「それで
蝋燭一本の薄暗い部屋の中、目の前にいる梶川くんが聞いてくる。
主従関係となったあの日から二人だけの会議が三日と空かず開催されている。
夜になるといつもオレの部屋でだ。こんな時間に人目を忍んで二人きりで会っていたら夜這いなんて思われるんじゃないだろうか。形だけを見れば十歳のお姫様と十四歳の若造の禁断の恋に見えなくもない。
まあ、話としては面白い。でも色恋の話じゃあないんだよ。オレの念願としている平家生き残り大作戦の全体像を作る計画を練ってるんだよ。
で、本当はその全体像を作る作業に取り掛かりたいんだけど、目前に迫ってきている事件がそれを邪魔しているんだ。
長いスパンに移る前にまずこの目先の問題を片付けないと……。そうしなければ生き残りを賭けた大勝負の難易度がさらに跳ね上がってしまう。
「そうですねー。とにかく今は目先の事を処理しませんか? 全体的な枠組みも大事ですが、まずこれを何とかしないと……」
「いつも言っている
「はい。その鹿ケ谷の山荘に
前世では確かこの企てを
「ぶっちゃけますと、
「うん。その辺はいつも聞いているから判るんだけどその手法だよね。どうやって参加させないようにするのか」
「私一人じゃ考えも付かないけど、梶川さんと一緒ならなんとか行けそうな気が……しなくもないです……」
もじもじしながら上目遣いでこんな感じに梶川くんを見上げる。男性は持ち上げると奮い立ちますからねー。ソースはオレだけど元々奮い立つ側だったから信憑性は抜群なのです。
でも、それが閃きに類する事柄ではそううまくはいかない。
だからいつもこの辺りで良い考えが思い浮かばずに解散となる、それが辛い。だって何も浮かばないんだもの!
「だよねー。いつも同じ感じでお開きになるよねー」
この人オレの心が読めるのか!?
「むう、やっぱり良いアイデアは思い浮かばないですねー。明日から有馬まで湯治の旅だと言うのに! ああ、もう時間だけが過ぎて行く!」
くそっ、いらいらが募る。もう春だと言うのに何一つ事件に対する有効的な手段を打つ事が出来ない。六月まであと三ヶ月を切っていると言うのに。時間が足りなさ過ぎる
「今日はこの辺りで閉会としましょう。明日は朝から出発ですし梶川さんは私に着いていくのですから早めにお休みになった方がいいですよ」
「判った。そうさせてもらうよ。でも
「うん。ありがと」
最近
で、そう言う事ならいつも仲良くしている親戚を呼ぼうかと言う話となり、親父の家、要するに
あっ、当然主だった家にも話は通しているそうですが、
日頃の付き合いからうちは参加する事にしたんですけど、それでも家の留守番もあるし家族全員で行くわけにもいかない。だから色々考える事が多いオレが家に残ろうと親父に言ったんですが、その前にもう
考える事が多くて時間がないと言うのに!!
◇
もうお日様は大分高いところまで上っている。もうじき昼時なのではないかな。
「私達は別に骨肉の争いをやろうってわけじゃないんです。ただ次の後継者を
「それでもさ親戚同士なんだから仲良くすればいいじゃないか?」
「そりゃ私だって好き嫌いで動いているわけじゃないんですよ! 私達一門の生死が掛かっていますし……」
で、今オレと梶川くんは輿の横窓と外で議論を戦わせている。勿論オレの方が輿の中で梶川くんが外ですよ?
逆を考えてみるといい。オレが外でへとへとになりながら輿の中で優雅に佇む梶川くんと息を切らしながら会話をする? ありえん。
か弱いオレの方が中に決まっているじゃないか。
いやー、それにしてもぽかぽかしてよい天気だ。お出かけするには最高の日和だなー。昨日の夜は良い手段が浮かばなくていらいらしてしまったが、こんなに天気が良くて青空がすっきりしているとこの旅も楽しそうに思えてくるから不思議だ。
そう、オレ達一行は摂津の有馬温泉まで湯治に出かけているのだ。それも親戚のみなさんと一緒に。
あれから二刻は過ぎたあたりで一行は旅を中断して弁当タイムに入った。輿に乗っている身分としてはそこまで疲れてはいないけど、輿を担いでいる人や随伴はくたびれた表情をしている。梶川くんは若いのかそこまで疲れた顔は見せていない。流石はオレの家臣第一号!
「派閥とか面倒くさいなー」
木陰で御座を用意している梶川くんがそんな事を言う。
オレだって面倒だ。出来る事ならみんなで楽しく過ごしたい。でもさ、何も変えずに流れに身を任せてこのまま行くと必ず棟梁が
そうしたらオレも最期には首を……っとおおぉぉぉ、……おっしゃー耐えたぞオレ。また思い出すところだったわ!
オレよく頑張って耐えた。えらいえらい。
「面倒ですけどこのまま行くと私達みーんな滅んじゃいますから何とかしなくちゃ。それよりもまずは頑張ってみなさんの名前と顔を覚えてくださいね!」
準備が終わったのか梶川くんがオレを御座に座るように促す。そこへ座ってみるととても良い風が流れてくる。うん。いい場所だ。褒めてつかわす。
オレが座ると下男が御座に色々な料理と酒を運んでくる。美味しそうだ。
「
「ファイトです!」
梶川くんのやる気を上げるために両手で拳を作って頑張れ! って応援する。
まあこれだけだと気の毒なので色々と教えてあげる事にしましょうか。
「まあ、今から色々教えますから、とにかくこちらへ上がってくださいな」
そう言って梶川くんを御座に招く。
「ついでにお酌もして頂きますけどね」
「はいはい。判ったよ」
梶川くんはそう言ってオレの御座に入って座る。いつもの事だけどオレと梶川くんが一緒にいると、侍女や他のみなさんも気を使ってくれるのかこちらへ近寄っては来ない。本当に夜這いするされるの仲だと思われてるのだろうか。十歳児なのに。
「父上と兄上は判るよね。じゃあ、まずはあの一番いい場所に陣取っていて『のじゃのじゃ』言って上機嫌な小さな女の子がいるのは判ります?」
「ああいるな。離れているのにここまで聞こえてくるな。『のじゃのじゃ』って」
「うん。あの黄色や赤色で装飾された内掛けを羽織っているのが私達のトップ。
「にゅうどうしょうこく様?」
「ああ、
「うわっ、あの騒がしいのが清盛……様なのか。しかしあの服装、派手派手だなー」
梶川くんってば、
説明なんてしていると喉が渇くから盃を傾ける。美味い! 外で呑む酒も格別だなー。
その清盛様の傍らには二人の重要人物が一緒に呑んでいるのが見える。実質的な平家の軍を統率している三人のうちの二人だ。
「清盛様と一緒に呑んでいる二人は判る?」
「白髪まじりの爺さんと軍師みたいな女の子の事かな」
「う、うん。あっているんだけど、他の人が聞いている場所でそんな事言ったらダメですからね」
「わ、判ってるって。それでそのふたりはどう言う人なんだい」
「はい。では白髪のお爺さんの方ですが
「凄い爺さんなんだな」
「あはは。そうですねー。もう七十歳くらいなのに元気ですよねー」
「へー、七十歳には見えないね。じゃあさ、もう一人の髪の長い方はどんな方なんだい?」
「彼女は
「軍事平家ってのは
「そうですね。
ここには来ていませんが他にも、
「あのさー、
「うーん。この時代はね本当の名前って家族や夫婦以外にはあんまり言ってはいけないんだよ。名前を知られると呪われるって信じられてるからね。私はそんなのはデタラメだって事は判っているよ。でも何もわざわざこの時代の人の考えを覆す事も無いじゃない」
「そりゃそうだけどさ」
「だから困惑するだろうけどその辺は我慢して下さいな。私と梶川さんで二人っきりの時は名前を前提に話もしますが、普段はそうもいきませんからねー。」
たぶん梶川くんは名前と官職名を分けて考えられないんだろう。言いたい事は判らんでもないけど慣れて貰うしかないんだよなー。
さて気を取り直して次をご紹介しましょう。
「それでは次です。その横で一緒に談笑している恰幅の良い男性は判ります?」
「
「よくできました。褒めるついでにお酌をしてあげます。盃をこちらへ」
「うん。美味い!」
お酌をしてあげると梶川くんはそのままキュっと一息に呑み干す。よほど都の酒が気に入ったのだろう。屋敷で最初の宴を開いてから未成年なのに酒をかっくらう毎日だ。
「まあ、あれだ。最近、
今回
胸を揉んだり色んなセクハラをやらなきゃ、オレだって昔はよく遊んでもらっていた仲だ。太っていようが、そちらから嫁になれなんて言って来たのなら、ならんでもなかったと言うのに。
逃した魚は大きいんだよ
「ちゃっちゃと行きましょう。ではあっちで一人寂しくお酒を呑んでいる見るからに普通の御仁は判ります?」
「あの人ははじめて見る顔だなー。誰なんだい」
「あの御仁は
じつはこの
だから、一応は平家は全て滅んだわけじゃないんですよ。
平成の世では世間的に平家は滅んだ事になっていますから、その後に活躍した人はいないんでしょう。
あとは……、あっ、いました。いました。
「梶川さん、とことこ歩いて
白色のお着物に水色の内掛けの大人しそうな女の子が歩いている。表情は笑顔なのだけど、どこか悲しそうなそんな女の子。
「えーっと、ああ、あの青髪の眼鏡っ子?」
「そうそう、その子です」
「うーむ。
「どう言う事ですか?」
「みんな小柄で貧乳だよね」
この
「まあいいでしょう。小さくて貧乳の話はこの際置いておきます。それよりもあの女の子の事ですが」
「うんうん」
「あの方は
「
「確か
あっ、目が輝いた。パンツが見えたんでしょう。良かったですね……。
「美盛ちゃんが生まれる何年も前って事はあの子の方が年上なんだね」
「そうですね。私よりも少しだけ年上のはずです。それに行盛様はうちの父上や重盛様と同じく一家の主ですからね」
「そっか。基盛様が亡くなっているから行盛ちゃん……行盛様がその家のトップになるのか」
うちの家族ならまだしも別家の女子にまで『ちゃん』付けはダメでしょう。こう言う事がまたあるといけないので、ひと睨みしておきました。
このあたりが今の
「あら、もうすぐ出発みたいですよ。お片づけ頼みますね」
「判ってるって」
オレも手伝いたいのは山々だけど流石に人が大勢居るところでは出来ない。そんな事をやり始めたら、それは雑用の仕事だって叱られてしまう。だから仕方ないね。
それから程なくして一行はまた出発を開始したのだった。
◇
そんなこんなで無事に有馬の湯治場へ到着しました。いやー長かった。景色は綺麗で楽しかったけどさすがに三日掛かりの旅はキツイ。
座りっぱなしだから腰は痛いし、途中の宿ではお風呂も無いから髪やお肌がベタベタだし。
でも今日からはお風呂尽くしだわー! ふーろ! ふーろ! おーふーろー♪
まずは湯治場の目の前にある旅館の我が一家の部屋で荷物を降ろす。
ん? オレ? オレが荷物なんて持ってくるわけ無いじゃん。身の回りの物は侍女が、重い物はみんな下男がしてくれるんだよ。
いやー、楽すぎて身分が高すぎるのが辛い。
「では父上。兄上、私はお風呂へ行って参ります」
「判った。私達は後々行くでな。のう
「そうですね。私もはじめて来ましたから楽しみです。
「わ、判っていますって兄上」
すぐにでもお風呂に入りたいオレは話も半分に部屋を飛び出すとそのまま湯治場へ向かったのだった。
脱衣所で内掛けとお着物を無造作に脱いで胸当てと下当て姿になる。
その格好のまま鏡の前まで行き、自分の姿を眺めてニヤニヤする。やっぱりオレって可愛いよなー。
白の上下の下着はロリロリだし、長い黒髪もお嬢様みたいだ。お嬢様ってよりはお姫様なんだけどね。眉毛が太いところも何か男らしくて中性的。しかも顔はどう見てもロリ可愛い。目が吊り目でキツそうなところも、大人に憧れて背伸びをしている少女みたいで中々良いポイントだね。
ああ、自分が可愛いらし過ぎて辛い。
よーし、自分の姿を見て大分パワーを回復したぞ。それじゃあお風呂に入りますかー!
ザバーン。
何度もお湯を頭からかける。お湯が暑くてすっごく気持ちがいい。
ふう、一通り髪と体を洗い終わった。長い髪は頭の上で布を巻いて水分を取っている最中。しかし女になってからやたらと風呂にいる時間が多い。この髪のせいだ。長すぎて洗うのに時間が掛かり過ぎるんだよ! でももったいなくて切れない。このジレンマ……。
さて湯船につかりましょう。足を入れると飛び上がりそうになる。あっついわーこれ! でも入らないと温泉に来た意味が無い。女は度胸だ! 片足、両足、そしてそのままガバりと首までつかる。
熱っちー! 熱っちー!
でもそのうち我慢していると慣れてきたのかちょっと快適になってきた。
「いやー、いいお湯加減ですこと」
ふむーっと鼻息荒く暑い湯船でそんな事を言ってみた。本当は熱いんだけどそんな事言えない。誰もいないんだけど言えないんだ。これは自分との戦い!
このまま、熱っつーい! なんて言っちゃって飛び上がるのは何かに負けた気がするんだ。だから百数えないと上がれないのだ。うん。
こんなどうでもいい事に本気になるオレがバカみたいだけど、そこがまた可愛いんじゃないかって妄想する。
九十六……九十七……。
よしあと少しだ頑張れオレ!
九十八……九十九……。
そんな時だったこの湯治場の戸が開いたのは。
うっ。なんでこんなタイミングで誰かが入ってくるんだ。これでオレが立ち上がって出てったらその人に悪い……。
『貴女が入ってきたから私は出るんですのよ!』 なんて誤解されるのも嫌だからね。
仕方ない、もう少しだけ我慢するかー。
「おお、誰かと思えばそこな
「えっ、ああ、これは
あやー、清盛様が来ちゃったよー。そういや今回一門の女子で旅に来てるのはオレと清盛様、それに行盛様と貞能殿だけだもんな。あとは男ばっかりでむさ苦しいね。
「最近の
何度か桶でお湯を体にかけた
普段の
その後も
会話中の
◇
「こんにゃろー! あたしと勝負しろ! この
風呂から上がって外を散歩していたら凄い声が聞こえてきた。しかもオレの名前入りで。
旅館の角を曲がると人だかりが出来ていて、その中心には梶川くんと……あれ? あの茶髪のツインテールにヒラヒラのミニスカート風な浴衣は
なんで
「あ、
オレに気がついた
人だかりを避けて中心に居る梶川くんに近づく。何があったのか話を聞いてみよう。
「どうもこうもない。アレが俺んところに来てお前の事を聞いてきたから、今は風呂にいるよ。って答えたらこの始末だ。意味が判らない」
オレもそれじゃあ意味が判らん。なんで教経様はそんなに怒ってるんだろう?
「
「粗相も何もこの者が
ロリ体型の多い平家女性陣の中でも一際目立つ
一応言っておくとオレよりも七つ年上だ。年上なんだけど、どう見ても
その話を聞いたオレは梶川くんの方に顔を向けると半眼になって、じーっと見る。覗きイクナイ。
見続けるとその目に耐えられずに怯んだので更に、じーっと見る。
「ち、違うよ。俺は見に行ってなんていねーよ。ずーっとここに腰掛けて居たんだからな!」
梶川くんは身振り手振りを交えながら身の潔白を晴らそうと一生懸命にオレに言う。
判ったよ。信じるよ。
「あの者も私の家臣。やっていないと言うのであれば信じてあげるのが主と言う物。紛らわしい言い回しには今後注意させますので今回は許していただけませんか?」
「いいや、あの顔は覗いた顔だ。だから身の潔白を示すためにあたしと戦え! 勝ったら認めてあげよう」
またそんな無理を言うし……。まあ、
んで、何故か派閥も違うのにオレは
そんなわけで、ちょいと出の梶川くんでは適う筈が無い。だからここは引いて貰うためにちょっと演技をしようか……。面倒だなー。
「そんな……梶川さんは私の一番の家臣なのですよー! そんな事を言う
こ、ここは泣くしかねー。泣いて場を白けさせなきゃ、きっと大惨事になっちまう! 主に梶川くんの体が。
オレは必死になって涙を流そうとするのだがこう言う時に限ってまるで涙が出ない。
必死になって涙を流そうとして、そう言えば鼻毛を抜くと涙でるよなー! なんて思って抜こうとする。あっ、そう言えばチート能力で髪と睫毛と眉毛以外は生えてこないんだったー!
「なーんだ。お前は腰抜けだったのか? 」
こんなバカをやってるオレには構わずに教経様は梶川くんを挑発しはじめた。
隣に居る梶川くんも生来は熱血なカテゴリーに入る人間だ。拳がぶるぶる震えている。そう言えば出会った時も喧嘩してたもんね。
「あのガキンチョやたらと俺を挑発してくるけど天然なのか?」
「バカ! やめておきなさいって。あの人は教経様と言って一門で一番強いと言っていい人物です。梶川さんの敵う相手じゃないんです」
「バカとか言うなよ! あいつはよく確かめもせずに、やってもいない事をやったなんて言うんだぞ。これで泣き寝入りなんてしたら俺が俺じゃなくなってしまう!」
言ってる事はしごくもっともだ。でもさ、まず相手の力量を確かめようよ。……ってあの体型の教経様を知らない人が見たら勝てると思うよなー。
「それでもダメ。ようやく見つけた私と共に生きてくれる人をこんな事で失いたくないの」
「えっ、マジ! そんなに想っていてくれたのか……。これはますます引けなくなってしまったぜ!」
何っ!? なんか勘違いさせてしまった気がするんだけど!
「いやいやいやいや、待ってくれオレは……いや私は末永く一緒に家庭を共に過ごして行こうとかそう言うつもりで言ったんじゃなくて!」
「よーし、一丁あいつをやっつけてくるぜ!」
ぜんぜん聞いていやがらねー!
あわあわ……。あまりの事にいい考えも言葉も出ない。何も出ない。あわあわ……。
完全に固まってしまったオレはその場で立ち尽くしてしまった。
その後、勝負を受けた梶川くんだったが何度も何度も教経様に倒された。でもその都度立ち上がって気絶するまで立ち向かっていったんだ。男の根性とはああ言うものなんだろうって久しぶりに思い出させてくれた。
まあ、教経様もオレの手前、手加減してくれていたんだろう。でなきゃ今頃オダブツだ。
で、今はオレの部屋。夕方なんてとっくに通り越して夜中の真っ最中。布団の上では気絶した梶川くんが寝ている。ところどころ打ち身で腫れ上がっていたり擦り傷などで痛々しい。
オレは寝ている梶川くんの顔を見ながらさっきまでの事を考えている。
共に生きてくれる人……あんな言葉良く考えたら普通出ないよなー。じつはオレって梶川くんの事が好きだったりするのか?
考えても答えなんか出るわけがない。
うーむ。ずーっと看病しているからオレも眠くなってくるなー。ちょいと横になってもバチはあたらないだろう。
背伸びをするとそのまま横になる。横目で梶川くんの顔をぼけーっと見ていたがいつのまにかオレも眠ってしまったのだった。
んでもって朝。眠ってる梶川くんを起こさずにそーっと部屋を出る。梶川くんの事はとりあえず彼付きの下男に頼んでおく。
さてと、腹も減ったし飯だ飯。その前に用をたしに行くとするかー。
その後、朝餉の時に親父から聞いたのだけど、
しかも
って言うか、今更思ったんだけど前世でこんな湯治旅行なんて無かったよなー。今生も十歳まで生きてきたけど、細かいところは変わっていてもこんなに大勢を巻き込んでの変更は無かったはず……。歴史を変えるほどの何かが起きてるのだろうか?