「で、どうするよ。こいつ」
サイタマは依姫の首根っこを持ちながら言う。
「いや、これでも私の元上司ですからね?このまま放置ってわけにはいきませんよ」
「じゃあ、このまま持っていくか?」
「そうしたほうがいいかもしれません」
「よいしょっと」
サイタマは肩に樽担ぎするとそのまま歩いた。
「ところでさ」
「なんですか?」
「なんであんなに怒ってたんだ?よくわかんなかったんだけど」
「ああ、あれですか?プライド高いんですよ、ここに住んでる人々は。」
「そんなにプライドなんか必要か?プライドで飯なんか食えるのか?」
ああ、この人そこまでプライド求めてないんだな。鈴仙はそう思った。
「プライドのことどう思いますか?」
そして興味を持ったのか鈴仙はそんな他愛もないような質問をした。
「それにとらわれてるやつは馬鹿だと思うぜ」
「何故そう思うんです?」
「何故って・・・、ホントの自分さらけ出せねぇだろ?それって何かと不便じゃね?」
「そうですか・・・。私もそう思います」
そんなことを話していたらサイタマ達は大都市についた。
「ここもこんなに発展したんですね」
「何年ぶりだ?」
「・・・実に数十年ぶりです」
「まじかよ。長いんだな」
「私たち妖怪にとっては短いですよ。ほんのちょっとです」
「そうか」
俺もいつか寿命で死ぬのかなぁ、とサイタマは思った。
「着きましたよ、ここが私の故郷です」
「すげぇなぁ」
「「すご~い!」」
「ところで私の両親の墓どこでしょう・・・」
「・・・あれじゃね?あそこに墓が集合してるぞ」
「あ、ほんとですね」
「あそこ行ったらわかるんじゃないか?」
「ううん・・・」
依姫が意識を取り戻し始めていた。
「あ、起き始めてます。どうしますか?」
「ほっとこうぜ」
「・・・ハッ!おい、こら!降ろせ!」
「おろしたらまた襲い掛かってくるだろうからこのままで」
「だったら殺せぇ!」
「お前人間だろ。殺す必要がない」
「こんな醜態さらすくらいだったら死ぬほうがましだ!」
「お前が醜態さらそうがどうしようが俺たちには関係ないことだ。よってこのままだ」
「くそっ、離せ!」
フランとこいしは依姫に顔を近づけると言った。
「あばれないで~こわすよ~?」
「あばれないで~くびかっきっちゃうよ~?」
このフリーダム二人組は悪意はそこまで込めて言っていないのだから恐ろしい。9割冗談1割自由なのだ。
「・・・」
こういわれてしまうと依姫も黙り込むしかない。
なんせ自分のプライドを散々に傷つけてくれた男の連れなのだ。すごいやつらに違いない。(鈴仙を除く)
依姫はそう思った。
~☆~
「父さん、母さん・・・」
鈴仙がある墓の前でつぶやく。
「すいません。待たせてしまいました」
そういって鈴仙は墓の目の前で手を合わせる。
その鈴仙の肩は小刻みに震えていた。
サイタマは鈴仙にそっと近づくと頭を撫でた。
依姫は肩に手を置いた。もらい泣きしている。
フランは袖で涙をぬぐっていた。
こいしは背中をポンポンとたたいていた。
続く