロバの砲撃の爆炎は10㎞以上も離れたから赤城達がいる地点でも見えるほど巨大なものとなった。

そして、その威力は凄まじく、“ドレッドノート”の対56cm装甲を簡単に凹ませ、貫通寸前にまで追い込む。3連装9基の主砲から放たれる合計27発の砲弾のエネルギーは凄まじく、“ドレッドノート”の巨体が着弾するたびに大きく震え、多数の破片を散らしていき、次々と兵装を失っていく。

10基ある超電磁砲の内“ドレッドノート”には4基。“ヴィルベルヴィント”には6基の砲塔が向いていた。“ドレッドノート”には全ての主砲塔と右舷にある17基の高角砲、2基のターボレーザー砲の砲門が向いており、その反面“ヴィルベルヴィント”には17基の高角砲と2基のターボレーザー砲のみと火力に傾きがあった。……それでも十分過剰火力でもあるのだが。

その傾きを補うため、6基の超電磁砲を“ヴィルベルヴィント”の方へ向けて砲撃の口火を開いた。超電磁砲は80㎝砲に匹敵する貫通力を持つが、それに対し、“ヴィルベルヴィント”は対38cm砲にという薄い装甲しか持たなかった。そのため、超兵器という割にはあっさりと装甲を貫通したのみならず、反対側の装甲をぶち破って“ヴィルベルヴィント”の向こう側の海へ着弾して海中深くにまで砲弾が直進して600m下の海底にまで勢いを落とさず到着した。艦橋のみならず、船体の至る所に穴を開けて無残な姿へと成り果ててしまう。“ドレッドノート”も言わずがな。主砲でボロボロに成った船体を更に傷つけていき、無力化していく。

4連装高角砲から放たれるパルスレーザーは超怪力線照射装置から放たれる光線以上の威力を誇る。そして、1基の高角砲から放たれるパルスレーザーは4本。さらに言うならば、片舷だけで17基もあるのだ。つまり超兵器に殺到した光線の数は実に68本であり、突き刺さった瞬間、鋼鉄で造られているはずの装甲を赤く成るまで加熱し、装甲の役目を果たせなくなったところから他のレーザー光線が突入し、内部から超兵器の機能を奪っていく。

 

此処まで苛烈な攻撃を受けて尚未だ沈没する気配を見せないのは流石は超兵器というべきだった。だが、その姿は見るも無残な姿となり、大量の海水を飲み込んでおり、大きく傾いていた。“ヴィルベルヴィント”は艦橋の半分を喪失し、砲塔も着弾と共に吹き飛んだり、弾薬庫を貫通されたり、至る所を融解されたりしており、戦闘能力は皆無となっていた。さらに言うならば、舷側にはパルスレーザーで開けられた穴がいくつも開いており、そこから大量の海水が入り込み、艦首が海面につかるほど大きく沈降していた。

“ドレッドノート”も似たような状態であったが、艦首にある魚雷発射管に主砲弾が直撃し、誘爆を起こして艦首が吹き飛び、更に、ウォータージェットのノズルも破損しており、立ち往生するしかないという悲惨な状態に陥っていた。

 

《――――――――!!!》

 

そして、止めとばかりに波動弾頭や侵蝕弾頭が搭載されたミサイルや、魚雷が襲い掛かっていく。着弾した地点から膨大な青白い光が放たれたかと思えば、一気に光は膨れ上がり、ボロボロに成った船体を包み隠し、数多の破片を吹き飛ばし、海水を押しのけて巨大な津波を発生させた。そして、青白い光の隙間を縫って黒い光が迸り、超重力を持って空間ごと船体を抉り取り、形すら保させないまま食い千切っていく。

超兵器2隻は成す術も無く、断末魔とも悲鳴とも怨嗟の声ともとれる声にならない絶叫を上げながらその体を海中へ沈めていった。

此処に超兵器“超高速巡洋戦艦ヴィルベルヴィント”、“超巨大潜水戦艦ドレッドノート”は沈んでいった。

 

 

―――マホロバは忘れていた。超兵器機関はバラバラに、一つの部品になっても生きているという事に。

 

バラバラに散ったそれらは海底深くまで沈んでいったが、微弱なノイズを放ち続けている。それが新たな災厄をおびき寄せるとは知らずにその場を去ってしまった――――――

 

 

 

多数の破片が浮かぶ中、戦闘を終えたマホロバは大和たち呉鎮守府第1艦隊が退避している海域へ移動しつつリーガルへ指示を下していた。

 

マホロバ「リーガル、拠点をトラック諸島へ変更。超兵器出現でシンガポールの近くは混乱するだろう。そこから離れるためには必要なことだ。私はとりあえず、彼らと共に一度日本へ向かって超兵器について話をせねばならんだろう」

リーガル『了解しました。日本の方々が賢明な判断を下すのを期待しましょう。……それはさておき、建造や開発は如何しますか?超兵器が出現したのですから、今の戦力だけでは心もとないと思うのですが……』

マホロバ「言われてみればそうだな……。だが、超兵器の前には何を造ったとしても……いや、建造は3隻、艦種は任せる。開発は……ほどほどにな」

 

超兵器を前にしては何を造ったとしても無駄になるだけだ、と言いかけたが、ならば、開発をフルに稼働させ、霧の技術も若干混ぜれば、超兵器にも対抗できるまで改造することも可能かと思い、3隻の造船を許した。開発に対しては時雨に禁止を言い渡されていたのだが、そこ辺りはリーガルもわきまえているだろうから、時雨や、矢矧、響あたりにでもやらせるのだろうか。

 

………不味いな。とんでもない兵器が出て来そうで恐ろしく感じてしまうが、それよりも恐ろしいのが妖精さんだと言えるだろう。開発で出た兵器を勝手に研究して発展させた兵器を生産していてもおかしくない。前も開発で出たプラズマ砲を駆逐艦に搭載できないかと試行錯誤した結果、プラズマ砲の砲身を小型化、更に砲門を上に向かせたまま固定することで全方位に攻撃できるようになったという事があった。まあ、ただ、電力消費の事は解決できなかったが、いつか、それすら問題ないとばかりに大出力の機関を生産していそうだ。

 

―――此処でふと思う。私の敵は超兵器ではなく、妖精さんなのではないか?と。……あり得そうな話だ……。

さて、下らない話は捨て置くとして、超兵器の出現で事実上作戦は破綻した。アメリカ太平洋艦隊だけではなく、各地でも艦隊が超兵器の攻撃にあって壊滅したとリーガルから連絡が入っている。

ひとまず優先すべきなのは呉鎮守府の艦隊と派遣されたアメリカ艦隊を無事に日本まで送り届けることだろう。

 

マホロバ「東山、戦闘終了した。日本まで護衛していくが、武蔵たちの方は大丈夫そうか?」

東山『すまんな。応急処置もある程度済んだから動けるだろうが、もう少し時間が掛かる』

マホロバ『了解だ。近くに超兵器の影は無いが、いつハワイから襲ってくるか分からないから出来るだけ急いでくれ』

 

私自身が持つレーダーを最高精度で半径500㎞にて展開し、航空機から潜水艦まで辺り一帯の索敵を行いながら大和たちに合流する。

 

確かに武蔵の被害が深刻で、艦首にある菊花紋様が波につかりそうになるほどにまで沈降しており、浸水が相当進んでいるのが分かる。その隣に矢矧、北上、暁、響が接舷してダメージコントロール担当の妖精さんが乗り移って応急処置に当たっている。何分武蔵の船体も巨大な為、時間は掛かっているが、効果は発揮されているようでじりじりと傾斜が復元されつつあった。

それは伊勢と日向も同様だった。だが、日向は艦首を喪失しており、前進すると海水が入ってくるため、後進でしか動けなくなってしまった。伊勢も速度が落ちたが、舵も復元されたため、問題なく動けるようになった。

 

 

そしてそれから2時間後、武蔵の応急処置も目途が立ち、日本に帰還しながらでもダメージコントロールが出来るので、13ノットという鈍足であったが、日本に向けて傷ついた体を労わりつつ進んでいた。

 

 

超兵器の出現という事態は艦隊全員の心深くに傷をつけていった。超兵器を前に全くの無力だった、悔しさを刻み付けていた。

 

―――沈む夕日が人類の先を示すかのように赤黒く染まっており、海原が血を思わるほど赤く照らされていた―――

 




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