第18話
今日の天気は空が澄み渡ってとても心地のよいの五月晴れです。
五月晴れって言うんだから今は五月。って言うか、もう五月ですよ! 年明けの発表からこの五ヶ月程の期間はずーっとオレも越後赴任の準備で凄く忙しかったし。加えて、うちからは越後のオレと若狭の
それと今回の北陸道赴任人事だけで終了するのではなくて、これを皮切りに次回から東海道、中山道と順に東国筋に配置していくようです。
地方では……、いやもっと具体的に言うと主に関東で不穏な空気が渦巻いているらしいってのは以前言った通りなんですが、それを察知した私達平家の動きが素早かった為なのかは判りませんけど、関東も最近はぴったりと活動をやめたみたいです。
大事がこちらに洩れている事に気が付いたのかな? まあ、源氏の連中も一家郎党があるのですからおいそれと一族の浮沈が掛かっている決断を簡単に決めらんないでしょ。
それはそれでいいのですけど、だからと言って平家の私達が地盤固め策の各国赴任人事をやめる理由にはなりません。
でも素早かったのは最初だけでして……。本来、春には赴任するはずだった私達ですが遅れに遅れて未だに具体的な事案が出来ていない状態です。大雑把な計画はあるものの実施配備はまだまだ出来ないってところでしょう。
で、こんなにいい天気なのですけど、先程からみんな不機嫌な顔をしながら
それでも始まっただけましな方です。まだまだ色々と決めなきゃならない事や決済しなきゃならない事が山済みですから……。
で、今回の議事の内容を言いますと、赴任した後の北陸各国の横の連絡及び、都との連絡を密にする為の議論です。
あっ、そうは言っても知行国主や清盛様が出席する様ないつもの大掛かりな会議ではなくて前線指揮官やオレの様な在地司令官との間でやる議論ですからやり易いってのはあります。雰囲気は良くはありませんけどそれは日頃の疲れとか色々あるんですよ。
横の連絡とかがスムーズじゃないとどの国もそうだとは思うのですが、最前線のオレは一大事が起こったら目も当てられません。越後だけで何とか出来るもんでもないですし、関東や奥州、木曽路などが動いたらその情報を北陸各国で共有して連携して守備に当たる事にもなりますし、それで組し難しと見れば都へ援軍を要請しなきゃいけない。だから色々と円滑に進めるためにみんなで議論をしなきゃならないんですよ。
「それでは我々越前の備えを蔑ろにする事になるのではないですか?」
侍大将の一人の
この人や横に居る
「別にさー。あたしは
いつもの様にぶっきら棒な言い方で
彼女のトレードマークのミニ浴衣は青と紫の紫陽花柄でとても可愛い。それに今は正座してるからミニ浴衣がさらに短くなって、裾から伸びるむき出しの足に目が奪われてしまいます。
もうちょっとでパンツが見えそうなのに見えない……つらい。
うーむ。横で並んでると見えもしないや。正面に座るべきだったか!?
って言うか、そのもうひとつ向こうに居る資盛様の目! あれは凄い。(※部屋図1)教経様の足に釘付けですよ!
もうすでに透視能力があるんじゃないかってくらいに凝視しています! さすがにあそこまでは出来ないなー。
そう言えば梶川くんは未だに教経様を苦手にしているね。早く仲良くさせなきゃなー。教経様も悪い人じゃないんだし。ただこうと決め付けたら曲げないんですよねー。
部屋図1
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| 平時忠 |
| 平貞能 |
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| 家人 平資盛 藤原忠清 家人 |
| 家人 平教経 藤原忠光 家人 |
| 家人 平経俊 藤原景清 家人 |
| 梶川 平美盛 伊藤景高 家人 |
| 家人 平盛俊 |
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「お二方、その儀はそこまで。言い合いになっては困ります」
何かを言い返そうとした忠清殿を制止する
貞能殿の言葉に一旦は静かになった部屋内だけど、また
◇
「だ・か・らー! それじゃあ連絡が上手くいかないってさっきからあたしが言ってるじゃん!」
「勿論、街道の整備は急務にございます」
あれから大分時間は経ったんだけど、教経様はまたも忠清殿とぎゃあぎゃあ騒いでいるし、みんな各々で言いたい事を言い続けている。
「そうは言うが、我々はどこぞへ侵攻するわけではあるまい」
「麻呂としてはこの際、関東を懐柔するのが先決ではないかなーっておもうんだけどなー?」
「いや、関東は遠すぎる。それよりも都周辺を固めるべきだ!」
今更関東を懐柔とか無理でしょ? もうみんな全然建設的な意見を言ってないなー。こんなんでまとまるのかな?
「みなさん連絡連絡とさわいでいますけど、加賀が私達の知行国で無い辺り連携が弱いのではないかと思わざるをえません」
あはは。経俊姉様言うねー。加賀は院方だから連絡がどうこう言っても仕方ないって意見ですね。でもいざとなれば加賀くらいどうとでもなりそうだけど。
しかし言い合いってのは止まらないもんだねー。
「皆の者。少しよいか?」
やかましいこの部屋の中、ずっと腕を組んで目を閉じていた
席を立ったり場所を移動しながら議論していたみんなは元の場所へ戻ると静かに座り始めた。
「少納言。その方はどう考える?」
時忠様のその声に視線がオレに集中する。さっきから何も議論に参加してなかったから、オレにも何か言わせたいらしい。こう期待されると逆に困るんだけど……。
うーん。こう言う時は銀河の英雄の伝説辺りの名言でも言っておけば間違いないでしょ。
「こほん。えー、では謹んで申し上げます。私は高度な柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対応するべきであると確信しております」
要するに行き当たりばったりって事かな? 等と後ろの梶川くんが身を乗り出して耳元に囁いてくる。ちょっとくすぐったい。
って言うか、判ってるじゃないですか! 梶川くんも若いのに見てたのかー。流石だわー。
でも、当の時忠様はすっごく変な顔でこっちを見ていました。あの目は、期待した私がバカだったって目ですね。おかしいな場を和やかにするはずだったんだけどなー。
平家の歴史がまた一ページ。
結局、連絡を密にってだけで、新しい事は何も決まらなかったのでした。仕方ないね。