そんなわけで
家人の連絡を受けたのか屋敷の門が開いてそのまま牛車は入って行く。……本当遅いわー。
玄関で履物を脱ぎ、家人に案内されながら庭の廊下を歩いていると、後ろから何かが伸びてきたと思う間もなく
えっ……って、なんじゃこりゃー!! 十歳の胸なんぞ揉める程大きいはずなかろうに何を考えていやがる!
条件反射でそのまま揉みまくっている腕を取り、一本背負いにして投げ……られないっ! 相手の方が体重があるらしい。踏ん張ってもびくともしない。
投げを打つために体に全体重を掛けた為、伸びきった体は弛緩するとそのまま後ろの人物に伸し掛かられるようにお腹から潰れてしまった。
うべーっ。
しかし、やっぱりこの体格じゃあ負けるよなー。あー、体重差が憎い。この体系が憎……くはないが。オレ自身がロリ好きだったからこの体系はすごく好きなんだけど、それとこれとは別だ! って言うか、誰だうら若き
あ、あとね、重いんですけど。背中に誰かが乗っているとすっごく重いんですけどー! しかも、背中に伸し掛かっている人ってばオレの首筋辺りでくんかくんかしてるし! ヒャー、まじやめてー!
「重いよー。重いよー。誰か助けてー」
外行きの一張羅を着ながら手足をジタバタさせながら助けを求めるのはとても滑稽だ。パンツ見えてるよね。きっと。
だんだんと泣き声になってきたのが判ったのか、やっとどいてくれた。はあ、助かった……。 って、どこの誰だこのオレの胸を揉んだり、首筋の匂いを嗅いだ奴は!
立ち上がって後ろを振り向き様に相手を睨みつけると、陰気そうなヒョロ長と見るからにスケベそうなデブがいた。
あーあ、
陰気そうな方が嫡男の
デブが次男の
どっちも昔はよく遊んでくれた気の良い年上の従兄だったんだけど、
そして問題は
「ごめんよー。でも
ニヨニヨしながら
このロリコン野郎の顔を見ていたら元の自分を思い出してしまう。幼女や少女にいたずらがしたくてしたくて堪らないんだろ? わかるよその気持ち。はあ、もう怒る気も失せたわ。
「はいはい。
……でもね、次は無いからね!!
「判ったよー。
だから胸の話をするなっちゅうんじゃい! って言うか、前世の十七歳の時でさえ小振りだったから安心してくれ。
侍女と共に手近の部屋に入り、乱れたお着物を手早く直す。屋敷に来て早々にこれとは何とも出鼻を挫かれた思いだ。まったく
ビシっと決めてから部屋を出ると
「叔母上。よく来たな。それと弟が悪かったな。あとで叱っておく故安心せい」
えーっと
オレと
「はい。
にっこりと笑顔でそう答える。うん、
「ふむ。では親父殿がお待ちだ。さあ部屋へ急がれよ」
「おお、待ちかねたぞ
「ははっ、内府様にもご機嫌麗しゅう。恐悦至極に存知奉ります」
部屋に入ると随分と機嫌の良い
「うむうむ。良い子じゃのう」
「はい! これなるは我が家からの手土産にござりまする。お納め頂きたく……」
いつもの顔見せだが、一応は体裁と言う物がある。オレは家人に合図を送り、山と積んだ反物や欧州平泉からの砂金等を披露した。
「いつもすまぬな。
「ははっ、畏まりました」
ああ、お着物の礼も言わなきゃ。
「
「ほう。そんなにもか」
「それ故、姉の為にもう一着、
「何かと思えばそんな事か。よろしい叶えて仕わそう」
「おお、なんとも頼もしきお言葉。感服仕りました」
「よいよい。我が従兄妹殿の為。いくらでも叶えて仕わす」
よっしゃー、これで激ミニのお着物を
「よしよし、堅い話はこれくらいにして我が屋敷に参られた
昼宴だってよ! 待ってましたー! これが楽しみでここへ来たんだからね。
ずらーっと並んだ膳! 膳! 膳! うちの膳も凄いがここのはやっぱ格が違う。別世界だわー。しかも今回はオレが主賓! 贅沢の限りを尽くした食べ物がオレの目の前に並ぶ。
用意が整うとまずは綺麗所がやってきて上座の
オレは可愛い無邪気な女の子が大好きだ。ロリコンだしね。でもさもう諦めて男との結婚もありかなーって思ってはいるんだ。前世はそれどころじゃなかったけどね。それでも、さすがにホストクラブみたいなのはハードルが高過ぎる。
目を輝かせながらアレを食べコレを食べ、その合間に酒等を一口。うむ上手い! もしゃもしゃと食べながら呑んでいると
「それではの。
「過分の御計らい感謝致します」
酔っ払いはじめたオレだったが、そこはそれ。
オレと同世代よりちょいと年上くらいの若侍は、目の前と左右に一人づつの三人。これがまた酒を注ぐのが上手いんだ。そしてこの鯉の煮付け! とても酒に合っていて美味しい! 前々世の食べ物のように洗練はされてはいないけどすごく美味しいんだ。
さっきまでホストクラブはハードルが高いとか思ってたけど、こいつら呑ませるのが上手い! 上機嫌にした上そのまま呑ませやがる! 自慢の長い黒髪をさりげなく褒めてくれたり。笑顔を褒めてくれたり。もう今日のオレは有頂天になりますわ。
そして羽目を外し過ぎた件!!
屋敷の家人に今日は泊まってはどうかと言われたけれど、その言葉でサーっと血の気が引いてしまった。酔っていても親父が怖いのだ。前後不覚になるまで酔ってしまっては親父にどやされるのは目に見えている。そう、女性がへべれけになるのはどこの世界でもはしたないのだ。
ああ、どうしよう……。
そしてその日は帰ったのが夕方を過ぎた頃になり、当然のように親父にこっぴどく叱られたのだった。
勿論翌日は二日酔いでした。十歳児で二日酔いとか自慢できるね!
「あー、頭痛いよー」