「・・・・・くそ・・・・だいぶやられてしまったな・・・・」
提督が、傍らの大淀に語りかける
「・・・・はい・・・・」
二人の目の前には、崩壊した赤煉瓦の鎮守府庁舎があった
いや、それだけではない
敷地内のあちこちから黒煙が上がっている
そして少しだが市街の方からも
鎮守府は壊滅的な被害を被っていた
かろうじて、ドックと工廠が少ない被害で押さえられていたが
過ごしやすかった鎮守府の面影など何所にもない
官舎も、艦娘の寮もすべて焼け落ちていた
「市街の被害は・・・?」
「・・・3~4区画、丸々焼失、さらに・・・防空壕に・・・徹甲爆弾が・・・命中し・・・・」
「・・・・分かった、もう言わなくていい」
その先は言われなくても分かることだ
市街地の防空壕は爆撃に耐えられるよう鋼鉄で覆われていた
市民を守るためにだ
しかし、今回それをいともたやすく破壊されてしまったのだ
さらにそれだけではない
艦娘達にも被害が出ていた
「赤城さん!加賀さん!しっかりしてください!」
「飛龍!意識を保って!あと少しよ!」
「こっちにも人手を回せ!翔鶴が重体だ!」
「大型艦だけじゃねえ!駆逐艦だって大量に被害が出てるんだ!」
敵機の迎撃に出た艦娘達は満身創痍だ
敵機は二重、三重に罠を張っていた
第一波は高高度と低空にそれぞれ最新鋭機と現行機とに分け攻撃機と見せかけ、全てを戦闘機で編成していた
高高度は雲鶴、真鶴の真電隊が獅子奮迅の活躍を見せ、敵機を駆逐する
しかし低空は機体の性能が互角であり、数の差からぎりぎりの拮抗を保つことしか出来なかった
そして第二波、第一波から間を置かず、高高度に最新鋭戦闘機、中空に、戦闘機、爆撃機、低空に現行の雷撃隊が突っ込んできた
真電隊は弾薬が少ない中で新鋭機を押さえることしか出来ず、数が減り、燃料も弾薬も少なくなっていた、赤城達の艦載機達は押さえ込めず、四方八方からの攻撃を受けることになった
さらに、突然の襲撃でもあったため、陣形を綺麗に組めておらず、効果的な対空弾幕を張ることが出来ず
各艦がそれぞれ対空砲火と回避運動を行うことになってしまった
味方同士での衝突もあり、被害は甚大だ
幸い、轟沈した者がいないことだけが救いだが、こちらは貯めていた資材等を第三波で吹き飛ばされ、その修復がほぼできない状態だ
結果、簡易的な治療しか施せず壊滅状態となってしまった
沖ノ島沖に集結中の深海棲艦艦隊を叩くために集めた最高戦力を結集していたことが仇となってしまった
ここが内海ということも慢心だった
提督は、プレハブの執務室でうなだれながら、仕事をしていた
手元の資料には被害の現状がまとめられている
その中に最悪な情報も入っていた
沖の島沖の敵艦隊が動き始めた
現在、他の鎮守府が残存の艦を率いて攻撃しているが、主力である戦艦4隻に元までたどり着けず、相手にならない
確実に、着々と最後の時が近づいていた