「ここらへんでいいか?」
サイタマは和服を脱ぎ捨てフランに預けると言う。
その下にはあのヒーロースーツが身をまとわれていた。黄色いスーツに赤い手袋とブーツ、白いマントにはげ頭。
今、ここに再び『ヒーロー』としてのサイタマが降臨したのだ。
しかし、内心でサイタマはすごくワクワクしていた。
もしかしたら・・・という感情がサイタマの仲を渦巻いていたのだ。
「ああ、このくらいがいいさね」
勇儀も答える。
「じゃあ、やろうか!」
「それを待っていた!」
サイタマは一気に距離を詰めると少し加減して殴る。
ガチィ
しかし、そのパンチは勇儀にがっちりとつかまれてしまった。
「・・・っ?!」
サイタマもさすがに止められるのは予想外だったのか少し目を見開く。引き抜こうとしてもなかなか抜けない。
「パンチってのは・・・」
勇儀が少し構える。
「こうするんだよ!」
ドゴォ
あたり一面に鈍い音が響いた。
次の瞬間、彼は吹っ飛ばされた。
「おお、すげぇ・・・」
地面にいくらかバウンドした後、すぐに着陸する。
「・・・俺も久々に真剣にやらねぇとやべぇな、これ」
サイタマの目に火が再びともったような気がした。
「えっと、禿げた男性を見ませんでしたか?!」
「え?知らないなぁ」
一方そのころ鈴仙側は事情聴取をしていた。
「えっと、禿げでさえない顔をしているんですが!」
「ああ、その人ならさっき勇儀の姐さんに殴られて吹っ飛ばされた後、すぐに戻ってきて二人でどっかいったよ?」
「Oh,god!」
「まずいよ、それ!絶対彼死んじゃうよ!」
「あれくらいで死ぬ人じゃありませんよ!それぐらいで死ぬんだったら最初の一撃で死んでますよ!」
「ホントに彼人間なの?!!」
「一応人間ですよ!彼!」
「それ絶対嘘だって!」
「ほんとですってば!」
「おお、見ろ!すげぇぞ!」
「「へ?」」
二人が見た光景、それは・・・。
空中で殴り合っている二人であった。
「サイタマさぁあああああああん?!!!!」
「え?!!あの勇儀の姐さんと対等に殴り合ってる?!!そんな馬鹿な?!!!」
「あれです!あれが、サイタマさんです!!!」
「ええ?!!あの禿男が?!!」
「ハイ!その通りです!」
「すげぇ!!」
ヤマメは信じられないような光景を目にしていた。
まさか勇儀と互角に戦えるものがいるとは思わなかったからだ。しかも人間で。
しかも空中に浮いている。
さらに二人の顔は笑っていた。
~☆~
「すげぇぞアンタ!まさかあたしと互角に戦えるやつがいるなんて!」
「俺も感動してるぜ!やっぱり世の中は広いな!」
「あたしも感動してるよ!」
二人は大笑いした。
続く