短めです。
つまんないかもです。
どうぞご覧くださいませ
イオナや群像たちがこの世界にやってきてからすでに2週間が経過し、夏の灼熱のような日差しが甲板を照りつける八月の初旬。
冷房が効いているはずのミーティングルームでタンクトップに短パン姿の杏兵が1つの不満を零したことで事態は動き出した。
「あーあー!なぁ、群像、今は夏だぜ!」
「そうだな。夏だな。それがどうした?」
「海だろ!水着だろ!?女の水着だろ!?だからーーー」
半袖のワイシャツにスーツのズボンをはいた群像は至って平静に返すがそれが却って杏兵に火を付けたらしい。
女性の水着について熱く語っているが、よく、私たち女を目の前にしてそこまで語れるものだな。確かにメンタルモデルに女性としての自覚があるかどうかは個体によって違うだろうが、ここにいる個体は全てが自身を女性と理解している。それなりの恥じらいというのもしっかりあるのだ。
いおりや静は慣れているのか、苦笑を浮かべている。だが、その反面、タカオや、ヒュウガ、イオナは無表情のように見えて、絶対零度の視線を投げかけている。
時雨たち艦娘は少し恥ずかしそうにしているが、海に出ることに抵抗は無さそうだった。
「ふん……、低俗ね。人間の男って皆ああなのかしら……」
「お前が恋慕している群像はそんな男に見えるのか?ふむ、それは良いことを聞いたな。どれ、ぐんーーー」
「わーーー!!言わなくていい!余計な事しなくていい!」
「もが、むぐむぐ」
私は窓側に、タカオは群像の近くのソファで寛いでいたはずがいつの間にか私に飛びかかって口を塞いできた。
「え?あ、きゃあ!?」
飛びかかってきた勢いを受け止めきれず、タカオごと背中から倒れる。
「む……、ーーっ!?」〈ふにゅ……〉
咄嗟に受け身をとった事で、痛みはほとんど感じなかったが、その代わり胸の辺りから痺れるような刺激が走り、押し殺した声が上がってしまう。
「タ、タカオ!?」
自分らしくないのは分かるが、つい声が裏返ってしまう。私の胸を掴んでいるタカオは自身が何を掴んでいるのか一瞬理解できていなかったようだが、私の裏返った声で一気に理解したようで、慌てて手を離すーーー事は無く、頬を染めながらも私の胸の感触を確かめるかのように手を動かし始める。
「ぁ……、んっ、ふぁ…っ!」
そんなつもりは無いのに、今まで感じたことの無い刺激が襲い、勝手に声が出てしまう。体から力が抜けて、抵抗する気も失せてしまい、タカオの好きにされてしまう。
幸いなのは男連中は杏兵の話に巻き込まれ、こちらに意識を向けていなかったことだろうか。だが、女性陣は顔を真っ赤にして、手で顔を覆いつつも隙間からちらっとみてくるものもいれば、しっかり釘付けになっているのもいた。ーーーっ!?ヒュウガ、お前は来るな!?手をわきわきさせてくるんじゃない!
マホロバが必死に声を抑えている最中、タカオはパニックに陥っていた。コアの演算がエラーを出し続け、正常な思考ができなくなっていた。
なにせ、総旗艦が余計なことを言う前に口を塞ごうと私でも思わぬ速さで飛び込み、口を塞ぐことはできた。
そこまでは良かった。だが、飛び込んだときの勢いのまま、総旗艦を押し倒してしまい、その弾みで着物の隙間に手が入って、直に胸に触れてしまう。
一体何のラッキースケベかと自身を責めたくなった。どっかの漫画の主人公じゃあるまいし!
慌てて手を引き抜こうとするが、その時に胸と擦れて総旗艦から何かを押し殺した声が上がる。そして、裏返った声で私の名を呼ぶ。
……もしかして?総旗艦って、生娘……?それも自慰すらした事の無い、純粋な生娘?
顔を伺うように見ると瞳は潤み、白い頬にも紅が差し、呼吸も荒い。私が見つめていることに気づいたのか、ぷいと横を向きながらもチラチラとこっちを見てくる。
……なんだか、弄りたくなってくる。
それに、総旗艦の胸、私と比べものにならないくらい白く、肌の張りが良くて、それでありながら、置いた手が沈むくらい柔らかい。むにむによりもふにゅふにゅという効果音がぴったりなくらい柔らかい。思わず自分の胸に手を置いて軽く揉んでみるが、やはりむにむにという感覚。
………なんだか負けた気がする。戦闘能力のみならず、体でも総旗艦には勝てないのか……。
ヤケになって、気持ち良くなるように手を動かして刺激していく。胸が歪むたびに総旗艦から切ない声が上がる。
ヒュウガが総旗艦に執着する気持ちもなんだか理解出来るかもしれない。この総旗艦のあられもない姿は麻薬に等しい。普段の姿が凛々しく、カッコいいからギャップを感じて入れ込んでしまうのかもしれない。
もっと続けたかったが、なんとか自制を掛けて一気に手を引き抜く。その瞬間総旗艦ががばっと起き上がり、真っ赤な顔で乱れた服を繕って自身の胸を庇うようにして後ずさりして、リーガルの後ろに隠れる。
「タカオ……、貴女って、そういう趣味があったのかしら?」
ヤバい。なにやら盛大に勘違いしている。リーガルだけじゃなく、401、艦娘とやらのちびっ子共も、同じような事を思っているらしく、顔をほんのりと紅くしながら見つめてくる。ヒュウガに至っては呆れたような顔でニヤニヤと笑いながら見つめてくる。
「ち、ちちち、違う!こ、これは…そう、成り行きよ!」
「あら〜、しっかりとお姉さまの胸をしっかり揉んでおきながら何を言っているのかしらね」
ヒュウガに正論を真正面から突きつけられ、口籠ってしまう。確かに柔らかくて、揉んでいるこっちでも気持ち良くなる感触だった。……って違う!これじゃ、前に読んだ何某マンガの主人公じゃない!
冷静になるのよ!冷静になるのよ!……………冷静になったら、冷静になったで恥ずかしくて……穴があったら入り込みたい。むしろ穴を掘ってでも入りたい。総旗艦とまともに顔を合わせられないわね……。
リーガルの中で一騒動あったその頃、大日本帝國に名を改めた日本の帝都、京都。京都の中に設置された大本営では全国から集められた司令官、提督、秘書艦が頭を寄せていた。
此処に集まったのは正式に呉鎮守府の司令官、そして、元帥を任命する為にだった。
東山が亡くなった後、呉鎮守府の順序第一位の提督が臨時に鎮守府を取り仕切っていたが、あくまで臨時にだった。
司令官たちが集まり、それぞれ席に着いたのを見計らった、【佐世保鎮守府】司令官の七月将宗大将から言葉が発せられる。
「御足労頂き、感謝致します。早速ですが、本題に入りましょう。此度の会議は東山元帥亡き後の元帥と呉鎮守府司令官の役職を正式に決定、任命する為に召集をかけた次第です。呉鎮守府の新たな司令官は順序第一位の提督である[東山玲瓏(れいろう)]提督に任命する事で異議はありませんか?」
[東山玲瓏]は東山元帥の孫であり、今年21歳になる若年の青年である。現在は大佐の階位でしか無いが、司令官に任命されれば、2階級特進で少将に任命されるだろう。
その才能は東山に勝るとも劣らない指揮能力を持ち、呉鎮守府の第2艦隊を率いる権限を持ち合わせる優れた提督だ。彼の才能は東山のみならず、七月や一条真月少将など各地の司令官や提督にも高く評価され、一目置かれる存在であり、呉鎮守府の新たな司令官になる事に誰も反対する事は無いと思われた。だが、そこに異議を唱えた者がいた。
「異議あり!その若造はまだ21であり、司令官としての経験も未熟だろう。呉鎮守府を任せるにはいささか不安がある!」
「ふざけないで下さい!彼は亡き東山元帥の元で着々と経験を積んできているのですよ!それに艦娘たちとの信頼関係も厚いと聞きます。彼の他に適切な提督がいらっしゃいますか!?」
異議を唱えたのは兵零宗光少将。声を荒げ、唾を飛ばしながら東山玲瓏大佐の呉鎮守府司令官任命に異議を吼える。
それに反論したのは一条真月少将。艦娘に対する感情で兵零と対立し、心底嫌悪しているため、怒りの感情を剥き出しにして叫ぶ。
「あーあ……、結局こうなるのかぁ〜」
「兵零も過激であるが、正論である事も確か。じゃが、一条も正論。甲乙つけ難い」
「はわわ……、喧嘩はダメですよぅ〜」
面倒くさそうに怠そうにため息を吐いて頰杖をつく白雪悠風中将。彼は公私をきっちりと分けているため、公では、深海棲艦と戦う存在、私では妹のような大切な存在と割り切っているため、中立的な存在である。(ワールドトリガーの迅悠一を白く)
次に客観的に言い争う双方の言い分を評価する仙石郷司大将。彼はどっちかと言えば、艦娘擁護派であるが、こういう議論の場で艦娘からの視線で話すのではなく、広く物事を見ることを大切にしているので、玲瓏大佐に厳しく当たる兵零の言う事も正論、と判断した。(戦国バサラの豊臣秀吉)
そして、一条と兵零の言い争いをオロオロと動き回りながらなんとかして止めようとするのは京桜満奈美少将。彼女は優しい事が美点であり、欠点とも言えるような司令官だった。優しすぎるため、艦娘が傷つくのが見たくない、と言ってできる限り戦闘を避けるため、大きな戦果を上げる事がなかったが、戦況を見通した指揮能力が買われ、司令官となった。ドジである。(ISの山田麻耶のスイカをメロンに)
「双方ともそこまで。兵零少将もそこまで言うのですから、何か案でもあるのですか?」
「……俺の部下に君塚という奴がいる。年齢的にも経験的にも十分司令官として通用する。それに彼奴は研究開発に長けている。そこで、呉鎮守府には例のまほろばから譲り受けた未知の設計図があるだろう。それを解析させてみたらどうだ?明石や夕張もそこにいるのだろう。君塚の経歴についてはさっき配布された資料にあるハズだ」
カサリと音を立てて手元にある書類をめくると、君塚なる人物についての経歴が書かれていた。
ーー君塚 万代(45)キミヅカ ヨロズ
18歳で海軍大学研究開発部門主席卒業。
卒業後、海軍中央研究所に入所し、艤装の開発、研究を行い、バルジや12.7㎝2連装長砲身高角砲などの開発を行った。
その功績により順調に階位を高め、現在より3年前に准将の位置につく。現在、海軍中央研究所の所長を務め、同時に横須賀鎮守府順序第2位の提督も務め、最近では北方領域攻略の方針に従って艦娘の運営を行う。
「開発に長けるというのは現状では必須でしょうねぇ。対超兵器の艤装も無くてはなりませんから完成を急がねばならないでしょう」
「ですが、呉鎮守府は日本最高戦力。その呉鎮守府が開発に念頭しては戦力の低下が否めないのでは?」
確かに、という声が上がる。現状、世界最大の敵は超兵器。されど、艦娘に超兵器に対抗する術は無い。超兵器と合間見れば、瞬く間に撃沈されると言うことは前回の反抗作戦に乱入した2隻の超兵器によって武蔵たちが大破に追い込まれた事で証明されている。
それだけでは無く、まほろばから齎された超兵器の情報を鑑みるからに、対抗するためには最低限でも現在開発中の電磁防壁や重力防壁は備えておくことが必須である事は司令官たちの周知の通りだった。
だから、開発を最優先で進め、高性能の艤装を作るためには、最高戦力であり、最も経験豊富な呉鎮守府の艦娘の協力が必要である事は明白だ。しかし、開発に注力しては出撃できる艦娘が減るのでは無いかという疑問。
「ええ、そうでしょう。ですが、皆さんはお忘れですか?現状、超兵器は各地で動きを止めたままであり、深海棲艦と交戦中であることを」
「ですが、その超兵器はいつ動き出すかわからないだろう?」
「ええ。だからこそ、超兵器が動き出す前に一刻でも早く開発を進めて、超兵器に対抗できるものを作らねばならないのです」
超兵器が動き出す前に。
その言葉で一気に会議の流れは変わり、君塚を新たな呉鎮守府司令官に任命することに決まった。
だが、東山玲瓏はどうなるか。
「玲瓏くんはどうするのかな?」
「まほろば側との交渉の任務に就いてもらおうかと思っています。元々は私が行こうと思っていましたが、亡き東山元帥の孫である玲瓏大佐ならあちら側も警戒は薄まるでしょう」
「それで構わん。で、次の元帥はどうするんだ?」
「それはーーー」
黒い笑みを浮かべた七月を見て、白雪と仙石がボソボソと何かを呟きあう。
それを見て知らぬふりをした兵零によって新たな元帥を決める会議がこの先も続いた。
一方、インド洋に浮かぶスリランカを拠点にする東方棲姫率いる深海棲艦の群にある変化が起きた。
新たな艦種の深海棲艦の出現であった。
「……フム、"潜水艦ノヨウナ戦艦"ト"超高速ノ戦艦"カ……。確カニ強力ナ味方トナルダロウガ、アノ忌々シイ"怪物"ト似タ匂イガスルノハ不愉快ダ」
「確カニ、"怪物"ト似タ匂イガシマスガ、戦力ニナリマス。アノ沈んだ"怪物"ト同ジ存在……。我ラノ勝利二役立ツデショウ。ノ級、ベ級。頼ミマスヨ」
東方棲姫の配下に当たる防空棲姫の言葉に傅いてその不気味な赤い目を光らせる二人の美少女。
一人は真っ白な肌に黒いビキニを纏い、白い髪をサイドで結わえた少女。
もう一人は露出の少ないダンスドレスのような豪華な装飾が施された灰色のドレスを纏い、灰色の髪を首筋で切り揃えた少女。
深海棲艦の言う"怪物"。それは即ち超兵器。
だが、超兵器と同じ匂いがするというのはどういう事なのだろうか。
その答えを知るのは遠くない。すぐそこにまで迫りつつあったーーー
場所は再びリーガル。
そのリーガルの各地に設置された格納庫にマホロバたちはいた。
「こ、こいつぁ……とんでもねぇぜ……」
「あ、ああ……。此処までの規模だとは……」
呻くかのように呟いた杏兵の言葉。それが何を示すのか?
それはリーガルが保有している艦載機の事だ。
戦闘機 神矢(かみや) 400機
戦闘攻撃機 神武(じんむ) 500機
戦略爆撃機 神槌(かみつち) 100機
戦略戦闘攻撃機 神艇(じんてい) 80機
総勢1080機の大編隊が組めるだけの戦力だ。
「マホロバ。この艦載機のスペックを詳しく教えてくれないか?」
「……ふむ、いいだろう。だが、腰を抜かす事は確実であるから覚悟だけはしておけよ」
群像の要請に応え、群像の目の前に空間ディスプレイを展開する。そこには現在いる格納庫にてずらりと並べられた艦載機についての詳細が書かれていた。
戦闘機 神矢 400機
最高マッハ6
形は垂直尾翼が無いF-22のような形状だが、主翼から尾翼までがデルタ翼式になっている事で、全くの別物になっている。理由としては旋回能力を上げて空戦能力を上げることと、ステルス機能を上げることが理由だ。
垂直に離着艦できるので、滑走路を必要としないため、スムーズな展開が可能。推進はリーガルの中にあるタナトニウムエンジンから補給され、機内に蓄えたエネルギーで重力子スラスターを噴かして飛行する。
最大で14発の多目的小型誘導ミサイルを機内に格納できる。ミサイルの弾頭には通常弾頭のほかに侵蝕弾頭、波動弾頭、螺旋弾頭を装着できる。その他に機首に30mm収束機関銃が2丁。主に対空任務を務めるが、ミサイルの弾頭を変換する事で対艦、対地にいたるあらゆる条件下での戦闘も可能。
戦闘攻撃機 神武 500機
マッハ5.5と神矢より低め。
形状で垂直尾翼が無いだけでF–35と変わりない。これも重力子スラスターで飛べ、もちろん、垂直離着艦も可能。
兵装は機首に50mm収束機関砲が4基、最大16発の多目的小型ミサイルと4発の500キロ貫徹爆弾を機内に格納できる。だが、ステルス機能を捨てるのならば、それぞれ4発ずつ増加して翼の下にぶら下げられる。だが、兵装を満載した時は速度が落ちてマッハ4.7までにしか上がらない。ステルス機能は神矢よりも高い為、敵の懐に侵入し、最大限の被害を与えるのが主な任務。
戦略爆撃機 神槌 100機
マッハ3.8であるが爆撃機としては充分過ぎるほどの速度。形状はB-2を拡大したような形状である事以外に変化はなし。
垂直離着艦可能な機体。最大離艦可能重量が1000トンという化け物的な性能を持ち、爆撃能力もそれに合わせた桁違いの爆撃力を持つ。リーガル本体にある侵蝕弾頭を機体に積み込み、侵蝕弾頭を含め1tの爆弾を雨のように降らして爆撃も可能。爆弾で絨毯爆撃するのみならず、高性能誘導ミサイルでピンポイント爆撃や、15.5cm2連装荷電粒子砲を2基、127mm速射砲8基を搭載しており、1機のみで東京クラスの大都市を焦土に化すことが出来る。
超兵器でいうアルケオプテリクスと同格の存在である。
戦略戦闘輸送機 神艇 80機
マッハ1.8と霧の艦載機としては鈍足。形状としてはムリーヤ級超大型輸送機に似た形状だが、大きさが遥かに上回る。全幅330m 全長298m 全高40mという超大型機だ。
垂直離艦可能な機体であり、フロートもある為、海上も含めて場所を選ばず着陸可能。
戦略爆撃機 神槌も1000トンという容量を持つが、神艇はそれをさらに上回る3万トンという怪物である。
輸送に使えるが、この神艇には20cm 2連装荷電粒子砲が8基、50mm6連装砲身機関砲を12基、多目的ミサイル発射機(一機で16発のミサイルを格納)を6基、30mm2連装旋回式対空機関銃12基という空中の要塞というべき機体である。ガンシップといえば理解できるだろうか。
機関として、小型重力子エンジンを10基翼につけているため、3万トンものの重量でも難なく垂直に離着艦でき、マッハ1.8で飛べる。水上にも離着出来、潜水艦、駆逐艦や軽巡、重巡に空母級の艦船も輸送できる。航行可能距離も桁外れなもので地球から冥王星までを往復して飛べるほどの性能を誇るため、補給をほとんどといっていいほどしない。
「………この艦載機だけで世界は滅ぶわな……」
「それもそうだろう。私を始め、リーガルやこれらの艦載機は宇宙で活動する事を前提に考案されたのだから、1つの惑星の枠には入らない」
「「「ーーーは?」」」
急如として落とされた爆弾。それに聞き返す皆。珍しく、群像ですら、目を見開いて有り得ないとでも言いたげな表情で見つめてくる。
ヒュウガたちメンタルモデルはかつての世界で既に知らせていたため、驚きは無いが艦娘の3人は疑問符を浮かべていた。
「わかりやすく言えば私は宇宙戦艦であるということだ。リーガルは宇宙要塞だな」
「いやいやいや!?待て待て!宇宙世界だって?……冗談じゃないんだよな?」
「当然真実であろうが。私がこんなことでつまらん冗談を言う訳がないだろう。私の船底にあるものを見れば否が応でも理解できる」
新たな空間ディスプレイが開かれ、そこにはマホロバの図面が引かれていた。艦の上層部には変わりない圧倒的な火力を誇る砲塔群が立ち並ぶこと以外に目立つような事は無い。だが、視線を下に向ければ、普通の艦艇にはある筈が無いモノがあった。
「船底に主砲!?」
時雨の驚きの声が表すようにマホロバの船底には主砲塔があった。それも5基。船底の主砲だけでも充分な火力を有する事は明白なことだった。
「船底に主砲があって大丈夫なのかい?砲塔内に浸水とかは無いのかい?」
「そのこともしっかり考慮した設計の砲塔だから、心配は無用だ」
響の疑問も詳しく知らない者からすれば至極真っ当なものである。
艦艇の主砲塔は例外なく相当な重量がある。例を挙げると、大和の主砲塔は駆逐艦1隻分の重量があるとされる。そして、主砲塔は甲板に開けられた穴に嵌め込まれた形で載っているだけだ。つまり、転覆でもすれば、船体から砲塔は抜け落ちる。
実際、かつての大戦で沈んだ大和の船体に主砲塔は残っていなかった。転覆した拍子に外れ、船体から離れた場所に落ちたとされる。
つまり、響の疑問は船底にある事によって砲塔が抜け落ちる事は無いのか?そして、砲身の上下、砲塔の旋回によって生じる隙間からの浸水は無いのか?という事だ。
だが、マホロバは霧の技術によって船体を構成しているのだ。
船底にある砲塔は船内にある隔壁と一体化され、重さによって抜け落ちる事は無く、二重装甲の可動部、装甲の間は高気圧に満たされる事で浸水を防いでいる。
そして、着水している間は砲塔を固定し、砲門も塞いでいるため、万が一の浸水の心配もない。
その旨を話すと納得してくれたのか、頷いて何も言わなくなった。
「さて、話を戻すとしよう。どこまで話したか。………そうだな私たちは宇宙で活動する事を前提にした戦艦と要塞だという事は話したな?」
コクリと頷く時雨たちを見て、1つ頷いたマホロバ。
「あの世界にて、本来の目的を果たした後、霧はその技術を宇宙へ向けた」
「宇宙へ?」
「はい。宇宙の果てには何があるのか。それに飽くなき欲求を見出した【アドミラリティ・コード】は私とお姉さまの二人に宇宙で活動することを前提にした改装を施しました」
「そして、私とリーガルはこの世界に帰ってきたが、メンタルモデルというのはコアが破壊されない限り悠久の時を生きる」
「自身のやりたい事を成し遂げてから宇宙に旅立って構わないと申しつかりました」
この世界に帰ってきた流れを交互に告げるが、突如過ぎて話についていけず目を白黒させる時雨たち。
ただ、ヒュウガたちメンタルモデルと群像は厳しい顔で話を聞く。
「超兵器との戦いや深海棲艦との戦いが終わったら、恐らく、宇宙に旅に出るのだろうな。長い年月をかけて果てに向けて旅する事だろう」
「そう、なんだ………」
寂しげな顔でつぶやく時雨。
マホロバのいう事が本当ならば、このいつまで続くかわからない長い戦いが終われば、マホロバは地球を去るという。
寂しくない訳がないだろう。
「そんな寂しい顔をするな。この戦いはいつまで続くかわからないんだ。だが、確かな事は決して短くないという事は確かだ。超兵器が生み出す負の感情が深海棲艦を生み出し、その深海棲艦を超兵器が更に狩るという循環に陥っている。この循環を壊すのは並大抵の事じゃできない」
「マホロバさんならできるんじゃありませんか?」
「今は時期早朝だ。今、私が動くべきではない」
ーーそう、今はまだ早い。全ての超兵器が観測されなくては一気に殲滅できないからだ。
霧の総旗艦は静かに鋭い牙と爪を研ぎ続け、来るべき時を待つ。