一撃男が幻想入り   作:海棠

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皆様、お待たせしました。

49話公開です!


四十九撃目-『黒』/Negative-

「で、相手を組み伏せれば勝ちなの?」

サイタマはそう言いながら背を伸ばす。

「ええ、そうですよ。なんなら、勢いで殺してもかまいませんよ?」

「お前とことんあいつが嫌いなのか?」

「ええ」

「即答かよ」

そう言いながらサイタマは腕を軽く回すと前へ出る。

「ようこそ、外来人よ。私はここにあなたが来たことに感謝と喜びを感じているわ」

「なぜ?」

「なぜ?簡単よ。私は強い奴を欲していた。あの時もまたあの時も同じだった。そして今もそれは変わらない。そんなとき、あなたが来た。妖怪を一撃で倒すようなあなたが。それを聞いた瞬間、私は興奮したわ。外来人にもそんなに強い奴がいるのか、と。」

「ああ、なるほど。つまりお前は

 

強い奴を倒してさらに強くなりたいのか」

 

そうサイタマが言うと天子は指をさして言った。

「ビンゴ。その通りよ。物分かりが早くて助かるわ。あの博麗の巫女は何回言ってもわからなかったからね」

そう言って天子はケラケラ笑う。

「お前のことなんか誰もわからんわ」

「外野は黙ってなさい」

鈴仙は何か言おうとしたがすぐに黙った。そのころ、フランとこいしはちょうちょを追いかけていた。

「さて、と。始めましょうか」

「おう。その言葉を待っていた」

サイタマは少し構える。天子も同じく構えていた。

「・・・来なさいよ」

「じゃ、遠慮なく」

次の瞬間、天子の目の前にサイタマがいた。

「?!」

天子は驚愕した。

魔法を使ったとは思えない。というより、魔力を全く感じない。つまり、導き出される結論はこれだった。

 

 

己の肉体のみで戦っている。

 

 

さらに天子の心の底から湧き上がってくる何かがあった。

 

何かわからない。

 

どす黒いもの。

 

青空みたいな天子の心を黒が染めていく。

 

次第に増していく黒いもの。

 

久しぶりに味わったこの『黒』。

 

そうか。

 

自分はこの正体を知っている。

 

 

『恐怖』

 

 

『畏怖』

 

 

『絶望』

 

 

『死』

 

 

あともう一つ。

 

 

 

『支配欲』

 

 

 

ああ、ここでこのハゲ野郎を殺したい。

 

今ここで殺したら真っ赤に染まるのだろうか。

 

まるで花のように。

 

咲かせてみようか。

 

そうだ。そうしよう。

 

 

 

 

咲 か せ て み よ う

 

 

 

 

次の瞬間、彼女は剣を大きく振りかぶった。

 

目は無邪気。

 

笑顔は狂気。

 

(おいおい、まじかよ)

 

それはサイタマは久しぶりに嫌な気分にさせてくれた。

 

 

ハゲと言われること以外で。

 

 

サイタマはちょっと力を込めて頭をたたいた。

 

次の瞬間、彼女は崩れ落ちた。

 

「・・・」

「・・・」

「あのさ」

「ええ」

「こいつ、バーサーカー?」

「いや、ただのキチガイじゃないですかね」

「・・・そうかなぁ」

 

続く

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