「で」
とサイタマは気絶してぐったりしている天子を抱えながら言った。
「こいつどうするの」
「そこらへんに捨てておきましょう」
「それはさすがにダメだろ。運んでいく」
そう言いながらサイタマはおんぶした。
「あれ?フランとこいしは?」
「あ、本当ですね。どこに行ったんでしょう?」
サイタマと鈴仙はきょろきょろとあたりを見回した。
「あら」
急にそんな声がした。
二人はすぐにその方向を振り向く。
そこにはフランとこいしを抱き上げている一人の女性がいた。
「・・・あんた誰だ?」
「それはこちらの台詞ですよ」
「・・・そういやそうか。勝手に来たのはこっちだしな。自己紹介するぜ。俺の名前はサイタマ。趣味でプロヒーローをやっているものだ」
「どうも、サイタマさん。私の名前は永江衣玖です。以後お見知り置きを」
そう言って彼女は片足を半歩後ろにずらしてお辞儀した。
「あ、ああ」
その行儀のよさにサイタマは少し面を食らったような顔をした。
「ところで」
と彼女は切り出した。
「なぜ総領娘様はそういう風にぐったりしているのでしょうか?」
「ああ、俺が気絶させた。目がやばい目をしてたんでな」
「ああ、そういうことですか。・・・また発作を起こしましたか」
彼女はやれやれという風にため息をつきながら言った。
「発作?」
「総領娘様は戦いで自分の予想以上のことがあるとその相手を何としてでもつぶしたくなってしまうんですよ」
「ふぅ~ん、大変なんだな」
「ええ。結構苦労しますよ。前なんか・・・」
~☆~
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!離せえええええええ!!!」
「落ち着いてください!総領娘様!」
「殺す殺す殺すぅ!!!絶”対”に”ごろ”ず!!!」
「この!馬鹿総領!」ゴスッ(首筋をチョップする音)
「がふっ」ガクッ
~☆~
「お、おう。苦労してんだな」
サイタマは言った。
「・・・そう言ってくれるだけ本当にありがたいです」
そう言って衣玖は手を頭に当てながらため息をついた。
「そういや、皆様はどこかに泊まる予定とかあるのですか?」
「いや、ないけど。それがどうかしたのか?」
「だって、もうすぐ日が沈みますよ?」
そう言って彼女は指をさす。
4人がその方向を見ると美しい夕焼けが映っていた。
「うわ、もうそんな時間か」
「というよりあれだけのことがあってまだサイタマさんと出会って四日目なんですね」
「俺にとっては五日目だけどな」
「「HAHAHA」」
「で、泊まりますか?」
「おう、お願いしようかな?」
「お世話になります。ほら、二人も言って」
「「おせわになります!」」
そう言って4人は深々と頭を下げた。
「ええ、どうぞ。久しぶりのお客様です」
そう言って永江衣玖はニコッと笑った。
続く