朝起きると布団の中に丸くて暖かい何かがあった。
なんだこれ? と思って布団をめくってみると中には俺の腕を腕枕にした女の子がいた!!
えーっと、こう言う時はどうすればいいんだっけ? そ、そうだ、『親方ー! 布団の中に女の子がー!』等と天空の城みたいな事を叫べばいいんだっけ。
んで、テンパりながら、よーくその女の子を見てみたら、あら不思議、俺のご主人様の美盛ちゃんでしたー。ああ、なーんだ美盛ちゃんか。驚いちゃったよ……。
て? えーーーーー!? 待て待て、待ってーーー! なんで美盛ちゃんが俺の布団の中で
起き抜けからショックな事が多くて、どうしたものかとアワアワしてたら、そんなものはお構い無しなのか何なのか美盛ちゃんがのそのそと起き上がってきた。
そして眠たそうな目元を擦りながら朝の挨拶をしてきたんだ。
「あら、かじかわさんはやいですね。おはようございます」
「あ、うん。お、おはよう美盛ちゃん」
白い寝巻きに赤の帯で身を包んだ美盛ちゃん。やっぱりこの子は小さくて可愛いよなー。黒髪ロングで姫カット。そして釣り目の美少女。こんな感じの女の子ってわりと居そうで本当居ないんだよなー。
「どうしたのですかかじかわさん?」
「いや、美盛ちゃんがいつの間にか俺の布団にいたから驚いてさ」
「私がいたからおどろいたのですか? んー? ああ、なるほど! 私がいるとおきぬけにおちんちんをいじめてあそべないからこまってるんですね!」
俺が何故ここで美盛ちゃんが寝てたのかと尋ねると、とても頓珍漢な言葉が返ってきた。流石は元男だけあって健康な男子は毎日の様に色々としなきゃならない事を判っていらっしゃる。って言うか、今考えた内容を返事にして良かったりするのだろうか?
いや、ダメだろ! もっと普通に返さなくては。たとえ相手にバレてるとしても。
「いやいや、そうじゃなくて、いや、それはそう言う事もあるかもしれないけど、そうじゃなくてっ!」
うう、俺、滅茶苦茶だぞ。
「そんなにあわてなくてもいいのですよ、かじかわさん。それにそんなにこまってるのなら、いっそのことこの私をつかえばいいじゃないですかー」
使えばいいとかそんな魅惑的な言葉を美盛ちゃんは微笑とともに光の無い目で言ってきた。
「えーっと、美盛ちゃんを?」
「はい! 私のてでもくちでもすきにつかってくれていいのですよ? なんならおんなのこのいちばんだいじなところもありますから! どうですかかじかわさん? ほーら、私のくちびるをこじあけて、おきたばかりでかたくなったかじかわさんのおちんちんをむりやりつっこんでみませんか? そうすればとってもきもちいいとおもうのですけどー? さあさあ、えんりょせずにおひとつどうぞ」
うわ、やっぱり美盛ちゃんの目が妖しすぎる! 昨日の薬でメロメロ状態の目だよ! 添え膳なんだけど添え膳なんだけど!! くそ、ここで美盛ちゃんを犯しちゃったら……。
あっ! そうだ、そう言えば清盛様が言っていたな。
『梶川! よく聞くのじゃ! この恋信丹はじゃな、初日と二日目の効き目が一番じゃから、明日美盛は朝一番から必ずお主を落としに掛かってくる。それも速攻でじゃ。じゃから今宵はよいが明日を乗り越えるよう努力致すのじゃ。判ったな!』
薬の影響は凄いらしいけど今日を耐えれば凌げるはず。たぶん。
「ああー、えーっと、そのですね……。あっ、|なんだか判らないけど朝立ちが治っちゃったなー《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》。
「えええ、もうなおったのですかー。そんなー。私ってそのていどのみりょくしかないのですかー。はふぅ」
「違う違う! 美盛ちゃんはとってもロリだし可愛いよ。それに俺にとって大事なご主人様だし。たださ、今はもう朝だから起きなきゃね! ね!」
慌てて言い繕う。
「うーん。なんだかはぐらかされたきぶんですけど私のかじかわさんのいうことですもの。わかりました。それではおきましょうか」
俺って美盛ちゃんのモノだったのか……まあ、ある意味そうなのかもしれないなー。ここに置いてくれたのも美盛ちゃんだし、色々とお世話にもなってるしね。なんと言っても衣食住で世話になってますから。
◇
「あ、きょうのあさげはここにもってきてくださいな」
美盛ちゃんはふにゃっとしてるけどあきらかに正気じゃない目で部屋の外に顔を出すと、いつもいる侍女さんに朝御飯を俺の部屋へと持ってきてくれる様に言う。
「姫様? えーっと、この部屋にですか?」
「はい。んー、なにかもんだいでも?」
「いえ。ではその様に手配致します」
「ありがとう。かじかわさんのあさげもいっしょにおねがいしますね」
「かしこまりました」
そう言うといつもいる侍女さんはそーっと戸を閉めると立ち上がりそのまま廊下を歩いて行った。
「美盛ちゃん?」
「はい。なんですかかじかわさん」
にこにこ笑顔の美盛ちゃん。でも光を失ってるまんまる黒目でこっちをじっと見られるとちょっと怖いんですけど。
「う、うん。えーっとね。朝ご飯はいつもの様に家族で一緒に食べた方がいいんじゃないかなーなんて?」
経盛さんや経俊ちゃんに敦盛くんだって心配してると思うんだ。いつも仲良く食べてる家族が来ないとさ。あっ、長男の経正さんはどうでもいいです。いつも朝帰りみたいなプレイボーイなので。
「そんな……。私……かじかわさんにあさげをことわられてしまいました。これはきらわれてしまったのではないでしょうか。ああ、こんな私はもうじきやまいにたおれるのでしょう。そしてそのままかえらぬひとに……。およよよ」
そう天井に向かって美盛ちゃんは言うと、へたり込んだ座り方のまま右の袖で顔を隠す。そしてさめざめと泣き真似をはじめた。
泣き真似をしてる最中、たまに落ち窪んだ目でチラっとこちらを伺うとまた袖で顔を隠して同じ動作をする。そしてそれを何度も繰り返した。
なんと言うか凄いベタな茶番を見てるみたいなんだけど、本人は薬の作用で本気なんだろうと思うから始末に終えない。
だから、凄い演技だなーなんて関心して見てたけど、流石にあの死んだ目でチラチラ見られると説得力がありすぎる。
うん。やはりこのままではいけない。なんとかしなくては。
「あー! 俺、なんだか無性に美盛ちゃんと一緒に朝ご飯を食べたくなってきたなー!! あーどうしよう!」
やけくそ気味……ってわけじゃないけど、とにかく声を張り上げて美盛ちゃんにアピールした。
俺がそう言った瞬間、美盛ちゃんは泣き真似をピッタリやめるとニコニコ笑顔に早変わり、そのまま俺の隣まで寄ってきて腕を絡めてきたんだ。
「やーっぱり! かじかわさんは私をすてるはずなんてないとしんじていましたから! かじかわさんだーいすきですよー」
おおお、大好き発言キターーー!!
薬の作用とは言えこれはぐっとくる。不覚にもコロっと逝ってしまいそうになったよ。
「じゃ、じゃあ、ここで一緒に食べようか」
「はい! かじかわさんといっしょにたべます!」
俺の言葉ににっこりとうなずく美盛ちゃん。心底嬉しいのか笑顔の輝きがさっきとはまるで違ってる。ただ、惜しむらくは笑顔は輝いてるのにその目だけは暗い色を佇ませている事だった。
◇
お昼。俺と美盛ちゃんは屋敷から出て市中見廻りを兼ねた買い物を楽しんでた。
勿論見えない所に護衛はいるらしい。俺には見えないけど、VIPの美盛ちゃんが出かけるんだから当然だろう。
なーんて事を考えながら昼間の街中をふたりで歩いていたら、美盛ちゃんが物凄い事を聞いてきた。
「それで、かじかわさん。どのあたりで私をめちゃくちゃにしてくれるんです?」
「どの辺りでって!? 俺は美盛ちゃんにそんな事しないよ!」
今のこんな薬の状態ではね……。
「え!? 私はいつおかされてもいいようにこころのじゅんびはできているのですよ! それなのにかじかわさんは私にてをつけないというのですか!」
「うっ…………。で、でもさ、こんな人の大勢いるところではできないでしょ」
そ、そうだよ。通常の状態でもこんな往来の真ん中でなんて出来ないよ!
「あー、かじかわさんはそんなことでなやんでいたのですかー。それではですねー、もうすこしあるくとひだりがわにつれこみやどがありますから、そこでどうです?」
隣で歩いている美盛ちゃんが超自然な会話とばかりに問題発言をする。
そしてそのまま俺を屈める様に言うと、耳元に小さく囁いてきた。
「かじかわさん? 私のちいさくてきよらかなめしべにかじかわさんのおおきなおちんちんをねじこんでみませんか? そのあといたがる私をおさえこんでむりやり…………ふふふ、どうですやりたくなってきませんか?」
うわわわわわ! その表情反則だろ! 美盛ちゃんの釣り目でニヤニヤしながら言われると俺の決心が鈍ってしまいそうになる。
で、でも俺は負けないんだ! この薬の影響で変化してる美盛ちゃんをチョメチョメしてしまったら俺の正義が通らなくなる! 犯るのなら通常の状態でお互い同意の上犯らないとダメなんだー。
「うっぐっぐうう!! で、でもさ美盛ちゃん護衛の人達も居るんだから今は無理じゃないかなーなんて?」
よーし、耐えた! 俺耐えた! 偉いぞ俺!
「むう。かじかわさんはせけんていをきにしすぎです! ほら、じゃあこのままぐるっとまわってかえりますよ! もう!」
だいぶ機嫌を損ねてしまったみたいだけど、とりあえず危機は去った様だ。
よかった。本当によかった。一時はどうなる事かと。
でもなあ、女性の方から誘うのって男以上に勇気がいるって聞いた事があるから美盛ちゃんを傷つけていないか心配だな。薬の作用とは言え悪い事しちゃったかな。しかし、それでも断らなければ俺の信じる正義みたいな何かが壊れそうなんだよなー。だから本当に美盛ちゃんには悪いんだけど今日は全てお断りさせてもらうから。ごめんな。
「かじかわさん! ほらはやく! いきますよー!」
「わかったよー。今行くよー」
十歩ほど先に歩いた美盛ちゃんはそこで止まって振り向くと俺に早く来いと面白くなさそうな声で言う。悪いと思いながらもそれに答えて俺も早足で美盛ちゃんの隣に並ぶのだった。
◇
夜中。布団で寝ていると何か物音がしてそのまま布団の中に何かが入ってきた。
もぞもぞとしながら入ってくる何か。薄目を開けると暗闇だけどなんとなく判る。美盛ちゃんだ。
そして小さな声で悪態をついてるのが聞こえてきた。
「なんで、なんでよこでねているんですかっ。あおむけでねていればねむっているかじかわさんのおちんちんをなめなめしてこうふんさせようとかんがえていたのにっ! もう! しかたありません。このまま私のてでおちんちんをしげきしてあげます」
うわあ、まだ諦めてないんだー。凄い執念……と言うよりも薬の効果だなー。
でも、さすがに釘は刺しておかないとな。
「うおっほん! あのー美盛ちゃん? 俺も一緒に寝るのは全然いいんだけど、股間を手で弄るのはやめてくれません?」
「!!」
◇
その後ふたりで言い合いをして、怒った美盛ちゃんから枕を投げつけられた後、毎日腕枕と包み込んでくれるように一緒に寝てくれればいいと言うところで決着しました。