さてさて今回から第二部です。
先回から少しだけ時を進めていますがほんの半年くらいですので、そこらへんヨロシクです!
16 新年会
第16話
年も改まり治承二年となりました。お久しぶりです。めでたく十一歳になった
治承二年を西暦で言うと何年になるんでしょうか。うーん、確か鎌倉幕府成立が『いい国作ろう鎌倉幕府』だから一一九二年よりはほんの少し前なんでしょうね。
こんな風にぼんやりと考えているには理由がありまして、じつは現在新年恒例の平家一門総集合の真っ最中なんですよ。
毎年正月の吉日に
そこで冒頭に繋がりまして、只今
まあ、ぼんやりしていようがいまいが
還暦を過ぎた現在の清盛様だけど、
黄色と赤の組み合わせのお召し物がトレードマークな清盛様は今日ももれなく赤と白のお着物に、黄色地に赤い花の模様の内掛けを着ている。うむ、いつもの様にとても可愛らしいですね。
「女房共の噂話が耳に入るにつけて、
この夫婦がとても仲が良いらしくて毎晩の様に致しているらしいです。何を致しているのか? そりゃあ勿論プロレスごっこですよ! でも、なぜか未だに子供は出来ないらしく清盛様も今か今かとお待ちになっている状態。だって、御子が次の代の帝ですからねー。
まあ、オレは今年の初夏には懐妊するのは知っているけどね! 根拠は前世ね。
それに付けても挨拶長いなー。
「それにわしももうよい年じゃし、そろそろ後継者を決めようと思うのじゃ」
えっ! 遂に後継者が決定したのか! 親父の話じゃ後継者問題が難航していたって聞いていたけど
早く発表して欲しいのじゃ。あ、『のじゃ』が移ってしまったよ。
「わしの後を継ぐのは長男の重盛とするのじゃ。それと平行してお上や摂関家との間では調整が付いておる案件もある故、一門一丸となって重盛を守り立てて行くのじゃー」
やった! 重盛様だー! これでオレ達平家は滅亡から一歩逸れたぞ!
もうあんな目に会わずに済むかもしれないと思うと涙が溜まってくる。これは悲しい涙じゃないんだ。嬉し泣きだからいいんだもんね!
オレは感極まったのか無意識のうちに重盛様へ手を打ち鳴らして拍手をしていた。
大広間からもいっせいに拍手が鳴り響く。
鳴り止まない拍手の中、そう言えばとオレは一方の派閥の領袖たる
政治的な駆け引きはよく判らないけど、オレにはそう思わないではいられなかった。
◇
「どうしたの!?
新年の挨拶が終わって宴会の前の休憩時間。控えの間にいる梶川くんのところへ戻るとそんな事を言われた。そうそう、官位を頂いてから外では官職名で呼んでもらっています。お上から官位を頂いているのに人前で名前を呼ぶのはあんまりよろしくないので。
「あははは、今はまだ言えないんだけど、とーっても嬉しい事があったから思わず泣けてきたのです。ごめん何か涙を拭くものはないかなー?」
涙声でぐしぐし言いながら梶川くんのとなりに正座で座る。この座布団はふかふかで座りやすいねー。
座る時に控えの間の廊下側にいる人と目が合ったので軽く会釈しておく。あれは
「お、おう。これでいいかな?」
「ありがと」
梶川くんから手拭みたいなのを受け取ると顔を拭く。あー、なんか梶川くんの匂いがするなー。ふがふがっ。
「ふがっ、ふがふが」
「ちょ、
「何って? 手拭いに染み付いた梶川さんの匂いを嗅いでいるに決まっているじゃん」
なにもふしぎなことはないのにへんなかじかわくんだね。
「ああ、いつもの薬の効果だね。平和だねー」
「最近の梶川さんって連れないですね……。年をとって十一歳になったからもう私に興味が無くなったんですね! ロリじゃない私なんて年増と同じなんですね……しくしく」
けっけっけ。こう言う言い方はどうかな梶川くん?
「あ、違うよ。そうじゃなくて! えーっと十歳も十一歳もどっちもロリだから! 好みだから!」
「よかったー。嫌われたのかと思っちゃった」
嘘。本当はそんな事は全然思ってはいないよー。からかっただけだよー。ごめんねー。
「俺が少納言様を嫌いになるわけがないじゃないか」
「ありがとう。私は梶川さんがそばにいるだけで安心するからずーっと一緒にいようね」
はにかんだ顔で梶川くんを見つめながら言う。男性の心を判っているのにあえて言葉に出すのはオレの癖だ。だって元男だからね。どう言えば効果的なのかはある程度は判るんだから仕方ないね。
梶川くんはアレだ。オレと同じでロリ巨乳よりもロリヒンヌーの方に興味津々だから御しやすいのもある。
オレだって男の頃はロリは貧乳が正義派閥の一員だったから、転生したらロリ巨乳だったなんて事になっていたら……ああ、考えたくない。貧乳でよかった!
「あ、あははは……」
梶川くんも苦笑いしてる。でも思いは同じのはず……ん? また
うーむ。ずっと見てるのも悪いから目はそらしちゃいましたけど、アレって見てるって言うよりは睨んでいるって言った方が正解な気がする。こちらから何かしたんだっけ?
「おお、
その後も控えの間で梶川くんとおしゃべりをしていたら
「これは兄上。急ぎのご様子ですが、何か御用でしょうか」
「うむ。そなたを入道様が呼んでいる。急ぎ私室へと行って参れ」
はて? 何かやらかしたかな……。
「畏まりました。それでは梶川さん少し待っていて下さいね」
「いや、梶川。その方も同道せよと申されておった」
え、梶川くんもですか!? うーむ。話が見えてこないなー。悪い話じゃなければいいのだけど。
「わかりました。俺も一緒に行きます」
◇
部屋に入ってみると何とも言えない重厚なメンバーがずらりと並んでいた。
正面に
問題はここから。
クリーム色の縦ロールの髪にツンとすましたお顔がお姫様然とした姿からは想像も出来ない程に苛烈な人ですから、一門の人ですら時忠様にはわざわざ逆らう人なんて少ないんです。
清盛様に面と向かって意見できるのは重盛様と時忠様だけ。この二人以外はやはりどこか遠慮しているんですね。当然オレは遠慮しまくりですよ!
って言うか、この三人が同じ部屋に居るって事はとっても面倒な政治的な話でしょ!? そんな政治向きな話をオレにする意図が判らないんですけど。
更に
部屋図1
| 平清盛 |
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| 平重盛 |
| |
| 平時忠 平盛国 |
| 平美盛(汗) 平家継 |
| 平貞能 |
| 梶川勝利(汁) |
| |
| |
「入道様。新春を
無難に挨拶をかましておく。それを聞いた
「さて少納言。此度来てもらったのは他でもない」
「ははっ。大納言様にもおかわりも無く……」
まずは清盛様の意を受けた時忠様がオレに話しかけてきた。話しかけてきたにしては貫禄がありすぎるけど……。
顔立ちや縦ロールな髪を見るとまるでフランス人形なんだけど、目が怖いんだよなー。しかも着ている物が紫色と朱色を主体とした
要するに近寄り難い女なわけですよ。はい。
「世辞はよい。単刀直入に申すがよろしいな? 去年の夏に失脚した
お世辞とか意に介さないあたり、この方はとっても面倒です……。あっ、
しかし越後をまるまる返上するとか正気の沙汰とは思えないんですけど。どうやって食べていく気なんでしょ?
でも、それとオレとどう関係があるんでしょ? とりあえず先を促しましょうか。
「はい」
「この宙に浮いた越後だが、これには
「此度の家督相続で色々あってな。派閥的には次は修理のところを加増しないと天秤が傾きそうなんじゃよ」
越後の国主と
「そこで
え? どう言う事?? オレに
あまりの事に驚いた顔で口をぱくぱくさせていると清盛様がまた割り込んできた。
「越後の石高は約七万五千石。その内の八割は知行国主の修理に、更に一割が朝廷に入るのじゃが、残りの一割、七千五百石はなんと越後介の取り分として少納言の収入になるのじゃ。どうじゃろう引き受けてはくれぬかのう」
七五〇〇石は凄い! それがみんなオレのモノになるのか!! 五公五民として半分の三七五〇石。米以外にも副収入は色々あるから大金持ちになれるかもしれない。
米一石は二俵半だから、
「畏まりました。越後介の儀この少納言お役目に沿う様に喜んで御引き受け致します」
米計算しかしてなかったけど越後介かー。こりゃ越後国府に赴任になるなー。まあ、いいかたまには出張もいいでしょう。
「おお、そうか。引き受けてくれるかー。それではもう一ついいかのう?」
「ははっ、なんなりと仰せ付け下さい」
まだ何かあるのですか!?
「後ろで控えておる、えーっと梶川と申したの。その方、少納言に仕えてもう半年は過ぎておろう」
「あ、はい。ご、ご機嫌も麗しくえーっと恐悦至極でございます」
いきなり振られてたどたどしく答える梶川くん。バッチリとは言わないけどなんとか礼を逸してはいないね。
厳格な時忠様の目が少し光った気がしたけど気のせい気のせい。
「うむ。その働きに報いる為、その方に
「あ、ありがとうございます。
◇
話が済んで先程まで居た控えの間に戻ってきた。よっこらせと座布団の上に座る。本当は胡坐とかかきたいんだけど美少女だからなー。無難に女の子座りにしておくか……。
「疲れちゃったね」
「本当に緊張したよ。平家って今は日本の中枢みたいなもんだろう。その幹部クラスにああやって話しかけられると冷や汗が流れっぱなしだったよ。しかもこんな中学生に仕事までくれるんだって。もう、怖いやら嬉しいやら」
「まだ内密だから言っちゃだめですよ」
「畏まりましたご主人様」
梶川くんが
「うむうむ」
それに応じるように横柄に頷くと梶川くんと目を合わせながら笑いあった。うん。この意気なら越後へ行ってもうまくいくかもしれないね。
まだ中学二年生の梶川くん。オレよりも実年齢じゃ随分と若いだろうにこちらを心配させまいと堂々と振舞っている。そう言えば今まで接してきて一度も元の世界に戻りたいとか聞いた事がないな……。くっそー、オレも腹をくくるかー。
あの後も色々と話を聞いた。まず盛国殿達三人の話によると木曽谷や伊豆、それに大和の興福寺に、果ては四国の土佐あたりにまで不穏な動きがあるんだと言う。
そこでまずは東海道から北陸路を強化すべきとの意見でまとまり、越後と若狭はうちの家が、能登は
そうなると越後はオレ。越中はたぶん
しかしこれじゃあ前世とは全く違う展開になりそうだなー。前世ではこの頃は源平の歴史なんて知らなかったから半ば人事の様にぬくぬく暮らしていたからね。滅亡するのはなんとなく判っていたけど、自分は関係無いくらいにしか考えていなかったから……。
その点今生では危機感もあるし、周りもなぜか積極的に対源氏戦略を展開しつつある。これは大分滅亡フラグから遠のいたと見ていいんじゃないでしょうか?
「あらー少納言さんじゃないですか。元気にしてましてー?」
考え事に耽っていたら不意に話しかけられた。
「これは
「おめでとう」
この方は
一方の派閥の領袖で、セミロングな灰色の髪をいくつもの縦ロールに決めたダイナマイトボディ。勝気な性格はその美しい顔にも表れている。ちんまいのが平家の女性の特徴なのだけど、なぜか宗盛様だけはボンキュッボンなモデル体型。オレはヒンヌーお子様体型に誇りを持っているからいいけど普通の女子は悔しいらしい。
お召し物も高級品をずらっとコーディネートしている。白銀のお着物に白の帯。その上に青の内掛けだ。
二、三挨拶を交わすと御機嫌ようって言ってまた別の人のところへと行ってしまった。忙しいんだろうねー。
後ろに居た知盛様と重衡様にも御機嫌ようと去り際に挨拶をし合う。
どうもこの三人の組み合わせは苦手だ。何故といわれても明確な答えは無いんだけど、なぜか苦手なんだ。一人一人はそうでもないんだけど三人合わさるととても困る。なんでなんだろうなー。
それでも一応紹介します。
宗盛様のすぐ下の妹の知盛様は、中肉中背でよく手入れされた白銀の長い髪を持つ知的な少女だ。物静かな佇まいなのだけど、決断力を感じさせる鋭い眼光は清盛様を思い起こさせる平家の期待のホープなのです。
それに何と言っても彼女を際立たせているのは宝石の様な金銀両眼。オッドアイってヤツですね。すげーカックイイ!
彼女のお着物は青地に銀の蝶をあしらったお着物に銀の帯を巻き、白を基準にした打掛け。なんと言いますか、知盛様こそ全ての平家の女性の憧れじゃないでしょうか。
最後に重衡様。知盛様の次の妹である彼女も白に近いけど、わりと短めな銀髪の持ち主。仲良し三人姉妹の末女らしくお顔も美人と言うよりも可愛らしい。お着物だってお二人に合わせて白のお着物に青帯。そこへ銀の内掛けですね……ほかの二人とは違って地味な印象を受けます……コホン。おっと咳払い。
いつ見てもこの三姉妹はお召し物の配色は白・青・銀で合わせていますねー だから毛髪の灰・銀・白と掛けて銀三姉妹なんて言われているんでしょう。
水滸伝に
「
「なぜか彼女だけは平家にあるまじきわがままボディですねー」
梶川くんは
梶川くんったら、去って行った
「おい! お前は何者だ? 本当に
二人でじゃれ合っていたら人影が急に目の前に現れる。顔を上げると先程から何度も目が合った
オレが何かしたっけか?
米一石 = 150kg 計算で行きます。
現在、激安のお米が10kgで2000円くらい。高いと10000円なんてのもあるみたいですが、半分をとって5000円にしたとすると
5000円 x 15 = 75000円
米一石 = 75000円
75000円 x 3750石 =281250000円
ざっと計算すると、お米だけでなんと年間約3億円の収入になります!
俺も欲しいw