Fate/Children【改稿中】   作:.副会長.

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どうも。副会長です。

最近fateにハマっていることもあり、オリジナルの聖杯戦争を書いてみました。

初投稿なので至らぬところも多々あると思いますがよろしくお願いします。



ー0章ー 彼の地の名は、ノイジドール
〜プロローグ〜 7人の少年少女の話


 それは元々、『聖杯戦争』などというものでは無かった。否、そもそも魔術的儀式ですらなかったのだ。

 

 冬木の聖杯戦争を模して、名門の魔術師の子供達が作った『聖杯遊戯』。

 

 一緒に遊ぶ誰かの『大切なモノ』を聖杯に模して、英霊を真似た自らの人形を操り、戦わせ、最終的に残った人形の操り主が『それ』を得る。

 

 大切に育ててきたペットか?小さい頃から大切にしている綺麗な石か?愛している恋人か?一族に受け継がれる短刀か?

 

 大切なモノならば何でもよかった。

 

『人の想いが込められているモノには相応の力が宿る』

 

 少年少女たちは。

 

 誰かの『大切』を得る為に魔術を磨き、自らの『大切』を守る為に魔術を磨く。

 

『聖杯遊戯』が行われていた地は、冬木やスノーフィールドを超えるほどの地脈を有した霊地として知られていた。

 

『大切なモノ』という想いの込められた強い器と、最大規模の霊地。

 

 あとは誰かが一押しするだけだったのかもしれない。

 

 いつからか、子ども達の『遊戯』は大人たちの手によって『戦争』へと変えられていて、しかし子供たちはそれを自然に受け入れていた。

 

 

 子ども達の、子供達による、大人達の為の聖杯戦争。

 

 彼の地の名は、、、、、、、

 

 

 

 ----------------

 

 

 

  「お前どうすんだ今年は。参加するのかよ」

 

  静かな森に囲まれた大きな湖のほとりに隣り合って座る、2人の少年。向かって左側に座る赤毛の少年が、湖に向かって石を投げながら隣に座る白髪の少年に問いかけた。

 

  「あぁ、さすがにね。もう親や親戚の嫌味に耐えるのは限界だ」

 

  苦笑しながら白髪の少年が答えると同時に、宙を飛んでいた石が静かな水面に音を立てて飲み込まれる。

 

  その音に驚いたように顔を上げた白髪の少年の目は薄く閉じられており、隙間からは白く濁った眼球が覗いている。彼は盲目だった。

 

  「気の毒なことで。じゃあライバルってことだな。お手柔らかに頼むよ、天才くん」

 

  話しながら投げたのはワザとだったのか、白髪の少年が驚いた様子を見て楽しそうに笑う赤毛の少年は、そう言って相手の背中を叩く。白髪の少年はその手を払いながら言った。

 

  「その言い方やめろって言ってるだろ。別に乗り気なわけじゃないんだ。僕自身、聖杯に何か願いがあるわけじゃない。ただ……」

 

  「ただ?」

 

  「今年はマリアさんが出るっていう噂だ」

 

  マリア。マリア・シェル。此処の地でも一、二位を争う実力と伝統を誇る、シェル家の令嬢である。先ほど"天才"と呼ばれた白髪の少年と幼い頃から常に魔術の腕を競ってきたせいか、何かと突っかかってくる節があり彼は苦手としていた。自分が出る聖杯戦争に彼が出ないとなれば、何時にも増して、とやかく言われるに違いない。

 

  「マリアさんねぇ…こりゃ俺の勝ちは無さそうだ…」

 

  そうボヤく赤毛の少年ですら並みの魔術師とは比べ物にならない数の魔術回路を持っている。この地が最高級の霊地であるように、住んでいる魔術師の一族も皆、他とは比べ物にならない強さだった。

 

  「そんなことはないさ。この地では触媒を使った召喚はできない、純粋に相性で英霊(サーヴァント)が選ばれるのは知ってるだろ。魔術の腕と英霊(サーヴァント)を使役する才能は比例しないっていうし、君だって良いとこまでいけるかもしれないよ」

 

  「はっ。"良いとこまで"ねえ。最後は自分が勝ちますよー、ってか。お前ってそう、変なとこだけ自信あるのな」

 

  そう言って冷やかす赤毛の少年と、その言葉を聞いて笑う白髪の少年は互いの拳を合わせる。

 

  「僕らは16歳。この聖杯戦争を逃したら次はない」

 

  「正真正銘、最初で最後の聖杯戦争ってわけだ。頑張ろうな」

 

  「まぁ、勝つのは僕だとして。最後の相手は君がいいな」

 

  「うっせ。そこまで言うならマリアさんもお前も、俺がボッコボコにしてやるよ」

 

  立ち上がった2人はゆっくりと立ち上がり、それぞれの家の方向へ歩き出す。その足取りは重く、さきほどまでの笑顔は消えていた。

 

 明日から1週間は聖杯戦争の準備期間。次に会う時は、敵同士。

 

 

 

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  赤毛の少年と白髪の少年が湖のそばで話しているちょうどその時、シェル家の屋敷内では一人の幼い翠眼の少女が小太りの少年に殴られていた。

 

  「な、ん、で。さっきの朝食で俺のスープだけ量が少なかったんだよ。ん?当てつけか?いつもの恨みってやつ?」

 

  「ち、違っっ。そんなつもりじゃ、ッ」

 

  「あ?分家の家畜の言うことなんか聞こえねえよ。なに言ってんだ?お前?もう一度言ってみろ」

 

  休むことなく続く殴打から必死に頭を庇いながら、華奢なその少女は遠巻きに様子を見つめるメイド達へ手を伸ばす

 

  「た…助け……」

 

  メイド達が助ける様子はない。雇い主の息子に逆らうような真似をすればどうなるか、少女のように暴力の的になることは無いにしても、良い様に告げ口されて解雇されるのは目に見えている。

 

  少女の伸ばした腕が無慈悲に踏み潰されようとしたその時、小太りの少年がいきなり吹き飛んだ。

 

  「は…ッ!?ゲホッゲホッ…なにしやがるクソ姉貴!!!」

 

  埃を払いながら立ち上がり怒鳴る少年の視線の先には、食堂から出てきたばかりの美しい少女が立っていた。

 

  艶やかなブロンドの髪、絹のような白い肌、潤んだ瞳。誰もが見惚れるような容姿の少女が、開け放たれた扉の前から冷ややかな目で少年を見下ろしている。彼女こそマリア・シェル、

 

  「なにしやがる、はこちらの台詞よ。アンドレアス、貴方は人の義妹(いもうと)に何をしているの?」

 

  這うようにしてこちらに向かって来た少女を抱きながら、マリアは先ほど自分でアンドレアスと呼んだ少年を睨み返す。

 

  「そ、そいつが俺のスープの量をっ!?」

 

  マリアの手から放たれた風の壁が無慈悲にアンドレアスを吹き飛ばした。再び壁に叩きつけられた彼が起き上がる様子は無い。

 

  「ごめん、ごめんね。お義姉(ねえ)ちゃん…」

 

  「いいのよ。貴女が謝る必要は無いの。分家だからとか、本家だからとか、そんなの関係無いのだから。悪いのはそういう思想を持った輩なのよ」

 

  マリアは、少女を優しく撫でてそう言った後スッと立ち上がると、騒ぎを聞きつけ集まってきた召使いや自分の親や兄弟姉妹をキツく睨みつけ、こう続けた。

 

  「私が聖杯戦争を勝ち抜いた暁には、全ての分家を解体してこの血筋に再び組み込みます。フーバー家も、メスナー家も、トエニ家も、ゲルツ家も。全て同じシェルの一族として、再びこの地に呼び戻します。もちろんそれはヘレーネも例外ではないわ。それが気に入らないものは、聖杯戦争が終わるまでにここを出ることね」

 

  シェル家18代目当主となる少女は理解していなかった。跡取りとして教育され、形としては知っていたが、それがどれだけ重要なものかは未だ分かっていなかった。

 

  分家は自分たちより劣るから排除されたのだ。分家は自分たちと形が異なるから退けられたのだ。

 

  少女は若かった。若すぎた。故に17代目当主である父も、母も、祖父も祖母もそんな事では騒がない。どうせ直ぐに理解する。否が応でも魔術師は理解しなければならない。

 

  それに、彼女が勝つことはない。すでにマリアが聖杯戦争に出るという噂は流してある。遥か昔から争ってきたラインスドルフ家やヴァルトハイム家からもそれ相応の駒が出てくるはずだ。

 

  冷静さに欠ける故にいつも2位の座に甘んじてきた彼女は、きっと聖杯戦争でも勝てはしない。お前は所詮、"完成系"にいたるための一欠片(ピース)でしかないのだ。

 

  彼らはマリアに期待をしていない。幼少時はもしやと思いはしたが、"天才"に負け続ける彼女を見てそれも失せた。しかし彼女は上出来だ。自分たちより勝る魔術回路を持っているし、魔術刻印もより多機能なモノとなっている。

 

  いつか産まれるであろう最高傑作のため。土台としか思われていない彼女は、それに気づかず生き続ける。いつか知る時は来るだろうが、その時は魔術師の真の目標を理解した時だ。彼女自身もそれを認め、シェル家のために働くようになるだろう。

 

  マリアは少女を抱きかかえ、自室へと歩き出す。少女はマリアに震えながらしがみついている。

 

  「大丈夫。大丈夫よヘレーネ。貴女も私と共に聖杯戦争を勝ち抜けば、きっと認めてもらえるわ…」

 

  その言葉を聞いた少女は、しっかりとマリアの服を掴んだ。

 

 

 

 ---------------

 

 

 

  リゼット・モデルは嘆いていた。何処を探しても、何処を探しても、自分を受け入れてくれる娘がいない。

 

  彼女は女の子が好きだった。自分が周りとは違うことも自覚していたけれど、それでも女の子しか愛せなかったし、女の子と人生を共にしたいと思っていた。

 

  なぜ皆は男の子を好きになるの?男なんて、我儘で汚くて煩いだけじゃない。私だったら貴女をがっかりさせないわ。

 

  それなのに。彼女の想いはいつも叶わない。彼女の深すぎる愛に皆、離れて行く。

 

  どうして?こんなにも愛しているのに。

 

  彼女は根本から間違えていた。愛は与えればその分相手から還ってくるモノでは無い。望まない相手から向けられる愛は苦痛でしかないのだから。

 

  しかしそれに気づかない少女はこう考えた。

 

  「私の愛に応えてくれる人がいないなら、創ればいいんだわ。万能の願望機(せいはい)なら、それも叶えてくれるはず」

 

  それならばと、彼女は前々から準備をしてきた。準備は万端。きっと勝って、理想の恋人を創り出すのよ。

 

  来たる日を思い浮かべ、彼女は幸せに浸る。昔からこの地にいる名家のような強さはないけれど、モデル家にはその地の霊脈を利用して魔術を使用できるという特性があった。

 

  故に、現在のリゼットの魔力は無限に近い。彼女は確信していた。この地の膨大な魔力を使えば、勝てると。

 

  噂で聞いた参加者は"シェル家の次期当主"マリア・シェルと"天才"ヨハン・ラインスドルフ、"赤髪"のカール・ベーム。今の自分にとって警戒すべきはヨハンだけ。強い英霊(サーヴァント)がくれば、その差も埋められる。

 

  自らの勝利を確信しながらも、彼女は準備を怠らない。全ては、まだ見ぬ自分の理想の相手のために。

 

  だがしかし、理想というのは何なのだろう。自らの手で創り出した相手など、動作の決まりきった人形(おもちゃ)でしかない。彼女は、根本から間違えていた。

 

 

 

 -------------

 

 

 

  ウォルター・マッハ。彼は自分の名前が嫌いだった。

 

  マッハ家の嫡男である彼は幼い頃から魔術の教育を受け、鍛え上げられてきた。しかし、彼は次第に自らの力に絶望していくことになる。

 

  一つのことが出来るようになるまで、人より何倍も時間がかかるのだ。初歩の段階であればスラスラとできた。しかし応用段階になると、途端に膨大な時間が必要となる。

 

  圧倒的に要領が悪い。そこが"天才"と違うところだった。"天才"に匹敵する潜在能力(ポテンシャル)を持ちながら、それを使いこなせずにいる。

 

  それでも。届かないはずはない。神などという存在(もの)がいるかはわからないが、人はみな平等に作られた存在であるはずだ。単に進むスピードの差なのだ。

 

  そう自分に言い聞かせ、彼は血の滲むような努力をしてきた。魔術を学ぶ事は楽しかったし、ただ人より時間がかかるというだけなのだから。しかし、

 

  「…俺は間違っていた。天才に、凡人が勝てるわけがなかったのだ」

 

  ある日を境に、彼は努力を諦めた。それまで一心に魔術を学んできた彼は、ある出来事をキッカケに魔術に対する情熱を放棄したのだ。

 

  以降の彼は死んだような日々を送っていた。そんな時に言われたのだ。聖杯戦争に参加したらどうか、と。

 

  聞けば"天才(ヨハン)"も出るのだという。最初は断った。どうせまた、叩きのめされるのがオチだ。そんなものに何故、わざわざ出る必要がある?

 

  しかし、その話が忘れられなかった彼は聖杯戦争の情報をかき集めた。5回行われ、その後解体された冬木の聖杯戦争の事。この地での、聖杯遊戯から今に至るまでの事。

 

  それで知ったのは、魔術の腕が勝敗に直結するわけでは無いという事実。

 

  冬木における第4次聖杯戦争では、稀代の才能を持つと謳われた時計塔の君主(ロード)"ケイネス・エルメロイ・アーチボルト"が敗退して、最後は雇われの魔術師殺しが何故か聖杯を破壊したという。

 

  続く第5次聖杯戦争では、無名の魔術師見習いが勝利したと言われている。

 

  この地でも、何度目かに行われた聖杯"戦争"では外部からの無名の魔術師が優勝し、そのまま何処かへ消えたという逸話がある。その後の戦いでも、無名の魔術師や歴史の浅い魔術師が勝利したという記録が幾つもあった。

 

  無論、それで"自分も可能性があるかも"などと安易に思ったわけでは無い。ただ試したくなったのだ。自分の今までの努力を。再び自分に言い聞かせたかったのだ。お前の今までの努力は無駄ではなかったと。

 

  もしかしたら、彼の心の中にはまだ、魔術に対する情熱が残っていたのかもしれない。努力で"天才"へと近づく隠れた"秀才"は、再び目覚めたのだ。

 

  努力の秀才は、天才を貫く槍となるか。

 

 

 

 ------------

 

 

 

  空を飛びたいと思った。だから羽根を作って、崖から飛び立った。

 

  今彼は病院のベッドにいる。もうすぐ退院だが、彼の心は晴れない。

 

  鳥が羨ましいなぁ…。人はなぜ、自力で飛べないんだろう。飛行機では風を感じられないじゃないか。

 

  だから、彼は聖杯に風を求めた。6歳の頃から様々な方法で空を飛ぶ事を目指してきた彼は、自力のみでは無理だと気づいたのだ。

 

  ここまで来たら一度、奇跡にでも頼ってみるかな。

 

  勝つ自信はない。ただ、楽しめそうだと思った。非日常に足を踏み入れれば、新たな発想を得られるかもしれないと思った。

 

  彼は病院の窓から外を眺める。空を舞うシュバシコウを見つけると、目を閉じて、その視界を空想した。

 

  風を受けて上昇。一気に下降。羽根を動かし水平に。流れていく景色、目先の木にゆっくりと止まる。

 

  目を開けるとそこは病院のベッド。彼はため息を吐いた。

 

  「地に着いた世界はつまらないなぁ。どうして人は空を飛べないんだろう…」

 

  目を伏せたその時、彼を呼ぶ声がした。

 

  「ヴァルトハイムさん。そろそろお時間ですよ」

 

  彼は顔を輝かせ、ゆっくりとベッドから足を下ろす。荷物をまとめながら、彼は自分の気が高ぶるのを感じていた。

 

  どんな英雄さんが出てくるかはわかんないけど、面白い人だと良いな。

 

  鼻歌を歌いながら階段を降りて、受付の前で軽く会釈。両手を広げ、全身で風を受けながら自動ドアを通る。

 

  うん、良い風。これならいい英霊(ひと)を呼べそうだ。

 

  弾むように歩いて病院を出て行く彼の名はクルト・ヴァルトハイム。"奇人"と称される、ヴァルトハイムの三男である。




ここにはまぁ、作品について色々と書いていこうと思ってます

サーヴァントやキャラクターの情報も、ぼちぼちと。
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