副会長です。
さて、聖杯戦争開幕です
幕間の話はボチボチと
それでは楽しく読んでいただければ幸いです
〜聖杯戦争〜 7月01日10時32分
最初に産まれたのは憎悪だった。黒々とした意識の中でただ、"憎い"という感情のみが渦巻いていた。
憎い。なぜ俺がこんな目に。憎い。俺って誰だ?憎い。ヤツを殺してやる。憎い。ヤツとは、なんだ?
痛みは無い。ただ憎い。誰が憎いのか、どうして憎いのかも分からなかったが、"ソレ"は漆黒の意識の中で何かを憎み続けていた。
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自室の机の上に顔を伏せる白髪の少年と、その様子を眺めながら静かにミルクを飲むセイバー。
先程から、全くと言っていいほど体勢を変えずに黙り込むマスターが心配なのか、恐る恐る声をかけるが、やはりミルクは飲み続けている。
「ーー主よ」
「…………」
「なあ、主よ」
「……………」
「主ってば」
「煩いッ!少し黙っててくれ!」
急に怒鳴りつけられたセイバーは驚いて、手に持っていたカップを落とす。カップは音を立てて地面に当たり、周囲には中に入っていたミルクが飛び散った。
「す、すまない。いま片付けるからーー」
「いいよ。片付けは僕がやるから、しばらく席を外してくれないか」
慌ててカップを拾うセイバーを、一切見ないで机に突っ伏したまま静かに言うヨハンからは、殺意すら感じられた。
そんな荒んだ様子の彼を尻目に、セイバーは素直に部屋を出る。扉は閉め切らず、横にしゃがみ込んで中の様子を伺った。
「……どうして」
一人になった部屋の中でやっと、ヨハンが口を開いた。依然、机に突っ伏したままではあるが。
カールが殺されたという。アサシンの手によって。彼がその情報を知ったのは今朝のことだ。
アサシンのマスターに対して憎しみは湧かない。聖杯戦争なのだから、友人や自分自身が殺されることくらいは覚悟していたし、きっとカールもそれは同じことだ。
しかし、彼にはある疑問が湧き上がっていた。先程から延々と思考しているが、分からないこと。
カールだって伊達に魔術師ではないのだ。いくら召喚に集中していたとはいえ、結界も張らずに、というわけでは有るまい。
では、結界を突破できる実力を持った英霊だったのだろうか。それであるならば、なにも準備期間中に殺す必要はないだろう。
魔術結界を易々と突破できる技能と、直前まで察知されない高レベルの気配遮断スキル。その二つを持ち合わせる程の英霊を召喚したのなら、ルールを破るというリスクを冒してまでこのタイミングを狙う必要性は低い。
一般的に、魔術師は格式や誇りを重んじるのだ。その誇りと、高ランクの英霊。二つを天秤の片側に掛け、それでも傾く程の理由とは。
「なんなんだ…」
天才にはそれが分からなかった。考えて、考えて、考えて。こんなにも考えて分からなかったコトなど一度も無かったのに。
その時、
「…主よ。敵だ」
セイバーの声がした。思考を中断するその
そんな事は、数分前から気づいているよ。
ヨハンはゆっくりと立ち上がり、魔術刻印を起動した。ベッドに立てかけた杖を持って、しっかりとした足取りで扉を開け、片手を上げてセイバーを後ろに付ける。
敵は馬鹿正直に呼び鈴を鳴らしているようだ。少なくとも、アサシンのマスターではない。
階段を降りる。
一度で充分だと言うのか。呼び鈴は何度も鳴らされることはない。
玄関口までの長い廊下を進む。
ーーと、そこで異変に気がついて足を止める。
眼の前が魔力で覆われている。本来、玄関口の先にいるはずの二人組が、いや、そもそも自らが歩いている廊下すらも、魔力で塗り潰されているのだ。
これ程の魔力を持った英霊がいるのか。つくづく自分の英霊が頼りない。これでもセイバーだというのに。
ため息をついて、再び歩き出す。
別にこの程度、大した影響はない。
非常に頼りない自分の英霊と、魔力で潰された視界。それでも尚、彼には自信がある。己が負けることはない、と。
だから、扉まで辿り着いた時、開けようとしたセイバーを手で制したのだ。
何処の誰だかは知らないが、僕の思考を中断してくれた礼はさせて貰うよ。
手でドアノブの位置を探り、しっかりと掴んで扉を開ける。突然の来客を、来敵を、笑顔で迎えた。
その笑みは
「やあ、こんにちは。誰だか知らないけど、僕は今とても苛立っているんだ」
果たして、扉の向こうにいた者とは。時計は10時32分を指している。
07月01日 聖杯戦争、開幕。
ありがとうございました
どうでしょう。なんか主人公が悪役みたいになってますね。
でもこれで良いんです。彼は強いんですから。
強いキャラはそれ相応の自信は持っているべきですし、むしろ自信無さそうな強キャラなんか気持ち悪いじゃ無いですか
主人公無敵物でも、あくまで敵キャラは主人公に"挑戦する"というカタチが好きです。この作品は別に無敵では無いんですが。
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