よしもり ~平家のお姫様に転生したオッサン~   作:りじゅ

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27 告白

第27話

 

 

 

 越後国府のオレの部屋。布団から上体だけ起き上がっている体勢で爆弾とも言える発言を投げかけました。

 

「梶川さん。治ったら、近い将来を見据えて子供を作る練習をしませんか?」

 

 こんな夜中の会話にしか聞こえない話なんですけど、じつはまだ朝なんですよねー。

 

「えっ?」

 

 目を丸くして聞き返してくる梶川くん。

 今まではそれっぽい行動では示していたんだけど、今回初めて直接言葉にしてぶつけてみました!

 

「それって……色々いじったり、触りあったりするって事だよね」

 

「何を言ってるんですか。いじったり触ったりするどころの話じゃないです。粘膜と粘膜の接触とかそう言う事をしましょうって言って……いるんです……よ?」

 

 しゃ、喋ってる間に頭が冷えてきたぞ。ちょっと冷静になっただけで凄い事を言ったのが認識できて、それが頭の中に跳ね返ってくる。

 こ、これはちょっと早まったかな……。いきなりすぎるもんな。

 それに子供云々の話だってちょっと後先を考えなかったかもしれない。 

 

 いやさ、いつも梶川くんに誘惑を仕掛けてたのはオレ自身なんだからそれは別にいいんです。

 ただ、これまで何度お誘いをしても靡かなかったから、半ば儀式みたいになってたんだよね。ドムとゼリーの追いかけっこみたいな、ああ言った様式美って言うかなんと言うか。

 だから真剣に考えてもらえると嬉しい反面、すっげー不安になるんだよ。

 

 しかしこの気まずい沈黙はなんとかならないでしょうか……。

 そうです。こちらから話しかけましょう!

 

「そ、そうです! 年が開ける前に病気が完治したら十一歳の体をたっぷりと堪能できるんですよー」

 

「美盛ちゃんさっきから目が凄い事になってるよ!!」

 

 ぎゃー、何を言ってるんだー! 

 梶川くんもオレが普通じゃない事に気が付いたのか恐る恐るテンパっている目について言及してくるし。

 もっと別の、そうです。もっと別の話題を言わなきゃ。

 

「平成の世でそんな事をしたらタイーホです。主にロリコンの罪で! でもここでなら全然問題ないんです。しかも女の方から言っているんですから試さない手は無いと思うんですけど。でも、縛ったりするのは別の機会にしましょう。最初からそれはハードルが高すぎますので……」

 

 にやりとした顔、そして挑発的な言動。何を言っているんでしょうねオレってば。さっきから面白おかしい事ばかりが口から言葉として出て行ってしまう。

 緊縛好きな梶川くんの性癖にも合わせてあげたいのですけど、さすがに最初からはちょっと無理です。前世での初体験が頭に浮かびますので。

 

 ホント、何を言ってるんでしょ。

 

 でも逆にスイッチが入ったかも。後戻りの出来ないスイッチが……。

 

 

 

 多分先程スイッチが入ったからなんでしょう。顔は紅潮し、血液が頭や顔に集中してくるのが判る。それに比例する様に手足がガクガクと小刻みに震えています。

 これが超緊張状態って言うんでしょうか。

 それもこれも、次の言葉を口からひねり出す為の準備なんです。

 

 心臓が早鐘のように早く言え早く言えとうるさく喚きちらします。

 判ったよ。言うよ。言えばいいんでしょ!

 心の中で自分の心臓に言い聞かせると、梶川君の目を見て、自然に、極自然に口からその言葉の羅列が飛び出しました。

 

「そしてこんな事を言う理由は、私が梶川さんのことを好きだからなんですよ」

 

 いやー、言葉にすると力が宿るものですね。

 なんでここまで大胆に言えるのか不思議です。

 って言うか、返事を聞くまでも無く腰砕けになったオレ。

 

 それでもはじめて告白ってやつを言う事が出来てすごく満足してしまった。前世では言う機会も無かったし、前々世のオッサンの頃も出来なかったからね。三度目の人生ではじめて言えたよ!

 だからなんだかとても嬉しいんだ。

 

 

 

「判った。俺も男だ! 女の子の美盛(よしもり)ちゃんが勇気を出して言ってくれたんだから覚悟を決めたよ!」

 

 おお、流石は梶川くん。君は立派な男だぞ! 

 

「女の子って言っても、本当の人生経験は梶川さんよりもずいぶん長いんですけどねー」

 

「判ってる! その辺も全て包んで俺が貰い受けてやるよ!」

 

「あははは。ありがと梶川さん。でもまだですからね。治った後の話ですから今は自家発電で我慢してくださいね」

 

 またオレをネタに自家発電するんでしょうか? 興味はありますがおっかなくて聞けません。

 オッサンだった頃はネットのエロ動画や二次元画像には沢山お世話になったけど、こっちにはそう言うのはないですから、持ちネタを使い尽くすとすぐにネタ切れになりそうですよね。

 ロリ好きな梶川くん的に同じ屋敷に住んでいたオレや経俊(つねとし)姉様が、この世界で一番身近で一番使用数の多いネタの提供者だったのかも。

 本音を言うと、経俊姉様よりもオレで抜いてほしいなーなんて思いますが。それは心の中にしまっておきます。

 

「お、おう。でも男ってダメだなー。そっち方面に話が進むと(たが)が外れたみたいに我慢が出来なくなるよ」

 

「……今の梶川さんの頭の中を当ててみましょうか?」

 

「お、おう。言ってみな」

 

 おほん。うん。まだ喉は大丈夫そうです。では梶川くんの声を真似て口に出してみますか。 

 

「十一歳ってまだ小学生だよな。すげーぜ。小さい胸とかアソコとか触れるなんて夢見たいだ。あー、はやく美盛ちゃん治らないかなー……。……こんな感じでしょ?」

 

「あー、いやー、まあ、そのー、ごめん……似たような事は考えてました。ってか、それは俺の声真似かい?」

 

「うん。正直でよろしい。それと声真似ですけど似てませんでしたか?」

 

「全然似てないね」

 

「むう、もっと練習しますねー」

 

 告白したり色々と考え事をしたからなのか判りませんがなんだか眠くなってきました。

 まあ、起きて喋っているよりは睡眠で力を蓄えた方が治りも早いと思いますから一旦眠りましょうか。

 

 この時代、数えで年齢を決めてますから、年が明けると十二歳。

 十一歳で事に及ぶのなら正月までには治したいなー。もう何日も無いみたいですけど……。

 

「まあ、待っていてくださいな。治ったら二人で凄い事を沢山しましょうね。それではすこし眠りますねー」

 

 がそごそと横になると梶川くんに掛け布団を掛けてもらう。

 

「ああ、おやすみ美盛ちゃん」

 

「おやすみなさい」

 

 日中なので光が眩しい。だから日の光の逆側に顔を向けて目をつぶる。

 

 今日はオッサンの頃の夢は見たくないなー。

 あの夢は一々気分が悪くなるから。

 ……もっと楽しい夢を……。

 

 

 

 

 

 

 

 

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