「さっきは大変すまなかったわ」
とお茶を差し出しながら霊夢は言った。
「別に気にしなくていいぞ?壊しちまったのは事実だし」
差し出された茶を飲みながらサイタマは言った。
「まさかフランと遊んでこうなるとはね……」
そう言って霊夢はフランをチラッと見る。
「ふらんのせい~・・・?」
フランは少し悲しそうな顔をして、しょんぼりしながら言った。
「お前は悪くねぇよ。この神社に突っ込んじまったのは俺だしな」
そう言ってサイタマはフランの頭をぐしぐしとなでる。フランは気持ちよさそうに目を細めた。
「そうね。その子に罪はないわ。子供って間違いをしながら成長していくもの」
そう言って霊夢はお茶をすする。
「ところでさ」
「何かしら?」
「隣うるさくね?」
「飲み会してるからね」
『オラオラまだのめるだろ!一気だ一気!!!』
『ええ!飲まさせてもらうわ!!』
『おお、いくんですか?!!』
『女に二言はねぇってな!!』
『『『一気!一気!一気!』』』
『グビグビグビ プハーッ!!!』
『おお、いったぞ!』
『嬢ちゃんやるじゃんか!!』
『今夜は飲み明かすぞぉ!!!』
『『『おっ――――!!!』』』
「・・・鈴仙ってあんなキャラだったっけ?」
「・・・いつも永琳に振り回されてるから疲れてるんじゃない?今はあなただろうけど」
「そうか。謝っとかないとな」
「優しいのね」
「?迷惑かけてる人に謝るのは当たり前じゃないのか?」
そう言ってサイタマは茶をすする。
「・・・そうね」
面倒くさくなったのか霊夢は少し投げやりに同意した。
「ところで」
そして切り出してくる。
「?」
「あなた、人間なのよね?」
「ああ、そうだが」
「どこでその力を手に入れたの?別に何か特殊な力を持ってるようには見えないけど」
「・・・お前も知りたいのか」
サイタマは腕組みをしながら言った。
「ええ、できれば知りたいわね」
「じゃあ教えてやろう。
毎日、腕立て100回、スクワット100回、腹筋100回、マラソン10㎞欠かさず行うこと!そして、精神を鍛えるためにどんな日でも暖房器具や冷房器具を使わないこと!そして飯の三食はきっちり食うこと!もし朝忙しかったらバナナだけでもいいから食うこと!これだけだ!」
超真剣な顔でサイタマはそう言い放った。
「・・・そう」
「おう、否定しないのか?」
「あなたがそれで強くなったのなら事実だと思うわ」
霊夢は変わった男だと思った。そしてサイタマは珍しい人だな、と思った。
「おじさん」
「なんだ?」
「フランね、しょうらいおおきくなったらだれかをたすけれるようなことしたいの。おじさんってゆめあったの?」
「ああ、あったぞ」
サイタマはまるで子供に言い聞かせるような笑みで言った。
「おじさんはな、ちっさいころヒーローになりたかったんだよ。見るからに悪そうなやつをぶっ飛ばして悠々と去っていくようなヒーローに」
「おじさんはそれかなったの~?」
「・・・なりたかったものになれたはずだったんだがな。どうしてだか、あんまり嬉しくねぇんだよなぁ・・・」
「なんで~?」
「戦いが作業になっちまったから、かな?」
「そうなの~?」
「ああ、俺は強くなりすぎた」
そう言ったサイタマの横顔は少し悲しそうだった。
続く