「で、あんたは霊夢に謝りたいわけだ」
「そう、そういうことそういうこと」
萃香はサイタマと会話していた。
サイタマは嘘をつくのがかなり下手くそである。よって本音しかしゃべらない。しゃべることができない。というより本音しかしゃべれないのである。萃香にとっては、これほど話しやすい相手なんか久しぶりである。しかも人間で。
「いやぁ、面白いね。君は」
「そうか?」
「ああ、話しててすごく面白いよ」
そう話してると例の人物が帰還した。
「ただいま、萃香。今日もめぼしい情報は無しね。・・・で、誰?そのハゲ男」
その女は赤い服に黄色のリボン、白い袖に赤いスカートを着ていた。肩とか出してて寒くねぇのかな、とサイタマは思った。
「おう、サイタマさんのことハゲっていうのやめぇや」
「お前もたいがいだぞ」
霊夢はサイタマを一瞥する。
「アンタ、噂になっていた外来人ね?ここに何しに来たの?」
「いや、謝りに来たんだ」
「率直に言いましたよ、この人!」
「は?」
霊夢は頭の上に疑問符を浮かべる。
「いや、だから、この神社壊しちまったの俺かもしれないから謝ろうかと思って」
ここでフランとじゃれてる最中に壊れたと言わないあたり、サイタマの優しさを感じる。鈴仙はそう感じていた。
「あ“ぁ?」
もちろん霊夢はどすを利かせる。
「いや、ごめんって。そんなに怒んなよ。いや、怒んなというほうが無理か。ごめん」
「ごめんで済んだらねぇ!こんなに悲しまなくても済むのよ!」
そういって霊夢はサイタマを殴りつける。サイタマは少し受け流しつつバックステップをとる。
『さあ、戦いの火ぶたが今、切って落とされました!実況はこの鈴仙・優曇華院・イナバ!そして解説には伊吹萃香さんをお呼びしております!今日はどうもよろしくお願いします!』
『どうもよろしくお願いします。いやー、これは見ものではないでしょうか?!』
『はい!そうなると思います!何せ、勇儀さんに対してもほぼ優勢に立っていた男です!これを楽しまずにいつ楽しめというのか!ここで!今!楽しむことが!我々の使命なのです!』
『酒のつまみにはもってこいだな!』
どっから用意したか知らないが鈴仙と萃香は長机にマイクを置き、完全にバトルを実況する人間のそれになっていた。ただ萃香は酒をふるっていたが。そして鈴仙はどっから用意したか知らないが焼き鳥を食っていた。
『サイタマに対するは、おーっと!幻想の素敵な巫女で名高い博麗霊夢です!これはどのような戦いが見れるんでしょうか?!モグモグあ、焼き鳥うめぇ』
『ええ、霊夢は遠距離、中距離、近距離を偏りなく戦えるオールラウンダーです。それに対して、あの男は殴る以外に攻撃方法がありません。これは一見霊夢のほうが有利に見えますね。カーッ!酒がうまい!』
『はい!私もそう思います!おーっと!霊夢選手、いきなり仕掛けてきた!針を投げつけたぞ!サイタマ選手はどう対処する?!あぁ――!!!素手でキャッチしました!キャッチしました!何事もなかったかのように!そしてそれを捨てましたー!!すいません、萃香さん。お酒くれますか?』
『あれをキャッチするとは、凄まじい身体能力者に違いありません!これはかなり期待できそうです!ああ、いいぞ』
『ありがとうございます。いただきます』
『『ゴクゴク』』
『『プハーッ、うめぇ!!』』
『やっぱり酒には焼き鳥が合いますな!』
『私もそう思います!』
この二人、すごくノリノリである。そして誰よりもこの光景を楽しんでいた。
続く