よしもり ~平家のお姫様に転生したオッサン~   作:りじゅ

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32 不老。でも不死ではない

 

 

 

 

第32話

 

 

 

「……ってな話があったのですよ行盛様」

 

 ところ変わって今は六波羅を辞して行盛様の屋敷。

 先程の六波羅での話を行盛ちゃんに話してあげていました。

 

 人の多いところで会っていたら『播磨守(はりまのかみ)』様って官職名で呼びますけど、ここは彼女のお屋敷ですし、プライベートな場だから今は『行盛』様って呼んでいます。

 

「へえ、一万五千石と言えば立派な大名ですよ! よかったですね!」

 

「いえいえ、まだまだ私なんて若輩者ですよ」

 

 軽く謙遜をしておく。

 禄が二倍になって嬉しいから仕方ないねー。うひひ。

 

「それで今回の都帰り。今後の美盛(よしもり)さんの予定はどんな感じになっていますか?」

 

 行盛ちゃんの青髪のおかっぱ頭は、幼い容姿をさらに際立たせているのだけど本人には自覚が無いのか、それともわざと幼さを前面に押し出しているのかは判りませんが、客観的に見るとやっぱり子供っぽいんですよ。今は確か十七歳のはずですけど薬で不老になったのは十四歳でしたしね。

 十二歳のオレが言うなって言われそうですけど、そこはまあ、ね。色々と。

 

 で、中でも幼さを一際目立たせているのが丸いメガネなんですけど、これをいつも鼻の先くらい遠くに掛けていて何度もメガネの位置を直しているんです。癖になってるのかな。

 

 今回も下がってきたメガネを人差し指で直すとそんな事を聞いてきた。

 

「そうですねー。もう何日か都に逗留はしますが、遠くないうちにまた越後へ帰りますよ」

 

「あ……、そ、そうなのですかー」

 

 微妙に寂しそうな表情になったけど何かあったのかな?

 話し相手がオレや梶川くんの転生組だけみたいだからなー。うちみたいに兄弟姉妹が四人もいるわけじゃないですし寂しいのかもしれない。

 

「どうかなさりましたか?」

 

「いえ、じつはですねー。また夜の事でお話があるんですけど……」

 

 ま、またですか!

 何回オレにその事を振ってくれば気が済むのでしょ。本当に好きですねー。

 

「い、いいですよ。私でよければ相談に乗らせていただきます」

 

 

 

 

 

 

「ええっ、自慰(オナニー)の見せ合いっこですか!?」

 

「しーっ!! 声が大きいです! 周りに聞かれたら恥ずかしいじゃないですか!」

 

 いや、そんな周りを気にしなくても最初っから恥ずかしいですってば!

 って言うか、オレには梶川くんがいますから百合っぽいのはちょっと……。オッサンの頃だったらこんなに可愛い青髪のメガネっ子から誘惑された日には嫌も何も無かったんですけどねー。

 でも、ほんの少し興味はあります。ほんの少しですけど。本当にほんの少しだよ。小指の先程ね……ごめん嘘ついていました。可愛い子の性的な肢体はとっても興味あったりします。

 

 だって元男だもの。可愛い女の子に興味があるに決まってるじゃないか!

 体が女なら男に惹かれるんじゃないのか? 勿論それもあります!! ですから梶川くんと色んな事が出来ますし、その行為をする事によって凄く心も満たされます。

 でも、でもね、それはそれ。元々は男なんだから可愛い子を見れば目が行ってしまうんですよ。女子のパンツも見たいですし、女子の胸も触りたいのです!!

 

 しかしなー、さすがに身近すぎて何時梶川くんの耳に入るか判らないからやっぱり遠慮しておきましょう。

 もったいないですけど!

 

「ごめんなさい。凄く興味はあるけど今回はパスします。本当にごめんね」

 

「いや、僕の方こそ変な事を言ってしまったね。ごめん……。忘れて」

 

 あーあ、やっぱ傷つけちゃったかー。悪い事したかな。

 行盛ちゃんの方も、同じ元男の転生者って事で勇気を出して誘ってくれたんだろうしなー。

 

 そうだ! 梶川くんも入れて三人で乱交ぱーてーをすれば……。

 うーむ。オレも頭が沸いてきたかもしれない。

 

 

 

 それからまた別の話題や強そうな武将の話をしばらくすると、いい時間になったのでお暇する事にしました。まだ挨拶をしなきゃいけないところがありますからね。

 次に会うのはまた来年になりそうですけど、今度は梶川くんも含めて転生者三人で会えるといいなー。

 

 

 

 

 

 

 屋敷へ帰るとまだ夕方なので縁側で敦盛が好きな笛を吹いています。楽しそうで何より。

 さて明日はどうしましょうか?

 小松(こまつ)様やら宗盛様やら、一応挨拶をするところには全部筋は通しましたし、やる事も無いんですよね。

 

 そんな事を自分の部屋でぼんやりと考えていたら『ドタドタ』『バタバタ』って足音が段々と近づいてきました。

 なんだなんだ。天下の一大事でも起きたのか!!

 

「おおー、美盛ー! 昨日はすまなかったなー! 父は用事があって会えなかったのじゃー」

 

 そう言うとあっと言う間に抱きつかれ有無を言わせずに頭をなでられた。

 ああ、今の『どたばた』は親父だったのか。

 

 って言うか、オレも会えて嬉しいんだけど、親父ってこんなに自分を表現するキャラだったっけ? やっぱり息子と違って娘は心配なんだろうなー。どこの馬の骨に愛娘をかっ浚われるか判らないもんな。

 それに、これ程長い間離ればなれだった期間はなかったからね。

 

 

 

「美盛よ。少し話しがある」

 

「なんですか?」

 

 一応抱きつきのスキンシップは終わり、親父を部屋の上座へ招いてオレもその近い場所へ腰を下ろした。

 

「うぉっほん! 話というのは他でもない。今年の初めに経俊が女芯丹(にょしんたん)を服用したのじゃが、風の噂でその、まあ、えー、美盛もごにょごにょ……」

 

 うーん。何が言いたいのか判りましたけど、男親から女のアレコレを言われるとやっぱり恥ずかしくなってきますねー。まあ、親父も凄く言い難そうですけど。

 って言うか、経俊姉様はもう飲んだんですね。おめでとう! これでもう可愛いままで老いる事はないですね!

 

 で、オレの話に戻りますけど、もう風の噂になるくらいには初潮が来ているのがバレている様ですし、いつでも女芯丹(にょしんたん)を飲む準備は出来ているんです。

 前世では姉妹揃って飲むタイミングを逃してしまってそのままずるずると源平合戦に突入してしまいましたからじつはまだ飲んだ事は無いんです。

 タイミングとか待っているとまた飲む機会を逸してしまいそうですし、飲んでみようかなー。十二歳のロリ可愛い容姿が何十年も続くって言うんだからねー。

 それに幸い親父の方から話を振ってきましたから。

 

「それでの、女芯丹(にょしんたん)なんじゃが、どうじゃろう? 服用してみては?」

 

「はい。父上が私の為にわざわざ用意してくれたのですから遠慮なく頂きます!」

 

「おおそうかー! よしよし我が娘のためだからの。じつはすでに……ほれ」

 

 そう言うと親父は懐から小さな赤い布袋を取り出した。

 これが女芯丹(にょしんたん)の丸薬ですね。前に畠山重忠さんにあげた時に見てるから布袋の中に何が入っているか判ります。

 

「ありがとうございます父上!」

 

「うむうむ。明日の朝から儀式をはじめようぞ」

 

「はい。では夕餉にしましょう」

 

 明日から三日三晩儀式と祈祷だからねご飯をたんと食べて力をつけなきゃ!

 それに越後へ帰って、死ぬまで十二歳の容姿になったなんて梶川くんに言ったら、真性ロリな彼のことです。喜んでくれるでしょう!

 

 いやー、ドキドキするなー。女芯丹(にょしんたん)を飲んで苦しくなったなんて聞いたことが無いですからたぶん安心だとは思うんですけどすっごく興奮してしまいます。

 

 

 

 

 

 

 今日は朝から大忙しだ。まずは洗面やら何やらをこなして朝餉を取りました。

 朝は食べてもいいらしい。普通はこう言う時って食べてはいけないみたいな仕来たりとかありそうですけどねー。

 

 その後、禊の為、巫女衣装に着替えて沐浴。

 初めて巫女さんになったけどやっぱり巫女さん衣装は可愛い。

 萌えますわ。自分に!

 

 そして四方に蝋燭の明かりのついた南側の部屋に移動します。いつもはあんまり使わない部屋ですけど今日はこの方角のこの部屋が風水? で一番いいんだって。

 その南側の部屋の真ん中には護摩壇がすでに設置されており、オレはその更に奥の注連縄に守られた一角に行きます。

 そこでその注連縄の中へと入ると座り女芯丹の丸薬を二つ飲んで、他に睡眠導入剤みたいなのも同時に飲みます。そして祈祷師が来るのを待つ。

 と、こう言う段取りとなっています。

 

 

 

 いくらか待っていると祈祷師が来て遂に儀式がはじまった。

 なんか判らないけど一心不乱に呪文を唱えている。

 薄暗いなー。なんか段々怖くなってくるよ。睡眠導入剤は飲んだけどまだ今のところは眠くならない。じつは祈祷中でも寝ていいらしいんだ。

 って言うか、逆に寝てしまわないと祈祷される側の若い女の子は体力的に危険なんだそうです。まあ、女芯丹なんて飲む女性は十代中盤から序盤が圧倒的に多いでしょうからね。

 

「…………のうまく さんまんだ ぼだなん えんまや そわか おん えんまや そわか おん やまらじゃ うぐらびりゃ あがっしゃ そわか……」

 

 祈祷師はさっきから同じ呪文を永遠に繰り返している。いや、でも中二的にはこの呪文ってカッコイイんじゃないか? なんかオレも唱えたくなってきたぞ。

 そしてなんか手の平から光みたいなのを出して、それを光線にして敵をやっつけるんだ。

 おお、カッコイイかも!

 

「…………のうまく さんまんだ ぼだなん えんまや そわか おん えんまや そわか おん やまらじゃ うぐらびりゃ あがっしゃ そわか……」

 

 しかし飽きたな……。

 なんか妄想でもしようか……。でもなー、こう言う時って何も浮かばないんだよなー。

 うーん。どうしよう。

 

「…………のうまく さんまんだ ぼだなん えんまや そわか おん えんまや そわか おん やまらじゃ うぐらびりゃ あがっしゃ そわか……」

 

 ぼんやりと護摩壇で燃える火を眺めている。

 どのくらい時間が経ったんでしょ。

 もう時間の感覚が無くなって来たよ……。

 

「…………のうまく さんまんだ ぼだなん えんまや そわか おん えんまや そわか おん やまらじゃ うぐらびりゃ あがっしゃ そわか……」

 

 …………。

 ……。

 

 

 

 

 

 

「……い。美盛ー。起きよ美盛! おーい。起きよー!」

 

「……あれ、兄上? どうかなさいましたか?」

 

 目の前には心配そうな経正兄上の顔が。

 

「っはあ……。起きぬかと思ったぞ。経俊の時もそうだったが、姉妹揃って本当に心配させおる」

 

 寝起きで思考が未だはっきりとしない頭。

 うーん。えーっと……。

 

 ……ああ! そうか! オレってば女芯丹を飲んだのでした!

 

「あ、兄上! あれから……! あれから何日経ちました? 私はどうなったのでしょう? 成功したのでしょうか?」

 

 起き上がると巫女衣装のまま経正兄上につめよる。そしてその反動でオレの方が経正兄上を上から伸し掛かってる構図になってしまった。

 うーん。非常にこの体勢はヤバいんだけど……。妹が兄をハアハア言いながら両手を押さえつけてるいる様でさ。

 でも気にしてらんない! オレはどうなったのかを知りたいんだ。不老になったのかを知りたい!

 

「落ち着け! 美盛! 今日は儀式を始めてから三日目だ。それに祈祷はな、成功したようだぞ。先程まじない師は大成功だったと言うて帰ったからの」

 

「そ、そうですかー。成功しましたかー」

 

 はあっと、そのままため息をつくとぺったりとその場で座り込む。

 

 実感はあんまり無いんだけど、どうやら成功したみたいです。これでもう歳を取らなくていいんですね。何十年経っても十二歳のままなんですねー。

 あはは、やった。やったー!

 別に不老不死になったわけじゃなく、不老になっただけで寿命になればちゃんと逝くんですけど凄く嬉しい。老化しないってのはなんだかそれだけで嬉しいものなんです。

 

 このまま年月が経過して、オレと梶川くんが結婚したとして五十年連れ添うと梶川くんがお爺さんでオレもお婆ちゃんになるんだけど、梶川くんの方は肉体的にも六十代のお爺さんが出来上がります。

 でも傍らにいる奥さんは十二歳って絵面は男の夢だよなー。

 自分の肉体が中年になっても、老境に差し掛かっても、嫁は十代なんだぜ?

 容姿だけで中身はお婆ちゃんなんだけど、それでもずっと若い容姿のお嫁さんが隣にいるだけで夜の性生活は凄く充実するんじゃないかなー。

 で、オレがそのお嫁さんになる可能性が高いんだけどな!

 

 いや、このロリ娘体型が嫌だとかそんなんじゃないんだよ。たださ、オレもどうせなら逆の立場にもなってみたいなーってそれだけの話さ。

 

 でさ、夜に色々と致すとして子供が出来るじゃない。その子供が男の子の場合、すっげーデコボコ親子が出来るんだろうなー。

 だって、今の清盛様と小松の重盛様を見ればよく判る。

 幼女風な清盛様と、四十代の中年な小松様……。どっちが親か? なんて考えた日には普通は清盛様が娘だと普通に思うだろうって。実際はその逆なんだけど、そうと言われても知らない人からすると親子のギャップがありすぎて……。

 

 じつは他にもそう言ったケースは多いんです。

 軍事平家筆頭の盛国(もりくに)殿の娘の盛俊(もりとし)殿は五十を越えるお歳なのですけど、未だに可愛らしい少女の姿をしております。

 でも、まあ、これはいいんだよ。で、その盛俊殿の子供の盛嗣(もりつぐ)殿が男性で更に三十代。

 もうさ、どっちが親なのかと、ひと目見ただけじゃ絶対にわからないですって。かく言うオレも前世では驚く事しきりでした。

 

「その顔だったら大丈夫そうだな?」

 

「はい。おかげさまで」

 

 経正兄上に笑顔で答える。

 

「よし、では兄が肩を貸して進ぜよう。それ、肩に掴まれ」

 

「わわっ」

 

 急に引っ張り上げられたので驚いてしまいましたよ。もう。

 でも、これも経正兄上なりの兄妹愛なのでしょう。オレはそう思うと経正兄上の肩にしがみついてやるのだった。

 

 妹のやわっかい体が好きなんだろ! 判ってる判ってる。皆まで言うな。べったりとくっ付いてあげるから皆まで言わずともよいですよ!

 

 

 

 経正兄上に部屋まで送ってもらって、そのまま軽い食事を済ませる。そして儀式での疲れの為かそのまま寝床に潜り込むとすぐに眠ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 それから何日か屋敷に逗留したのだけど越後も心配になってきた。

 もう六月ですからね、いい加減出発しないと梅雨に巻き込まれかねないし。雨の中の旅路は辛そうだし、山道だって滑って危険ですから。

 

 こっちの居心地がよすぎて心苦しいのですけど、そろそろ越後へ戻りましょうか。

 

 膳は急げです。親父に言って出発の準備をしてもらいましょう。このくらいは脛をかじってもいいですよね。

 

 

 

 

 

 

「それではの。道中気をつけて行くがよい」

 

「美姉様。また来年には敦盛はもっと大きくなっていますからねー」

 

「美盛……。体に気をつけてな」

 

 親父、敦盛、経正兄上が順にオレに話しかけてきた。それにオレは頷いて答えると一言『行って参ります』と力強く答えて桜川の爺様に目配せをする。それとともにオレの乗った輿が担ぎ上げられる。

 

「しゅっぱーつ!」

 

 そしてゆっくりと越後へ向かう一行は屋敷を後にしたのだった。

 

 あーあ、都ともしばらくお別れだなー。

 

 

 

 

 

 







11歳には間に合いませんでしたが永遠の12歳の体を手に入れました!

ホント言いますと10歳でお薬を飲む予定だったんですけど、そうは問屋が降ろさないのが小説ってやつでして、作者の思うとおりになんていきませんw
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