よしもり ~平家のお姫様に転生したオッサン~   作:りじゅ

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31 都帰り里帰り

第31話

 

 

 

 ハアハア、北陸路ももうじき終わり。ようやく叡山の麓まで来ましたよ……。山門は女人禁制ですから山の中には入らないように慎重に、更に慎重に北陸路を歩きましたよ。叡山の中に間違って入ってしまえばいくらオレが平家一門でもただじゃ済みませんからね。ガクガクブルブル。

 それにせっかく今の天台座主の明雲(みょううん)殿と清盛様は親しい間柄なのですから、それに水を差したくはありませんし。

 

 まあ、ここまで来ればもう京の都も目の前です。そこまで心配する事もないでしょう。

 

 ヘタリながら大きな杉の木の袂に背中を付けて座り込む。

 ようやく休憩……。

 はあーっ。つ、疲れました……。

 

「姫様。よう頑張りましたなー」

 

 大きなため息と共にヘタリ込んでいるオレに向かって一緒に同行している桜川の爺様が声を掛けてくる。

 

 いや、本当に頑張ったよオレ。オッサンの頃でもこんなに歩いた事は無かったもんな。越後国府を出発して今日で十八日目。山なんていくつ越えたのか数えてないし……。

 北陸路は本当に難所だったよ。先回の越後行きの時は輿に乗ってたから、頭では大変なのは判っていたんだけど自分で道中を歩くともう死にそうでしたよ。昔の人はよくもまあ、こんな険しい道を歩いたものだ。あ……そう言えば今のオレも昔の人だったよ……。

 

 でも、それもこれも新年の挨拶参りのため。さすがに冬の越後からは動けなかったからね。仕方ないね。

 

 平安時代の女性の旅装束は、市女笠(いちめがさ)を優雅にかぶって、可愛らしい壷装束(つぼしょうぞく)虫の垂衣(むしのたれぎぬ)の旅姿を誰もが思い浮かべるでしょうけどこの山道込みの北陸路はそんな甘い服装で行ける程楽な行程じゃないんです。

 だから、オレの今の服装は歩きやすい様に工夫した赤い小袖に足袋、それに簡素な笠と道中何かと役に立つ木の杖です。暑いですから首には手拭いも掛けてます。

 

「あははは……。ま、まさかこんなにくたびれるとは思いもしませんでしたよ……」

 

「いやさ、その小柄な体でようもまあ頑張りましたわい。わしも目を瞠る(みはる)動き様で御座いましたぞ。天晴れ天晴れ! おっと、それよりも見えましたぞ。京の都が」

 

「えっ、見えますか?」

 

 おお、遂に目的地が見えましたかー。越後から歩いた甲斐があったってものです。

 

 都をひと目見ようかと、くたびれた腰を浮かして杉の木の袂から立ち上がると小高い丘の上に乗っている大岩に登ってみる。そして右手を目の前で陽刺しの様にして目を細めて……。

 

「おー、見えます見えます。遠くにかすかにではありますけど見えますねー」

 

「姫様ー! 岩の上は危ないですからのう。お気をつけ下されやー」 

 

 桜川の爺様がこっちまで聞こえるように大きな声で叫ぶ。

 判ってますって。

 でもさ、『なんとかとTSお姫様は高いところが好き』ってことわざもありますからね。

 

 そう思うと爺様に向かって右手を上げて判った旨を伝えた。都も見えましたしそろそろ降りましょうか。着いて来たみなさんに心配を掛けさせても嫌ですしね。

 

 

 

 先程の杉の木に戻ると背中を木にくっつけて腰を下ろす。そして懐から干し飯(ほしいい)の入った袋を取り出してポリポリと噛んで食べる。堅いので更にポリポリと噛んで食べる。

 それを見ていたいつもの侍女が焼味噌をオレの左手の平にべっとりと塗ってくれた。それに干し飯を少しだけ付けてまたポリポリし始める。

 うーん。まあ美味……しくはないですねー。でも仕方が無いです。旅の途中ですからこれでもあるだけマシってもんですよ。

 

 手にそのまま味噌を塗ったくるなんて衛生的によろしくない? 知らんよ。ここは平安時代なんだから仕方が無いんだよ。

 オッサンの頃に見たディスカバリーダイヤルで、人気レポーターがサバイバル環境で生き残る番組があったんだけど、そこでも砂漠で死んでる動物とか生で食べてたからこう言う時はいいんだよ!

 でも、でもさ、本当は汁物とか恋しいんです……。ああ、温かい汁物が飲みたいなー。

 いや、水ならあるよ。でもそれじゃあ味気ないんだよなー。

 しくしく……。

 

 

 

 今回の京の都への行程ですけど、これは夏になる前に都への挨拶を済ませておこうと、そう言う旅となっています。だってどうせ行かなきゃならないのならうだる様な暑さの中に強行軍はしたくないからね。

 まだ五月だからいい様な物の、これが夏なんて言うと暑過ぎてオレの体力的に無理だろうってそんな理由だったりします。

 この旅程はオレも徒歩で一緒に行くのが前提だったからね。

 でも、もう帰りは無理だと思う。帰りは大人しく輿で越後まで帰りますよ。

 

 

 

 今回の旅には郎党から桜川の爺様が。それにいつもの侍女と、小者が六名と守備兵が十人と言うパーティー。戦えるのが爺様を入れると十一人とそれなりの人数。よっぽどの事が無い限り、オレの命は安全ですね。

 野盗や反平家の連中が大量に現れたらどうなるか判りませんけど。

 あっ、そう言えばいつもの侍女も強いんでしたね。彼女を入れれば戦える人数は十二人になり、さらにオレが害される可能性が減ります。

 

 んで、この旅程には梶川くんは連れてきていません。オレは一緒に連れて行くつもりだったんですけど越後全体のことを考えると連れていけなかったんですよー。うう……っ。

 

 オレが越後を離れると自動的に次席である越後権介(えちごごんのすけ)()殿が越後の実権を握っちゃうんですよ。

 そうなると制度的に意見を言える立場の人が越後掾(えちごのじょう)の梶川くん以外は居なくなるんですよね。

 ですからとっても嫌だったんですけど梶川くんには残留していただきました。しかもそう考えれば越後の事がとても気になったので連れて行く郎党も最小限にひとりだけ。

 残りの四人の郎党と、後詰の畠山さん親子はオレのいない間は常に警戒してもらっています。何かあったら困りますからね。

 

 

 

「さあ、姫様。昼餉の干し飯も平らげたところでそろそろ行きませぬか」

 

 爺様がこちらに声を掛けてくる。

 休憩も終わりかー。よし! それじゃあ歩き始めますかー!

 

 全然疲れは残っているんだけど、目的地の都が見えたからやる気だけはいっぱいなオレ達一行は今日中には着くであろう旅を再開させたのでした。

 

 

 

 

 

 

 た、辿り着いたー!!

 やっとこさ到着しましたよー! まだ夕方前。叡山の麓から歩きに歩きましたから。

 

 目の前に広がる朱雀大路(すざくおおじ)を見ると沢山の人が所狭しと動き回っている。さすがは都。この国の首都です。やっぱり越後とは比べられませんねー。

 この喧騒この人の波、これを見ると都へ帰ってきたって実感するわー。

 おっと、久しぶりの都に目を奪われてばかりもいられませんね。早く帰宅しなくては。そしてすぐにでもお風呂に入りたい。汗でべたべた過ぎます。

 平家の姫ともあろう者がこんな格好で都の大道にいるのはちょいと世間体が悪い。

 急がなきゃ!

 

「誰か屋敷へ私の到着を知らせに行ってください」

 

「それはもう済ませてあります」

 

 いつもの侍女が当然ですと言わんばかりの顔で答える。

 

「あ、ありがとう。あーと、あのー、お風呂の用意とかは……」

 

「ご安心を。当然、その辺も申しておきました」

 

 流石はいつもの侍女。オレの考えの先を行く! 

 得難い人材だよなー。うーむ、美人さんとは言えもうじき三十路だろうにいい人はいるのかなー?

 ちょっとその辺が気になってしまうけど、余計なお世話かもしれないから出しゃばるのはやめておきましょう。

 でも、彼女の方から言って来たら進んで相談に乗りますよー。いつも世話を焼いてもらっていますからね。

 

 それじゃあ、段取りも着いている事ですし急いで我が屋敷へれっつらごー♪

 

 

 

 

 

 

「ご開門! ご開門くだされー。少納言様お帰りで御座いますぞー。ごかいもーん!」

 

 従者の一人が門の前まで行って大声を張り上げる。

 なんちゅう大きな声。こりゃー、中まで響き渡るね。

 

 しかし久しぶりの我が屋敷ですけど何も変わってないですねー。越後へ赴いてから一年弱ですからそりゃあそうでしょけども。それは判るんですけど、やっぱり久しぶりに見る屋敷は懐かしさに溢れていますね。

 うう……ちょっと泣きそうになります。女になったから涙腺が弱いのか、元々オレ自身が涙もろかったのか。

 まあ、どっちでもいいか。

 

 

 

美姉様(よしねえさま)! お久しゅう御座います!」

 

敦盛(あつもり)! まあ、久しぶりに会ったら大きくなってー。見違えるようですよー」

 

 門を開けて貰って屋敷の部屋に案内されると大きくなっていた敦盛がオレを待っていた。

 しかし大きくなったなー。一年弱も会わないとこうも変わるものかー。

 二歳違うとは言え、敦盛の男っぷりにはお姉ちゃんドキドキしてしまいますよ。オレが今十二歳だから敦盛ももう十歳かー。

 小学生で言ったらオレが小六で敦盛は小四ですか。

 そりゃあ、大きくもなるわけだ。

 

 って言うかー! 背丈はもうオレを追い越してるじゃん!!

 オレの目線を平行にして見ると敦盛の鼻の下……。いや口の辺りかよ!

 いいんだ……。オレは背が低いのが自慢なんだから、別にいいんだもーん。オッサンの頃から変わらずオレの好みは背が滅法低い女の子だったから、この低さは逆に誇れるところなんだよ!

 

 でもさ、一度前の人生で経験しているとは言え、弟に抜かれるのはやっぱり何かクルものがあるな……。

 

「美姉様。越後の様子はいかがですか? 敦盛は凄く気になります!」

 

「それは夕餉の時にゆっくりと。長旅で疲れましたしお風呂にも入りたいのです」

 

「はい! 美姉様! 風呂はすでに沸いています。ごゆっくり入っていらしてください」

 

 しかしこの子は羨ましいくらいにいつでも元気ですねー。

 いつでもハキハキと物事を喋りますし、とっても素直で好感が持てますよ。

 弟って言うのは可愛いものです。

 

 じつはオッサンだった頃は妹キャラが好きだったんですけどこれは口が裂けても言えません。

 ってか、姉も兄もいるんだからオレの方が妹キャラだったってオチなんだよなー。

 

「それはそうと父上や兄上はどうされたのです?」

 

「ああ、あいにくと今日は出先です。明日には戻ると思いますよ」

 

「そうなのですか。それは残念です……」

 

 まったく! 事前に文をしたためておきましたのに! 仕方ないですね。とにかく明日には六波羅へ挨拶に行きますから、まずは湯に浸かって身体を洗いましょうか。

 

「それでは私はお風呂へと行って参ります。久しぶりで嬉しいのは判りますが覗いてはなりませんよ」

 

「よ、美姉様! 敦盛がそんな事するはずがないでしょう!」

 

「赤くなった。敦盛が赤くなった。あはははー」

 

「もう美姉様の意地悪っ」

 

「ごめんごめん。敦盛に会ったのが嬉しかったから遂、意地悪をしたくなったのです。許してくださいな。この通り。ねっ!」

 

 片目を瞑って苦笑いをしながら両手を合わせてひたすら謝ります。

 ごめーん。

 

 ちょっとやりすぎちゃったかなー。

 弟相手だとどうにもいたずらをしたくなるんだよね。困っちゃうなー。

 悪いお姉ちゃんを許して頂戴!

 

「もう、判りましたから。怒ってないですから」

 

「ありがと。やっぱり敦盛は優しいね! では私はお風呂へ行って参ります。後ほど夕餉の時に」

 

「はい。行ってらっしゃい」

 

 

 

 その後、お風呂で体を綺麗にして前のオレの部屋を見たり、池の鯉に餌をやってみたりとのんびりと屋敷内を寛いだ。久しぶりだもんね。それに遂さっきまでは山道を歩いてたんだもの。のんびりもしたいさ。

 それでもお風呂に入ったら筋肉の痛みとかはいくらか収まったし、やっぱ若い体はいいねー。疲れるって言ってもすぐに回復するんだから。

 

 そして夕餉を敦盛と姉弟水入らずで取り、越後の事や最近の都の流行りなどを色々とおしゃべりしました。

 やっぱり今でも禿童(かむろ)が幅を利かせていて都もなんともキナ臭い雰囲気なんだそうです。

 連中は前に修理の家の権威でもって黙らせましたが、そんなんじゃ一時的なものなんですねー。

 こうも連中が動き回っては私達平家の評判が下がる一方だと言うのに……。

 

 別の見方をすれば、禿童のお蔭で治安はよくなってる面もあるとは思いますよ。でもそれは脅して目を光らせてるからに他なりません。そうなると都の民は我々をどう見るか? そんなの決まっています。憎悪の対象になるんですよ。

 

 あーあ、オレが検非違使別当(けびいしのべっとう)にでもなればすぐにでもやめさせるのですけど、検非違使別当は通常三位(さんみ)以上の官職ですからねー。オレみたいに従五位下(じゅごいのげ)ではとてもなれるものではないです。

 そううまくは行かないのが世の常ですねー。

 困ったものです。

 

 

 

 

 

 

 次の日の朝です。久しぶりの自分の部屋での起床。何がって言う理由があるわけじゃないのですけど、なんとなく嬉しい。自分の部屋での寝起きって何か嬉しい。

 

 

 

「おはよう敦盛。今朝は久しぶりに自分の部屋で寝泊りしたのでとても気分がいいです」

 

「おはようございます美姉様。やはり我が屋敷が一番ですよね。勝手知ったるなんとやらですよ」

 

 朝餉の席でなんでもない会話が続く。

 外を見れば一面の青空だ。今日は一日天気のようです。

 

 

 

「それではこれから六波羅まで入道様へ挨拶に行って参ります。留守番をしっかり頼みましたよ」

 

 新年の挨拶を五月にするってのもおかしなもんだけど、一月の雪の中を越後から都まで出てくるなんて自殺しにいくもんだからね。仕方ないね。

 

「心得ていますって。ご安心を美姉様」

 

 

 

 いつもの如くノロノロと牛車が進む。そしていつもの様にもったりと進みます。歩いた方が早いんじゃないか? って思うのもまたいつもの事。いつもづくしです。

 

 しばらく進むとオレの乗った牛車が立ち止まる。何事?

 

「ぶもー」

 

 ぼとぼと……。

 

 あっ、牛がうんこした。

 ぶるぶると牛は震えると、そのまま何食わぬ顔でまた前に向かって歩き始めたのだった。

 

 その後しばらく牛車を歩かせるとようやく清盛様の住む六波羅へ到着。

 牛車が遅いのは判ってる。もはや何も言うまい。

 

 

 

 六波羅の館の客間に通される。

 いつ見てもでかいお屋敷だなー。この部屋の広さだけをとってみても修理(うち)の屋敷なんて及びも着かない。我が屋敷もそれなりに大きいんだけどなー。

 

 部屋から見える大きな庭を眺めながら清盛様が来るのを座って待つ。

 まだ花をつける前の柿の木、その傍らにはトクトクと流れる小さな小川。そして緑鮮やかな草木達……。綺麗な庭ですねー。

 まだ侘びや寂びの文化には届いていないこの平安の時代ですけど、その前兆みたいな雰囲気はこの時代からあったのを思い起こさせます。

 

 ん。廊下を歩く人の気配。たぶん清盛様がいらっしゃったのでしょう。

 そう感じると今一度正座を直し、真正面を向く。

 

 清盛様は横に開いている戸からコミカルに入ってきて一段上の上座にでんと腰を下ろす。勢いよく座ったので肩くらいまでの金髪ツインテが大きく跳ねた。

 しっかし、相変わらず気持ちいいくらいに天真爛漫ですねー。

 

「少納言かー! 久しぶりじゃのー。息災か?」 

 

 ロリ体型な金髪ツインテが、飛び切りの笑顔でこちらを尋ねてくる。

 うん。やっぱり、清盛様ってば可愛いなー。還暦を過ぎてるなんて全然見えないです。

 若い頃に服用したであろう女芯丹(にょしんたん)の効果で、その時のお姿なんだから当たり前って言えば当たり前なのですけど。

 

「ははーっ、入道様にもお変わりなく祝着至極にござりまする」

 

「うむうむ。少納言も元気そうで何よりじゃ。あっはっはっはっ」

 

 うわっ! その笑顔が眩しい! 眩しすぎる!

 抱き寄せた挙句に、膝の上で抱っこして頭をなでなでしたくなるからやめてくれー!

 って、いくら清盛様が小柄と言っても、オレの方が更に小さいからなー。抱っこされるのはこっちになりそうだ。

 

此度(こたび)は新年の挨拶も兼ねてまかりこしました」

 

「新年と言うてももう五月じゃからのー。その方は越後に赴任しておったのじゃ仕方なかろう。じゃが、わざわざ尋ねてきてくれた事はとても嬉しく思うぞ。どれ、わしからひとつ褒美と言うわけではないのじゃが少納言に贈り物を授けよう」

 

「ははっ」

 

 な、何を頂けるのでしょう!? お菓子とかかなー?

 

「なーに、わしの為にせっかく帰京したのじゃ。少納言の(まこと)に対してわしも真をもって報いなければなるまいて」

 

 入道様はそう言うと懐に入れてあった紙を取り出して読み始めた。

 

「平の美盛。その方の越後での働きまことに目覚しい。よって明日より従五位上越後守(じゅごいのじょうえちごのかみ)に任ずる。それに合わせて七千五百石を加増し一万五千石とするものである」

 

 え? えええーっ? その言葉を聞いて唖然としているオレ。

 いや、とってもありがたいのですけど驚きの方が大きくて鯉の様に口をぱくぱくさせるしかできませんって。

 

「ははは。そこまで驚かずともよいじゃろうに。この事すでに修理も承知しておるから心配せずともよいぞ」

 

 嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい。

 でも、何か心に引っかかるものがある。

 うーん。うーん。

 ……。

 あっ! ああ、そうか! 

 

「入道様、ありがとうございます。大変な栄誉この上もありません。それと父上の件は判りました。しかし私が従五位上(じゅごいのじょう)になってしまいますと姉上よりも位階が高くなってしまいます。そうなりますと私の方もいささか具合が悪う御座います」

 

 そうなんです。オレが経俊姉様よりも位が上ってのはちょっと困ります。

 貫目としてもちょっと気が引けますしね。

 

「ふむ。なるほどのう。経俊よりも位が高くなっては姉妹間に要らぬいさかいの種を作ってしまうとこう申すのじゃな よかろう経俊も同じく従五位上に致す これでどうじゃ?」

 

「ははっ、入道様のお計らいこの少納言感服つかまつりました……」

 

 うん。やっぱり話の判る上司を持つと仕事も楽です! 

 オレはそんな事を思って胸を撫で下ろすのだった。チッパイだけどな!!

 

 

 

 さあ、次は行盛様の屋敷に顔を見せに行きますかー。

 転生者同士で積もる話もあるかもしれませんし。またエロい話になりそうな気もするけど……。

 

 

 

 

 

 

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