「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」オロオロ
「・・・」オロオロ
その場にものすごく重苦しい沈黙が漂っていた。
フランとこいしは何とかしてこの状況をどうにかしようと自分たちなりに一生懸命に皆を明るくさせようと頑張っている。
バタバタと腕を振ったり、顔を覗き込んでみたり、声をかけてみたり。あるいはどっから取り出したかわからないカスタネットをたたいたり、シンバルをたたいてみたり。
しかし、皆黙りこくったままだった。
そんなことをしていると、
「うわぁあああああああん」
突然こいしが泣き始めた。
全員がギョッとしてこいしを見る。
「なんでみんなわらわないの~~~?こいしこういうのいやだよぉおおお」
そしてわぁわぁと泣き出す。
「こいしちゃん、おちついてよ・・・。ねぇ・・・ひぐっ・・・」
最初は何とか慰めようとしていたフランも徐々に涙目になっていく。
そしてついにぽろぽろと涙がこぼれ始める。
「うぇええええええええええん」
ついにフランも泣き始めてしまった。
妖夢と鈴仙が何とかなくのをやめてもらおうと必死になってあやそうと頑張っていた。
特に鈴仙なんか水筒の水を飲んで鼻と耳から噴水のように放水するという謎のかくし芸を披露した。
しかし、泣き止んでくれない。もうほとほとと困り果ててしまう二人。
もうどうすればいいんだろう。二人がそう思った時だった。
今まで動かなかったサイタマが動き出した。
サイタマは静かに泣いている二人に歩み寄っていくとただ頭を撫で始めた。
二人が顔を上げるとそこにはすごく優しく微笑みかけるサイタマの姿があった。
すると二人は安心したのだろう。さらにぽろぽろと涙をこぼし始めた。
「泣きたいときに泣け。そうしないとつらい気持ちがたまっていくだけだからな。ほら、来い」
そういって彼はサッと腕を広げた。
二人はそこに飛び込んだ。サイタマは彼女たちをしっかりと抱きとめる。
彼女たちは大泣きした。それはそれは大泣きした。サイタマの和服がびしょぬれになるくらい大泣きした。
鈴仙は思った。
ああ、いくら妖怪とか悪魔の妹とか無意識を操るとか言っても、彼女たちはまだ幼いんだ。
子供なんだ。
精神的には人間の子供とそう変わらないんだ。
ただ、種族が違うだけで。
なんだ。
ただのかわいらしい子供じゃんか。
今までなんで壁作ってたんだろう、自分。
ばからしいや。
今更種族間なんて関係ないじゃないか。
だって、
この
こんな自分みたいな脱走兵でも、
すべてを破壊することができるような悪魔の妹でも、
無意識を操るようなさとり妖怪の妹でも、
半人半霊の白玉楼の庭師でも、
受け入れてくれるじゃないか、
そう思うと鈴仙の気持は急に軽くなった。
もう彼女の次にやることは決まっている。
彼女はサイタマたちに駆け寄る。
抱きしめよう。
自分たちのために泣いてまで尽力を尽くして頑張ってくれた二人の少女に対して祝福をささげよう。
鈴仙は笑った。
すると妖夢も少しにっこりして四人に近づいて行った。
そしてサイタマに握手を求める。
サイタマはそれに答えて握手した。
そしていつの間にか泣き止んだ二人に対して自己紹介した。
「初めまして。私、魂魄妖夢です」
「はじめまして!フランドール・スカーレットっていいます!」
「こめいじこいしっていいま~す」
三人は笑った。
鈴仙とサイタマも笑った。
その空間は笑顔で埋め尽くされた。
続く
同時刻
さとり「・・・ねぇ、あなたたち」
さとりはお空やお燐、パルスィや勇儀、キスメやヤマメに対して話を切り出す。
勇儀「なんだ?」
さとり「こいしっていつからああなったのかしら?」
全員の表情が急に固くなった。
キスメ「え?そこ踏み込んじゃう?」
さとり「踏み込むわよ。だって、私はこいしのお姉ちゃんよ?妹のことを知るというのは姉として普通のことだわ。」
それを聞いて皆納得したような表情をした。
ヤマメ「・・・小さい頃って普通だったよね?」
こいし「ええ、そうね。少なくとも数十年前までは私とほぼ同じだったわ」
お燐「ねぇ、お空。あなた何か知らないの?」
お空「ウェッ?!なんで私に?!」
お燐「あなた、なんだかんだで一番こいし様と一緒にいたじゃない」
お空「・・・実を言うと、いつからこいし様がああなったのか私もいまいち覚えていないんですよ・・・。でも、いつの間にかああなっていました。最初は人が変わったのかと疑いもしましたよ。ですが、違いました。一緒に遊んでいるうちに気づいたんですが、根は全然変わっていないんですよ。あの時の、あの頃のこいし様と全然変わっていないんすよ。ただ、精神年齢がさらに幼くなって、そして、第三の目が閉じてしまった。心が読めなくなった代わりに、彼女は無意識という幸せを手に入れたのかもしれません。
・・・まるで、夢の中へ逃げ込んだ幸せな子供のように」
それを聞いて皆は絶句した。
ここまで見ていたのか、この八咫烏は。
一見純粋すぎて周りを何も見ていないようなこの八咫烏はたった一人の少女をずっと見ていたのだ。
さとり「・・・じゃあ今のこいしにとってこの世界は」
さとりがお空に疑問を投げかけるように話す。
お空は少し間をあけて言った。
まるで、言うべきかどうか迷ったかのように。
お空「夢、ではないでしょうか?」